Dubai World Cup: G1 Meydan Dirt 2000m

北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、総賞金1200万ドル。

今年からEmirates Racing Authorityが開催するDubai International MeetingのスケジュールにはSaudi Cupの開催による影響が出ており、3回開催されR3がG1だったMaktoum Challenge RoundはまとめてFashion Fridayと銘打った1月末の開催に持って行き、2月のSaudi Cupとぶつからない日程となった。また芝戦だがJebel Hattaも同じところに持っていかれたため、本戦1ヶ月前のSuper Saturdayの様相は大きく変わっている。DWCの前哨戦としてはG2 Al Maktoum Classicというレースがダート1900mで実施されていた。

Saudi Cupからの転戦馬は北米勢ではSenor Buscadorとサウジアラビアに転厩しているDefunded、日本勢がUshba TesoroにDerma Sotogakeである。新たにドバイに遠征してきたのが、北米からG1 Pegasus World Cupで3着のCrupi、G1 Santa Anita Hを勝ったNewgate、日本からはG1フェブラリーSをステップにしてWilson TesoroとDura Erede。地元路線の注目は謎のキャリアとなっているKabirkhan、マイル圧勝のLaurel Riverといったところか。

Senor BuscadorとUshba Tesoroに立て直したDerma Sotogakeが勝負するという見立てで良いのではないか。

Ushba Tesoro: Orfevre - Millefeui Attach by King Kamehameha

日本産馬7歳、ウシュバテソーロ。

去年の勝ち馬でBC Classicが5着、東京大賞典勝ち、Saudi Cupが2着。

BC Classicの結果でもこのメンバーで先着を許したのはDerma Sotogakeだけで、Senor Buscadorには先着しているんですよね。まあ、前走と同じくSenor Buscadorとの差し争いをするんじゃなかろうか。

Derma Sotogake: Mind Your Biscuits - Amour Poesie by Neo Universe

日本産馬4歳、デルマソトガケ。

去年のUAE Derby勝ち馬でそこからKentucky Derbyに出走して6着、休み明け直行となったBC Classicが2着、前走のSaudi Cupが5着である。レースに多く使えているわけではないが、去年のKentucky Derby出走馬のその後を見るに最上位のG1で勝ち負けに絡むレベルで走れているというだけで十分ともいえる。

前走のSaudi Cupは輸送の影響が大きかったということで、立て直していれば十分勝負圏内というかBC Classicの2着馬様ですよくらいの。

北米はちょっとDurableということを考えた方がよいのではなかろうかという気がしなくもない。

Defunded: Dialed In - Wind Caper by Touch Gold

アメリカ産馬6歳。

サウジアラビアに移籍して初戦となったSaudi Cupでは7着。北米時代は西海岸のコンテンダーで、Senor Buscadorとは何度も対戦しやや分が悪いが、Hollywood Gold Cupでは逃げ切りを決めている。追い込んで届くかどうかというSenor Buscadorの事情によるところが大きい。

Kabirkhan: California Chrome - Little Emily by Castledale

アメリカ産馬4歳。

2021年のKeeneland September Yearlingに上場され、カザフスタンのエージェントNadir Shassanovが12000ドルで落札している。Book 5での上場はSelectedではない競りであった。

カザフスタンでデビューしAlmatyで3連勝でG1を勝っている。これが2歳のダート1600mなのでBolashak Prizeではないかと思われる。

3歳になるとロシアに移籍してNal'ChikやらPyatigorskといった南部連邦管区で出走していて連勝を続けます。初戦となっているPyatigorskのG3は2000mなので古馬混合のEntrance Sか。その後Pyatigorskの2000mというG2を勝っていますが、10年前とレース体系が変わっていなければAnilin Sですかね。PyatigorskとNal'ChikのDerbyも勝っていて無傷の8連勝でKrasnodarのRussian Derbyに出走したがここは同じくアメリカ産馬のHero Moに敗れて2着だった。

今年はドバイに移籍となり、まず初戦でRussian Derbyで敗れたHero Moに雪辱を果たすと、再編されたサラブレッドの前哨戦体系のG1 Al Maktoum Challengeを勝って話題となった。

カザフスタンではロシア産馬が多く、ここに中欧産馬が絡んでくるようなケースが目立ちます。これだとポーランド産馬が強かったりするのですが、こんなところに北米のとりわけケンタッキー産馬でKeenelandのイヤリングに上場してくるような馬を連れてきたら反則でしょう。とはいえ、カザフスタン時代のライバルは同じくNadir Shassanovがアメリカで買ってきたSky Indyだし、ロシア時代もほぼアメリカ産馬との勝負になっています。まあ、ロシアだと相手のアメリカ産馬の価格がワンランク上がってるの露骨だよね。

