Kentucky Derby Contenders: Churchill Downs G1 Dirt 10F

150回目のRun for the ROSES、主催者によれば”the World's Most Storied Horse Race"。

先週末に主要な前哨戦の結果が揃った。今年はRoad to the Kentucky Derbyのポイント上位で離脱したのがTimberlakeだけで、去年に続いてボーダーのポイントが爆上がりしている。Santa Anita Derbyの2着馬をこぼしかけたせいなのかは知らないが、2着馬以降へのポイント配分が大きくなっていて影響があったかもしれない。European Roadからの出走表明はなく、Japan Roadからは出走があるのも去年と同じになりそうで、この招待枠を除いて19枠を争う。Japan Roadからの招待枠となるテーオーパスワードの40ptを別に置くと、出走ボーダーは45ptのNo More Timeで、あとはここから脱落が出たとしてどこまでボーダーが下がってくるかという状況となっている。現時点ではEndlesslyが芝に向かう可能性があるくらいの状況である。

週末に最終切符を掛けたG3 Lexington Sが残されているが、エントリーリストと現在のLeader Boardを確認すると滑り込める可能性を残しているのは30pt持ちのHadesが勝って20ptを追加するケースのみ。ボーダーが下がる場合にも40pt持ちのGrand Mo The Firstがいるので、20ptのEncinoは勝ってもそこに並ぶまで、19ptのLiberal Artsは補欠一番手を確保することができない。1着Encino、2着Hadesとなった場合は40ptで3頭が並ぶが、Lexington Sが40万ドルレースであるため、Encinoが賞金で優位に立つ。Hadesの陣営が何とかしたいというのはまあ分かる。

なお、今年のBaffert大先生は0ptで荒らしまくっており、本来ならMuthが125pt、Imaginationが100pt、Wine Me Upでも40ptを持っていた計算となる。MuthのオーナーであるZedan Racing Stablesから4月3日に処分解除の訴訟が提起されているが、Churchill Downsは4月8日にこれの却下を求める申し立てを行ったChurchill DownsはZedan Racingの訴訟に対して反Slappの動議を出し手続きの停止を狙っているため、Zedan Racingは4月11日に反論を提出し、4月15日に裁判所の審理が行われると伝えられている。結果がどうであれ上級裁判所への控訴が可能らしく、レースまでに完全な結着が得られる見込みは薄いのではないか。裁判手続きの中でChurchill DownsによるBaffertの関与禁止処分をペンディングできるかどうかの争いになっているように見える。状況の確認という点に留めるが、MuthとImaginationがいた場合はボーダーが50ptラインに上昇する。とりあえずArkansas Derbyの勝ち馬MuthはPreakness Sに直行することが表明され、Imaginationの次走についてはコメントされていない。

近年の傾向ではFlorida Derbyをファイナルプレップに選んだ馬が優勢で、続くのが中南部Arkansas DerbyやLouisiana Derbyを選んできたケース。西海岸のSanta Anita Derbyは若干落ちるし、NYのWood Memorial出走馬はちょっと厳しいということになる。KYのBlue Grass Sは有力プレップであるが、勝つところまでは遠い。

Thoroughbred Daily NewsにはDerby Top 12という連載記事があり、そこではMuthの評価が高く、Fircenessにはちょっと辛いという印象を受けた。Forever YoungはUAE Derby後にMuth、Sierra Leoneに次ぐ3番手に評価されている。また、Blood-Horseにも同種のDerby Dozenがあり、こちらはFierceness、Sierra Leone、Forever Youngの順に評価されている。Blood-HorseのDerby Dozenは初期からForever Youngをランクインさせており、プレップの結果で3番手にまで上げてきた。

EquibaseのHorse ProfileとPedigreequeryの血統表にリンクを貼ってみたのでそちらを参考にして欲しい。

Sierra Leone: Gun Runner - Heavenly Love by Malibu Moon

Horse Profile (Equibase)Sierra Leone Horse Pedigree

4戦3勝、155pt、KY産馬、2-b族、Chad Brown厩舎。

1着: Blue Grass S(Keeneland G1、100pt)、Risen Star S(Fair Grounds G2、50pt)

