New Zealand Stallions 2021

ちょっと訳あってNew Zealand Thoroughbred Breeders’ AssociationのREGISTER OF THOROUGHBRED STALLIONSを眺めていたら、2021年のニュージーランド種牡馬一覧が出来上がったので余計な情報を付け加えて公開しておきます。もっともNew Zealand Thoroughbred RacingのStud BookからStallion Standingを見ると種牡馬はもうちょっと多いのですが、まあそんなに影響はないと思います。

ニュージーランドにおけるサラブレッド産業

一応、IFHAのFacts and FiguresにてニュージーランドのBreeding Statisticsを確認すると、最新データが2019年で少々異なりますが、サラブレッド種牡馬119頭、同繁殖牝馬4921頭、生産頭数3489頭といったところ。雑把に言って日本の半分程度の規模となります。

馬産の中心は北島北部、オークランドの南に位置するワイカト地方で、Cambridge StudのあるCambridgeやWaikato StudのあるMatamataなどが著名です。生産者協会(New Zealand Thoroughbred Breeders' Association)の本拠もCambridgeに所在します。

ニュージーランド馬産の強みはオーストラリアの中長距離で稼げるところにあります。現役だとVerry Elleegantが昨シーズンのオーストラリア年度代表馬に選出されています。これはかつてのSunline以来となる快挙ですが、20世紀後半はそのSunlineが3年連続で獲得していたり、その前が2年連続でMight And Powerだったりと、ざっと半分に迫るレベルでニュージーランド産馬がオーストラリア年度代表馬のタイトルを獲得しています。なお、エラズリープライドさんもオーストラリアの年度代表馬に選出されていますね。全盛期でジャパンカップに来日したけど走れなかったシーズンのことです。

Verry Elleegantが11月にはMelbourne Cupも制しているように、ニュージーランド産馬の活躍は中距離から長距離で目立っており、昨シーズンはMelbourne、Sydney、Adelaide、Brisbaneのダービーを全てニュージーランド産馬が勝っているほどです。

また、オセアニアに馬資源を依存する香港やシンガポールニュージーランド馬産の有力な市場です。香港では年度代表馬だけでもVengeance Of Rain、Ambitious Dragon、Werther、Beauty Generationの名前が挙がります。シンガポールだと今世紀になってからのSingapore Gold Cupの勝ち馬としてMr. Clint、Gilt Complex、Bahana、Zirnaが出ています。やはり中距離寄りの活躍馬が目立ちますね。ニュージーランドの有力な馬主シンジケートであるTe Akau Racingはシンガポールにも進出しています。

Nasrullah父系

Nasrullah直系の種牡馬はReliable Manのみとなっています。上位馬に牝馬が多く、G1馬3頭は全て牝馬New Zealand Oaksを勝ったSentimental Missなど距離のある所を得意とし、オーストラリアで出走する産駒が多い特徴を持っています。ドイツやフランスにシャトルされていますが、北半球産ではG1まで届いていません。

Hail To Reason父系

日本絡みの3頭が種牡馬として活動しています。Satono Aladdinは社台のシャトルサイアーとしての形で、StaphanosとRoc De Cambesはニュージーランドのみでの活動です。

サトノアラジンは産駒が走り出したばかりなので、カタログではまだ父のディープインパクトの情報がほとんどなんですが、ProgenyにひたすらChampionが並んでてドン引きするよね。もっともこちらはG1馬の数が合わねえ…と頭を抱えていますが。

ロックドゥカンブは少ない産駒から2頭のG1馬を出しています。

Sir Tristram父系

Sir Tristramはアイルランドに産まれ、Raymond Guestの所有馬として競争生活を送りますが、フランスで2勝を挙げたのみで大レースには縁がないまま引退しました。オーナーの意向でKentucky Derbyにも出走していますが、11着に終わっています。引退後にニュージーランドアイルランド移民二世であるPatrick Hoganにより購入され、ニュージーランド種牡馬入りします。Hoganは一家で経営していたFencourt Studを手放し、新たにCambridgeにCambridge Studを創設し、Sir Tristramを種牡馬として迎えました。血統で評価されたものの競争成績が振るわなかったことから種牡馬入りの1976年はわずかに1200NZドルの種付け料が設定されていました。

種牡馬Sir Tristramはニュージーランドにとどまらず、オーストラリアにも多数の活躍馬を送り出し、直仔産駒は80年代のオセアニア競馬を席巻しました。45頭の産駒がG1を勝っており、一時は産駒のG1馬頭数で世界一となっていました。オーストラリアのリーディングサイアーになること6回、ニュージーランド種牡馬リーディングは集計の取り方により変わるもののオーストラリアとニュージーランドの賞金を合算したリーディング(The Dewar Award)を9回獲得しています。

初期のGrosvenorやSovereign Red、中期のKaapstadやMaraudingなど多彩なG1馬がSir Tristramの後継種牡馬となりましたが、Patrick Hoganがこの馬こそと見定めたのがZabeelです。Cambridge Studで生産されたZabeelはSheikh Hamdanに購入されてデビューするとオーストラリアのG1戦線で活躍し、G1 Australian Guineasを勝ちました。それまでSir Tristramの後継種牡馬を繋養していなかったCambridge StudはこのZabeelを買い戻して種牡馬入りさせました。Zabeelはその期待に初年度のOctagonal、二年目のMight And Powerで応えます。

ZabeelはシャトルサイアーDanehillが影響力を増すオセアニアにあって、中距離以上のレースを舞台に渡り合いオーストラリアでリーディングを2回、ニュージーランドに在ってはThe Dewar Awardを14回獲得しています。一方で産駒の多くが国外に持ち出されたため、ニュージーランド国内のみのリーディングは4回の獲得にとどまっています。ラストクロップのLizzie L'AmourがNew Zealand Sに勝って父を超える46頭のG1馬を出すこととなりました。

その後継は現在ニュージーランド最高の種牡馬となっているSavabeelで、やはり距離のあるレースを得意とするのですが、父や祖父に比べるとオーストラリアへのインパクトに欠けています。Savabeelは牝馬が強いタイプの種牡馬であり、近年はProvabeelがVerry Elleegantと並んでオーストラリアのG1戦線を戦いました。

また、G1を10勝してZabeelの代表産駒となった”Big O”は引退後はオーストラリアで種牡馬となると早速初年度にLonhroを送り出しました。Lohnroはシドニーを拠点とし、メルボルン拠点のNortherlyらと並びたちながらG1を11勝して種牡馬入りすると、DenmanやPierroという後継種牡馬を得て、彼らは北半球へのシャトルもされました。

Last Tycoon父系

ワールドワイドな種牡馬Last Tycoonの優秀な後継者であったO'Reillyもニュージーランド種牡馬入りしていました。現在は後継のShamexpressがニュージーランドの新種牡馬リーディングで1位を獲得しており、Coventina BayでようやくG1に手が届いたところです。

Green Desert父系

ZabeelはオーストラリアでDanehillやその後継種牡馬の産駒と覇を競いましたが、ニュージーランドではVolksraadが強敵でした。ニュージーランド国内だけのリーディング(The Grosvenor Award)ではVolksraadの後塵を拝する結果となることも多くありました。

Volksraadは直系をニュージーランドに残すことができませんでしたが、Green Desertの父系としてはInvincible Spiritが進出を始めました。新鋭のKingman産駒としてさっそくKing Of Comedyが2021年から種牡馬入りしています。また、Invincible Spiritの直仔でAncient Spiritがおり、この子はドイツ産馬でシュレンダーハン牧場のAですが、2号族の方のラインです。こちらも2021年から種牡馬入りということで、この父系はこれからの勢力となります。

Danehill父系

ニュージーランドからするとDanehill直系は競走馬だろうが種牡馬だろうがオーストラリアから持ってくればよいという面があるように見えます。Redoute's ChoiceやFastnet Rockのラインにはそうした印象が強くあります。ニュージーランドでの競走馬上がりとしてはDarci Brahmaが上位の種牡馬として残っています。

種付け料上位のHello Youmzainは種牡馬入りしたばかりでフランスとのシャトルサイアーです。

War Front父系

Danzigの3本目のラインとなっているWar Frontは最新型のスプリンターU. S. Navy Flagをシャトルで持ってきています。

Nureyev父系

南半球でも何かと活躍馬が出ていたNureyevの父系ですが、ニュージーランドではThorn ParkがJimmy Choux、Veyron、Ocean Parkを出してリーディングを獲得する盛況ぶりでした。Thorn Parkは早逝しましたが、Ocean Parkが後継となり2年目の産駒から3頭のG1馬を出す成功を収めました。

Unusual SuspectはUnsual Heat産駒ということでアメリカ西海岸の芝路線の活躍馬です。G1タイトルも取っていますが、現役の最後はオーストラリアに移っており、9歳で引退してクイーンズランド種牡馬入りしていました。その後Forget-Me-Notに連なる出身からかニュージーランドのLetham Studが購入し、2017年からはニュージーランドで活動しています。

Giant's Causeway父系

Storm Cat直系はGiant's Causewayのラインです。ShamardalとFootstepsinthesandということは、ニュージーランドに来てはいないにしてもシャトルサイアーの影響が強いと思わされます。

Montjeu父系

Montjeu自身がシャトルサイアーとしてWindsor Park Studに来ていたこともあり、ニュージーランドでの影響力を有しています。そのニュージーランドでの代表産駒に挙げられるTavistockはスプリンターとして名を成しますが、種牡馬としては中長距離に産駒を出すタイプでした。惜しくも亡くなりましたが、Tarzinoがその血を繋いでいます。

Galileo父系

ニュージーランドではWindsor Park StudがRip Van Winkleシャトルサイアーとして導入していました。Rip Van Winkleが急死したのでCircus Maximusに切り替えられています。

Sadler's Wells産駒のクラシックディスタンスにおける大物後継種牡馬では、MontjeuHigh Chaparralシャトルで導入していたのでGalileo父系に対する動きがやや遅れている印象があります。

High Chaparral父系

High Chaparral自身がWindsor Park Studによってシャトル導入されていました。High Chaparralはこのニュージーランドでの成果で名を上げており、初年度から最強産So You ThinkとShoot Outを出し、その後もDundeelを得ています。

So You ThinkもDundeelもオーストラリアで種牡馬入りすることになりましたが、その影響は大きく、Dundeel産駒ではSuper Sethが種牡馬として買い戻されています。また、Contributer、Ace Highなど他のHigh Chaparral後継種牡馬も多く導入されています。

Encosta De Lago父系

オーストラリアでDanehill系と真っ向から渡り合ったEncosta De Lagoはニュージーランドでも名牝Princess Coupなどを活躍させました。目立ったものはいませんが後継種牡馬も導入されています。Redoute's Choiceの半弟Echoes Of Heaven及びその近親Niagara、Sir Slickの半弟Pucciniがいます。

Gone West父系

ニュージーランドGone West父系といえばIffraajがシャトルサイアーとして活動していました。当地で生まれたTurn Me Looseなどが種牡馬入りしているほか、Ribchesterや孫のAlmanzorシャトルで導入される人気を有しています。

また、Elusive Cityがニュージーランドシャトルされていた時期があり、Vespaが後継種牡馬として残っています。

Seeking The Gold父系

Makfiは一時ニュージーランドシャトルされていたので後継種牡馬が残っています。しかしまだDubawiの取り込みというところでうまくいく手は見つけられていないように思います。

Seeking The Gold直仔のSecret Savingsは現役時にオーストラリアのG1 Doncaster Hを勝って種牡馬入りしました。種牡馬としても成功し、Dash For Cash、Shamekha、Swiss AceがG1馬となりました。

Street Cry父系

シュープリームなStreet Cryはオーストラリアにシャトルされており、早々に後継種牡馬に切り替わっていった北米と違って最後まで強力な種牡馬でした。晩年の代表産駒Winxを得ています。後継種牡馬の一番手だったStreet Sense、Street Boss、Street Heroなどもシャトルサイアーとなっており、その影響力を有しています。

ニュージーランドにはシャトル種牡馬がオーストラリアに残した産駒が後継種牡馬として導入されるケースが多く、Melbourne Cupを勝っているShockingは象徴的です。

Per Incantoはイタリアでデビューし、3歳になって連勝してG3まで勝ったところでイギリスに転厩しました。その後はさっぱりな結果で引退となりますが、ニュージーランド種牡馬入りすることができました。ニュージーランドにおいては短距離で有力な種牡馬です。

Monsun父系

南半球でのMonsunMelbourne Cupを勝てる種牡馬というイメージがあります。

フランス産のVadamosはBordeauxやFontainebleauなどで出走していた馬です。4歳になってFabre厩舎に移るとドイツでマイルのG2 Oettingen Rennenを勝ちますが、中距離では目が出ず、5歳になるとマイル戦を主戦と定め、Prix de Moulin de LongchampでG1タイトルに届きました。その後、オーストラリアに渡ってCox Plateにも挑戦しますが勝てずに引退し種牡馬入りしました。種牡馬入りはアイルランドのTally-Ho StudでニュージーランドのWestbury Studにシャトルされる形式でしたが、2021年にはCoolmoreのNational Hunt Stallionとして扱われています。背景にはナショナルハントでのMonsun父系の影響力の増大があるようです。

Nasrullah
|Never Bend
||Mill Reef
|||Shirley Heights
||||Darshaan
|||||Dalakhani
||||||RELIABLE MAN (GB) 2008 at Westbury Stud 17,500NZD

Royal Charger
|Turn-To
||Hail To Reason
|||Halo
||||Sunday Silence
|||||Deep Impact
||||||SATONO ALADDIN (JPN) 2011 at RICH HILL FARM 12,500NZD
||||||STAPHANOS (JPN) 2011 at NOVARA PARK 7,000NZD
|||Roberto
||||Red Ransom
|||||ROC DE CAMBES (NZ) 2004 at THE OAKS STUD 5,000NZD
||Sir Gaylord
|||Sir Ivor
||||Sir Tristram
|||||Zabeel
||||||Octagonal
|||||||Lonhro
||||||||SWEYNESSE (AUS) 2011 at NOVARA PARK 9,000NZD
||||||SAVABEEL (AUS) 2001 at Waikato Stud 100,000NZD
|||||||WHAT'S THE STORY (NZ) 2012 at Norwegian Park 3,000NZD
|||||||EMBELLISH (NZ) 2014 at CAMBRIDGE STUD 4,000NZD
||||||ZED (NZ) 2002 at Grangewilliam Stud 6,000NZD
||||||OCEAN EMPEROR (NZ) 2011 at WEOWNA PARK 6,000NZD
||||||PREFERMENT (NZ) 2011 at Brighthill Farm 9,500NZD
||||||VERDI (NZ) 2012 at LONG ACRES STUD 3,000NZD