Newgate: Into Mischief - Majestic Prince by Majestic Warrior

アメリカ産馬4歳。

3歳の三冠路線ではBob Baffert厩舎の運動会であるところのG3 Robert B Lewis Sを勝ったが、その後に飛節に問題があるということで休養した。復帰は今年になってからのSanta Anitaの条件戦で、これを2着するとG2 San Pasqual Sでも2着となった。ここをステップとしてG1 Santa Anita Hを勝って何とか北米古馬としての形ができたといったところ。

Senor Buscador: Mineshaft - Rose's Desert by Desert God

アメリカ産馬6歳。

主に西海岸の古馬中距離路線の上位馬だが勝ちが遠いという印象であった。Pegasus World Cupの2着から中東遠征に出て、前走のSaudi Cupは最後にUshba Tesoroを差し切っての勝利。

追い込みを得意とするがコーナーで捲るような手を持っていないため、直線勝負に賭ける。結果として直線の距離が足りなくて善戦どまりかそもそも末脚が不発で沈んだままという結果になりやすい。広いBelmontが使えずAqueductで代替開催されているというのも不運ではあったか。返ってRiyadhのKing AbdulazizやこのMeydanでは彼にとって十分な長さの直線があるわけで、今回も脅威である。

Wilson Tesoro: Kitasan Black - Chesutoke Rose by Uncle Mo

日本産馬5歳、ウィルソンテソーロ。

ダートで勝ち上がりから4連勝、OPでの敗戦を挟んで交流G3を3連勝として去年の後半からG1路線に定着し、G1チャンピオンズカップとG1東京大賞典で2着に入った。前走のG1フェブラリーSは8着。

追い込みから上がり最速でレモンポップの2着に来たあとに、逃げてウシュバテソーロにつかまっての2着と訳が分からないが、基本的に速い上がりを繰り出せる。ただ、後ろからはUshba Tesoroが来るため、ある程度前でレースを作る役割を期待されるところはあり、東京大賞典のような形になるのだろう。

Dura Erede: Duramente - Marchesa by Orfevre

日本産馬4歳、ドゥラエレーデ。

2歳でG1ホープフルSに勝ったがその後は勝ちから遠ざかっており、UAE DerbyでDerma Sotogakeの2着に入ったのがもっともよい結果であった。G1チャンピオンズカップとG1東京大賞典ではともに3着とウィルソンテソーロに先着されており、度外視で良さそうなG1フェブラリーSでも12着とウィルソンテソーロの前でゴールできない。

Crupi: Curlin - Don'tforgetaboutme by Malibu Moon

アメリカ産馬4歳。

未勝利のまま三冠路線のG2 Risen Star S、G2 Wood Memorial Sに出走するがいずれも勝負にはならなかった。その後Monmouthで勝ち上がり、条件戦勝ちの後、G2 Pennsylvania Derbyで5着、Listed戦を連勝してG1 Pegasus World Cupを3着というキャリアである。

追い込み馬でSenor Buscadorと同タイプ。前走ではそのSenor Buscadorについていけずまだ少し差があるように思う。

Laurel River: Into Mischief - Calm Water by Empire Maker

アメリカ産馬6歳。

UAE調教馬。北米時代はG2 Pat O'Brien Sの勝ちがある。その後長いブランクがあり、今年のMeydanで復帰した。前走はG3のBurj Nahaarを勝っている。

Burj Nahaarを圧勝したとはいえ1600mまでしか距離経験がない状態での挑戦は結構厳しいだろう。母系はCoup De Genieに遡り、NiarchosからJuddmonteの手に渡ったものである。A.P. IndyにTouch Gold、Empire Maker、Into Mischiefという累代は2000mを問題にしないように思われる。

Clapton: Brethren - Alexander Rylee by Afleet Alex

アメリカ産馬5歳。

フロリダ産馬でGulfstream Parkを主戦場としていた。去年から一線級に出世しG3 Ghostzapper SとG2 Lukas Classicを勝っている。BC Classicは11着で、今年はドバイ遠征でG1 Al Maktoum Challengeで3着、前走はG2 Al Maktoum Classicで3着。

Military Law: Dubawi - Marine Bleue by Desert Prince

イギリス産馬9歳。

UAE調教で前走のG2 Al Maktoum Classicの勝ち馬。その前はG1 Al Maktoum Challengeで6着だった。