2着: Ramsen S(Aqueduct  G2、5pt)

クールモアグループとPeter Brantのジョイントオーナーシップ。

今年2戦2勝でBlue Grass Sからの臨戦となった。Risen Star Sも勝っており、まず文句のつかない戦績ではあるが、Blue Grass SからKentucky Derbyというパターンは好走しても勝つところまでいかないという事になりがちでもある。

過去のBlue Grass S勝ち馬を見るとKentucky Derbyを勝ったのは1991年のStrike The Goldまで遡らなければならない。出走馬として見ても2007年にBlue Grass Sを2着から勝ったStreet Senseまで遡る。他にはThunder GulchSea Heroが出てくるが、まあ軒並み古い事例で少し参考にしづらい。そうは言っても開催が1週前倒しされてからの勝ち馬ではEssential Quality、Zandon、Vekoma、Good Magicと上位に来る馬には事欠かないし、彼らと同じ期待を掛けてもよいレベルだろう。

一方でRisen Star S勝ち馬は2021年のMandalounがKentucky Derbyを繰り上がりの結果とはいえ勝っている。この時はファイナルプレップにLouisiana Derbyを選んで6着からの参戦だった。また、2019年のCountry HouseもRisen Star Sを2着してLouisiana、Arkansasと使ってからのKentucky Derbyだった。このあたりはまあ、Fair GroundなのでLouisiana Derbyか近いArkansas Derbyを選んでくる通常のパターンである。

2-d族Pia's LadyからRoamin Rachelを通るファミリーで祖母Darling My DarlingからはForever Youngも出ている。

Fierceness: City Of Light - Nonna Bella by Stay Thirsty

Horse Profile (Equibase)Fierceness Horse Pedigree

5戦3勝、136pt、KY産馬、20号族、Todd Pletcher厩舎。

1着: BC Juvenile(Santa Anita G1、30pt)、Florida Derby(Gulfstream Park G1、100pt)

3着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、6pt)

去年のBC Juvenileを勝った2歳チャンピオン。今年は2戦1勝ながら最重要のFlorida Derbyを逃げて圧勝してきた。勝ち時計、ラップタイムともに今年のメンバーでは突出しており、何事もなければ一番人気は確実なレベルだろう。Holy Bull Sは3着だが、スタートでごちゃつき外々を回って、Hadesと競りながら直線に入るものの失速し、Domestic Productにも差された。斤量も6ポンド背負う立場であって度外視してよいだろう。

逃げると止まらないし、前に行かれてもBCでGeneral Partnerに対してしたように圧を掛けて潰しに行けるので、基本的には優位な展開を取れそうである。勝つときは圧勝するが、Champagne SとHoly Bull Sの負け方がかなり印象を悪くしているようだ。

A.G. Vanderbiltの20号族Now Whatの牝系でMiesque一族とは同根である。

父City Of LightはBC Dirt MileなどG1を4勝した。7F戦で見せたスピードで9F、10Fにも対応してくる近年のトレンドに乗ったタイプであり、2年目産駒のFircenessが初めてのG1馬となった。

Catching Freedom: Constitution - Catch My Drift by Pioneerof The Nile

Horse Profile (Equibase)Catching Freedom Horse Pedigree

5戦3勝、125pt、KY産馬、42号族、Brad Cox厩舎。

1着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、100pt)、Smarty Jones S(Oaklawn Listed、10pt)

3着: Risen Star S(Fair Grounds G2、15pt)

Risen Star Sの3着馬で、同2着のTrack Phantomを逆転してLouisiana Derbyを勝った。また、Risen Star Sは4着のResilienceがAqueductでWood Memorialを勝っており、上位が安定した結果を残している。

母系はマイナーな42号族。全体で見てもアルゼンチンで活躍したStorm Mayorが目立つ程度である。Catching FreedomはApril Viewの経路であり、オーストラリアのMid Summer MusicやサウジアラビアのBorj Alkuwaitが出た方に近い。