Northern Dancer
|Vice Regent
||Deputy Miniaster
|||REMIND (USA) 2000 at Long Acres Stud 2,000NZD
|Try My Best
||Last Tycoon
|||O'Reilly
||||ALAMOSA (NZ) 2009 at Wellfield Lodge
||||SHAMEXPRESS (NZ) 2009 at WINDSOR PARK STUD 6,000NZD
||||THE KING (NZ) 2011 at RAVELSTON STUD 1,250NZD
||||O'REILLY'S CHOICE (NZ) 2013 at JAZZ PARK
|||Iglesia
||||Written Tycoon
|||||BANQUO (AUS) 2016 at Waikato Stud 4,000NZD
|Danzig
||Green Desert
|||Invincible Spirit
||||Kingman
|||||KING OF COMEDY (IRE) 2016 at NOVARA PARK 7,000NZD
||||ANCIENT SPIRIT (GER) 2015 at WHITE ROBE LODGE 7,000NZD
||Danehill
|||Flying Spur
||||Magnus
|||||THE ALFONSO (AUS) 2010 at Raffles Farm 500NZD
|||||PRINCE OF BROOKLYN (AUS) 2012 at Grassyards Farm 3,000NZD
|||Danehill Dancer
||||Choisir
|||||PROISIR (AUS) 2009 at RICH HILL STUD 12,500NZD
|||Dangerous
||||DANGER LOOMS (AUS) 2002 at Anglesea Stud
|||Redoute's Choice
||||COAT'S CHOICE (AUS) 2001 at BERKLEY STUD 2,500NZD
||||Fast'n'Famous
|||||FERRANDO (NZ) 2013 at ROGERSON AGISTMENT 2,500NZD
||||Snitzel
|||||SNEAKING TO WIN (AUS) 2015 at TE AUTE STUD 2,000NZD
||||NADEEM (AUS) 2003 at LITTLE AVONDALE STUD 4,000NZD
||||MAN OF POWER (AUS) 2005 at Riverlea Lodge 3,000NZD
||||EL DOUTE (AUS) 2010 at Liethfield Lodge
||||ARDROSSAN (AUS) 2014 at Waikato Stud 3,000NZD
|||Keeper
||||MOVE FASTER (NZ) 2009 at Kakapo Lodge 1,000NZD
|||Fastnet Rock
||||Hinchinbrook
|||||DERRYN (AUS) 2013 at Grangewilliam Stud 5,000NZD
||||HIGHLY RECOMMENDED (AUS) 2008 at BERKLEY STUD 3,500NZD
||||ROCK'N'POP (AUS) 2008 at OKAWA STUD 2,000NZD
||||EL ROCA (AUS) 2010 at Westbury Stud 8,000NZD
||||THE BOLD ONE (NZ) 2010 at Grangewilliam Stud 2,000NZD
||||MONGOLIAN FALCON (AUS) 2013 at HAU ORA FARM 3,000NZD
|||Kodiac
||||HELLO YOUMZAIN (FR) 2016 at CAMBRIDGE STUD 30,000NZD
|||DARCI BRAHMA (NZ) 2002 at THE OAKS STUD 15,000NZD
||||SUPER EASY (NZ) 2008 at HALLMARK STUD 6,000NZD
|||Holy Roman Emperor
||||MONGOLIAN KHAN (AUS) 2011 at WINDSOR PARK STUD 7,500NZD
||Anabaa
|||DALGHAR (FR) 2006 at Brighthill Farm 3,000NZD
||War Front
|||WAR DECREE (USA) 2014 at INGLEWOOD STUD 4,500NZD
|||U.S. NAVY FLAG (USA) 2014 at THE OAKS STUD 15,000NZD
|Nureyev
||Spinning World
|||Thorn Park
||||OCEAN PARK (NZ) 2008 at Waikato Stud 30,000NZD
||Unusual Heat
|||UNUSUAL SUSPECT (USA) 2004 at Letham Stud 5,000NZD
||Peintre Celebre
|||Castledale (IRE) 2001 at Te Runga Stud 4,000NZD
|Storm Bird
||Storm Cat
|||Giant's Causeway
||||Footstepsinthesand
|||||PURE CHAMPION (IRE) 2007 at WILLOW GLEN STUD 4,000NZD
||||Shamardal
|||||Lope De Vega
||||||BELARDO (IRE) 2012 at HAUNUI FARM 10,000NZD
|||||GHIBELLINES (AUS) 2011 at WHITE ROBE LODGE 5,000NZD
|Sadler's Wells
||Montjeu
|||Authorized
||||COMPLACENT (AUS) 2010 at MAPPERLEY STUD 4,000NZD
|||GALLANT GURU (AUS) 2002 at WHITE ROBE LODGE 2,000NZD
|||GORKY PARK (NZ) 2003 at Mr W Carter
|||Tavistock
||||TARZINO (NZ) 2012 at Westbury Stud 12,000NZD
||Galileo
|||Frankel
||||EMINENT (IRE) 2014 at Brighthill Farm 7,500NZD
|||CIRCUS MAXIMUS (IRE) 2016 at WINDSOR PARK STUD 20,000NZD
||High Chaparral
|||REDWOOD (GB) 2006 at Westbury Stud 8,000NZD
|||Dundeel
||||SUPER SETH (AUS) 2016 at Waikato Stud 35,000NZD
|||WROTE (IRE) 2009 at HIGHVIEW STUD 5,000NZD
|||CONTRIBUTER (IRE) 2010 at MAPPERLEY STUD 22,000NZD
|||FABULOUS (NZ) 2010 at STRATHCARRON STUD 3,000NZD
|||TIVACI (AUS) 2012 at Waikato Stud 12,500NZD
|||ACE HIGH (AUS) 2014 at RICH HILL STUD 10,000NZD
||RAISE THE FLAG (GB) 2005 at WHITE ROBE LODGE 6,000NZD
|Fairy King
||Encosta De Lago
|||ECHOES OF HEAVEN (AUS) 2007 at Norwegian Park 4,000NZD
|||NIAGARA (AUS) 2008 at THE OAKS STUD 5,000NZD
|||PUCCINI (NZ) 2010 at MAPPERLEY STUD 3,000NZD
|||VANBRUGH (AUS) 2012 at WINDSOR PARK STUD 5,000NZD

Mr. Prospector
|Gone West
||Zafonic
|||Iffraaj
||||Wootton Bassett
|||||ALMANZOR (FR) 2013 at CAMBRIDGE STUD 30,000NZD
||||TURN ME LOOSE (NZ) 2011 at WINDSOR PARK STUD 13,000NZD
||||JON SNOW (NZ) 2013 at CLEARVIEW PARK 4,500NZD
||||RIBCHESTER (IRE) 2013 at HAUNUI FARM 15,000NZD
||||WYNDSPELLE (NZ) 2013 at Grangewilliam Stud 5,000NZD
||Elusive Quality
|||Elusive City
||||VESPA (NZ) 2011 at VALACHI DOWNS 5,000NZD
|Seeking The Gold
||Secret Savings
|||SWISS ACE (AUS) 2004 at Westbury Stud 7,500NZD
||Dubai Millennium
|||Dubawi
||||Makfi
|||||SAVILE ROW (NZ) 2013 at VALACHI DOWNS 2,500NZD
||||TIME TEST (GB) 2012 at LITTLE AVONDALE STUD 8,500NZD
|Machiavellian
||Street Cry
|||PER INCANTO (USA) 2004 at LITTLE AVONDALE STUD 25,000NZD
|||Street Sense
||||THUNDER DOWN UNDER (AUS) 2012 at RALPH THOROUGHBREDS 1,500NZD
|||SHOCKING (AUS) 2005 at RICH HILL FARM 8,500NZD
|||RAGEESE (AUS) 2012 at WINDSOR PARK STUD 5,000NZD
|||TELPERION (AUS) 2013 at Westbury Stud 7,500NZD
|Hussonet
||RIOS (NZ) 2004 at Upstage Bloodstock 2,500NZD
|E Dubai
||EGO (NZ) 2005 at Byerley Park 1,500NZD

Silly Season
|Lunchtime
||Snippets
|||Pins
||||KEANO (NZ) 2005 at Sentry Hills Farm 2,000NZD
||||PLAYMAKER 2006 (NZ) at Rekohu Equestrian 500NZD
||||DIAL A PRAYER (NZ) 2011 at Wayne Keenan

Monsun
|VADAMOS (FR) 2011 at RICH HILL STUD 12,500NZD

GUN RUNNER

Gun Runner素晴らしいですねということですが、Gun Runner自身もさることながら、Three Chimneys FarmとWinchell Thoroughbredsが絶対に成功させるという意図をもって全力で支えた結果でしょうね。

関係があるかないかわからない話をだらだらと書いておきます。

2021 1st-Crop Leading Sire

まずはGun Runnerの種付け料、種付け頭数の変遷をメモ。

Breeding Year Fee Mares Bred Live Foals
2018 75,000 171 130
2019 75,000 166 120
2020 75,000 156 120
2021 50,000 168 N/A
2022 125,000 N/A N/A

種付け頭数は安定しており、75%前後の産駒出生率は平均的な数字でしょう。2021年は初年度産駒のデビュー前ということで種付け料が減額されていますが、このタイミングは基本的に下がります。去年の初年度産駒の大活躍を受けて、種付け料は一気に2.5倍となり、易々と10万ドルを超える水準になりました。

2021年に初年度産駒がデビューしたGun Runnerは北米の種牡馬として初めて2歳馬の獲得賞金が400万ドルを超えました。これまでの記録は2015年にUncle Moが初年度産駒で記録した370万ドルでしたが、Gun Runnerの2021年は430万ドルです。

無論、2歳戦に振り分けられる賞金額の変化なども理由となるのでしょうが、Thoroughbred Daily Newsの集計では2番手のInto Mischiefに100万ドルを超える差をつけており、突出性も高いことが見て取れます。尤もこの評価軸でもUncle Moの場合はより強力なScat Daddyがいたことは考慮されなければなりませんが、活躍馬の比較でも上位であると考えてよさそうです。

Gun Runnerは初年度産駒として115頭が登録され、63頭がデビューしました。31頭が勝ち上がり、42勝を挙げています。活躍馬の筆頭はもちろん4戦全勝の女王Echo Zuluで、GuniteもG1を勝っているほかPappacapがBC Juvenileで2着に入っています。

Uncle Moの初年度は150頭が登録され、2歳のうちにデビューしたのは73頭です。そこから28頭が38勝を挙げ、G1馬はNyquistとGomoの2頭で4勝です。無傷の2歳王者となったNyquistの存在が大きいです。

Uncle Moについてはこちらも参考に。

Uncle Moは産駒デビューまでの振れ幅が大きくて、その結果産駒成績も少し安定していません。Ashfordならそんなもんかな。

Uncle Mo以前に新種牡馬での獲得賞金記録を持っていたのは2008年のTapitで、この時はBC Juvenile Filliesを勝ったStardom BoundとBC Juvenile Fillies Turfで3着とHollywood Starlet勝ちの実績を持つLaraghが大きく寄与しています。2歳戦の賞金体系を考えるとBCで勝つのはほぼ必須といえますね。

TapitにしろUncle Moにしろその後の産駒の活躍はご存じの通りといったところで、Gun Runnerもこのまま北米のトップ種牡馬の一角として期待できそうです。

Early Nomination for Triple Crown

Gun Runner産駒は3歳になっても好調を維持しており、1月29日に締め切られたアメリカ三冠戦のアーリーノミネーションには16頭が登録され、全種牡馬中のトップとなっています。その16頭を順にピックアップしましょう。

  • American Icon: out of Sky America by Sky Mesa 2戦1勝
  • Concept: out of Majestic Jewel by Cindago 6戦1勝
  • Costa Terra: out of Teardrop by Tapit 4戦1勝
  • Cyberknife: out of Awesome Flower by Flower Alley 4戦1勝
  • Early Voting: out of Amour D'Ete by Tiznow 2戦2勝 G3 Withers S
  • Echo Zulu: out of Letgomyecho by Menifee 4戦4勝 牝馬 G1 Breeders' Cup Jevenile Fillies、G1 Frizette S、G1 Spinaway S
  • Efficiency: out of Sunday Sonnet by Any Given Saturday 未出走 騙馬
  • Flying Drummer: out of Salamera by Successful Appeal 4戦1勝
  • Giant's Fire: out of Esprit De Vie by Street Cry 2戦未勝利
  • Guntown: out of Fun House by Prized 5戦1勝
  • McLaren Vale: out of Magical Weekend by Any Given Saturday 2戦1勝
  • Pappacap: out of Pappascat by Scat Daddy 6戦2勝 G2 Best Pal S
  • Red Run: out of Red House by Tapit 6戦2勝 Texas Turf Mile S
  • Ridley's Major: out of Grand Sofia by Giant's Causeway 2戦未勝利
  • Taiba: out of Needmore Flattery by Flatter 未出走
  • Ten Gauge: out of Scenic Drive by Empire Maker 7戦未勝利

以上の16頭で、全体を見てもEcho Zuluが出てきたら勝てるんじゃないかなと思います。

で、Guniteは登録に名前がありませんので、しばらく出てこれない状態なのかな。

 

Gun RunnerはThree Chimneys FarmとWinchell Thoroughbredsの共同名義で登録されていました。どちらも北米競馬における名門です。

Three Chimneys Farm

Three Chimneys Farmは1972年にRobertとBlytheのClay夫妻によって創設されました。北米を代表する総合的なサラブレッド牧場の一つであり、40年にわたってClay家による経営が続きました。その歴史の中で牧場は大きく成長し、100人を超える従業員を抱えるまでになりましたが、Clay家は家族経営の気風を守り続けました。2013年にブラジルでStud TNTを経営するBorges-Torrealba家により買収されると、新たな経営陣はより一層の拡大を目指して、牧場の方針を転換し、組織の改編を行いました。

Robert N. Clayはケンタッキー州レキシントン郊外のMount Sterlingでタバコ事業を営む一家に生まれており、ハワイでの兵役を終えると一家の所有する肥料会社に就職しています。

生まれ育った土地ゆえかサラブレッド産業への興味を持っていた彼は、ヴァージニアの名門William & Mary大学でビジネス経済学の論文を書いたものの、大学卒業後に近くのSpendthrift Farmで夜警の補佐をしていたことがありました。また、彼の父も数頭のサラブレッドを購入し、生産を行っています。

1972年にClayはLexington市郊外のWoodford郡に小さな牧場を開きます。牧場の小屋にあった3本の煙突にちなんで名付けられたこの100エーカーの牧場に9頭の繁殖牝馬からThree Chimneys Farmは始まりました。1978年には繁殖牝馬が20頭に増え、1984年からは種牡馬の繋養も始まっています。

このころRobert N. Clayは家業であった肥料会社Top Yield Industriesの経営者としてHarvard Buisiness Schoolの経営者向けプログラムに参加しています。このプログラムで出会った教授を会社の取締役会に招聘しましたが、彼から肥料事業に携わる理由を3つ問われた時に、Clayは1つすら答えることができませんでした。そうして1984年にこの肥料会社をCargillに売却し、サラブレッド事業に注力することになります。それはちょうどThree Chimneys Farmで種牡馬事業を開始するのと同じ年でした。

