Belmont S: G1 Saratoga Dirt 10F

Belmontが使えないため今年はSaratogaで開催されることとなったが、距離が10Fで条件がTravers Sと丸被りしてしまった。Mid-Summer DerbyならぬEarly Summer Derbyといったところか。Kentucky Derbyから短期間に10F、9.5F、10Fと変わり映えしないレースが続いてしまう印象なのは少し残念だが、そうはいってもこの出走メンバーは10Fだからこそといえる。

人気はKentucky Derbyの2着から巻き返しを図るSierra Leoneに集中した。直線の攻防を見れば当然そうなるというところだろうか。Mystik DanはPreakness Sが物足りない印象を与えている。勝ったSeize The Greyも人気が上がっていない。

Peter Pan Sからは上位3頭が出走してくるが、こちらからは新星というレベルの挑戦者が現れていない。Kentucky Derby当日に2勝目を挙げたMindframeの方が注目されている。

これを見るとForever Youngも北米に残っていればと思ってしまうが、秋にもう一度遠征することを期待しよう。

Seize The Grey: Arrogate - Smart Shopping by Smart Strike

D.W. Lukas厩舎。J.A. Torres騎乗。

前走のPreakness Sを逃げ切ったが、Muddyの馬場の利を活かしたとみなされているようで人気は上がらず。ただ、前で勝負する馬が少ないため、レースはしやすいのではないか。

ArrogateSmart Strikeが見えているのに距離を気にする方が間違いだったとは言えて、10Fにも問題はないように思われる。

Resilience: Into Mischief - Meadowsweet by Smart Strike

W.I. Mott厩舎。J. Alvarado騎乗。

前走のKentucky Derbyは6着。外枠からそのまま外を回らされて直線では後ろから来た4頭に抵抗できず6着というイメージであった。今回はそれよりレースがしやすくなるだろうが、Sierra Leoneと勝負できるほどではなさそう。

Mystik Dan: Goldencents - Ma'am by Colonel John

K.G. McPeek厩舎。B.J. Hernandez Jr.騎乗。

Kentucky Derby馬で、前走のPreakness Sを2着とまとめているが、Seize The Greyに逃げ切りを許したことが原因となったか結構差のある3番人気にとどまっている。Churchill Downsでは直線でうまく抜け出したが、Sierra Leoneの差し脚がそれだけ出色だったということでもあるだろう。相手がスムーズに回ってきたら厳しいように思われるのは仕方がない。

The Wine Steward: Vino Rosso - Call To Service by To Honor And Serve

M.J. Maker厩舎。M. Franco騎乗。

ニューヨーク産馬。G3 Peter Pan Sの2着馬。去年デビューから3連勝しG1 Breedres' Futurityを2着として2歳戦を終えた。今年はG3 Lexington Sで復帰して2着。Kentucky Derbyには間に合わずPeter Pan Sからの参戦となった。

Lexington Sでは勝ったEncinoと唯一勝負できた馬で2着とは言え良い評価を受けていた。

Peter Pan Sでは直線で先頭に立つがAntiquarianに差されて2着だった。もう一頭Protectiveが追い込んできたが、これには詰め寄らせていない。Peter Pan Sからはこの上位3頭がBelmont Sに出走する。

Antiquarian: Preservationist - Lifetime Memory by Istan

T.A. Pletcher厩舎。J.R. Velazquez騎乗。

今年デビューし、G2 Louisiana Derbyに出走して6着になると切り替えてPeter Pan Sに向かってこれを勝ってきた。

父PreservationistはArch産駒でG1 Woodward Sの勝ち馬。この世代が初年度産駒となる。母父IstanはGone West産駒の中堅種牡馬。総じてワンランク落ちくらいの血統に思われる。母系は地味に活躍馬が多い9号族のTropic Starの分岐。最近だとSanta Anita Oaks勝ちのBellafinaを出しているし、Peintre Celebreらを出したPlenciaとも近縁である。

Dornoch: Good Magic - Puca by Big Brown

D. Gargan厩舎。L. Saez騎乗。

Mageの全弟でKentucky Derbyは10着に終わっている。

Protective: Medaglia D'Oro - Grace Hall by Empire Maker

T.A. Pletcher厩舎。T. Gaffalione騎乗。

4戦未勝利。G2 Wood Memorial Sを3着の後、Peter Pan Sも3着。今年はWood Memorial SとPeter Pan Sが同条件で開催されているが、Peter Pan SはWood Memorialと比べると道中のペース落ちが少なく流れている。

母Grace Hallは2歳G1 Spinaway Sの勝ち馬で、他にBC Juvenile Filliesで2着等の実績を持つ。古馬になっても上位で活躍を続けた。

Honor Marie: Honor Code - Dame Marie by Smart Strike

D. Beckman厩舎。F Geroux騎乗。

Kentucky Derby8着からの参戦。

Sierra Leone: Gun Runner - Heavenly Love by Malibu Moon

C.C. Brown厩舎。F. Prat騎乗。

前走のKentucky DerbyではForever Youngと激しく競り合いながら追い込んだが、内から抜け出したMystik Danをとらえきれず写真判定の末ハナ差の2着に敗れた。能力の高さは存分に示しており、アメリカの3歳で最強の立場にあることは間違いない。

Mindframe: Constitution - Walk Of Stars by Street Sense

T.A. Pletcher厩舎。I. Ortiz Jr.騎乗。

メリーランド産馬で2戦2勝。

デビューが遅く今年の3月にGulfstream Parkの7F未勝利戦で初出走となったが、これを13馬身差で圧勝した。続けてKentucky Derby当日に8.5Fの条件戦に出走して、スタートから先頭に立ち、直線に向くと悠々と7馬身離して連勝している。この勝ち方なら確かに上り馬として期待されるのは理解できるが、Mystik Danより人気になるのはちょっとやりすぎな気がしなくもない。

4-c族。母Walk Of Starsは5戦3勝でブラックタイプ勝ち。これまでに2頭の産駒がデビュー済みで、半姉のHollywood Walkも勝ち上がっている。近親では母の半姉Strike The Moon、自身の従姉Never Enough Timeがブラックタイプになっているが、重賞勝ちは出ていない。ヴァージニアでLegacy Farmを経営する中堅のオーナーブリーダーR. Larry Johnsonの生産馬で、KeenelandのSeptember Yearlingでは4日目の上場だったが60万ドルの高額で落札されている。Forteを所有したRepole StableとSt. Ellas Stablesの共同所有である。

近親というほど近くはないが調べるとスマイルトゥモローが出てきた。100年遡っても繋がらないが。