Stronghold: Ghostzapper - Spectator by Jimmy Creed

Horse Profile (Equibase)Stronghold Horse Pedigree

6戦3勝、125pt、KY産馬、9-f族、Phil D'Amato厩舎。

1着: Santa Anita Derby(Santa Anita G1、100pt)、Sunland Park Derby(Sunland Park G3、20pt)

2着: Los Alamitos Futurity(Los Alamitos G1、5pt)

かつてMine That Birdが使ったことで知られるニューメキシコのSunland Derbyの勝ち馬。今年から開催が1ヶ月早まり、Sunland Derby後にファイナルプレップを使うことが可能となった。そうしたらいきなりSanta Anita Derbyを抜いてきたわけで、狙い通りといったところだろうか。

9-f族のうちRose Leavesの分岐に属しているが主流のSleek DancerではなくPandoraからGay Rigに流れるファミリー。香港のVoyage Bubbleが近親に出ている。

Resilience: Into Mischief - Meadowsweet by Smart Strike

Horse Profile (Equibase)Resilience Horse Pedigree

6戦2勝、110pt、KY産馬、3-n族、Bill Mott厩舎。

1着: Wood Memorial S(Aqueduct G2、100pt)

4着: Risen Star S(Fair Grounds G2、10pt)

4戦目で勝ち上がり、重賞初挑戦だったRisen Star Sを4着のあとニューヨークに向かいAqueductのWood Memorialを勝った。

3-n族Winters Loveの牝系で、突出した名牝であったTranquility Lakeが生涯の最後にたった一頭残した後継の繁殖馬がResilienceの母Meadowsweetである。

Forever Young: Real Steel - Forever Darling by Congrats

Horse Profile (Equibase)Forever Young Horse Pedigree

5戦5勝、100pt、JPN産馬、2-b族、Yoshito Yahagi厩舎。

1着: UAE Derby(Meydan G2、100pt)

ポイント対象レースはUAE Derbyのみとなるが、他にG3 JBC2歳優駿、G1全日本2歳優駿、G3 Saudi Derbyを勝っている。

去年のDerma Sotogakeに続き、中東遠征からUAE Derbyの100ptを手にChurchill Downsに挑む日本産馬。UAE Derbyの役回りとしては、Kentucky Derbyのファイナルプレップとして日本調教馬や欧州調教馬にポイントを付けて本戦に呼ぶといったところか。それぞれに別途路線が用意され招待枠もあるのだが、遠征経験ができ、重賞クラスが来ることは考えにくいとはいえ北米調教馬ともレースをできるMeydanはこの場合には優先度が高くなる。

ダートのキックバックを嫌うことが懸念点に挙げられる一方、イン有利の馬場とみられるDWC開催のMeydanのダートトラックで外からねじ伏せたことは高く評価されている。

血統はDarling My Darlingを祖母とする2-b族でSierra Leoneはかなり酷似した血統構成の従弟である。

Endlessly: Oscar Performance - Dream Fuhrever by Langfuhr

Horse Profile (Equibase)Endlessly Horse Pedigree

6戦5勝、100pt、KY産馬、9-f族、Michael McCarthy厩舎。

1着: Jeff Ruby S(Turfway Park G3、100pt)

Turfway ParkのG3で100ptが貰えるのはちょっとしたバグにも思えるのだが、過去にはAnimal Kingdomがここを勝って間に合い本戦を制した。また去年のTwo Phil'sも本番で2着に来ていて、ときどき侮れない。

2歳の4戦は全て芝コースで、Del Marの芝戦でデビューするとG3 Del Mar Juvenile Turf S、G3 Zuma Beach Sまで3連勝した。北米芝路線の上位馬としてBC Juvenile Turfでも人気を集めていたが、直線の伸びを欠き8着に終わっている。

