International S: York Ebor Festival Group 1 Turf 10F56yard

Returning of the IRON HORSE

エントリーが4頭まで減ってしまったが、やべーの出てくるから書いとくかくらいの感じで。ま、4頭分なら直前でもなんとかなるか。

Desert Crownが調教中に負傷して回避となったためPaddingtonがどんな勝ち方をするのかということに興味が向いている。Eclipse SやSussex SはEmily UpjohnやInspiralが出ていたものの相手が軽かったと見られていることもあるPaddingtonにとって、MostahdafとNashwaでは不足なのは変わらないか。

Desert Crownは去年はDerby後に順調さを欠いて結果的にDerbyが最後の出走となった。そして4歳の今年もほぼ1年ぶりに出走したBrigadier Gerard Sで2着になったものの、キングジョージも回避しているし、Yorkに向けてというところでキャリアを左右する怪我に見舞われた。ずっと満足に使えないDesert Crownと、Giant's Causewayの再来となっているPaddingtonの対比は酷である。

Paddington: Siyouni - Modern Eagle by Montjeu

O'Brien厩舎の3歳馬。8戦7勝のやべー奴。

デビュー戦こそ5着に敗れているが、2戦目で5馬身差をつけて勝ち上がった。2歳のキャリアをその2戦で終えると、3歳の初戦は3月後半のMadrid Hで、ここをトップウェイトを背負いつつ勝利したことでクラシック戦線への道が拓かれた。レース後はフランスへの遠征も話題に出ていたが、最終的には地元アイルランドでListedのTetrarch Sに出走して、同厩舎でSaxson Warriorの全弟であるDrumrollを軽く下した。そしてIrish 2000 Guineasへの出走となり、ここでは同厩舎のCairoに2馬身差をつけてクラシックタイトルを手にする。

続いて出走したRoyal AscotのSt. James's Palace Sは2000 Guineas勝ち馬のChaldeanとの決戦であった。これまでのキャリアと2000 Guineasでのレース内容からChaldeanが優位と目されていたが、ここを3馬身3/4差で勝って3歳マイル路線の頂点に立った。

古馬との初対戦はRoyal Ascotから間を置かず10F戦のEclipse Sである。4頭立てのレースはドバイでスクラッチして今季初戦がずれ込んだもののCoronation Cupで健在を示したEmily Upjohnが最強の敵手であった。古馬混合戦も10F戦も初めてであったが、追い込んでくるEmily Upjohnを半馬身差で押さえ切っている。

そして前走はマイル戦に戻りGoodwoodのSussex Sである。Inspiralが出走してきていたが、スタート直後のごちゃつきをものともせず勝利した。

Irish 2000 Guineasを勝ってG1馬となったのが5月末、その後は4週間も空けずにレースに出続けている。出走レースを絞るようになった現代では異色であり、GuineasからRoyal Ascotのあとマイル戦中距離戦を交えてG1を連戦するその戦歴はGiant's Causewayを彷彿とさせるものである。

現在の欧州マイル路線はModern Gamesが引退し、Deauvilleでは遠征したInspiralが完勝するといった状況でPaddingtonに敵はなしという様相である。中距離に目を向けると、Eclipse Sで下したEmily Upjohnは12Fを得意としており、強力なライバルは不在という状況だろう。International SがDesert CrownとMostahdafはPaddingtonにどのように挑むかというレースになっていたほどに。

父はPivotalの後継種牡馬として活躍するSiyouni。その名を一躍高めることになったSottsassの凱旋門賞はやや特異点であり、本来は中距離までのスピードが持ち味である。St. Mark's Basilicaがその典型といえ、彼はフランスで二冠を制するとEclipse SとIrish Champion Sを連勝でぶち抜いていった。Paddingtonはすでに古馬戦のG1を2勝ということであればSt. Mark's Basilicaに並ぶような実績ということもできる。

母系は1-p族でWildenstein家が生み出した無敗のフランス3歳女王Madeliaのファミリーで、Dayton InvestmentやAllez France Stableと名義が変遷するが、Wildensteinの手元で育ったファミリーである。Madeliaから、Alyshebaの代表産駒にも挙げられるMoonlight Dance、Peintre Celebreを入れてAlydarクロスとThong=Lt. Stevensクロスを有するMillionaia、MontjeuによりSadler's Wells≒Nureyevを作るModern Eagleときて、SiyouniからPaddingtonが出た。

