King George VI and Queen Elizabeth S: Ascot Group 1 Turf 12F

Auguste RodinがここもクリアするといよいよGalileo級と言って煽れるのではなかろうか。O'Brienが何頭下げるか分からんなと思いつつ、登録15頭の段階で書いた内容なので、Desert CrownとSimca Milleがいなくなってショック。書いたものは供養のために残しておくので、出走しない馬も混ざっていることをご容赦ください。

Auguste Rodin: Deep Impact - Rhododendron by Galileo

EpsomとCurraghのダービーを勝って乗り込んできて一番人気。ディープインパクトのラストクロップから現れた大物。欧州のその頂点であるCoolmore、O'Brien厩舎で完全な欧州仕様に仕立て上げられたディープインパクト産駒であり、これまでのところその期待にふさわしい結果を残している。
祖母がHalfway To Heaven、母がRhododendronでいずれもG1を3勝した名牝である。Pivotal産駒の牝馬らしくマイル戦から中距離戦をこなしたHalfway To Heavenに対し、Galileoを父とすることでクラシックディスタンスへの対応を見せたのがRhododendronである。Rhododendronの全妹にはG1 7勝のMagicalがおり、やはり中距離を中心としつつもクラシックディスタンスに対応している。3-d族の大勢力Beaver Street系に属し、Fager's Gloryを通るラインである。Trevor C. Stewartが生産したCassandra Goはスプリンターとして活躍し優れた繁殖牝馬となった。Halfway To HeavenはCoolmoreの手に渡っているが、Trevor Stewartの手元に残った牝馬からもSaxon Warriorを父としてBC Juvenile Turfを勝ったVictoria Roadが出た。

Hukum: Sea The Stars - Aghareed by Kingmambo

Sea The Stars産駒のステイヤーでBaaeedの全兄。今年6歳になっている。本格化が遅く古馬になってから台頭してきたが、その頃弟は連勝で注目を集めていた。Sea The Stars産駒はステイヤーに出やすい傾向があり、マイル戦で圧倒的だったBaaeedが特殊なのであって、Hukumの方が本来の姿と言っても良いくらいだろう。
去年はCoronation Cを勝って飛躍の年になるかと期待されたが、骨折によりほぼ1年のブランクを余儀なくされた。今年になってBrigadier Gerard Sで復帰するとDesert Crownを半馬身差で下して能力を示した。もともと12F戦を得意としており、骨折の影響がなければ古馬路線の最有力馬であることから、本戦でも二番人気の一角を占める。
その血統はHeight Of Fashionの牝系に属し、Mr. ProspectorAraziSingspielKingmamboSea The Starsと極めつけに華やかである。

King Of Steel: Wootton Bassett - Eldacar by Verglas

2歳では目立った存在ではないが、デビュー戦を勝ってFuturity Trophyに出走した。今年の初戦はEpsomのDerbyでAuguste Rodinの2着となり、そこからRoyal AscotのKing Edward VIIを順当勝ちして通算4戦2勝、負けた2戦はいずれもAuguste Rodinが勝っている。キングジョージで三度Auguste Rodinに挑む形になった。Hukumと並んで二番人気である。
母系はPearl Maidenの16-bであり、近親にはContributerが出ている程度。

Emily Upjohn: Sea The Stars - Hiddenn Brief by Barathea

Sea The Stars産駒のクラシックディスタンスランナーで、去年はEpsom Oaksで2着、シーズン末のBritish Champions Fillies And Maresを勝ってG1タイトルを手に入れた。今年は登録していたドバイを直前で回避し、Coronation Cで復帰を飾っている。前走のEclipse SはPaddingtonの2着だったが牡馬相手に互角に渡り合っているといえる。
近親にHarzandやHurricane Laneが出る21-b Hazy Ideaの一族でHarzandとはいとこである。

Desert Crown: Nathaniel - Desert Berry by Green Desert

出走回避。
去年3戦無敗でEpsom Derbyを勝ったが、その後は出走できず、今年のBrigadier Gerard Sでようやく復帰した。その復帰戦ではHukumとぶつかり2着に終わったが、ほぼ1年ぶりに出走したことを考えると合格ラインは超えているといえるだろう。
NathanielはEnableの父として著名であり、活躍馬が牝馬に大きく偏っていた。Desert Crownは初の牡馬のG1馬である。Nathaniel産駒はSadler's Wellsの強烈なインブリーディングを成功例に持つが、Desert Crownはその例から外れている。
1-p Sun Helmetの牝系で近親にはProviso、Byword兄弟が出ている他、レーヴドスカーなどもその同系である。

Pyledriver: Harbour Watch - La Pyle by Le Havre

6歳の古豪で去年の勝ち馬。去年はそのキングジョージ勝ちの後は順調さを欠いて出走せずに終わった。Royal AscotのHardwicke Sで復帰し順当勝ちを収めている。実力は疑いないものの、いまいち信を置きにくいが、このキングジョージ連覇を第一目標として調整されてきた。
父Harbour WatchはAcclamationの産駒で、スプリンターに寄るこの父系には珍しいマイルアンドハーフのプレイヤー。13-c族のうちTourzimaの分岐で、Acamas、Akarad兄弟を出してAga Khanに引き継がれ、Lのイニシャルを冠したラインである。近親にはLinngari。