3歳シーズンはサンフランシスコのEl Camino Real Derbyを勝利して、前走のJeff Ruby Sも勝った。3歳になって芝から転向しているが、出走したのがGolden Gate FieldsとTurfway Parkであるため、どちらもオールウェザー馬場である。なのでダートでのレース経験はない。陣営は芝のG2 American Turf Sへの出走も視野に入れている。

今年のJeff Ruby Sのレースレベルは去年より劣る評価であるし、何よりTwo Phil'sはRisen Star Sを3着などの実績持ちだったため、Endlesslyを同様に評価するのは難しい。

母系は9-f族Rose LeavesでSleek Dancerを経由して、Strongholdより主流寄りである。従姉にCoffee Cliqueが出ている。

Dornoch: Good Magic - Puca by Big Brown

Horse Profile (Equibase)Dornoch Horse Pedigree

6戦3勝、75pt、KY産馬、5-g族、Danny Gargan厩舎。

1着: Fountain Of Youth S(Gulfstream Park G2、50pt)、Remsen S(Aqueduct G2、10pt)

4着: Blue Grass S(Keeneland G1、15pt)

2歳でRemsen SではSierra Leoneを下し、3歳の初戦でFountain Of Youth Sを勝って極めて順調だったが、Blue Grass Sのレース内容がよくない。

Quick Touchから広がる5-g族の傍流であるが、全兄には去年のKentucky Derby馬Mageを持つ。キャリアだけならFountain Of Youth Sで4着、Florida Derbyで2着のMageより見映えは良さそうだが、あちらは上り調子でKentucky Derbyに向かったところが違っている。兄よりは前に付けられるタイプ。

Just A Touch: Justify - Touching Beauty by Tapit

Horse Profile (Equibase)Just a Touch Horse Pedigree

3戦1勝、75pt、KY産馬、4-g族、Brad Cox厩舎。

2着: Blue Grass S(Keeneland G1、50pt)、Gotham S(Aqueduct G3、25pt)

今年デビューしてキャリアは3戦。Blue Grass Sでは一時先頭に立つなど健闘したが、Sierra Leoneにねじ伏せられた。

E.P. TaylorのWindfields Farmを支えた名族でCibouletteの半妹Icy Replyに属する4-g族。JustifyにTapitの組み合わせはやや強引ながら十分でPulpitNijinskyのクロスが発生する。祖母の父Ikariはマイナーな種牡馬だが、Tartan Farmの残滓でKillaloeの血を引いており、Unbridledの存在を強調する。

Track Phantom: Quality Road - Miss Sunset by Into Mischief

Horse Profile (Equibase)Track Phantom Horse Pedigree

7戦3勝、70pt、KY産馬、4-m族、Steve Asmussen厩舎。

1着: Lecomte S(Fair Grounds G3、20pt)、Gun Runner S(Fair Grounds Listed、10pt)

2着: Risen Star S(Fair Grounds G2、25pt)

4着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、15pt)

Churchill Downsで3戦して勝ち上がってからはFair Groundsで戦い抜いた。10月のデビューからコンスタントに使われて7戦目となったLouisiana Derbyでややパフォーマンスを落としているのは気に掛けた方がよいだろう。

4-m族Sanfaraの牝系だがマイナーでIcelandic Dancerが繁殖牝馬として成功してファミリーのステージが上昇した。祖母Tuscan Sunsetが産まれるころにはTrippiを使えるレベルにまで上がっており、更にその繁殖入り後はInto Mischiefにまで手が届いている。Miss SunsetはG2を勝ち、G1 Madison Sで2着になる結果を残して繁殖入り。一級の牝系にのし上がったと言える。

West Saratoga: Exaggerator - Mo Wicked by Uncle Mo

Horse Profile (Equibase)West Saratoga Horse Pedigree

10戦2勝、67pt、KY産馬、2-d族、Larry Demetoritte厩舎。

1着: Iroquois S(Churchill Downs G3、10pt)

2着: Jeff Ruby S(Turfway Park G3、50pt)

3着: Sam F. Davis S(Tampa Bay G3、6pt)

5着: Breeders' Futurity(Keeneland G1、1pt)