Madeliaの娘のうち日本に輸入されたMoon Indigoはサンデーサイレンスに配され、アドマイヤサンデーを生んだ。すなわち近親にはヴェラアズールが出ている。

またDesert Crownとは20世紀前半の牝馬Point Dutyを基点として同系である。Paddingtonの場合、Bois RousselHyperionTom FoolとSt. Simonに寄せていったのがMoonmadnessであり、NureyevやSadler's Wellsはその傾向に沿ったものとみることができる。アメリカ血統を絡めながらNureyevを使いこなすところにWildensteinらしさを感じられる。一方Desert Crownは累代に並ぶのがRainbow Quest、Distant View、Green DesertNathanielでいかにもShadwellという気風を感じる。

Mostahdaf: Frankel - Handassa by Dubawi

今年トップクラスに名乗りを上げた5歳馬。

去年までは重賞で相手に恵まれればG2に届くかもしれないというレベルで、シーズンの最後には凱旋門賞に出走したが最下位であった。今年は中東遠征で2月のサウジアラビアでG3 Neom Turf Cupを勝ったが、ドバイのSheema Classicは4着だった。これが戻ってきたPrince Of Wales's SでLuxembourgに4馬身差で勝つのだからよくわからない。

近親にPastoral Pursuits、Goodricke兄弟が出ている14-fで、半姉がマイラーのNazeefである。

母父Dubawiの競走馬は近年活躍し始めており、父FrankelのパターンではAdayarが筆頭となる。

主戦のJim Crowleyが騎乗停止中となるため、Frankie Dettoriを起用してきた。

Nashwa: Frankel - Princess Loulou by Pivotal

牡馬混合戦で人気を落としている4歳牝馬
3歳の去年はOaksを3着の後フランスのPrix De Dianeを勝ち、さらにはNassau Sも勝って順調なキャリアを積んでいた。その後もPrix De L'Operaで2着からKeenelandのBC FM Turfに遠征して4着とまず一流馬であった。今年はNewmarketのFalmouth Sを勝っているものの、Al Husnに2度負けているなどいまいちである。

牝系は名オーナーブリーダーCharles Gordonが遺した4-k族のPeltingに属している。その娘であるDawn Wiganが引き継いでWest Blagdon Studで育てられたもので、同系統からはMoon BalladやBattaashが出ている。

Pivotalは優秀な牝馬を多く出し、Galileo及びFrankelとは高相性で知られている。Frankelにとっては欧州で最初のG1馬となったCracksman、オーストラリアのHungry Heartが成功例として挙げられる。

デビュー以来下級条件も含めて牝馬限定戦しか走っておらず、牡馬相手に出走するのは今回が初めてとなる。

The Foxes: Churchill - Tanaghum by Darshaan

もう1頭の3歳馬。
EpsomのDerbyは5着、その後Belmontに遠征してBelmont Derbyで2着に入った。Belmont Derbyでは外を回らされ直線で進路を失う不利を受けており、内から抜け出したFar Bridgeを最後に猛追したが1馬身届かなかった。

父ChurchillはGalileo産駒のマイラーで2歳から活躍し、英愛の2000 Guineasを制している。初年度産駒からVadeniを出し、2年目産駒からもBlue Rose Cenが出て好調である。The Foxesは彼らに続く大物としての期待が掛けられ、陣営はすでに来年の年初から中東遠征を企図している。

Yorkでは同条件で実施されるDante Sを勝っており、コース適性の問題はないだろう。馬場は速い方が好みとのこと。
4-m Fall Aspenのファミリーに属しており、本馬の上にはMatterhornやBangkokが出ており、甥にはRibchesterがいる。全姉Perotanは松島オーナーが共有に入っているCoolmore馬で、3歳でデビューから連勝でListedを勝ったがその後は伸び悩んでいる。どうやらステイヤーらしく12Fと14Fに出走しているが、Churchill産駒の傾向は中距離向きである。