Queen Elizabeth II Cup: G1 Sha Tin Turf 2000m

去年と情勢がほぼ変わっておらず、それならばRomantic Warriorの三連覇を阻むものはいないだろう。去年2着のPrognosisが今年も遠征しており、こちらも安定していそうである。

RandwickのQueen Elizabeth Sはイースター開催の都合で日程が前後するため、今年は香港のChampions Dayに中一週となってしまったことから、シドニーからの遠征馬はいない。遠征馬は日本からの3頭とお馴染みのDubai Honourである。メンバーが代わり映えしないので、香港の4歳でHong Kong Derbyを勝ってきたMassive Sovereignに期待を掛けられるかどうかといったところ。

Romantic Warrior: Acclamation - Folk Melody by Street Cry

香港Danny Shum厩舎の6歳馬。レート123。

香港の中距離最強馬。香港でデビューし、4戦全勝で4歳三冠に挑むと、Classic MileとHong Kong Derbyの二冠を獲得した。真ん中のClassic CupはCalifornia Spangleの4着で、このころまではCalifornia Spangleの方が香港での実績が上で安定していた。Hong Kong Derbyの次に出走したのが2022年のQueen Elizabeth II Cupで、この時は香港馬のみによるレースとなったが、地元の強豪Russian Emperorなどに完勝して香港の中距離路線のトップに立った。

昨シーズンはG2 Jockey Club Cupから始動し、続くG1 Hong Kong Cupでは日本から遠征したDanon The Kid以下を軽くひねりつぶしてその力を見せつけている。2023年になるとG1 Stewards’ CupとG1 Hong Kong Gold CupでGolden Sixtyとの勝負になるがいずれも2着、Queen Elizabeth II CupはPrognosisらに完勝し、Eishin Preston以来の連覇を達成した。同年中に日本遠征という話題も出たが、Champions And Chater Cupの2着でシーズンを終えると、最終的に秋はオーストラリアに向かった。

今シーズンはオーストラリアに遠征してG1 Turnbull Sを4着からG1 Cox Plateを勝った。香港に戻るとG1 Hong Kong Cup、G1 Hong Kong Gold Cupと連勝しており盤石である。Hong Kong Cupは好位から4コーナーで仕掛けたLuxembourgに反応して一緒に上り直線ですっと抜け出すと、最後に追い込んだLuxembourgとHishi Iguazuを抑えきった。Hong Kong Gold Cupは内待機で直線に向くと進路を確保してVoyage Bubbleとの競合いになったが、一度も前に出さずに完封した。直線の勝負所で難なく先頭に立つセンスとたたき合いで譲らないしぶとさを持つ。

かつてはMoney Catcherが引っ張る展開と相性が良くないようにも見えたがすでに克服しており、地元の2000mでの敗北は許されないようなレベルに到達しているとも言える。ここをクリアして、話題に出ている安田記念への遠征まで完遂してもらいたいというところ。

香港三冠が終わってからの戦歴では去年の序盤にGolden Sixtyに負けた2戦、2400mでRussian Emperorの一撃を食らったChampions And Chater Cup、オーストラリア遠征の初戦のTurnbull Sで負けただけで、Sha Tinの2000mで食らわせたGolden Sixtyが化け物すぎるという評価でいいのではないか。

Dubai Honour: Pride Of Dubai - Mondelice by Montjeu

イギリスWilliam Haggas厩舎の6歳馬。レートは121。

オーストラリアでG1を2勝している中距離馬。去年のQEII Cupは3着だった。

去年はシドニー遠征でRanvet S、Queen Elizabeth Sと2000mのG1を連勝して挑んだがRomantic Warriorに敵わなかった。その後、イギリスに戻ったがEclipse S、Champion Sとさっぱりの結果で、欧州でG1を戦えるタイプではない。今年はオーストラリア遠征はしておらず、前走はKemptonのオールウェザーのListed Magnolia Sを勝ってきた。

今年はオーストラリアのレースカレンダーとうまくかみ合っていないところがあり直接香港に遠征してきたが、シドニーに行っていた方が良かったのではないかと思う。

Hishi Iguazu: Heart's Cry - La Liz by Bernstein

日本堀厩舎の8歳馬。レートは119。

3度目の香港遠征である。これまでの2回は年末のHong Kong Cupでそれぞれ2着、3着の実績があり、Sha Tinの2000mに対応している。去年のHong Kong Cupでは国内でもさっぱりなところから3着に入っていてびっくりしたが、その後いったん戻って得意とする中山記念で11着からの再遠征は厳しい状態と思わざるを得ない。

Prognosis: Deep Impact - Velda by Observatory

日本中内田厩舎の6歳馬。レートは119。

去年の2着馬だが、勝ったRomantic Warriorからは2馬身の差を付けられていた。その後、札幌記念を勝ち、秋の天皇賞を3着として再度香港に出向いたHong Kong Cupは5着。今回は金鯱賞を完勝してからの遠征で三度Romantic Warriorに挑むことになった。臨戦過程は去年とほぼ変わらない。

Straight Arron: Fastnet Rock - Imperial Lass by Tavistock

香港Caspar Fownes厩舎の5歳馬。レートは118。

香港の重賞戦線で活躍する中距離馬。今年はドバイに遠征してDubai Turfに出走して6着だった。トップレベルには足りない。G2 Jocky Club Cupで勝っている。

Sword Point: American Pharoah - Jazz Song by Fastnet Rock

香港Frankie Lor厩舎の5歳馬。レートは115。

こちらも香港の中距離重賞のプレイヤーであるが、Straight Arronに比べても一枚落ちといったところ。

Nimble Nimbus: Sacred Falls - Marahau by Pins

香港Ricky Yu厩舎の6歳馬。レートは114。

G3 Centenary Vaseの勝ち馬。香港の中距離路線組は今のRomantic Warriorに歯が立たない。

Five G Patch: Camelot - Uliana by Desert Prince

香港Tony Cruz厩舎の6歳馬。レートは113。

Class 2のハンデ戦に出走するレベルだが、重賞に出てきてもG3 Centenary Vaseで2着の実績を持っている。

North Bridge: Maurice - Amazing Moon by Admire Moon

日本奥村厩舎の6歳馬。レートは113。

前走はDohaに遠征してH.H. The Amir Trophyに出走して4着。インコースで窮屈なレースを強いられていたが、日本馬3頭中で最下位であった。

Happy Together: Dragon Pulse - Ruby Girl by Fast Company

香港Frankie Lor厩舎の5歳馬。レートは109。

G1も2000m戦も初出走という6歳馬。1800mではHappy ValleyのG3 January Cupを勝っている。

Massive Sovereign: No Nay Never - Sweet Charity by Myboycharlie

香港Dennis Yip厩舎の4歳馬。レートは106。

去年まではBroadhurstの馬名でO'Brien厩舎の所属だった。2勝を挙げたが、去勢し香港に移籍してきた。移籍後の初戦は今年の3月でClass 3のハンデ戦を快勝すると続いてHong Kong Derbyに出走してこれも勝った。

今年のHong Kong DerbyはHong Kong Classic MileとHong Kong Classic Cupの二冠を取っていたHelios Expressが8着に沈んで、2着は短距離路線からG1 Queen's Silver Jubilee Cupの2着をステップにしてきたGalaxy Patchが入ってきて評価が難しい。

全妹が日本に来ていて、12月の阪神でデビュー勝ちをしたラブコメディである。