ポイントレースの開幕を告げるG3 Iroquois Sの勝ち馬。今年の出走がTampa BayとTurfway Parkでなかなかの空き巣ぶりである。

2-d Mother Goose牝系のHome-Made分岐に属している。近親には2歳で3勝しG1 Alcibiades Sを勝って将来を期待されるも骨折により引退したWickedly Perfectがいる。

Just Steel: Justify - Irish Lights by Fastnet Rock

Horse Profile (Equibase)Just Steel Horse Pedigree

11戦2勝、65pt、KY産馬、4-m族、Wayne Lukas厩舎。

2着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1、50pt)、Southwest S(Oaklawn Park G3、10pt)、Smarty Jones S(Oaklawn Park Listed、5pt)

Oaklawn路線の2着でポイントを積み上げた。なおRebel Sにも出走しているが7着で、Arkansas Derbyで立て直してきたと言える。Arkansas DerbyはMuthが強かったが、彼はBaffert案件である。

2歳のG1では敷居が高いように思われたが、3歳に入ると通用するようになってきた。

4-m族の大ファミリーのひとつPortageの牝系である。母Irish LightsはオーストラリアでG1 Thousand Guineasを勝った。

Honor Marie: Honor Code - Dame Marie by Smart Strike

Horse Profile (Equibase)Honor Marie Horse Pedigree

5戦2勝、65pt、KY産馬、3-c族、Whit Beckman厩舎。

1着: Kentucky Jockey Club S(Churchill Downs G2、10pt)

2着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、50pt)

5着: Risen Star S(Fair Grounds G2、5pt)

2歳の高額賞金G2 Kentucky Jockey Club Sの勝ち馬。追い込みが効くかどうかというタイプでRisen Star Sでは不発で5着に終わっている。

欧州系の3-c族Urshalimのファミリーで母の半兄にSt. Legerを勝ったRule Of Lawが出ている他、フランスのFeed The Flameも近親である。

Domestic Product: Practical Joke - Goods And Services by Paynter

Horse Profile (Equibase)Domestic Product Horse Pedigree

5戦2勝、60pt、KY産馬、3-d族、Chad Brown厩舎。

1着: Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、50pt)

2着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、10pt)

2歳はNYでRemsen Sに出走したが7着。今年はフロリダで調整し、Tampa Bay Derbyを勝った。ポイントは足りており、ファイナルプレップのシリーズには出走していない。

主戦のTyler GaffalioneをSierra Leoneに持っていかれてしまったが、Irad Ortiz Jr.が降ってきた。

3-d族でピクシーナイトやAlphabet Kissesが出ているSome Pompの流れ。

Catalytic: Catalina Cruiser - One Show Only by Distorted Humor

Horse Profile (Equibase)Catalytic Horse Pedigree

3戦1勝、50pt、KY産馬、1-x族、Saffie Joseph Jr.厩舎。

2着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、50pt)

去年の10月にデビュー戦を勝ち上がったあとは出走せず、今年の3月にTampa Bayで復帰した。Florida Derbyは2着とはいえ、勝ったFiercenessには13馬身半の差を付けられており、勝ち馬以外は評価できないだろう。

Get LuckyからShe's A Winnerに流れる1-x族。もっとも近いG1馬がBluegrass Catでその他、近親にはG1馬が多数出ている。

Deterministic: Liam's Map - Giulio's Jewel by Speightstown

Horse Profile (Equibase)Deterministic Horse Pedigree

3戦2勝、50pt、KY産馬、A4族、Christophe Clement厩舎。

1着: Gotham S(Aqueduct G3、50pt)

2歳の夏にSaratogaで勝ち上がり、2戦目が今年3月のGotham S。前走はWood Memorialに出走して8着だった。

アメリカンファミリーの重要な勢力であるA4族のCourtly Deeに属している。

Society Man: Good Magic - You Cheated by Colonel John

Horse Profile (Equibase)Society Man Horse Pedigree

5戦1勝、50pt、KY産馬、12-c族、Danny Gargan厩舎。

2着: Wood Memorial S(Aqueduct G2、50pt)