Clayの下でThree Chimneys Farmの種牡馬戦略は多数の種牡馬を並べるのではなく、1頭1頭へのアプローチを重視するものでした。この方針はSeattle SlewのオーナーであるTaylor夫妻の目に留まり、1986年からその種牡馬キャリアの最後までSeattle SlewはThree Chimneys Farmを居とすることになりました。

Clayは種牡馬の種付け頭数を制限し、種付け申し込みのあった牝馬の中から質の高い牝馬を選んでいました。21世紀に入ってシーズンの種付け頭数が200頭を超えるケースが出るようになってからもThree Chimneys Farmでは110頭程度の制限がありました。Rahy、Dynaformer、Point Given、Silver Charm、Exchange Rateといった名だたる種牡馬を擁していましたが、Exchange Rateの120頭が最大の種付け頭数でした。

現役を引退し、種牡馬としての前途が洋々と拓けていたSmarty Jonesを引き受けることになった時にもシーズンで110頭までの種付けに制限する方針を示していました。Smarty Jonesは60株で総額3900万ドルのシンジケートが組まれましたが、その半分をオーナーが持ち、Three Chimneys Farmは10株を購入していました。

一方でこうした方針に対して、種付け頭数を増やしていく圧力があることも認め、また方針を維持するつもりだが、資金面の問題から目を背けることはできないとも語っていました。

Three Chimneys FarmはClay夫妻とその子供たちによって経営が続けられてきましたが、2013年11月にBorges-Torrealba家に経営権が移りました。Borges-Torrealba家はブラジル最大手のStud TNTの経営者で、Clay家とは長年協力関係にあり、2012年にはパートナーシップを締結していました。また、Borges-Torrealbaは2013年初めにSatish SananのPadua Stablesを買収していますが、この時Borges-Torrealbaからのオファーを仲介したのはRobert N. Clayでした。

Three Chimneys FarmはBorges-Torrealbaによって専門性の高い組織に再編され、規模を拡大しています。

種牡馬の構成も変化し、Wll Take ChargeやPalace Maliceを現役のうちに購入し、Gun RunnerをWinchell Thoroughbredsとの共同所有馬としてデビューさせました。彼らはいずれも引退後にThree Chimneys Farmで種牡馬入りしています。種付け頭数も以前より多くなり、Palace Maliceはシーズンで200頭を超える種付けを行っています。

Winchell Thoroughbreds

Gun Runnerを共同所有したWinchell ThoroughbredsはMira FemmeやTight Spot、Olympioなどを有したVerne Winchellの死後にその妻Joanと息子Ronによって引き継がれた名義です。Tapitのオーナーであったことから近年の活躍馬にはTapit産駒が多く、Tapizar、Tapiture、Untapableを自家生産馬として送り出しています。

Gun Runner産駒も多く所有し、2歳G1の勝ち馬Guniteが自家生産馬であり、2歳女王のEcho Zuluはイヤリングセールで落札して共同所有となっており、Gun Runnerのリーディング獲得にはWinchell Thoroughbredsの関与が大きいと言えます。また、Winchell ThoroughbredsはTapitが入った優秀な牝馬を抱えており、それらが種牡馬Gun Runnerを支える構図となっています。

特に現在のWinchell Thoroughbredsで基幹牝系となっているCarol's Christmasの牝系はTapitと好相性で多くの牝馬を得ています。Winchell Thoroughbreds名義での生産馬に絞った牝系図が下記です。

Carol's Christmas 1977(Whitesburg)>Olympio 1988(Naskra)
|Dana Nicole 1983(Flying Paster)
|Carol's Wonder 1984(Pass The Tab)>Wild Wonder 1994(Wild Again)
||Make Your Call 1992(Miswaki)
||Lost Art 1995(Lyphard)
||Another Wonder 1996(Wild Again)
||Carol's Star 1997(Star Of The Crop)
||Wild Vision 1998(Wild Again)>Pyro 2005(Pulpit)
|||Tat American 2004(Quiet American)
|||War Echo 2006(Tapit)>Munitions 2016(War Front)
||||Echo Warrior 2012(Tiznow)
||||Strike First 2015(Smart Strike)
|||Teardrop 2011(Tapit)>Pneumatic 2017(Uncle Mo)
||||Drop Off 2018(Candy Ride)
|Bistra 1986(Classic Go Go)>Early Flyer 1998(Gilded Time)
||Dixie Queen 1994(Dixieland Band)
||Fun House 1999(Prized)>Paddy O'Prado 2007(El Prado)
|||Wild Chant 2006(War Chant)
|||Patti Orahy 2008(Rahy)
|||Double Tapped 2010(Tapit)
|||Untapable 2011(Tapit)
|||Time To Tap 2012(Tapit)
||||Blackflash 2016(Medaglia D'Oro)
||||Margaux Mania 2017(Uncle Mo)
|||Untapped 2014(Tapit)
||||Tapsion 2019(Gun Runner)
|||Red House 2015(Tapit)
||Alize 2001(Lord Carson)
|Call Now 1992(Wild Again)
||Winning Call 1998(Deputy Minister)>Tapizar 2008(Tapit)
|||Cherokee Rising 2003(Cherokee Run)
|||Graceful Charm 2005(Silver Charm)
|||Tamboz 2006(Tapit)
||Call Da Law 2002(Silver Deputy)
||Twisted Vale 2005(Tale Of The Cat)
||Tapatia 2008(Tapit)
|||Adhara 2013(Cowboy Cal)
|||Rum Punch 2014(Street Hero)
|||Tapalita 2015(Eskendereya)
|||Charge Through 2018(Will Take Charge)
|Christmas Star 1994(Star De Naskra)>Cuvee 2001(Carson City), Will He Shine 2002(Silver Deputy)
||Christmas Party 1999(Wild Again)
||Snatched 2004(Cat Thief)
||Catera 2005(Gone West)
|||Seaport 2011(Tapit)
||||Phthalo 2016(Brethren)
|||Cleartap 2012(Tapit)
|||Areolite 2013(tapit)
||Chiloe 2007(Awesome Again)
|||Rapzodia 2017(Tapiture)
||Tapalite 2012(Tapit)
|||Declarative 2018(Declaration Of War)
|||Echolite 2019(Gun Runner)
|Your Call 1996(Wild Again)
||Callheracitygirl 2001(Carson City)
||Call W J 2005(Chief Seattle)

アメリカ三冠の早期登録ではWinchell Thoroughbredsの単独名義で4頭が登録されていますが、その3頭はGun Runner産駒の自家生産馬です。すなわちCosta Terra(母Teardrop)、Guntown(母Fun House)、Red Run(母Red House)の3頭で、全てがCarol's Christmasのファミリーであり、Costa TerraとRed Runが母父にTapitを持ち、GuntownがUntapableの半弟、Red RunはUntapableの甥にあたります。

Lane's End Stallion Roaster 2022

Accelerate

種付け頭数が減る、種付け料を下げるのサイクルが続いておりとてもまずい状況。セールでの結果はそこまでひどいものではないが、父Lookin At Luckyに訴求力がなく、本人もG1を勝ったのは5歳になってからという遅咲きのキャリアが足を引っ張っているとしか思えない。3歳でビューで年末にLos Alamitos Derbyを勝っているし、BC Dirt Mileで3着にもなっているのですけどね。

今年が初年度産駒のデビュー年となっているので、この2歳で結果を出せるかどうかの勝負だろう。

Candy Ride

20歳を超えて100頭以上に種付けしているなら十分と思う。ピーク時より産駒数が減ったが、それ以上に獲得賞金やリーディングの順位が下がっている。高齢の種牡馬にはありがちな状態といえる。

2021年のG1勝ちはSanta Anita DerbyのRock Your Worldのみ。

Catalina Cruiser

種付け頭数が大幅に減少しているが、種付け料はそのままとなった。2年目の昨年ですでに種付け料が減額されていたので続けて下げるのは問題があると判断されているのではないだろうか。G2を5勝してG1で実績がなく、本格的にレースに使われたのが4歳以降というキャリアでは基本的に厳しい。

City Of Light

種牡馬入り時35000ドルの種付け料が産駒デビュー前に60000ドルまで上昇することになった。2年目と3年目の種付け料は40000ドルだったが、140頭以上の種付けを行っており、非常に好調といえる。

父がQuality Roadであることに加えて7F実績からBC Dirt Mile、Pegasus World Cupと距離を伸ばして実績を積んだことが大きい。また、初年度産駒のYearlingでの取引額が平均30万ドルを超えており、種付け料が上がるだけの理由はある。Yearlingセールでの落札者には森秀行調教師の名前も見え、産駒が日本で走る姿にも期待したい。

Code Of Honor

2022年から新規種牡馬入りとなるが、種付け料は10000ドルにとどまった。

2歳ではChampagne Sで2着、3歳ではTravers Sと古馬相手のJockey Club Gold Cupを勝ち、Kentucky DerbyはMaximum Securityの降着もあって2着に入っており、実績は十分だった。ただ、この後5歳まで現役を引っ張ったものの、古馬で碌な実績を積み上げられなかったのはあてが外れたといえるだろう。父Noble Missionも今のところアメリカで受けるわけではなく、3歳いっぱいで現役を切り上げていればと思うが結果論である。

正直種牡馬入り時点でつらいと言いたいところだが、間違いなくNoble Missionの北米時代の最高傑作ではあるので、初年度にどれだけの繁殖牝馬を集められるか注目である。

Connect

2021年に初年度産駒がデビューし、1st Cropリーディングで3位、全体の2歳リーディングでは5位と健闘した。Rattle N RollがBreeders' Futurityを勝って、初年度産駒の2歳G1制覇も成し遂げた。

この初年度産駒の結果を受けて、種付け料は前年より10000ドル増額の25000ドルとなった。Rattle N RollはBreeders' Futurity以降出走していないが、今後Kentucky Derby路線に乗る産駒が現れれば言うことない。

Daredevil

復帰2年目なので種付け料は当然前年25000ドルを維持した。WinStar時代の初年度と比較しても倍額なので十分だろうし、2021年は95頭に種付けとなっており悪くない。

2021年の産駒実績はSwiss SkydiverとShedaresthedevilの2頭が頼りなのは変わらなかったが、2022年はShedaresthedevilのみとなり、新たに期待できそうなのはG2 Chandellier Sで差を付けられたとはいえ2着に入ったElectric Rideくらいか。また牝馬かよ。牡馬だと古馬になったHe'smyhoneybadgerだが、重賞レベルかというと疑問である。

しばらく産駒成績は悲惨なことになるが、種付け料や種付け頭数がどう変動するか楽しみである。

Game Winner

変わらず30000ドル。去年から種牡馬入りして初年度の種付けが157頭と十分な相手を集めた。Candy Ride産駒で無敗のBC Juvenile馬となればさすがの人気である。Candy Ride産駒で今後これ以上が出てくるかというところでもあるし。

Gift Box

初年度の2021年は10000ドルの種付け料で112頭。2年目も種付け料は10000ドルのままである。

6歳になってようやくという現役実績のわりによくやっているといえる。

Honor A. P.

初年度の2021年は15000ドルの種付け料で110頭。2年目も種付け料は15000ドルのままである。

まあ、種牡馬入りしてすぐなんてそうそう話題はない。Santa Anita Derbyでのちの三冠馬Authenticを下したというのが最大の勲章。Kentucky Derby後のけがでさっさと引退種牡馬入りとなったが、まあ、それが正解だったと思う。

Honor Code

2021年は種付け料20000ドルで29頭への種付けにとどまったが、2022年も種付け料は20000ドルに据え置かれた。Max PlayerとMaracujaのおかげだろうか。

A.P. Indy、母Serena's Catという超をつけてよい良血で、産駒デビューまでは種付け料、種付け頭数ともに高水準を維持していたが、産駒デビュー後に急落していて非常に良くない状況にある。現代競馬の流行から外れているのは仕方のないところか。

Lexitonian

2022年からの新種牡馬。Speightstown産駒のスプリンターである。母Riviera RomperがLexitonianを受胎中にCulmet Farmが購入したことからCulmetのオーナーブリードとなっている。2歳のデビュー戦で高く評価されたもののその後の実績につながらず、5歳になった2021年にようやくAlfred G. Vanderbilt HでG1勝ちを果たした。

Lane's Endが手を出すのは意外なプロフィールに思えるが、Speightstownの後継ではMunnings以外さっぱりなので、当たればいいというところはあるのかも。Speightsterはオンタリオに行ったし。

Lemon Drop Kid

2021年の種付けを行わず種牡馬を引退した。そういったわけで2021年産駒が最終世代となるが、産駒は30頭である。

種牡馬引退の時点で25歳になる年であるし、とうとう引退になったかといった感じで。Lane's Endが誇るLassie Dearのファミリー出身であり、引退後もLane's End Farmに繋養される。

産駒の重賞馬は100頭を超えており、ダートでも芝でも活躍した。北米が主戦場である状況を考えると芝でよく走っていたという印象になる。日本ではアポロキングダムが種牡馬入りしたが、競馬場で目立った実績を残した産駒はいない。一方Sunshine Lemonの活躍のためか一時期のロシアで大人気となり、現地の2歳戦から荒らしまくっていた印象もある。

北米におけるKingmambo直系は、ほぼLemon Drop Kidを経由する状況だが直系を託されたRichard's Kidはうまくいっておらず、Lemon Drop Kidの引退で風前の灯といった状況に陥った。2021年の産駒出生数でLemon Drop Kidの30頭が群を抜いて多いのだから深刻である。

Liam's Map

2022年の種付け料は40000ドルと10000ドルの増額となった。3世代の産駒がデビューし、3rd Cropリーディングで4位である。Constitution、American Pharoah、Tapitureに次ぐものだが、上位2種牡馬はともかくTapitureに対しては賞金額の差はわずかで、ブラックタイプやステークスの結果ではLiam's Mapが上回っていると評価してよい内容である。もちろんLane's Endで同期種牡馬入りしたTonalistやHonor Codeに対しても上回る結果である。

素晴らしいのは初年度産駒から3頭がG1を勝ち、そのうち2頭は2歳から活躍していることである。また、残る1頭がColonel Liamでこちらは古馬になってから芝で勝っており、産駒のバリエーションは豊富である。

Arrogateを失ったUnbridled's Songの後継種牡馬では随一の実績になっており、今後も需要は高いと予想される。

Mineshaft

2022年の種付け料は10000ドルに下げられた。Lemon Drop Kidの引退でLane's End最年長となった。北米のA.P. Indy直仔としてもMalibu Moonが亡くなった現在、Flatterと並ぶ最古参である。すでに後継種牡馬の時代に入っており、ケンタッキーにおいてはDialed InとHightailがその役割を担っているし、2022年からはTrue Timberも種牡馬入りする。

