Chairman's Sprint Prize: G1 Sha Tin Turf 1200m

レベルが高い香港の短距離シーンであるがそのチャンピオンが突然に不在となる事態に見舞われ、今年のSprint Prizeは前走を国外で結果を出してきた3頭が持ちレートの上位を占めている。そうはいってもそのうちの2頭は香港から遠征していたのだから、レベルの高さは相変わらずであるし、香港の4歳馬がこの時期に高いレートを持っていることもないので、次のトップを見極めるようなレースになるのではないか。

今年はAl Quoz Sprintの勝ち馬と高松宮記念の勝ち馬が香港で勝負する形となった。Al Quoz Sprintを勝ったCalifornia Spangleがレーティングではちょっと抜けだした存在になっているが、高松宮記念のMad CoolとVictor The Winnerは遜色ないものと考えてよいだろう。香港のレートだとCalifornia SpangleとVictor The Winnerに大きな差はない。

California Spangle: Starspangledbanner - Pearlitas Passion by High Chaparral

香港Tony Cruze厩舎の6歳馬。レート123。

香港の三冠路線ではRomantic Warriorと鎬を削ってClassic Cupに勝ち、Classic MileとHong Kong Derbyでは2着に入っている。その後の重賞戦線ではマイル路線に進み、さっそくG1 Champions MileでGolden Sixtyの2着に入って期待を集める存在となる。更には年末のHong Kong MileでGolden Sixtyの追い上げをしのいでG1勝利とキャリアに希望が満ちていた。明けて2023年になると香港の上位馬としてGolden Sixty、Romantic Warriorと並ぶ存在となったが、Golden Sixtyの存在は圧倒的であった。今シーズンは不振に陥り、マイラーとしての模索が続いていたが、1400mのG1 Queen's Silver Jubilee Cupで勝利すると、前走はMeydanに遠征し、G1 Al Quoz Sprintを勝ってスプリント路線に名乗りを上げた。香港に戻ってきてみたらスプリントに君臨していたLucky Sweynesseが骨折のため不在でこのレースの主役に躍り出た。

Starspangledbanner産駒は幅広い距離に対応できることが多く、California Spangleもそうだったのだろう。母父High Chaparralはかなり良いパターンでThe Wow Signalが出ているようにスピード勝負も可能。

Mad Cool: Dark Angel - Mad About You by Indian Ridge

日本池添厩舎の5歳馬。レートは116。

スプリンターズSを2着、Hong Kong Sprintを8着、高松宮記念を1着という成績。父がDark Angelで母父Indian Ridge、祖母がDanehill産駒のIrresistible Jewelであり、いかにも欧州のスプリンターといった構成になっている。高松宮記念は重馬場でマッドクールには向いていたのだろう。

年末の香港では外を回ったが直線では手応えがさっぱりで8着に沈んでしまったので、香港の馬場とレースへの対応という点で少し引かれてしまうところはあるか。この週末の香港の天候は良くなさそうで、馬場が渋ってくるとMad Coolには有利に働くだろう。

Victor The Winner: Toronado - Noetic by Cape Cross

香港Danny Shum厩舎の5歳馬。レートは115。

昨シーズンに1200mの下級戦で台頭すると、今季の初戦で斤量差が大きかったとはいえLucky Sweynesseを下した。更にG2 Jockey Club SprintでもLucky Sweynesseに抵抗しクビ差の2着と実力を見せていた。Centenary Sprintを勝ってG1馬として遠征してきた高松宮記念では逃げてレースを作り、最後はマッドクールとナムラクレアに交わされたものの3着となった。

地元に戻って今度はMad Coolを迎え撃つ立場になるのだが、California Spangleがドバイで勝って帰ってきて厄介な相手が増えたというところか。

Lucky With You: Artie Schiller - Heredera by Northern Meteor

香港Frankie Lor厩舎の6歳馬。レートは114。

去年のHong Kong Sprintの2着馬で今年もCentenary Sprintで2着に入ったが、その後Queen's Silver Jubilee Cup、The Sprint Cupをともに9着とよろしくない。特に本レースの前哨戦となるG2 The Sprint Cupで全く伸びを欠いたのは気になるところ。

Invincible Sage: Thronum - Thorsborne by Hinchinbrook

香港David Hall厩舎の4歳馬。レートは110。

前走のThe Sprint Cupで2着。他にBauhinia Sprint Trophyで2着の実績がある。

父ThronumはSnitzel産駒でStreet Cryの近親という血統。母父HinchinbrookはSnitzelの半弟となるからDanehillをRedoute's ChoiceとFastnet Rockから引く形でのSnitzel≒Hinchinbrookで攻める血統。

Howdeepisyourlove: Deep Field - My Shabella by Haradasun

香港John Size厩舎の4歳馬。レートは109。

The Sprint Cupの4着馬。上級戦でこれといった実績は持っていない。

Sunrise Ronaldo: Harbinger - Weisheit by Admire Vega

日本安田翔伍厩舎の5歳馬。レートは109。

シルクロードSで4着、阪急杯で3着。

Flying Ace: Swiss Ace - Dancescape by Danehill Dancer

香港David Hall厩舎の6歳馬。レートは105。

前走のThe Sprint Cupで3着。

Mugen: Deep Field - Little Favours by Falvelon

香港Pierre Ng厩舎の5歳馬。レートは100。

Class 2勝ちまでで重賞出走無し。

Believing: Mahmas - Misfortunate by Kodiac

イギリスGeorge Boughey厩舎の4歳牝馬。レートは109。

ChantillyのG3 Prix Texanita勝ちのあるスプリンター。G1 Sprint Cupは3着だが、British Champions Sprintでは11着だった。

Little Brose: Per Incanto - Mohegan Sky by Straight Man

香港David Hayes厩舎の3歳馬。レートは106。

オーストラリア産馬で、オーストラリアではDavid Hayesの息子のBen & JD Hayesの管理下で走り、G1 Blue Diamond Sを勝っている。3歳のシーズンはいまいちの結果で香港に移籍した初戦が本戦となる。