Report of Mares Bred 2012

id:highriseさまからidコールを受けたので反応してみる。
ネタ元はJockey Clubが発表するデータですが、それをベースとしたBlood-Horseの記事から見ていきます。
Report Shows Breeding Steadied in 2012 | BloodHorse.com
この数年真面目に見ていなかったのですが、まあそれなりに思い出しつつ。毎年の傾向としてここから3500から4500頭の追加登録があると見込まれているようです。
とりあえず、このReport of Mares Bredで発表される数値をベースとすると前年度から3%の減少となりました。2008年以降の経済危機による影響で毎年10%以上の減少が続いていましたので、ようやく下げ止まったと言えそうです。この間に2006年の報告では59434頭だったのが2012年には35391頭ですから約14000頭分の種付けがなくなっています。これはアルゼンチンやアイルランドの生産規模を上回る数字です。
2012年に種付けを行った種牡馬は1861頭で、100頭を超える種付けとなったのは87頭でした。全体的な傾向として種牡馬の選別が進んでおり、75頭以上の種付け頭数を記録した種牡馬への種付け頭数の総計が増え、逆に75頭以下の種付け頭数となった種牡馬への種付け頭数の総数は減少しています。
種付け頭数のトップはAshfordのCape Blancoで220頭への種付けが報告されています。さらにScat Daddy、Kitten's Joy、Uncle Moが200頭を超えました。Cape Blanco、Scat Daddy、Uncle Moの3頭がAshfordで、Kitten's JoyはRamsey Farmです。
記事の末尾に州ごとの数字をまとめた結果が出ております。ルイジアナ州種牡馬数、種付け頭数ともに20%以上の減少となっており、カリフォルニア州が種付け頭数ベースで北米3位の規模に復帰しました。他に大きな変化があったのはニューヨーク州で前年から40%以上の増加で、5位の規模となりました。ニューヨーク州ではGiant's Causeway全弟のFreundに加えて、Bluegrass Cat、GiacomoPosse、Dublinが100頭以上の種付けをこなしています。
州毎に見ておもしろいのはやはりカリフォルニア州なのですが、その濃さが少し薄れてきたようにも思います。
たまには父系直系ベースで見ていきましょう。上位250頭のところで種付け頭数が40頭と限が良かったのでそこまでの数字でまとめました。ここまでで種牡馬257頭で種付け頭数の合計が21509頭となります。これ以下だと数が多くなるのと、正体不明な種牡馬が出始めて手に負えなくなるのです。足きりを種付け20頭までとしたら種牡馬数が483頭になるのに対して、種付け頭数の合計は27683頭まで。これだとやりたくねーですよ。昔やって懲りたともいうのですが。あと種付け頭数と同時に種付け料を見ないと片手落ちですけど、それも手間とか考えるちょっと手が回り切りません。
とりあえずネタ元としてはこんなものを作っておきました。
Report of Mares Bred 2012より | Google Document

A.P. Indy直系(種牡馬33頭、種付け頭数3201頭)

種付けが100頭を超えたのは多い順にWilburn(169)、Mejestic Warrior(167)、Bernardini(148)、Malibu Moon(148)、Mineshaft(137)、Tapit(133)、Congrats(131)、First Dude(131)、Trappe Shot(121)、Discreetly Mine(119)、Flatter(118)、Girolamo(117)、Jump Start(115)、Sky Mesa(115)、Lucky Pulpit(114)、Parading(108)、Indygo Shiner(104)と17頭を数え、Storm Cat直系と互角に渡り合う北米の大勢力です。
トップのWilburnは早速種牡馬入りしているBernardiniの初年度産駒です。A.P. Indyの直仔世代がまだまだ強いことと、Pulpitからのラインが大きく広がっているのが特徴です。後発の大物がこのPulpitの領域に達したらものすごいことになりそうです。

A.P. Indy
Pulpit 59
Tapit 133
Concorde Point 68
Trappe Shot 121
Sky Mesa 115
General Quarters 67
Lucky Pulpit 114
Parading 108
Ice Box 99
Corinthian 60
Sightseeing 48
Stroll 40
Stephen Got Even 84
First Dude 131
Don't Get Mad 48
Old Trieste
Silver Train 64
Malibu Moon 148
Indygo Shiner 104
Mineshaft 137
Discreetly Mine 119
Congrats 131
A.P. Warrior 92
Jump Start 115
Majestic Warrior 167
Flatter 118
Bernardini 148
Wilburn 169
Friesan Fire 94
Telling 51
Girolamo 117
Sundarban 46
Saint Anddan 45
Dance With Ravens 41
A.P. Indyを通らないBold Ruler直系はSeattle SlewからBold ChieftainとMaimonidesの2頭とRaja BabaのラインからのYes It's Trueのみ。