年齢に伴って産駒数や活躍馬が減っており、2021年は重賞勝ちすらない状況となった。

Mr. Speaker

2022年からテキサスに移動している。5000ドルで22頭しか集まらないのではもう無理ということだろう。

Quality Road

15万ドル。このくらいの種付け料なら100頭前後で十分という気はするので、2021年124頭はそれをクリアしている。

種付け料の変遷で言うなら、種牡馬入り当時35000ドルが2年目に20000ドル、その後は少し盛り返しつつ、産駒成績の良さで倍々に上げる時期もあってピークは20万ドル。それが去年からは15万ドルでという状況。

2022年の種付け料上位ではInto Mischiefが25万ドル、Tapitが18.5万ドル、Curlinが17.5万ドル、Uncle Moが16万ドルでQuality Roadの15万ドル。これに続くのが爆上げしたGun Runnerの12.5万ドルにJustify、Medaglia d'Oro、War Frontの10万ドルといったところ。

産駒成績ではここ2年がやや不振といえて、Cornicheが出てきてよかったとは言える。City Of LightやBellafina、Roadsterが抜けた後をDunbar Roadで支えるには無理がありすぎた。2017年と2018年の産駒は種付け料が跳ねる直前でQuality Roadとして一番落ち込んだ時期の産駒であるが不振を極めており、この世代が3歳、4歳を占めた時期に苦しんだことになる。実際トップ産駒は2016年産のDunbar Roadから2019年産のCornicheに受け継がれた。

The Factor

種付け料は変わらず17500ドル。日本へのリースから戻って以降大きな変動はない。今年の3歳馬世代が抜けているのでちょっと厳しいか。

日本リース時の産駒は2021年にデビューしているが、JRAの勝ち上がりは8頭で、2勝馬は出ていない。

Tonalist

引き続き減額されて2022年の種付け料は10000ドルとなった。種付け頭数も減っていて状況はよくない。

3rd Cropリーディングでは5位で、初年度産駒のCountry Grammerが4歳にしてG1を勝つところまではいったが、他に重賞ではG2勝ちが1頭いるだけではつらい。Tapitの後継なら他にいくらでもいるというのが現状だろうか。

Twirling Candy

種付け料は60000ドルと20000ドルの増額となった。高齢の父Candy Rideに代わる存在であるが、Gun Runnerの台頭とGift Boxの種牡馬入りで正念場だろう。

2021年はRombauer、Beyond Brilliant、Pinehurstと3歳と2歳で3頭のG1馬が出た。リーディングでも10位につけており、自身初めてのトップ10入りとなった。

Unified

10000ドルの種付け料で繁殖を集める種牡馬という立ち位置である。2021年に初年度産駒がデビューしているが、ブラックタイプどまりで重賞での活躍馬は出ていない。

Union Rags

種付け料を30000ドルと一気に半額にした2021年は164頭の種付けをこなした。これが適正な水準なのだろう。

リーディングでは22位で、重賞でたまに勝つくらいの産駒成績になっている。2歳のCommandperformanceがChampagne Sで2着に入り、久しぶりにG1級で実績を残した。未勝利ながらBCでも4着で、今年の活躍に期待がかかる。

West Coast

種付け料は15000ドルにまで下がった。今年初年度産駒がデビューする。

Stallion Sire 2022 Fee 2021 Fee 2020 Fee
Dam Changes Mares Bred Foal/Bred
Accelerate Lookin At Lucky 15000 17500 20000
Issues -14.3% 76 95/137
Candy Ride Ride The Rails 75000 75000 100000
Candy Girl Stay 118 87/117
Catalina Cruiser Union Rags 15000 15000 20000
Sea Gull Stay 85 116/148
City Of Light Quality Road 60000 40000 40000
Paris Notion 50% 148 109/146
Code Of Honor Noble Mission 10000 --- ---
Reunited New --- ---
Connect Curlin 25000 15000 20000
Bullville Belle 66.7% 93 84/114
Daredevil More Than Ready 25000 25000 At Turkey
Chasethewildwind Stay 95 TJK Stud
Game Winner Candy Ride 30000 30000 In Training
Indyan Giving Stay 95 ---
Gift Box Twirling Candy 10000 10000 ---
Special Me Stay 112 ---
Honor A. P. Honor Code 15000 15000 ---
Hollywood Story Stay 110 ---
Honor Code A.P. Indy 20000 20000 30000
Serena's Cat Stay 29 62/85
Lexitonian Speightstown 10000 --- ---
Riviera Romper New --- ---
Lemon Drop Kid Kingmambo Pensioned 15000 20000
Charming Lassie --- --- 30/47
Liam's Map Unbridled's Song 40000 30000 35000
Miss Macy Sue 33.3% 176 111/156
Mineshaft A.P. Indy 10000 15000 20000
Prospector's Delite -33.3% 41 26/45
Mr. Speaker Pulpit To Texas 5000 10000
Salute Forks of the Paluxy 22 20/28
Quality Road Elusive Quality 150000 150000 200000
Kobla Stay 124 96/126
The Factor War Front 17500 17500 17500
Greyciousness Stay 135 109/151
Tonalist Tapit 10000 12500 15000
Settling Mist -20% 54 77/122
Twirling Candy Candy Ride 60000 40000 40000
House Of Danzig 50% 175 124/171
Unified Candy Ride 10000 10000 10000
Union City Stay 144 49/68
Union Rags Dixie Union 30000 30000 60000
Tempo Stay 164 81/111
West Coast Flatter 15000 20000 35000
Caressing -25% 67 76/103

2021 Breeders' Cup Distaff contenders and two other champions

今年のBreeders’ Cup Distaffとそこに向かう北米牝馬路線は語られるべきと思いましたので、拙文を残しておくことにします。概ねBC Distaffの事前評価の順にして、最後に2020年の古馬と3歳のチャンピオンであったMonomoy GirlとSwiss Skydiverについても触れます。

このBC Distaffの出走馬やその結果については様々な側面から語ることができるでしょうが、まあその一部といったところです。

Letruska

父Super Saver、母Magic Appealの5歳馬。

3歳になってメキシコのHipodromo De Las Americasでデビューすると6連勝。メキシコの三冠路線は初戦に外国産馬の出走を認めていないため、牝馬三冠にこそ挑戦できなかったが、残る2戦のG1 Clasico Esmeralda、G1 Clasico Diamanteを圧勝して牝馬二冠を達成した。これを最後にアメリカに移り、Gulfstream Parkのブラックタイプに出走したのがその年の12月である。4歳シーズンの前半はアローワンスやブラックタイプ戦に出走していたが、SaratogaのBallerina SでG1に挑戦した。ここから重賞戦線に乗り込み、4歳のうちではG3 Shuvee SとG3 Rampart Sの重賞2勝を記録している。5歳となった今年はG3 Houston Ladies Classicを勝ち、OaklawnのApple Blossom Hで久しぶりにG1に挑んできていた。

このレースには当時牝馬路線の最強馬であったMonomoy Girl、4歳の初戦をクリアしてきたSwiss Skydiverが出走してきて2強対決の様相を見せた。レースがスタートするとLetruskaが先行策でリードし、Swiss Skydiver、Monomoy Girlが続いた。直線ではLetruskaがMonomoy Girlとのたたき合いを制してG1初勝利を遂げる。この時はLetruskaの斤量が6ポンド軽いということもあり、Monomoy Girlの評価は落ちることなく、新たなトップタレントが登場したように受け取られた。

続くG1 Ogden Phipps SではShedaresthedevilの挑戦を受ける立場となり、序盤からの競り合いを制すると直線で大きく抜け出して勝利。G2 Fleur De Lis Sも勝った後に短い休養を取った。

シーズン後半は早くもG1 Personal Ensign Sで復帰すると再びSwiss Skydiverを下して一強時代の到来を告げることになる。なお、このレースにはRoyal FlagやDunbar Roadも出走しており、BCに向けて路線が収束しはじめていた。BCへのプレップとなったG1 Spinster Sでは再びDunbar Roadの挑戦を受けるが余裕をもって勝利し、不動の本命となる立場でBC Distaffに出走してきた。

本戦ではLetruskaを含めて有力馬が先行タイプであり、Distaffまでのレースでも逃げ切りが有利という結果が出ていたため、先行争いがカギを握ると見られていた。Shedaresthedevilがスタート直後に強硬に先手を取りに行って譲らない姿勢を見せたことでペースが上がり、隊列が決まるとPrivate Missionの2番手で進む形になったものの、最初の2FがSprintより早いペースとなってはさしものLetuskaも持たなかった。それでも自ら仕掛けて一時でも先頭に立とうとしたのはその矜持のなせる業だったか。しかし、余力がなかった直線では全く追われることなく流しており10着という結果に終わる。キャリア23戦目にして初めて味わう大敗であったとともに、BC全体のレース結果次第であったが狙えた年度代表馬の可能性を失った。

レース後に陣営はKeenelandで開催される来年のBCに戻ってくることを宣言した。チャンピオンとしての立場となる2022年はレースを絞って5,6戦してDistaffでの戴冠を狙う。

父Super Saverは2010年のKentucky Derby馬であり、種牡馬入りしてからも初年度からCompetitive EdgeやRunhappyを出した。しかし次第に産駒成績が先細りとなって、トルコジョッキークラブにより購入され、2020年からトルコで種付けを行っている。なお、この時ともにWinStar Farmからトルコに送られたのがDaredevilである。

Shedaresthedevil

Daredevilの初年度産駒にして3歳ではG1 Kentucky Oaksを勝って、Swiss Skydiverとともに父をトルコから北米に連れ戻すきっかけとなる活躍を見せた。その去年はG1 Spinster Sで3着に終わったためBCに出走することなく休養入りしていた。結果、3歳女王の栄冠はPreakness Sを勝ったSwiss Skydiverに輝いていた。

明けて古馬となった今年はOaklawnのG2 Azeri Sで復帰戦を飾ると、Churchill DownsのG1 La Troienne Sも勝って順調な仕上がりを示していた。続くG1 Ogden Phipps Sでは3着だったが、その後G1 Clement L. Hirsch S、G3 Locust Grove Sを連勝してBC Distaffに挑んできた。

Letruskaとの勝負ではAzeri Sでは勝ち、Ogden Phipps Sでは負けており、どちらか先手を取った方が勝つというところである。したがって、本戦でもこの2頭の先手争いが大きなポイントであった。スタート直後は積極的にハナを奪いにいく意図を見せたが、結局引いてAs Time Goes Byと並ぶような3番手に落ち着いた。3コーナーで捲りに行くものの、すぐに後方勢の勢いに飲み込まれ抵抗する力はなかった。内埒を頼りにコーナーをクリアして直線に向くが、前から大きく離された6着がやっとであった。

BC直後のFasig-Tiptonで上場され、Whisper Hill Farmにより500万ドルで落札されているが、繁殖入りではなくQatar RacingとFlurry Racing Stablesを加えたパートナーシップの下で2022年も現役にとどまることとなった。

Malathaat

Curlin産駒の3歳馬で母はG1馬Dreaming Of Juliaである。2歳では3戦3勝で順調にステップアップすると、今年はG1 Ashland Sを叩いてそのまま5連勝でG1 Kentucky Oaksを勝った。続いて出走したG1 CCA OaksはMaracujaに差されて2着となるも、G1 Alabama Sを勝って3歳トップとしてBC Distaffに出走してきた。

基本的には差し馬であるが、4頭立てとなったCCA Oaksではレースを先導する形になってしまい最後に差される結果となっている。

道中の前半はMarche LorraineやRoyal Flagの前という絶好の位置にいたが、このレースの仕掛けどころとなった3,4コーナーで後退してくる先行勢の外に出さなければならず、やや割を食っている。直線では内にいて位置取りを争ってDunbar Roadと接触、そのまま馬体を合わせながら伸びたが、最後にわずかに遅れて3着となった。

Royal Flag

父はCandy Ride、母はMineshaft産駒のSea Gullで兄にCatalina Cruiser(父Union Rags)やEagle(父Candy Ride)が出ている。ここまで出てくる種牡馬で明らかなようにLane's EndのFarishによるオーナーブリードである。

デビューは遅く3歳の9月で、4歳になった去年から重賞に出走するようになり、G3 Turnback The Alarm Hを勝ち、今年はG3 Shuvee S、G2 Beldame Sと2勝していた。Catalina CruiserやEagleの戦績からもわかるようにG2までは勝てるが、基本的には善戦屋といったきょうだいである。

後方待機がはまり、Marche Lorraineの仕掛けにも反応してさらに外から並ぶように進出して直線に入るが、そこからの伸びを欠いて5着に終わる。コーナーの最後でやや外に膨らんで大回りになったのが影響したのかもしれない。

Dunbar Road

Quality Road産駒の5歳馬である。3歳でデビューし、G1 Alabama Sを勝ったが、その後は大きく崩れないものの勝ちが遠いといった戦績である。BC Distaffには3歳の2019年から続けて3回目の出走で、5着、3着、2着と順位を上げるもついに勝てなかった。

追い込みを武器とするが勝ち切るほどの鋭さがあるわけではなく、今年はG1 La Troienne S(勝ち馬Shedaresthedevil)、G3 Shuvee S(同Royal Flag)、G1 Personal Ensign S(同Letruska)、G1 Spinster S(同Letruska)と牝馬路線の上位で健闘はしていた。

レースでは後方集団を引っ張る位置にいたが、仕掛けが遅れた。直線でうまく内に切り込みながら伸び、最後は完歩が同期したまま写真判定となり、ハナ差2着。直線でMalathaatと接触しており、これがなければどうだったかというところ。

Clairiere

こちらもCurlin産駒の3歳馬。母CavortingはG1を3勝した活躍馬である。

今年、G2 Fair Grounds Oaksの2着から挑んだG1 Kentucky Oaksでは4着であった。その後はニューヨークの牝馬三冠に出走したが勝ちきれず、ペンシルヴァニアのCotillion SでG1勝ちを果たしてBC Distaffに出走した。

先行争いからのハイペースに付き合わず1頭離れた最後方からレースを進め、展開利を活かして大外に持ち出して追い込んでくるが、ロングスパートを最後までは維持できず、じりじり進出する程度になって4着。

Private Mission

3歳馬で父はInto Mischief。母系はアルゼンチンのMiss Evaに由来しており、Dunbar Roadは年上の姪にあたる。

今年は6月のアローワンスから始動するとG3 Torrey Pines S、G2 Zenyatta Sと3連勝してBC Distaffに出走してきた。先行して勝負する馬であり、LetruskaとShedaresthedevilの先行争いに絡んでレースをリードすることになったが、2Fが21.84、4Fが44.97という通過タイムを刻むことになってしまい、諸共に沈んでいく結果となった。直線入口ですでに最下位に後退しており、そのまま流してゴールした。

