北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、総賞金600万ドル。
日本の三冠牝馬の前に立ちはだかるのは、日本最強の種牡馬が最後に遺した傑物。
出走馬が分かりやすく二層に分かれている。頂点を争うレベルの出走馬と並み程度のG1クラス。Auguste Rodin、Liberty Island、Stars On Earthを中心にJustin PalaceとShahryar、Emily Upjohnまで見ておけば十分である。いやもっと絞らないと話にならないか。
Auguste Rodin: Deep Impact - Rhododendron by Galileo
アイルランド産馬4歳。
ディープインパクトがラストクロップに遺した英愛ダービー馬。加えてIrish Champion SとBC Turfも勝って去年はG1を4勝した。一方で2000 Guineasやキングジョージでは惨敗を喫したように馬場なのか遠征なのか、注文が付くところはあるが、整備されたトラックコースで走るのなら問題ないのではないか。
血統と実績の両面から3歳でさっさと引退して種牡馬入りかと思っていたら今年も現役に残ってくれたのでこの一年でどれだけの実績を積み上げるのか非常に興味深い。ここでもやっているようにLuxembourgがいるので12F路線という気がしなくもないが、欧州でなら10F路線が良いように思われる。
Emily Upjohn: Sea The Stars - Hidden Brief by Barathea
イギリス産馬5歳。
去年もSheema Classic出走を目指していたが直前で遠征を取りやめている。その後G1 Coronation CupでWestoverらを下して勝利したが、G1 Eclipse Sは2着、キングジョージは7着でシーズンを終えている。
使い詰めると調子を落とすのではないかという気がしてならないので、休み明けなら可能性を見ることはできるのではないだろうか。
Justin Palace: Deep Impact - Palace Rumor by Royal Anthem
日本産馬5歳、ジャスティンパレス。
阪神大賞典と天皇賞春の勝ち馬だが、宝塚記念3着や天皇賞秋2着の実績もあり、単なるステイヤーではない。日本にいるディープインパクト産駒としては最後の大物になる存在。
勝ち切るまでは展開が向く必要があると思うが、追い込める流れになれば十分。
Liberty Island: Duramente - Yankee Rose by All American
日本産馬4歳、リバティアイランド。
去年の牝馬三冠馬でG1は4勝。ジャパンカップではイクイノックスに太刀打ちできなかったが、スターズオンアースやドウデュースに先着する2着で強い現5歳世代相手でも通用している。
当馬自身には全く責任がないこととはいえ、今年の4歳世代が全体的に今一つと見られている現状で、リバティアイランドにはある程度の実績を残すことが要求されているのかなという気はしている。去年のジャパンカップで十分示したとは思うのだけどね。
Shahryar: Deep Impact - Dubai Majesty by Essence Of Dubai
日本産馬6歳、シャフリヤール。
去年引退するという話があったが、結局現役に残りSheema Classicは3年連続の出走となった。2年前には勝っており、去年はEquinoxのスーパーパフォーマンスに霞んだとはいえ5着はこの馬としては不満のある結果。
去年の後半は札幌記念後に手術、復帰がぶっつけのBC Turfで、さらにHong Kong Vaseを目指したものの回避して有馬記念出走とレース内容以外で波乱が多かった。その中でBC Turfを3着の有馬記念5着は評価してよい。
ここはまずはBC TurfでのAuguste Rodinとの差を覆せるかといったところ。
Rebel's Romance: Dubawi - Minidress by Street Cry
アイルランド産馬6歳。
4歳時にBC Turfを含めてG1を3勝したが、去年は不振だった。Sheema Classicで7着から始まるが順調さを欠いてAqueductで開催されたG1 Joe Hirsch Turf ClassicではWar Like Goddessに一蹴されて4着では擁護できない。その後立て直してきており、前走はDohaのG3 H.H. The Amir Trophyを勝った。ペースを握ってレースを作り、後続を封じ込めたのは見事なレースだったが、絶対値の高い相手には通用しない印象である。
O'Brien陣営がPoint Lonsdaleを用意しているので得意なペースでレースを進めることがまず難しい。
Stars On Earth: Duramente - Southern Stars by Smart Strike
日本産馬5歳、スターズオンアース。
2022年の桜花賞とオークスの二冠牝馬でその後は勝ちから遠ざかっているが、レースを絞っているとはいえG1で上位に安定している。しかしながら同父のリバティアイランドが鮮烈なレースで牝馬三冠を達成し、ジャパンカップでも彼女に先着を許したのは不本意だろう。その後の有馬記念の2着にはこの馬の意地を見る思いである。
先行でも追い込みでも勝負できるので展開が分からないが、先行するならRebel's Romanceとの兼ね合いが重要になってくるか。
Spirit Dancer: Frankel - Queen's Dream by Oasis Dream
イギリス産馬7歳。
去年の夏にハンディキャップ戦を連勝し、そこからYorkのG3 Strensall Sを勝った。欧州の平地シーズンが終わるとBahrainのG2 Bahrain International Trophyを勝ち、MeydanのG1 Jebel Hattaは4着で、前走がRiyadhのG2 Neom Turf CupでKiller Abilityを下して勝利。
相手関係が一気に強化されるので厳しいが、中東の芝中距離では重要なランナーである。
Junko: Intello - Lady Zuzu by Dynaformer
イギリス産馬5歳。
WertheimerのオーナーブリードでA. Fabre厩舎。去年はDubai Turfに出走して6着に終わり、フランスに戻っても大した実績を残していないが、最後にドイツに遠征してG1 Preis Von Bayernを勝ち、さらにはHong Kong VaseではZeffiroやWarm Heartを下した。Zeffiroとの着差などから考えるとRebel's Romanceとは良い勝負かと思われる。
前走はChantillyのオールウェザーコースで行われるPrix Darshaanを2着。これは完全に調整目的なので結果は気にしなくてよい。
Point Lonsdale: Australia - Sweepstake by Acclamation
アイルランド産馬5歳。
カタールから転戦してきたBroome全弟。
中東のシーズンではG2 Bahrain International Trophyで3着、G3 H.H. The Amir Trophyが最下位の11着ではどうにもならず、Auguste Rodinのペースセッターとなるしかない。
Simca Mille: Tamayuz - Swertia by Pivotal
アイルランド産馬5歳。
前走はDohaのH.H. The Amir Trophyに出走したが、6着。Rebel's Romanceにレースを作られ、自身は内に包まれたまま終わってしまった。
ドイツのG1 Grosser Preis Von Berlin勝ちで、フランスのG1でも2着にくる実力を有している。Rebel's RomanceやJunkoとは大して変わらないとも言える。
並みのG1なら十分通用するのだが、チャンピオンクラスが集まるトップティアのG1で勝負するレベルではないといったところ。そしてSheema Classicは明らかに後者のレースである。
Sisfahan: Isfahan - Kendalee by Kendargent
フランス産馬6歳。
2021年のドイツダービー馬。去年は長距離のDubai Gold Cupに出走したが、やはり向かない距離で2400mがこの馬には合っている。G1 Grosser Preis Von BerrlinでSimca Milleの2着。ドイツ的な馬は2400mは走るが、3000m級のステイヤーはあまり出ない印象。
前走はMeydanのG2 Dubai City Of Goldで3着。条件的にはSheema Classicの前哨戦となるべきレースだがSisfahan以外は出てこない。遠征馬が強すぎて勝負できないというところはあるだろう。