Coronation S: Ascot G1 Turf 8F

Scat Daddy vs Kingmanの三歳牝馬マイル。

CurraghのFallen Angelはいないが、NewmarketのElmalkaとLongchampのRouhiyaが出てきた。ただ、牡馬戦と同じくやはりRouhiyaはやや人気が薄い状況である。そして人気になっているのは今季初戦をしくじったCoolmore馬といったところで、これもパターンである。

Newmarketの1000 Guineasも勝ったElmalkaは実績不足で人気薄の状況で、ここで負けたRamatuelleやPorta Fortunaが逆転を期している。

GodolphinはDevoted Queenが回避して出走馬なしとなってしまった。

Content: Galileo - Mecca's Angel by Dark Angel

A.P. O'Brien厩舎、Wayne Lorgan騎乗。

8戦2勝。A.P. O'Brien厩舎の2頭目。2歳のG3 Saffordstown Stud Sを勝って、BC Juvenile Fillies Turf4着の実績がある。今年はフランスでPoulichesに出走したが8着に終わった。ここではOpera Singerの援護に回るのかという感じだが、Content自身は追い込んでくるタイプだったと思うのでどういったレースをするだろうか。

2-o族。母Mecca's Angelは5Fのスペシャリストで鳴らしたスプリンター、引退レースでBritish Champions Sprintに出走したが6Fにすら届かない強烈な個性だった。

Elmalka: Kingman - Nahrain by Selkirk

Roger Varian厩舎、James Doyle騎乗。

3戦2勝。Newmarketの1000 Guineasでは2歳のデビュー戦を勝っただけというキャリアで出走して人気薄だったが、Potra FortunaやRamatuelleとの勝負を制した。

6-d族でTesioに購入されたTofanellaからの牝系で、Tokamuraの分岐である。TofanellaからはTeneraniが、TokamuraからはToulouse Lautrecが出る重要な一族である。Elmalkaに至る流れは一時ニュージーランドに渡り当地の年度代表馬であるLa Merを出す。このLa Merがアイルランドから発展させたファミリーであり、母Nahrainは中距離のG1を2勝し、BC FM Turfでも2着に入る実績を残した。半兄にはGodolphinのG1馬で日本で種牡馬入りしたBenbatlがいる。父がDubawiからKingmanに替わってPrincequilloが増えている。

Folgaria: Due Diligence - Full Moon Fever by Azamour

Marco Botti厩舎、Hollie Doyle騎乗。

7戦6勝。2歳の5月にイタリアのStefano Botti厩舎からデビューして5連勝。3歳になると弟のMarco Botti厩舎に移籍してイギリスに拠点を移した。その初戦となったNewburyのG3 Dubai Duty Free SではElmalkaを3着に下してイギリス初勝利で6連勝を決めた。しかしフランスにターゲットを決めて出走したPoulichesでは11着と大敗している。無敗馬だったのでLongchampではそこそこの人気だったが、そこでの11着は評価を急落させている。

8-f族でAd Altioraの一門。Aga Khanが所有し、後にFlag Of Honourを出したラインである。父Due DiligenceはWar Front産駒のスプリンターで、Listed勝ちまでだが、G1 Golden Jubileeで2着している。

Opera Singer: Justify - Liscanna by Sadler's Wells

A.P. O'Brien厩舎、Ryan Moore騎乗。

6戦3勝。去年G1 Prix Marcel Boussacを5馬身差で快勝した欧州の2歳牝馬チャンピオン。今年はIrish 1000 Guineasで初戦を迎えたがFallen Angelの前に3着に終わってしまった。その着差は4馬身半、Fallen Angel自身がNewmarketの1000 GuineasでElmalkaに4馬身3/4差を付けられていることから大いに不本意な結果だろう。

22-b族でHit It A BombやBrave Annaの半妹にあたる。上の父はWar Frontだったが、Opera Singerは父がJustifyになっている。2年目に大躍進を遂げたJustify産駒を代表する一頭である。

Porta Fortuna: Caravaggio - Too Precious by Holy Roman Emperor

Donnacha O'Brien厩舎、Tom Marquand騎乗。

8戦4勝。2歳の4月にデビューして3連勝、Royal Ascot開催ではG3のAlbany Sを勝った。その後G1 Phoenix Sを2着、G1 Moyglare Stud Sを3着からG1 Cheveley Park Sを勝ち、BC Juvenile Fillies Turfに遠征して2着。早い時期にデビューして2歳いっぱいで7戦と使われた。今シーズンは1000 Guineasでの2着のみ。

Aga Khanの5-e族でMasakaの直系。最近ではRougirが出る牝系である。日本ではサニングデールがG1を勝っている。

父CaravaggioはScat Daddy産駒のスプリンターで2歳と3歳でG1を勝って引退した。早熟スプリンターのイメージが強かったが、種牡馬としても欧州のファーストクロップリーディングを獲得して期待に応え、上級産駒は意外と距離も年齢も持つようで、5歳になった初年度産駒から最近では2マイルのBelmont Gold Cupを勝ったThe Grey Wizardを出しているし、Whitebeamも北米芝で活躍している。日本では持ち込み馬のアグリが活躍しており、Caravaggio自身が日本に導入された。

Ramatuelle: Justify - Raven's Lady by Raven's Pass

Christopher Head厩舎、Oisin Murphy騎乗。

7戦3勝。フランス調教馬。2歳シーズンはフランスでG3 Du Bois、G2 Robert Papinを連勝し、G1 MornyはVandeekと差がない2着として終えた。今年はDeauvilleのG3で2着としてNewmarketの1000 Guineasに遠征して3着だった。実力は疑いなく、Elmalkaとの差を逆転できるかといったところである。

16-c族でLocust Timeのファミリー。大きくみるとJudy O'Gradyの一門で、Green Valleyファミリーなどが近縁に出ている。自身の近親にはBest Of The Bestsが出ている。

Rouhiya: Lope De Vega - Rondonia by Raven's Pass

Francis-Henri Graffard厩舎、Maxime Guyon騎乗。

4戦2勝。フランスのPoulichesを勝っているが、人気薄だったことと当日の馬場状態のこともあって人気が上がらない。今年のフランスのギニー馬はどちらも評価が上がっていないのでAscotで結果を求められているような立場である。

9-eでBoussacからAga Khanに引き継がれた牝系で、今もってAga Khanのオーナーブリードとはいえやや地味なファミリーである。Opera賞勝ちのRidasiynaが出ているがやや遠い。

See The Fire: Sea The Stars - Arabian Queen by Dubawi

Andrew Balding厩舎、David Probert騎乗。

4戦1勝。Newmarketの1000 Guineasは12着。G2 May Hill Sを2着、G1 Fillies' Mileを3着と2歳の実績馬。

Etoile De Franceの9-e族で母Arabian QueenはG1 International Sを勝った。

Skellet: Kingman - Dane Street by Street Cry

Ralph Beckett厩舎、Rossa Ryan騎乗。

4戦1勝。2歳ではG3 Oh So Sharp Sで2着がある。CurraghのIrish 1000 Guineasに出走して8着。

14-cでGadaboutの枝に属しており、広い意味ではChic Colombineと同族。半姉に2歳牝馬チャンピオンのSkitter Scatter、姪にBelmont Oaksを勝ったAspen Gloveが出ている。Street CryにKingmanを乗せる形でDevoted Queenと似た血統になるが、Giant's CausewayがなくPrincequilloも薄い分をDanehillで補う。