少し間を取って、年内最後のG1開催となるSanta AnitaのLa Brea Sに出走し、圧倒的な人気を集めた。しかし、7F戦のペースに適応できなかったのか先手を取れず、序盤でMissy P.と接触する不利にも見舞われることになった。コーナーで捲りに行って意地を見せるも力尽き6着に終わっている。

As Time Goes By

American Pharoahの初年度産駒となる4歳馬で、母は名牝Take Charge Lady。

デビューが遅く、勝ち上がりに3戦を要して、3歳の12月に初勝利を挙げた。今年になって続けてアローワンスを勝つと一気にG1挑戦したBeholder Mile Sで2着と結果を出した。さらにSanta AnitaでG2のSanta Margarita S、Santa Maria Sを連勝すると、再びG1に挑戦したDel MarのClement L. Hirsch SではShedaresthedevilと拮抗する評価を受けるほどになる。しかしまったく手ごたえがなく下位に沈み、さらに東海岸に遠征したPersonal Ensign SでもLetruskaらに太刀打ちできず6着とさっぱりだった。Santa Anitaに戻ったG2 Zenyatta Sでは2着だったが、ここではPrivate Missionをとらえ切れなかった。

勝ちパターンは早め抜け出しだが、G1などで相手が強いと道中で付いていけずダメなのである意味分かりやすい。先日出走したG3 Bayakoya Sではこの程度では相手にならないとばかりにレースを引っ張り、直線で並びかけてきたWarren's Showtimeを突き放して快勝している。とても分かりやすい。

BC Distaffでは3頭の先行争いを見る位置で、結果的にShedaresthedevilと3番手を分け合う形でレースを進めたが、無抵抗で殺到する後方勢に飲み込まれていった。直線に入ってもある程度追われていたが最後にBlue Stripeに交わされて8着となった。

Marche Lorraine

5歳馬。父オルフェーヴル、母ヴィートマルシェ、その父フレンチデピュティ

3歳になってからデビューするも勝ち上がりに5戦を要する。デビュー以降ずっと芝を使われて重賞にも出走したが、平凡な成績に終わっていた。夏の小倉開催でダートに転じてこれを勝つと、即座に大井のG2 レディスプレリュードも勝って賞金を積むことに成功する。続いてG1 JBCレディスクラシックは大外を回して追い込むが届かず3着に終わるが、G3 TCK女王盃、G2 エンプレス杯と連勝した。G3 平安Sではダート転向後初の牡馬相手のレースで3着となり、G1 帝王賞に挑んだが8着に終わっている。その後門別のG3 ブリーダーズゴールドカップを勝ってBC Distaffに挑戦することとなった。

外枠スタートだったが、前が速かったためスムーズに位置を確保してレースを進めることができた。道中は後方集団の真ん中といったところだったが、3コーナー付近で前との差が詰まると果敢に動き、以後のレースをリードした。直線に向いたところで先頭に立つと、脚色は衰えず押し切った。

モーニングラインではBlue Stripe、Horologistとともに最低人気であったが、直前オッズではわずかに彼女らを上回る評価だった。

彼女の持ちタイトルではG2 レディスプレリュードのみが国際的に認められたブラックタイプレースである。しかしながらその他の国内重賞もレースレベルとしては遜色ないものという認識は共有されており、オッズが高かったのは単に日本のダート牝馬という実績がなく得体の知れない存在であったからであろう。率直に言ってBlue Stripeと同じくらいの評価なら十分に評価されていたということもできる。

Blue Stripe

アルゼンチン産の4歳馬。父はEqual Stripeである。半姉にアルゼンチンから北米に移籍して長く活躍し、2019年のBC Distaffを勝ったBlue Prizeがいる。

アルゼンチンでのデビュー戦は3歳になってPalermoで勝ち上がる。この時の2着は僚馬Ver Caballoであるが、彼女はその直後にLa PlataのG1 Seleccion De Potrancasを勝っている。同じ時期にBlue StripeはSan Isidroに赴きG1 Enrique Acebal、G1 Copa De Plataを3着している。2021年になるとPalermoのリステッドを勝ち、G2 Arturo R. Y Arturo Bullrich、G1 Criadoresと3連勝して3歳シーズンを終えた。GP CriadoresはBC Challengeに位置づけられ、勝ち馬にはDistaffへの優先権を与えるレースの一つである。半姉も勝っている実績があったためか、レース直後から陣営はBC Distaffへの出走に言及していた。

先行勢と後方勢の中間あたりでレースを進めて早めに動き出したが、手応えがなく先行勢とともに飲み込まれてしまった。最後の最後でAs Time Goes Byを交わして7着。北米で一叩きができず、移籍休み明けでの出走となったのは厳しかったように思われる。

Horologist

父Gemologist、母Cinderella Time、その父Stephen Got Evenというニュージャージー産6歳馬。

3歳ではそのニュージャージーのG3 Monmouth Oaksを勝ち、NJ州産の最優秀3歳牝馬に選ばれた。その後のビッグタイトルとしてはG2のBeldame S勝ちくらいである。BC Distaffには去年に続いての出走となったが、今年は去年よりも戦績を落としており最低人気であった。ハイペースの先行集団を追いかけて早々に後退し、逃げつぶれた2頭を交わしただけに終わっている。

BC Distaff後、Keeneland November Saleに上場され、ノーザンファームにより80万ドルで落札された。

Monomoy Girl

昨年のBC Distaff勝ち馬にして最優秀古馬牝馬。そのBC直後のFasig-Tipton November Saleに上場されて、議論の的となった。当時Broodmare Prospectとしての上場であったが、950万ドルで落札したSpendthrift Farmの元で6歳となる今年も現役を続行する。しかし、今年は順調とは言えず、初戦のG3 Bayakoya Sを快勝したものの、続くG1 Apple Blossom HでLetruskaとの競り合いに負けて2着に終わったあとレースに出走することなく、BCを前に骨折が原因となって引退が発表されていた。

3歳でKentucky OaksやBC Distaffを含めG1を5勝するも4歳シーズンは全休。5歳だった去年もレースを絞っており、今年も順調に使えず骨折で引退に追い込まれたようにその能力に体が追いつかなかった。それでも通算17戦14勝でG1を7勝、2着3回の戦績を誇り、2着の内G1 Cotillion Sは1位入線後に降着となったためであり、最後のレースとなったApple Blossom Hでは日の出の勢いのLetruskaに6ポンドもの斤量差を与えてハナ差の2着である。近年の北米牝馬としては間違いなく最強であったと言えるだろう。

父のTapizarは北米競馬の最先端ともいえるTapitの産駒でその同族にPyroが出ている。Monomoy Girlは2年目産駒で、Tapizar産駒では唯一のG1馬である。

Swiss Skydiver

Daredevilの孝行娘二騎の片割れにして昨年の最優秀三歳牝馬

コロナウイルス感染症の流行により変則的な開催となった2020年はKentucky Derbyが9月に実施された。この時、Kentucky OaksではShedaresthedevilとSwiss Skydiverの1-2となり、その後Swiss Skydiverが牡馬相手にPreakness Sを勝つ活躍で、当時トルコに移されていた父Daredevilを北米に呼び戻す結果となった。

古馬になった今年はSanta AnitaのG1 Beholder Mile Sを勝って、G1 Apple Blossom HでMonomoy Girlに再び挑戦するが3着に終わった。熱発の影響でG1 Ogden Phipps Sをスクラッチしたが、牡馬相手のG1 Whitney Sを4着してG1 Personal Ensign Sに出走する。ここでLetruskaに対抗するも力尽き、BCの舞台にたどり着くことはできなかった。

BC後のFasig-Tipton November Saleにて、ノーザンファームが470万ドルで落札し話題となった。

雑感

産まれはアメリカながらメキシコで戴冠して戻ってきたLetruska、アルゼンチンから乗り込んできたBlue Stripe、日本から挑戦したMarche Lorraine、3歳の王道を歩んだMalathaat、正統牝馬路線を背負う形になったShedaresthedevil、マイナーな産地からのし上がったHorologistに堅実な脇役を務めるRoyal FlagとDunbar Road、3歳の上り馬であるPrivate MissionとClairiere、4歳で台頭したAs Time Goes Byと実に多様なプロフィールに彩られたフィールド、これが2021年のBreeders’ Cup Distaffです。私はこういう多様性こそが重要であると考えております。

今年の牝馬路線をリードするかと思われたのはMonomoy Girl、Swiss Skydiver、Shedaresthedevilでしたが、シーズン序盤にまとめてLetruskaという新星に主役を譲ってしまいました。この時、Shedaresthedevil以外の3頭が揃っていたApple Blossom Hは今年一番のビッグマッチであったと言えます。Swiss SkydiverがスクラッチしたOgden Phipps SにはLetruskaとShedaresthedevilが出走しており、実現していればこちらはもう一つの大一番となったでしょう。これはちょっと惜しかった。その後Momomoy Girlは順調にレースに使えない面が出てしまい、Swiss Skydiverも昨年の輝きを戻せませんでした。結果としてShedaresthedevilのみがBC Distaffに出走していますが、彼女も幾分か順調さに欠けており、レース当日は4番人気にまで評価を落としていました。

LetruskaはMonomoy Girl、Swiss Skydiverの両馬を直接対決で下し、たどり着けなかった彼女らの無念を背負う立場でありましたが、それはShedaresthedevilも背負っていたものではなかったか…そう思うと、スタート直後の意地の張り合いはまた違った趣きを持つことになります。単勝人気の面ではShedaresthedevilは4番人気に過ぎないとはいえ、やはりこのレースの物語の中心にいたのはこの2頭であったでしょう。あるいはMalathaatがプレップで古馬混合戦を経験していたならば本戦は全く違った様相を呈したかもしれません。

そうした物語の中でMarche Lorraineは異邦人です。Blue Stripeには半姉Blue Prizeというとっかかりがあるうえそのファミリーが北米から離れていたのはたかが20年です。Blue Prizeは3歳のMonomoy GirlがBC Distaffを勝つシーンに立ち会いましたし、逆に古馬になってからは3歳のDunbar RoadにBC Distaffを含めて二度苦杯を嘗めさせています。そういう面でBlue Stripeは薄い縁ながら関係を持っていました。一方Marche Lorraineは90年も前にオーストラリアから輸入されたShrillyに由来し、現代の北米との関わりは辛うじて母父がFrench Deputyであることくらいであると思えば、同じように北米での出走履歴がないとはいえBlue Stripe以上のThe Perfect Strangerでした。

いうなれば長編の物語の最終章で前振りなく現れたキャラクターに全部持っていかれるかのような理不尽、それもまた競馬の面白さかもしれません。それでもLetruska、Shedaresthedevilは現役に残ることが発表されていますし、去就が明言されていないながらもMalathaatなども現役にとどまるでしょうから、新しい物語に続いていくとも言えます。

View of Industrial-side

Letruskaの父Super Saverは種牡馬入りして初年度からCompetitive Edge、Runhappy、Embellish The LaceとG1馬を出したものの後が続かず見切られることになります。トルコに送られてからLetruskaという大駒が現れ、ペルーでも三冠馬Super Naoが現れました。

Swiss SkydiverとShedaresthedevilの父であるDaredevilもSuper Saverと同様トルコに送られました。どちらもWinStar Farmから2019年に放出されたものであり、トルコには一緒に送られたと考えられます。しかしながら、Daredevilは娘の活躍でアメリカに連れ戻されることになり運命は分かれます。この辺り、初年度産駒が競馬場で結果を出す前だったDaredevilと初年度産駒以降の結果が低迷していたSuper Saverの差はあるのでしょう。

また、Monomoy Girlの父Tapizarはそれなりの結果を出していた種牡馬でしたが、G1を勝てたのはMonomoy Girlだけであり、Tapit後継種牡馬の生き残り競争の面では見劣りがしていました。結果として2021年からは優駿スタリオンステーションでの繋養と北米からの放出が決まっていましたが、日本に輸出するための検疫中に馬房での事故により安楽死処置となり世を去りました。

今年の牝馬路線で主役となった牝馬たちの父はそれぞれに厳しい境遇にあり、むしろ脇役と思われる方の父がCurlinやQuality Road、Into Mischief、Candy Rideなどのように主流であるのは面白いところです。

どうもSuper Saverに関しては初年度の活躍馬Competitive EdgeやRunhappyに加えてI Spent Itまでもが実は例外的でEmbellish The Laceが本来の姿だったのではと思わなくもありません。Super NaoやSuper Turcoも見るにMr. ProspectorよりNorthern Dancerに寄せるべきだった的な感じで。Letruskaに関しては、分かるかこんなもん、と切れておきましょう。

DaredevilはSwiss SkydiverとShedaresthedevilの2頭のみが突出しており、それ以外は重賞クラスにすらなれていません。初年度に大駒を2枚有したことは望外の幸運であり、紐付きながらケンタッキーのトップティアに返り咲くことができました。

こうした馬産業界的な側面の動きは近年特に速くなっており、一部は拙速とすら思えるほどです。BC直後のFasig-TiptonやKeenelandのNovember Saleに勝ち馬を含めて大物牝馬が上場されるのも最早恒例と言えるまでになってしまいました。

こうした動きは何も北米に限ったことではありませんが、その中で特に繁殖牝馬セールで何度も社台ファームノーザンファームが落札して話題になり、それがいずれもここ数年の新鋭の種牡馬の産駒ででトップクラスに活躍した牝馬であるのは重要なポイントでしょう。そしてそれは最近始まったことではなく、ずっと以前から継続されていたということも。至近な実例を挙げるならばグランアレグリアが分かりやすいのです。

2021 Breeders' Cup回顧

今更ですが、今年のブリーダーズカップの回顧。Twitterで適当に書いていましたが、ちゃんとしたものをこちらに残しておきます。

Juvenile Turf Sprint: Twilight Gleaming

父のNational DefenseはTwilight Gleamingが初年度世代となる新進種牡馬。現役時代はフランスでG1 Jean-Luc Lagardereを勝つものの、3歳シーズンではDeauville開催となったPoule D'Essai des Poulainsに出走するが最下位に沈んだ。これを最後に引退し種牡馬入りした。早熟というより一発屋である。その父はInvincible Spiritで母方はAnna Paolaの流れを汲む。Irish National Studで種牡馬入りし、オーストラリアにシャトルもされており、血統背景を武器に現役実績に比して種牡馬としては恵まれている。

母系は1-l族でエリザベス女王所有の牝系に由来する。Amicableを端緒として母Thames Pageantまで女王が代々生産所有したもの。累代がDansili、Sadler's Wells、Machiavellian、Northern BabyとまあAlmahmoudにあふれている。

Keenelandでデビューし、2戦目で勝ちあがるとRoyal AscotのG2 Queen Mary Sに遠征して2着に入り、ついでとばかりにDeauvilleのリステッドレースを勝っている。その後北米に戻り3ヶ月ぶりの出走となった本レースを勝った。こういうことをやるということで察しの通りWesley A. Ward調教師の管理馬である。