Luxembourg: Camelot - Attire by Danehill Dancer

Camelotの筆頭馬として期待されながらも去年は2000 Guineas3着でクラシック路線を離脱してしまった。その後Irish Champion Sを勝っているし、今年もTattersalls Gold Cupを勝っており、世代で上位であることは間違いない。一方、前走のPrince Of Wales's SではMostahdafに4馬身離されて2着と不安になる結果となることもしばしば。12Fは去年の凱旋門賞しか出走経験がなく、距離に関しては未知数である。
Camelotは2000 Guineas、英愛ダービーに加えて、St. Legerで2着と近年では最もクラシック三冠に近づいたサラブレッドであった。種牡馬入り後コンスタントにG1馬を出しており、北半球でのMontjeu直系を支える存在である。
8-f Ad Altioraの牝系で、近親にはAquarelliste、Artiste Royal姉弟やBolshoi Balletも出ている。

Westover: Frankel - Mirabilis by Lear Fan

去年のEpsom Derby3着からCurraghに転じてIrish Derbyを勝った。その後はキングジョージ凱旋門賞に出走するものの結果は伴わなかった。今年はドバイでSheema Classicに出走したが、Equinoxの楽勝を許す2着、Coronation CupでもEmily Upjohnに差され2着、フランスに行ってGrand Prix De Saint-Cloudでようやく勝てた。そういった事情で一線級とのレースでは厳しい見方をされている。
北米の大勢力23-b族の係累だが、主流から外れたラインである。伯母にNebraska Tornadoを持つ。

Simca Mille: Tamayuz - Swertia by Pivotal

出走回避。
フランスで活躍する4歳馬。去年はJapan Cupに遠征してきた。G1ではやや格落ちに見えるが、去年はGrand Prix De Parisで2着、今年もPrix Ganayで2着の実績がある。
父TamayuzはNayef産駒のマイラーで現存するGulch直系で重賞級に手が届くほぼ唯一の種牡馬である。父NayefからHeight Of Fashion、母系からAllegrettaを享ける良血種牡馬でもある。
Simca Milleの母系はLuxembourgと同系の8-f族Ad Altioraで、こちらは近親にSarafinaを持つ。

Deauville Legend: Sea The Stars - Soho Rose by Hernando

Sea The Stars産駒のステイヤーである。3歳の去年はGreat Voltigeur Sを勝ち、Melbourne Cupに遠征して4着だった。前走はHardwicke Sで4着。
牝系は6-eのSeleneに遡る名門であるが、Coronalからのややマイナーなファミリーといえる。全姉のSea La Rosaもステイヤーで去年Prix De Royallieuを勝っている。母父HernandoはMiswakiクロスに持ち込むのがパターンとなっており、G1馬はGalileoSea The Starsを使ってほぼこの形を作る。MiswakiクロスのないG1馬はCharity LineとFinal Scoreの姉妹だが、父をSea The Starsにしたその半妹Sea Of Classで出力を上げている。必須だと思って構わない。

Adelaide River: Australia - Could It Be Love by War Front

出走回避。
O'Brien厩舎の3歳馬でEpsomとCurraghでも出走していた。というあたり役割はわかるでしょうとしか言いようがない。まあIrish Derbyで2着し、その後Grand Prix De Parisでも2着なので、レースを選べばG1に手が届く期待はあるかもしれない。だが、それはここではないだろう。
Australiaは父Galileo、母Ouija Boardという血統で英愛ダービーに加えてInternational Sも勝つというとてつもないプロフィール。種牡馬入りしてからもG1を勝てる種牡馬ではあるが、大物は出ていない。
母系は8-c族で母の半兄にUncle Moが出ている。

Hamish: Motivator - Tweed by Sakhee

Haggis厩舎の7歳馬でステイヤー。今年G3を連勝して乗り込んできたが、距離カテゴリーはエクステンドである。12Fの実績としてはG3勝ちがあり、Cumberland Lodge Sは良いレベルだったと思われる。2年前にはKemptonのオールウェザーでHukumを下したこともあるが、斤量差もあり全く参考にできない。
祖母FrogからHaggas家が所有し、母Tweedの半兄Beaten UpはオーストラリアでG1を勝っている。

Point Lonsdale: Australia - Sweepstake by Acclamation

4歳馬。Broomeの全弟として期待されたが、3歳の去年は2000 Guineasの10着のみで終わってしまった。今年はAlleged Sで復帰戦を勝つと、続くHuxley Sも勝った。前走はCoronation CupでEmily Upjohnの3着だが、9馬身の差がついている。G1となると厳しそうだが、今年どこまで上げてこられるかという立場だろう。
1-c族で全兄にBroomeを持つほかZoffanyが近親に出ている。

Bolshoi Ballet: Galileo - Alta Anna by Anabaa

3歳ではBelmont Derbyを勝ってそのまま北米に滞在してニューヨークの芝三冠を走り、最後はBC Turfにまで出走したが結果は得られなかった。4歳の去年はほぼ稼働できなかった。今年はコンスタントに出走しているが勝つまでには至っていない。
8-f Ad Altioraの一門でAlmyreの分岐に属しており、Luxembourgに近いファミリーである。

Broome: Australia - Sweepstake by Acclamation

出走回避。
Point Lonsdaleの全兄になる7歳馬。
G1も勝った2年前が全盛期で去年から戦績は低迷している。今年はドバイで長距離のDubai Gold Cupを勝ち、長距離路線に向かうもAscot Gold Cupでは対応できなかった。12Fに戻ってきたが、希望のある戻り方とは言えない。