Saratogaでデビューし、Aqueductでキャリアを積んだ。未勝利時に出走したG3 Withers Sでは8着。3月になって初勝利を挙げると、続くWood Memorialで2着に入って大穴を開けた。

12-c Skylarkingの牝系でFar BeyondからBattle Creek Girlを経由したもの。ボトムラインの更新が極めて速く、Battle Creek Girlが6代前になっている。

Mystik Dan: Goldencents - Ma'am by Colonel John

Horse Profile (Equibase)Mystik Dan Horse Pedigree

6戦2勝、46pt、KY産馬、4-r族、Kenny McPeak厩舎。

1着: Southwest S(Oaklawn Park G3、20pt)

3着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1、25pt)

5着: Smarty Jones S(Oaklawn Park Listed、1pt)

Southwest Sを8馬身差で勝利したが、Arkansas SはJust Steelにも差を付けられた3着。

北米に根差した4-r族でHillbrookの系統である。近親にLaraghやSiphonicなど。

No More Time: Not This Time - Baroness Juliette by Speightstown

Horse Profile (Equibase)No More Time Horse Pedigree

5戦2勝、45pt、IA産馬、4-r族、Jose D'Angelo厩舎。

1着: Sam F. Davis S(Tampa Bay G3、20pt)

2着: Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、25pt)

かなりレアなアイオワ産馬。レースキャリアはフロリダで、Gulfstream ParkとTampa Bayで出走している。

Mystik Danとは近親関係である。Cherokee CrossingにMedaglia D'Oro、Speightstown、Not This TimeでNo More Timeができあがり、Cherokee CrossingにSiphon、Colonel John、GoldencentsでMystik Danになる。つまりLaraghに近いのがNo More Time、Siphonicに近いのがMystik Danとも言える。

T O Password: Copano Rickey - T O Rachel by King Kamehameha

Horse Profile (Equibase)T O Password Horse Pedigree

2戦2勝、40pt(Japan Road Invite)、JPN産馬、A29族、Daisuke Takayanagi厩舎。

1着: 伏竜S(中山OP、40pt  as Japan Road)

5月20日の遅生まれでKentucky Derby当日でも満3歳を迎えていない。

1月に京都のダート1800mの新馬戦を2馬身差で勝って、続く伏竜Sも逃げ切って勝利。これでKentucky Derbyの出走枠が確保できるのはちょっとチートっぽい。とはいえJapan Roadは全日本二歳優駿を勝つような馬がKentucky Derbyを目指すなら明け3歳で中東に向かうだろうし、この手の年明けデビューだったり、台頭が遅れたケースを拾い上げる役割なのではないだろうか。その場合は伏竜Sを勝つことが必須という感じになりそうである。

Kentucky Derbyへの招待を受諾し、本戦では、去年のWoodbine開催で騎手リーディングを獲得したKazushi Kimuraが騎乗する。

アメリカンファミリーでも活躍馬の多いA29 Alibhai Roseの牝系に属しているがControlled Landingからの分岐でやや格落ちであった。

Grand Mo The First: Uncle Mo - Lilies So Fair by Giant's Causeway

Horse Profile (Equibase)Grand Mo The First Horse Pedigree

6戦2勝、40pt、KY産馬、A5族、Victor Barboza Jr.厩舎。

3着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、25pt)、Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、15pt)

現在は出走順位が21位で上位に回避馬が出ないと出走できない。また、Lexington SでHadesやEncinoがポイントを積んだ場合は順位が繰り下がる可能性が残る。

2歳の夏にGulfstream Parkでデビューして連勝すると、Santa AnitaのG3 Zuma Beach Sに遠征してこれも3着。フロリダに戻ってからはListedのSwale S、G3 Tampa Bay Derby、G1 Florida Derbyと3着が続く。

これといった見どころのあるレースはなく、Tampa Bay DerbyではDomestic ProductとNo More Timeに負け、Florida DerbyではHadesに先着していて、まあよくわかりやすい順位である。