うまいスタートからせりかけてきたOne Timerを返り討ちにすると直線で追い込んでくる後続を何とかしのいだ。

Blood-Horse: Breeders' Cup Juvenile Turf Sprint (G2T)


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Juvenile Fillies: Echo Zulu

父は気鋭の新種牡馬Gun Runnerで、もちろん本馬が活躍馬の筆頭として挙げられる。母父にMenifeeが入ってStorm Catのクロス。

母系は16-g Lea Larkの流れでLeallahの分岐に属して活躍馬が多数で、母LetgomyechoはG2馬である。半兄に父SpeightstownのEcho Townがおり、名の知れた近親としてはVoodoo Dancerが挙げられる。

デビュー戦を勝ちあがると東海岸でSpinaway S、Frizette SとG1を連勝し、3戦無敗で乗り込んで来た。本戦でもそれらと同じようにレースをリードして直線で後続をちぎり捨てた。最後は抜いていたが5馬身1/4差の圧勝である。

Blood-Horse: Breeders’ Cup Juvenile Fillies (G1)


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Juvenile Fillies Turf: Pizza Bianca

父はオーストラリアのトップサイアーFastnet Rock。クールモア・オーストラリアの屋台骨であり、北半球へのシャトル実績もあるが、北米産となる産駒は珍しい。オーナーがBobby Flayであることでも注目を集めた。Bobby Flayの所有馬ではMore Than RealもBC Juvenile Turfを勝っているが、当時はG3であった。またBobby Flay自身はWinStarと共同でCreatorを所有していたが、単独所有としてはPizza BiancaがG1初勝利である。母White HotもBobby Flayが所有し、Pizza Biancaは自家生産馬である。

22-d族Royal Statuteの母系に母父Galileoという血統背景を持ち、伯父にPour Moiが出ている。

Saratogaの芝戦でデビュー戦勝ちし、WoodbineのG1 Natalma Sを2着からの参戦であった。後ろからレースを進め、4コーナーでは馬群の最後方で前には壁が出来ていたが、内に潜り込んで進路が開いたところを抜けてきた。外に振った馬は伸びがいまいちで、待機策がうまくはまった。

Blood-Horse: Breeders' Cup Juvenile Fillies Turf (G1T)


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Juvenile: Corniche

9月にDel Marのデビュー戦を快勝し、10月にはG1 American Pharoah Sを勝つというキャリアで一番人気を背負うと再びPappacapを下して見事に応えた。外枠スタートからうまく先頭に立つと競りかけてくる相手もおらず、圧倒したわけではないがそのまま逃げ切りを決めた。

父は現代Gone West父系の中核にあるQuality Road。母父のNajranはRunaway Groom産駒の快速馬であるが、良くも悪くもRunaway Groomらしいという印象でG1を取れるほどの産駒は出なかった。

母系は1-xのSo Chicを通る系統で、どちらかというとMineshaftらが近親として出てくる分岐に属している。ブラックタイプは出ているが、La Troienneファミリーとしてはやや低調で、使われる種牡馬もランクを落としていたように見える。

Blood-Horse: TVG Breeders' Cup Juvenile presented by Thoroughbred Aftercare Alliance (G1)


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Juvenile Turf: Modern Games

物議をかもしたのは運営の動きなので、レース自体は完勝したModern Gamesを評価しておけばよいと思う。

道中を中団の内で耐えたModern Gamesは4コーナーから馬群がばらけると難なく外に持ち出し、先行勢をまとめて差し切った。道中後方からのTiz The Bombが内をついて伸びてくるもののModern Gamesとの差を詰めるほどの勢いはなかった。

Dubawiに母父New Approachという血統で、今年の芝戦を制圧したDubawi産駒の1頭目。母系は22-d Royal StatuteでPizza Biancaと同系であるが、こちらの方が本流に近いと言えるだろう。叔父にG1 Jean Luc Lagardereを勝ったUltraが出ている。

ゲート前のトラブルでModern Gamesの僚馬Albahrが取り消しとなったが、その際にミスによりModern Gamesも取り消しの発表がされてしまった。カリフォルニア州の競馬運営規則に基づいてModern Gamesは馬券対象外での出走となったが、取り消し発表前まで一番人気に支持されており甚大な影響が出ることになった。

Blood-Horse: Breeders' Cup Juvenile Turf (G1T)


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Filly And Mare Sprint: Ce Ce

父Elusive Quality、母Houdiniの5歳馬。去年は8Fを中心に走りBC Distaffでは5着の結果を得ていたが、今年は距離を短縮して7Fを中心とする路線に転向していた。G1 Ballerina SではGamineに及ばず3着だったが、G2 Princess Rooney SやG3 Chillingworth Sでは差し切って快勝しており、短距離への対応力を見せていた。

本戦ではGamineがBella Sofiaから圧を受けて楽なレースにできなかったことで、Ce Ceの差しが決まった形。GamineはコーナーでEdgewayに内を掬われてかなり厳しいレースとなり3着に終わった。

Blood-Horse: Breeders' Cup Filly and Mare Sprint (G1)


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Turf Sprint: Golden Pal

Uncle Mo、母Lady Shipmanの3歳馬。なぜかフロリダ産馬である。去年はJuvenile Turf Sprintを勝った。北米では芝スプリントのレースが少なく、今年はレース選択に苦労しているが、北米では負けなしであった。ただし、YorkのNunthorpe Sに遠征したときは7着に終わっている。

本戦は素晴らしいスタートを見せて逃げ切った。北米の芝スプリントなのでこちらもまたWesley A. Ward調教師の管理馬である。

牝系は1-xのStrikingであるが、Ogden Phippsの手を離れてからは長くカリフォルニアにあってブラックタイプどまりでパッとしなかった。母Lady Shipmanは21戦13勝の実績を上げているが勝ち鞍はブラックタイプやリステッドどまりで重賞はG3を1勝しただけである。しかし、BC Sprintで2着という実績もあり、この時は道中で他馬とぶつかる不利がありながらも勝ったMongolian Saturdayをクビ差まで追いつめている。その初子がGolden Palである。

Blood-Horse: Breeders' Cup Turf Sprint (G1T)


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Dirt Mile: Life Is Good

父Into Mischief、母Beach Walkという血統の3歳馬。通算6戦5勝で、G1 H. Allen Jerkens MemorialでJackie's Warriorの2着が唯一の敗戦であった。

スタートからコーナーまでに先頭に立ってそのまま逃げ切りである。3コーナーからGinobiliの挑戦を受けたがものともせず直線は突き放す一方であった。

13-c族Valkyrのファミリーに属するが、近親の目立った活躍馬といえば大叔母のDiamondrellaくらいである。

Blood-Horse: Big Ass Fans Breeders' Cup Dirt Mile (G1)


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Filly And Mare Turf: Loves Only You

Deep Impact、母Loves Only Meの5歳馬。父は偉大なるSunday Silenceの最強産駒にして最良の後継者。母方は20号族のMiesqueであり、現代競馬におけるトップファミリーの一つに数えられる。祖母MonevassiaはKingmamboらの全妹であり、その産駒にJohn F KennedyやTapestryの母であるRumplestiltskinを得て重きをなしている。Loves Only Meはその半妹にあたり、父がDanehillからStorm Catに替わったことでDeep Impactにとって理想的な血統構成の相手となった。

ラヴズオンリーユーは4戦無敗で日本のオークスである優駿牝馬を勝つが、その後は苦しみ4歳では未勝利に終わっている。転機は5歳となった今シーズンで、初戦のG2京都記念を勝つとドバイに遠征してG1 Dubai Sheema Classicで3着、香港に転じてG1 Queen Elizabeth II Cupを制した。休養を挟んで復帰したG2札幌記念では桜花賞馬ソダシの2着となって、再び海外遠征に踏み切った。Breeders' CupではFM TurfとTurfを両睨みしていたがFM Turfを選択し見事に勝利、日本調教馬にとって初めてのBreeders' Cup勝利をもたらした。

今年のFilly And Mare Turfは地元北米馬では前走でG1タイトルを手に入れたWar Like Goddessに欧州からLoveとRougir、前年勝ち馬のAudarya、北米芝牝馬路線で善戦するMy Sister Natとメンバーが揃ったレースであった。

前走でG1 Rodeo Drive Sを勝って挑戦してきたGoing To Vegasが引っ張るペースはやや遅く、LoveとLoves Only Youは並ぶように前目に付ける一方War Like Goddessは常のように後方待機策で今回は最後方からのレースとなった。3コーナーの手前から徐々にポジションを上げるWar Like Goddessの仕掛けに反応したLoveに対してLoves Only Youは内で耐える。4コーナーから直線に入るところで先頭にはWar Like Goddess、内で必死に抵抗するLoveがいて、すぐ後ろからLoves Only YouとMy Sister Natが差しに来る。出し抜きにかかるMy Sister Natに対してLoves Only Youが一瞬の反応でWar Like Goddessとの間を割り、まとめて差し切ってゴール。これが歴史を創った瞬間であった。2着にはMy Sister Natが入っている。Sistercharlieの半妹、Sottsassの半姉にあたり長く活躍しているが、またもG1タイトルには届かなかった。

Blood-Horse: Maker's Mark Breeders' Cup Filly and Mare Turf (G1T)


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Sprint: Aloha West

Hard Spun、母Island Boundの4歳馬でメリーランド産馬である。デビューは4歳になった今年で、勝ち上がったとはいえくすぶっていたが、夏のSaratogaで連勝すると前走はKeenelandのG2 Phoenix Sを2着し、Special Reserveを追い詰めたレースぶりに高い評価を受けていた。

Hard SpunDanzig最後の大物としてG1 King’s Bishop Sを勝って種牡馬入りし、快速馬を多く出す優秀な種牡馬である。母系は16‐aのCequilloでGonfalonを経由してくるもの。

レースは圧倒的人気のJackie’s Warriorが逃げるもSpecial Reserveも引かずに進み、この2頭を見る位置にいたDr. Schivelが直線で先頭に出て逃げ込みを図ったところに外から鋭く差し脚を伸ばしたAloha Westが首の上げ下げでハナ差前に出ていたところが決勝線であった。2着のDr. Schivelは3歳馬、勝ち上がりから5連勝中で西海岸スプリント路線の覇者であった。

Blood-Horse: Qatar Racing Breeders' Cup Sprint (G1)


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Mile: Space Blues

GodolphinDubawi産駒2頭目。9-e族Sunbitternのファミリーであり、Dubawiとは同族となる。欧州スプリント戦線での活躍馬で7F戦を得意としている。前走はフランスのG1 La Foretを勝っての参戦であった。

道中は好位置につけて、直線でしっかり差し切っている。2着に残ったSmooth Like Straitが作った緩いペースのレースとなり後方勢は早めに動いたIvarを除いて勝負にならなかった。

Blood-Horse: FanDuel Breeders' Cup Mile Presented by PDJF (G1T)


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Distaff: Marche Lorraine

父Orfevre、母Vite Marcherの5歳馬。日本での主な勝ちは川崎のG2エンプレス杯である。前走で門別のG3ブリーダーズゴールドカップを勝って遠征となった。

オルフェーヴルステイゴールドの最高傑作で、日本で三冠馬となると翌年には凱旋門賞に遠征して、Solemiaの差し脚に屈したものの、3着以下を大きく離した2着に入った。翌年にも凱旋門賞に遠征し、この時は一番人気に支持されたが、Treveの前にまたしても2着に終わった。この年の有馬記念を勝って種牡馬入りし、一年目からラッキーライラックエポカドーロを出す好調なスタートであったが、その後はやや伸び悩んでいた印象である。マルシュロレーヌは2年目の産駒にあたる。

マルシュロレーヌは日本に土着した牝系の出身であり、その祖はオーストラリアから輸入された7‐d Shrillyに遡る。その孫にあたるクインナルビーは夙に著名であり、自身が3200mの時代の天皇賞秋を制し、繁殖入りすると大きく牝系を発展させ、その末裔にオグリキャップを出している。マルシュロレーヌもこの一族に連なり、祖母は快速で鳴らした桜花賞キョウエイマーチである。母ヴィートマルシェキョウエイマーチの初子にして唯一の後継牝馬であった。

レースはスタートからShedaresthedevilとLetruskaが激しく先行を争い、Private Missionのリードで隊列が落ち着くが、ペースは速く、先行勢の消耗は激しかった。馬群は前後二つに分かれる形で、後方集団の先頭にDunbar Roadが、その後ろにMarche Lorraineがつけていた。4Fで45秒を切るペースを刻んだ先行集団は3コーナー前から早くも崩れ始め、これを外からまくっていったのがMarche LorraineとRoyal Flagの2頭である。4コーナーに差し掛かるとLetruskaとShedaresthedevilの人気2頭がすでに手応えを失ったことは明白であった。これにより後方集団からの差しあいとなるが、直線に入るところでMarche Lorraineが先頭、外に振られたRoyal Flagの手応えが怪しく、内を突いてきたDunbar Roadが一気に並びかけて最後は横に1頭分の間隔を開けたまま叩き合いとなった。Dunbar Roadが前に出る瞬間もあったが、写真判定の結果Marche Lorraineの勝利。FM Turfの快挙から約2時間、さらなる衝撃が駆け抜けたのであった。

”They come to the top of the stretch. It is MARCHE LORRAINE, ROYAL FLAG and CLAIRIERE on the far outside."

直線に入った時点のこの実況の価値は計り知れない。そして、

”Here comes DUNBAR ROAD, it's coming to the wire. And it is... hold desperately close!! Was it MARCHE LORRAINE or was it DUNBAR ROAD in the Breeders' Cup Distaff."

という決着を迎えるのである。直線の攻防で常にMarche Lorraineの名前が先に出るレースであるという事実。勝ったということに加えてこの内容。誇るべきである。

Blood-Horse: Longines Breeders' Cup Distaff (G1)


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Turf: Yibir

GodolphinDubawi産駒3頭目。23号族Arctic Melodyの一門で、全兄Wild Illusion、近親にはElectrocutionistが出ている。

3歳馬で去年は4戦して最後2連勝で終えている。明けて3歳となった今年はDerbyを目指して調整されるが、結果を出せずにドロップすると去勢される。8月のEbor YorkでG2 Great Voltiguerを勝ってアメリカに遠征し、Jockey Club Derbyを勝ってBC参戦となっていた。

連覇を目指すTarwanaが人気を集めるも混戦模様のフィールドで、有力馬は中団から後ろにつけてレースは進んだ。TribhuvanとAcclimateの2頭が後続を大きく離す形となるが、そのペース自体は平均的であった。向こう正面で隊列が詰まり、外にいたBroomeが3コーナーで捲りに行く。曲率の厳しいコーナーをクリアして直線で先頭に立ったのはBroome。Tarnawaは反応がなく、Broomeが抜け出していたが、大外からYibirが一気に伸びて差し切った。中団からじりじりと伸びたTeonaとJapanが3着と4着に入ったが、この辺りはBroomeに出し抜かれた印象で、Yibirだけが鋭い末脚でひっくり返すことができた。

Blood-Horse: Longines Breeders' Cup Turf (G1T)


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Classic: Knicks Go

父Paynter、母Kosmo’s Buddyという血統の5歳馬でメリーランド産。1‐wだがあまり活発ではないファミリーで、母系に代々配されている種牡馬も二線級というか名牝系の出身であることが第一に特徴となるような種牡馬ばかりである。

2歳の早くから活躍し、G1 Breeders’ Futurityを勝って、BC Juvenileでも2着に入ったが、その後3歳では低迷した。4歳の去年も振るわなかったが、Keenelandのアローワンスを圧勝して臨んだDirt Mileを勝って古馬のトップに立った。今年はG1 Pegasus World Cupを勝つが、中東に遠征してSaudi Cupで4着、帰国してのG1 Met Mileも4着となる。Prairie MeadowsのG3を圧勝して立て直すと、G1 Whitney H、G3 Lukas Classicを連勝してBC Classicに出走することとなった。

レースは3歳のEssential Qualityが人気を集め、同じ3歳のHot Rod Charlie、Medina Spiritに古馬のKnicks Goを加えた3頭が2番手クラスの評価を受けていた。レースの展開は絡まれると脆いKnicks Goが単騎逃げで行けるかに左右されると考えられていたが、Knicks Goが好スタートからハナを主張するとあえてこれに挑戦してくる馬はなく、落ち着いたペースで進むことになった。Knicks Goにとっては願ってもない展開であり、直線でもHot Rod Charlieと馬体を合わせるのを拒むように馬場の半ばに持ち出して押し切る態勢に持ち込む。3歳のMedina Spirit、Essential Qualityも追い込んでくるが、自身のペースでレースを作ったKnicks Goは余力十分で追い上げを許さなかった。

Blood-Horse: Longines Breeders' Cup Classic (G1)


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総評

1.日本調教馬によるブリーダーズカップ初勝利

今年のシリーズ全体でも有数のトピックになると思われる。

個人的にはFilly And Mare Turfはもっとも狙いどころのレースというのは以前から思っていた。北米芝牝馬路線の脆弱さと平坦なトラックコースでの日本馬の強さが主な理由である。一方で、わざわざ京都のエリザベス女王杯を袖にしてまでアメリカに遠征することの利はないとも考えていた。

今年はラヴズオンリーユーという理想的なコンテンダーを得ていたといえるだろう。日本のオークス馬であるという実績はもちろんのこと、今年になって海外遠征に活路を見出す形になっていたからである。それでも、秋はエリザベス女王杯で国内の頂点を狙ってほしかった気もするのは、わがままであると知りつつ何とも言えない気分である。

長年、芝のレースはFM Turf、Mile、Turfくらいの順に勝つチャンスはあるだろうと思っていたが、逆にまったく勝てると思っていなかったのがダートのレースである。とりわけ国内の路線が十分ではない牝馬や短距離路線ならなおさらであった。したがってマルシュロレーヌの出走は挑戦として価値はあるが、勝ち負けのことは全く考えられないものであった。

Marche Lorraineの勝利が展開に恵まれたものであることは否定できない。だが、今年のシリーズでは逃げ切りがよく決まっており、オーバーペースに巻き込まれることになったがShedaresthedevilやLetruskaは前に行って勝負しなければならなかったとは言える。結果として先行馬群は総崩れとなって後方集団の勝負だったが、これにしても基本的に集団の前目に位置を確保している必要であった。Marche Lorraineにとって理想的なレース展開を引いたことになるが、出走しないことには始まらないということを強く思わされた。

日本のダート牝馬路線でマルシュロレーヌはTCK女王盃エンプレス杯を勝っているがG1勝ちはない状況で、今年のJBCが金沢開催でレディースクラシックは1500mに設定されていたというのもこの挑戦を決めた要素の一つかと思われるが、うまくいったときには全てがそのように綺麗にはまったように見えるものだと実感する。

なお、日本産馬と括ってしまうとKarakontieがいるので注意しましょう。

2.無敗の2歳チャンプ

2歳戦では牡馬牝馬ともにダートは無敗馬の戴冠であった。

Cornicheは3戦無敗、Echo Zuluは4戦無敗となるBCでの勝利を、いずれも逃げ切りで決めている。

Cornicheは最終的には一番人気であったが、Jack Christopherの回避を受けてのものである。本戦にあっても他馬を圧倒したようには思われず、むしろPappacapに対しては前走から詰められていた。ひとまず無敗で2歳王者になったものの、絶対的な存在感には程遠い。

対するEcho Zuluは強さを見せつけたという印象を受ける。レースをリードすると直線でさらに差を広げてまさに完勝といえる。こちらは文句なしに世代トップの評価を受けて良い。

レースの時計や指数からしてもJuvenile FilliesのEcho ZuluがCornicheを上回っており、Cornicheの評価が上がりきらないのはこの辺りも原因だろう。

3.Lasix-Free Event

今年はBCとして初めてLasixの使用を認めない開催となった。とはいうものの、それ以上に薬物使用懸念があるBaffert厩舎の管理馬をどう扱うかの方が問題であり、BCでは追加の検査を行うことで出走を認めた。Baffert厩舎には有力馬が多く、Juvenileを勝ったCorniche、Classicで2着のMedina Spirit、FM Sprintで3着のGamineがそれである。特にCornicheについては現状でChurchill DownsがBaffert厩舎からの出走を拒絶しているため、Kentucky Derbyに向けてどのような駆け引きが行われるかが注目である。

Lasixの有無については、このシリーズだけをいうなら結果に影響するほどのものはなかったのではないかと見ている。長期にわたってLasixを使わない開催環境が維持されたときに何らかの影響を認めることはあるかもしれない。

4.Godolphinの芝Dubawi

Juvenile Turf、MileそしてTurfと芝の3レースでGodolphinDubawi産駒が勝利した。2勝なら開催規模が拡大する前からでもあったが、同一種牡馬の産駒が同一開催でBCを3勝というのは初めてかな。GodolphinDubawi産駒でそれを達成したというところに矜持を見る思い。

種牡馬となったその年の春に夭折したDubai Millennium。その限られた産駒の中で唯一のG1馬であるDubawi種牡馬としても大いに成功し、欧州を中心に50頭に及ぶG1馬を出し、一大父系を築きつつある。

BCでは2017年のDel Mar開催でWuheidaがFilly And Mare Turfを勝って以来の勝利となっている。ダートでの活躍馬は限られており、北米にはDubawi父系が進出できていないが、やはりDubawiを使っていくことをしっかり考えなければいけないという印象は受ける。

5.逃げ切り

今年のレースでは逃げ切りが目立った。2歳戦ではTwilight Gleaming、Echo Zulu、Cornicheが逃げ切りを決めたし、二日目でもGolden Pal、Life Is Good、Knicks Goが逃げ切って勝利した。中でもGolden Palなどは素晴らしい出足を見せていて、もうそのスタートだけで勝負ありというものであった。

一方でDistaffは先行争いが度を越えすぎていて総崩れになったし、Sprintでもオーバーペースになって差し馬が台頭したのだが、基本的にコーナーがきついDel Marということもあって先行有利だったとは思われる。

6Juvenile Turfの不手際

Modern Gamesが1位入線した後の雰囲気が最悪で、BCのゴール後にこんな状況になるというのは思いもしなかった。You Tubeの公式チャンネルでもそれまでのレースはスムーズにレース映像がアップロードされていたのに、Juvenile Turfだけはいつまでたってもアップロードされなかった。Twitterアカウントも沈黙状態で、プレスリリースを出すのがやっと。1日目の最終レースだったからまだマシだったのかもしれない。

なお、レース映像に関していうと、Blood-Horseのサイト上には常のようにレース後に映像が来ていたし、あそこはゴール後の解説まで含めた映像になっているので、異様な現地の雰囲気と戸惑いを隠せない実況の様子をうかがえるものとなっている。

Lane's End Stallion Roaster 2021

2021年の種付け料はBC前に発表されています。
競馬界も周知のとおり、COVID-19の流行による社会情勢の変化の影響をまともに受けており、Lane's Endに限らず軒並み2021年の種付け料を減額しております。ここまでの状況は2008年末以来で、あの時のパニック的な減額発表という轍は踏まずに済んだ分だけましなのでしょうか。
また、既に2020年の種付けシーズンにはCOVID-19が流行しているので、種付け頭数への影響は出ています。

Accelerate: Lookin At Lucky - Issues by Awesome Again

2021年が種牡馬入りして3シーズン目となりますが、種付け料は20000ドルから減額されて17500ドルに。これくらいであれば通常の種牡馬入りでも下がる範囲なので影響は少ないと言ってよいのではないでしょうか。ただ自身の現役キャリアからも早仕上がりを期待されるような種牡馬ではなく、今後の見通しはあまり良いと言えない気もします。初年度産駒が124頭ですから2歳でそこそこ勝ってくれないと暗転しそうです。

Candy Ride: Ride The Rails - Candy Girl by Candy Stripes

10万ドルの大台に乗せたらこの状況で来年は75000ドルと発表されました。産駒の活躍も少し落ち着いてしまった印象でただでさえ厳しいシーズンだったところにまともに影響を受けたのではないでしょうか。2020年の種付け頭数は117頭と大きく減らしています。ただ、種付け料の高い種牡馬は100頭を超える程度で十分という考え方もありだとは思いますが。 去年に引き続いてG1馬がVekomaだけという状況はCandy Rideとしては物足りないでしょう。

Catalina Cruiser: Union Rags - Sea Gull by Mineshaft

初年度となる2020年に148頭の牝馬を集めましたが、種付け料は5000ドル下げた15000ドルとなりました。父Union Ragsが大きく下げた影響がありそうで。そもそも3歳デビューでG2勝ちまでのキャリアしかないのに20000ドルでスタートしたのが積みすぎと言えばそれまでか。

City Of Light: Quality Road - Paris Notion by Dehere

Accelerateと同期種牡馬入りで来年が3シーズン目。40000ドルの種付け料を維持しました。2020年に40000ドルに上げても種付け頭数が変わらず146頭と集まったことから行けると踏んでいるのでしょう。父Quality Roadが最大のポイント。

Connect: Curlin - Bullville Belle by Holy Bull

2021年に産駒がデビューを控えていますが、20000ドルから5000ドル減らして15000ドル。このタイミングで下がるのは仕方がないと言えます。種付け頭数が毎シーズン100頭を超えているので悪くない。

Daredevil: More Than Ready - Chasethewildwind by Wild Again

なんでいるの?みたいな感じに。2016年にWinStar Farmで種牡馬入りして4シーズンを過ごしましたが、2019年は種付け料7500ドルで種付け21頭にまで低迷しており、WinStarに残れる状況ではなくJockey Club of Turkeyに売却されて今年はトルコで種牡馬をしていました。そもそも初年度12500ドルの種付け料が2年目に7500ドルになっていてよくわかりませんし、それでも100頭は確保していた種付け頭数が急に21頭に減ったのもなんだろうねというところですが。
2020年に初年度産駒が3歳を迎え、Kentucky OaksではShedaresthedevilとSwiss Skydiverで1着2着を取ったかと思えば、そのSwiss SkydiverがPreakness Sを勝ちました。Preakness Sを牝馬が勝つのは史上6頭目です。そのPreakness S辺りとの前後関係が微妙なところですが、そういった事情で北米に舞い戻ることになりました。ただし所有権はTJKが持ったままとなっているようです。かつてAfter MarketやPleasantly Perfectがトルコに導入されており、Lane's EndとTJKの窓口があったという所でしょうか。
復帰後の種付け料は25000ドルに設定されました。2nd Crop LeadingではConstitutionとAmerican Pharoahに次いで3位ですが、G1を勝った2頭の牝馬によるものなので、今後続く活躍馬が出るかが勝負でしょう。種付け料の変遷を考えると2年目以降の産駒に期待はかけにくいので、実質初年度産駒でどこまで行けるか。来年の種付け世代がデビューしてくるまで耐えるのはかなり厳しいでしょう。

Game Winner: Candy Ride - Indyan Giving by A.P. Indy

去年からLane's Endでの種牡馬入りが発表されていましたが、2021年から30000ドルでの種牡馬入りとなりました。
2歳でBC Juvenileまで4戦無敗の圧倒的な戦績で、祖母Fleet Indianに母の父A.P. Indyという血統面の魅力もありますが、種牡馬入りが1年遅れたのはもったいない印象を受けます。

Gift Box: Twirling Candy - Special Me by Unbridled's Song

種牡馬で種付け料10000ドルスタート。
6歳になってSanta Anita Hを勝ち、Santa AnitaのGold Cupは2着というあたりが主な実績で、Twirling Candyの次を用意したという意味くらいか。

Honor A. P.: Honor Code - Hollywood Story by Wild Rush

Honor Codeの初年度産駒を代表する1頭は種付け料15000ドルでの種牡馬入り。
Santa Anita DerbyではAuthenticを下しており、Kentucky Derbyは4着。その後Kentucky Derby中のケガを理由に引退しました。今年は開催時期が例年と違うため、評価しづらいところがありそうですが、Authenticのその後の成績は悪くなく、今のうちに種牡馬入りする手は有効に思えます。
Lane's EndではかつてA.P. Indyが使っていた馬房を与えられたとのこと。

Honor Code: A.P. Indy - Serena's Cat by Storm Cat

来シーズンの種付け料は20000ドルで10000ドルの減額。種牡馬入り当初の40000ドルから半減しました。
初年度産駒のHonor A. P.がSanta Anita Derbyを勝ってKentucky Derbyのプロスペクトになり、他にMax PlayerもRun for Rosesに名乗りを上げましたが、その2頭以外はパッとしません。
古馬になって出てくる産駒が入れば十分という気はしますが、そういうLemon Drop KidやMineshaftのような路線に乗れるかどうかでしょう。

Lemon Drop Kid: Kingmambo - Charming Lassie by Seattle Slew

21シーズン目を15000ドルの種付け料で迎えることになりました。もういつ種牡馬を引退してもおかしくなく、活躍馬もほとんどでなくなりました。今年一番名が知られた産駒はMighty Heartの三冠が破れたWoodbineのBreeders' Sで勝ったBelichickだと思います。

Liam's Map: Unbridled's Song - Miss Marcy Sue by Trippi

来季の種付け料は5000ドル減らした30000ドル。Arrogateを喪ったUnbridled's Song後継種牡馬の中では突出しています。
実績もそれに応えるもので、2nd Crop Leadingは5位ですが初年度産駒から2歳G1馬2頭含む重賞馬3頭は見事と言えます。