A5族もアメリカンファミリーでは有力な一門で、その中でもIce Fantasyの牝系に属し、近親にはG1馬が多数出ている。

Hades: Awesome Slew - The Shady Lady by Quality Road

Horse Profile (Equibase)Hades Horse Pedigree

4戦3勝、30pt、FL産馬、2-n族、Joe Orseno厩舎。

1着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、20pt)

5着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、10pt)

4月13日のG3 Lexington Sに出走予定。このレースのポイント配分が20-10-6-4-2なので、勝って20ptを獲得すれば出走圏内に届く。2着の場合は40ptどまりだが、賞金額でGrand Mo The Firstを上回るので補欠一番手になる。

2歳の12月にデビューして連勝、G3 Holy Bull SではFiercenessを下して無傷の3連勝と非常に順調で高く評価されていたが、ファイナルプレップのG1 Florida Derbyでは2枠からのスタートでやや行き場を失って馬群の中でレースを進め、3コーナーでは外から被されて大きく後手を踏んだ。4コーナーで外に出して直線でようやく追い込んだものの5着に終わり、ちぐはぐでもったいないレースになってしまったので、強行してLexington Sを使ってでもというのは分からなくもない。

2-n族Happy Moodの牝系で三代母Pretty DiscreetからはDiscreet Cat、Discreetly Mineが出ている。フロリダの雄Ocala Studの生産である。

Encino: Nyquist - Glittering Jewel by Bernardini

Horse Profile (Equibase)Encino Horse Pedigree

3戦2勝、20pt、KY産馬、22-b族、Brad Cox厩舎。

1着: John Battaglia Memorial(Turfway Park Listed、20pt)

Godolphinオーナーブリード。Turfwayで3戦というキャリアで3月の初めにJohn Battaglia Memorialを勝ったが、ファイナルプレップには出てこずLexington Sに向かってきた。勝っても40ptまでで出走枠に入るにはそれ以外に何かが起こらなければならない。本戦出走へのこだわりは薄いように思われる。

母の半兄にStreet Senseが出ている22-b族のLong Legend系統。Long Legendの産駒にMr. Greeleyがいる他、Vekomaも近親である。

Muth: Good Magic - Hoppa by Uncle Mo

Horse Profile (Equibase) | Muth Horse Pedigree

6戦4勝、0pt、KY産馬、21-a族、Bob Baffert厩舎。

1着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1)、American Pharoah S(Santa Anita G1)

2着: BC Juvenile(Santa Anita G1)

125pt相当の結果である。この他にG3 San Vicente Sを勝ち、2歳のG3 Best Pal Sで2着の実績で普通に考えればFiercenessと並んでこの世代のトップを争う立場である。純粋に勝負ということならKentucky Derbyに出走して欲しいが、Zedan RacingとBaffertのコネクションはChurchill Downsが許さない。法廷闘争となっているため出走の可否は裁判所に委ねられているが、陣営としてはPreakness S直行というコメントが出ている。

21-aでGris Vitesseのファミリーである。かつてSilver Hawkを出している他、近年では南アフリカマイラーCharles Dickensや2歳芝のG1馬Carson's Runが出ている。

Imagination: Into Mischief - Magical Feeling by Empire Maker

Horse Profile (Equibase) | Imagination Horse Pedigree

6戦2勝、0pt、KY産馬、4-c族、Bob Baffert厩舎。

1着: San Felipe S(Santa Anita G3)

2着: Santa Anita Derby(Santa Anita G1)

Dettoriを主戦に迎え、San Felipe S勝ちとSanta Anita Derbyを2着で100pt相当。オーナーはTom RyanのSF Racingを中心としたシンジケートである。Zedan Racingの法廷闘争の結果がこちらに影響するのかは分からない。

Santa Anita Derby後にStrongholdとPreakness Sで再びまみえるという内容のポストが陣営からなされている。

4-c Sin Igualのファミリーで、近親に同じくSF Racingのシンジケートが所有するNational Treasureがいる。