Mineshaft: A.P. Indy - Prospectors Delite by Mr. Prospector

置かれている状況はLemon Drop Kidと同じで、種付け料も同様に5000ドル減らした15000ドル。Lane's Endではないものの後継にDialed Inを得ているところは状況が異なります。もっともDialed In一本勝負のMineshaftと、Ricahrd's KidなどがあちこちにいるLemon Drop Kidのどちらが良いのかは分かりません。

Mr Speaker: Pulpit - Salute by Unbridled

2020年は種付け料10000ドルで28頭だったところ、2021年は半額となる5000ドルになりました。北米での種付けが報告されていない2017年以外、種付け頭数は種牡馬入りから一貫して減少していますしもう厳しいどころではないのですが、初年度産駒からAshland Sを勝ったSpeechという活躍馬が出ました。それ以外はさっぱりなのでワンチャンスを活かすきっかけとしてはまだ弱いか。祖母Personal Ensignという血統の強さで最後の一勝負できればいいけどね。

Quality Road: Elusive Quality - Kobla by Strawberry Road

2020年に種付け料を20万ドルに上げていましたが、種付け頭数が減少したことで2021年は15万ドルに戻りました。もっとも2020年はQuality Roadとしては極端な不振でもあり、下げないと来年が厳しいという事情はありそうです。
9月からのイヤリングセールでの売れ行きは変わらず好調に見えますし、このクラスであればその方が重要に思えます。そうでなければ種付け料はもっと引き下げられていたことでしょう。

The Factor: War Front - Greyciousness by Miswaki

種付け料を維持して17500ドル。サイアーリーディングではトップ10入りしており、もう少し取れそうな感じはあって、上げたいところを抑えたという側面が強そうです。2020年の種付け頭数は過去最高の151頭に並びました。産駒には古馬で距離をこなしているものも目立ちます。
今年で5世代の産駒がデビューし、2021年の2歳世代は日本にリースされていたのでありません。また、2020年産馬の頭数が少なく、サイアーリーディングでは今後不利な要素を抱えています。

Tonalist: Tapit - Settling Mist by Pleasant Colony

2021年は2500ドル下がった12500ドルとなります。
初年度産駒が3歳になってG2を勝ったTonalist's Shapeが出ていますが、大物が出ていないのがHonor Codeとの違いになるでしょうか。Country Grammerは7月のSaratogaでやったPeter Pan Sを勝ったものの平凡な時計であり評価に困る。

Twirling Candy: Candy Ride - House Of Danzig by Chester House

2020年にはLane's Endで最多の171頭への種付けを行っており、種付け料は2021年も4万ドルに据え置かれました。
父Candy Rideが高齢の域にあり、高額の種付け料もあって頭数を減らした分Twirling Candyに需要が回った側面はあるでしょう。
Collusion IllusionでG1を勝っているが、今年の産駒実績は今一つ。重賞級を安定して出せないと厳しそうです。Candy Ride後継という立場があっての種付け料とも思えますが、その立場はLane's EndですらGame Winnerという競合が現れましたし、Gun Runnerもいるので危ういですね。
Gift Boxが種牡馬入りしたことで、Candy Rideから3代の種牡馬がLane's Endに揃うことになりました。

Unified: Candy Ride - Union City by Dixie Union

種付け料は10000ドルを維持。種牡馬入りから3年間種付け頭数が減り続けていますが、元が10000ドルと安価であることから、種付け料の変更はありません。初年度産駒は2021年デビューですから、ここで上向かなければもう上がり目は期待できません。

Union Rags: Dixie Union - Tempo by Gone West

種付け料種付け頭数ともに好調に推移していたものが一転し、2020年に種付け頭数を大幅に減らしてしましました。この結果か、2021年の種付け料は半額となる30000ドルとなっています。
初年度産駒は好調だったのですが、2年目以降に失速していて、種付け頭数や種付け料にその影響が現れてきました。

West Coast: Flatter - Caressing by Honour And Glory

2年目のシーズンで種付け頭数が激減したため、種付け頭数を35000ドルから一気に20000ドルに引き下げました。
Flatter、Congratsの後継は敢えて必要なんですかねってレベルで、West Coastは傑作に違いはないんですが、ビッグレースで負けている印象ばかりなのがつらい所。

Noble Mission: Galileo - Kind by Danehill

JBBAによって導入され2021年からは静内スタリオンステーションに入り、種付け料は150万円と発表されています。Frankel産駒のソウルスターリングやモズアスコットが走っているので、その全弟として一定の受けはあるでしょう。JBBAはCape Blancoがさっぱりな状況で次のGalileo産駒種牡馬を狙ったというところでしょう。まあ、母父Danehillは現状のトレンドにマッチしており、母Kindとなれば考えられる限り極上の選択です。一方のCape Blancoは静内から七戸に移動となるようで厳しい。
初年度産駒からCode Of HonorがTravers S、Jockey Club Gold Cupを勝つ活躍を見せましたが、その初年度を除くと繁殖牝馬の集まりはやや悪く100頭前後で推移していました。重賞クラスではSpanish Missionが欧州、Baffalo Riverがオーストラリアで走るなどGalileoを北米に浸透させるという意味では今一つだったように思います。フロリダで苦戦中のTreasure Beachともどももうちょっと北米受けする母を持つ種牡馬で導入しましょうよってことかもしれません。
Lane's EndとしてはオーナーブリードのCode Of Honorがいるので、その気になれば種牡馬入りさせれば良いというのもあって放出したのかな。
最後に毎年のリスト。

Stallion Sire 2021 Fee 2020 Fee 2019 Fee
Dam Changes Mares Bred Foal/Bred
Accelerate Lookin At Lucky 17500 20000 20000
Issues -12.5% 137 124/167
Candy Ride Ride The Rails 75000 100000 80000
Candy Girl -25% 117 125/161
Catalina Cruiser Union Rags 15000 20000 ---
Sea Gull -25% 148 ---
City Of Light Quality Road 40000 40000 35000
Paris Notion stay 146 102/146
Connect Curlin 15000 20000 20000
Bullville Belle -25% 114 77/112
Daredevil More Than Ready 25000 At TJK Stud At WinStar
Chasethewildwind New Turkey KY
Game Winner Candy Ride 30000 --- ---
Indyan Giving New --- ---
Gift Box Twirling Candy 10000 --- ---
Special Me New --- ---
Honor A.P. Honor Code 15000 --- ---
Hollywood Story New --- ---
Honor Code A.P. Indy 20000 30000 40000
Serena's Cat -33% 85 95/138
Lemon Drop Kid Kingmambo 15000 20000 25000
Charming Lassie -25% 47 27/36
Liam's Map Unbridled's Song 30000 35000 20000
Miss Macy Sue -14.3% 156 96/133
Mineshaft A.P. Indy 15000 20000 20000
Prospectors Delite -25% 45 48/76
Mr Speaker Pulpit 5000 10000 10000
Salute -50% 28 29/46
Noble Mission Galileo To JBBA Shizunai 20000 15000
Kind Japan 65 65/93
Quality Road Elusive Quality 150000 200000 150000
Kobla -25% 126 115/154
The Fafctor War Front 17500 17500 15000
Greyciousness stay 151 58/80
Tonalist Tapit 12500 15000 15000
Settling Mist -16.7% 122 46/63
Twirling Candy Candy Ride 40000 40000 25000
House Of Danzig stay 171 114/154
Unified Candy Ride 10000 10000 10000
Union City stay 68 76/102
Union Rags Dixie Union 30000 60000 60000
Tempo -50% 111 127/155
West Coast Flatter 20000 35000 35000
Caressing -42.9% 103 129/168

2020年のGalileo後継種牡馬

Stallion RegisterとRacing PostのSire of StallionをGalileoで検索するだけの手抜き調査。
2020年に父GalileoとしてStallion Registerに登録されていた種牡馬の一覧となります。正直ウクライナまで出てくるとは思っていなかったので、難点はシャトルサイアーの状況を把握できないことか。調べればいいんだけど手間がなあ。

北米繋養種牡馬

調べようと思ったきっかけがNoble Missionだったので、北米から行きましょう。種牡馬名、その母、繋養牧場、種付け料くらいの情報で。

  • Noble Mission (Kind by Danehill): Lane's End KY 20000ドル
  • Treasure Beach (Honorine by Mark Of Esteem): Pleasant Acres Stallions FL 7500ドル
  • Learn (Kentukcy Warbler by Spinning World): Del Mar Collection FL 5000ドル
  • Circumference (Circle Of Life by Belong To Me): Milky Way Farm CA 3000ドル

Noble Missionがケンタッキーで唯一のGalileo種牡馬でしたが、日本に輸出されてしまいました。新規で入る種牡馬がいないとケンタッキーにGalileo種牡馬がいなくなってしまいます。日本ではJBBAの静内スタリオンステーションに入ることが発表されていますが、種付け料は150万円ですから、直接比較はできないにしても今年の2万ドルから下がった印象になってしまいます。産駒にはG1を2勝し、Kentucky Derbyで2着のCode Of Honorがおり、3歳でTravers SとJockey Club Gold Cupを勝って悪くありませんが、古馬の今年は今一つでした。Noble Mission産駒は日本や欧州に輸出される個体も多くあるようですし、また今年3歳となる2世代目が37頭と少ないことで北米だけでは印象が弱くなってしまいました。
Treasure BeachはアルゼンチンにシャトルされておりあちらではG1馬が出ていますが、北米ではフロリダ供用でちょっと難しい状況。

CoolmoreのGalileo後継

総本山。これにGalileo自身が加わる陣容。

Galileo本人がまだ強すぎるせいか、後継陣ではGleneagles、Churchill、Australiaが上位になっていますが、Australiaに少し産駒実績があるくらいです。Gleneaglesは産駒が走り始めたばかりで、Churchill産駒はデビュー前。総じてこれからの種牡馬ばかりではありますが、少々物足りなさはあるか。
AdelaideはCoolmore Australiaのみ。ChurchillはCoolmore Australiaにシャトルされています。また、GleneaglesはチリのHaras Don Albertoにシャトルされています。

その他のアイルランド

  • Battle Of Marengo (Anna Karenina by Green Desert): Ballyhane Stud IRE 4000ユーロ
  • Decorated Knight (Pearing by Storm Cat): Irish National Stud IRE 9000ユーロ
  • Finsceal Fior (Finsceal Beo by Mr. Greeley): Green Hills Stud IRE Private
  • Teofilo (Speirbhean by Danehill): Kildangan Stud IRE 40000ユーロ
  • Waldgeist (Waldlerche by Monsun): Ballylinch Stud IRE 17500ユーロ
  • Altruistic (Altesse Imperiale by Rock Of Gibraltar): Rosshill Farm IRE 500ユーロ

種牡馬としての実績を積み始めたTeofiloと今年からのWaldgeistがいます。Teofiloは早くも自身の後継種牡馬であるHavana GoldがG1馬を出していますし、オーストラリアでPalentinoも種牡馬入りしていてこの方面では一歩先んじています。

イギリス繋養種牡馬

  • Flag Of Honor (Hawala by Warning): The National Stud ENG 4500ポンド
  • Frankel (Kind by Danehill): Banstead Manor Stud ENG 175000ポンド
  • Mondialiste (Occupandiste by Kaldoun): Elwick Stud ENG 6000ポンド
  • Nathaniel (Magnificient Style by Silver Hawk): Newsells Park Stud ENG 25000ポンド
  • New Approach (Park Express by Ahonoora): Dalham Hall Stud ENG 30000ポンド
  • Proconsul (Kind by Danehill): Mickley Stud ENG 3500ポンド
  • Sixties Icon (Love Divine by Diesis): Norman Court Stud ENG 6000ポンド
  • Sun Central (Bordighero by Alysheba): Elusive Bloodstock ENG 2000ポンド
  • Telescope (Velouette by Darshaan): Shade Oak Stud ENG 3000ポンド
  • Ulysses (Light Shift by Kingmambo): Cheveley Park Stud ENG 15000ポンド
  • Forever Now (All's Forgotten by Darshaan): Norton Grove Stud 1000ポンド

Frankelがとにかく強い。実績面でもちょっと抜けているので納得の状況とは言えます。そこに続くのがNew ApproachとNathaniel
Ulyssesは産駒デビュー前ですがセールの上場馬などをみていると、Cheveley ParkということでPolar Falcon-Pivotalを使っているケースがかなりあって独特の世界を築きそう。

フランス繋養種牡馬

  • Galiway (Danzigaway by Danehill): Haras De Colleville FR 10000ユーロ
  • Intello (Impressionnante by Danehill): Haras Du Quesnay FR 12500ユーロ
  • Magician (Absolutelyfabulous by Mozart): Haras Du Corlay FR 3800ユーロ
  • Recorder (Memory by Danehill Dancer): Haras De Montfort Et Preaux FR 5000ユーロ
  • Ruler Of The World (Love Me True by Kingmambo): Haras De Bouquetot FR 6000ユーロ
  • Taj Mahal (You'resothrilling by Storm Cat): Haras De La Haie Neuve FR Private
  • Magneticjim (Dibenoise by Kendor): Haras De La Haie Neuve FR 1800ユーロ
  • Prince Nomad (En Public by Rainbow Quest): Haras Dael FR 1500ユーロ
  • The Anvil (Brightest by Rainbow Quest): Haras Du Grand Chesnaie FR 3000ユーロ

GaliwayとIntelloの看板二枚といったところ。
Ruler Of The Worldは去年までCoolmoreにいましたが、今年からフランスに移っています。Love Me TrueはSeattle Slewの代わりにAlydarが入ったLemon Drop Kidと考えるとちょっとつらいよね。去年Iridessaが牝馬限定戦で勝ってくれてBCも含んでいるので全然ダメでしたというほどではありませんが。

Rest of the World

  • Cape Blanco (Laurel Delight by Presidium): JBBA Shizunai Stallion Station JPN
  • Singe The Turf (Affianced by Erins Isle): Haras Rancho Fatima PER
  • Yazamaan (Moon's Whisper by Storm Cat): Haras Gina-Santa Rosa PER
  • Ursa Major (Inchyre by Shirley Heights): Mustang Stud UKR Private
  • Juniper Tree (Alexander Goldrun by Gold Away): York Stutteri DEN 16000クローネ

日本に導入される前のCape BlancoはAshford Studに種牡馬入りし、ニュージーランドのCambridge Studにシャトルされていました。そのころも含めてここまで種牡馬としての実績はさっぱりです。同父のNoble Missionに押し出されるように来年は七戸に移動します。乱暴な言い方をするならば、Cape Blancoは失敗だったので代わりにKindの二番手が来てよかったね、です。
南米ではペルーの2頭が検索に引っかかりましたが、他にもアルゼンチンにHeliostaticやCima De Triompheがいるはずです。Soldier Of Fortuneはいつの間にやらインドに送られています。
Alexander Goldrunの子がデンマーク種牡馬入りしていますが、よくわかりません。