Caro直系

Mizzen Mast程度しかいなくなってしまったCozzeneのラインはかなり厳しく見えます。一方のカリフォルニアの偉大なIn ExcessからIndian Charlieというラインも、去年In Excessが種牡馬を引退し、Indian Charlieはその年末に病に倒れて世を去ったことで次の世代を要求されています。Uncle Moは種付け初年度から200頭を超える種付けをこなしましたが、Ashfordで異系の多頭数は見切りが異様に早く来るので初年度産駒で結果が出なければ厳しくなるでしょう。

Blushing Groom直系

北米土着のBlushing GroomとしてはCherokee Runのラインがしぶとく残ります。また外部から入ったLeroidesanimauxがフロリダで147頭を集めました。反面、Rahyが後継を残せていなかったり、Mt. LivermoreもOrientateが22頭でどうにもならなかったり。

Storm Cat直系(種牡馬48頭、種付け頭数3793頭)

種付けが100頭を超えたのは、Scat Daddy(217)、Giant's Causeway(166)、Freud(161)、Harlan's Holiday(150)、Gio Ponti(148)、Discreet Cat(145)、Bluegrass Cat(118)、Hold Me Back(112)、Cowboy Cal(110)、Eskendereya(110)、Tale Of The Cat(109)、Tribal Rule(108)まで。ここで切るとA.P. Indyに圧倒されますが、50頭前後の種付けをこなす種牡馬が多くいます。そしてそのクラスが各地に散っています。このあたりがA.P. Indyより古い分世代が進んだ結果なのかなと。
Storm Cat
Hennessy
Johannesburg
Scat Daddy 217
Primary Suspect 52
Giant's Causeway 166
Hold Me Back 112
Cowboy Cal 110
Eskendereya 110
Giant Oak 83
Fairbanks 80
Noble Causeway 62
Giant Surprise 56
Heatseeker 51
Red Giant 51
The Way Home 47
Freud 161
Harlan
Harlan's Holiday 150
Majesticperfection 63
Into Mischief 50
Denis Of Cork 42
Tale Of The Cat 109
Gio Ponti 148
Tale Of Ekati 83
Lion Heart
Line Of David 70
Kantharos 48
Forestry 72
Discreet Cat 145
Old Forester 89
Bluegrass Cat 118
Tribal Rule 108
Pure Prize 92
Yankee Gentleman 84
Stormy Atlantic 81
Weather Warning 74
Schramsberg 71
With Distinction 58
Parker's STorm Cat 56
Portobello Road 51
Tactical Cat 50
Forest Wildcat
Wildcat Heir 62
D'wildcat
D'Funnybone 55
Behindatthebar 53
Plan 49
Crown Ambassador
Pass Rush 47
Courageous Cat 46
Marino Marini 44
Big Too Cat 43
Rock Hampton 42
Lion Hearted 42
Catienus
Talent Search 40

Sadler's Wells直系(種牡馬9頭、種付け頭数1114頭)

Cape Blanco(220)、Kitten's Joy(213)、Paddy O'Prado(142)、Medaglia d'Oro(140)、Artie Schiller(126)、Warrior's Reward(100)までが100頭超え。種牡馬の数は多くないが2頭が200頭を超えるなど種付け頭数は多い。 ほぼEl Pradoに依存しているものの、北米トップの種付け頭数を記録したCape BlancoGalileo直仔であり、これが成功すると欧州から一気にGalileoのラインが流れ込んでくるのかなと。 初年度産駒でRachel Alexandraなどを出したMedaglia d'Oroは活躍馬が牝馬に偏る特徴もあって後継種牡馬として出てきているのはWarrior's Rewardくらいとなっています。何となくSeeking The Goldっぽい感じを漂わせるも、今後牡馬で大物を引けるかどうか。

Danzig直系(種牡馬11頭、種付け頭数1069頭)

Hard Spun(154)、U S Ranger(146)、Big Brown(141)、Bellamy Road(140)、Exchange Rate(120)、War Front(102)とまだ若い直仔世代が人気を集めているのが特徴です。北米なのでDanehillを通るラインはなく、Green Desertのラインも存在しません。また、欧州やオセアニアではそれらのラインで世代の回転が速いことを考えると、北米は対照的な状況と言えます。

Deputy Minister直系

117頭のPosseニューヨーク州、106頭のAwesome Of Courseはフロリダ州におり、ケンタッキー州では105頭をこなしたGhostzapperがトップ。一昔前と比べるとかなりの凋落です。Silver DeputyやDehereも後継を出しているのですが、どうにも大物を得られませんでした。Posseが結局ケンタッキー州から出されてしまいましたし。このような状況でAdena SpringsAwesome Againが頼りだったのですが、Ghostzapperの後が振るわずこのような有様です。今後はGhostzapper次第となっていきそうです。

Dixieland Band直系

すべてDixie Union直仔であり、やはり早世したのが惜しまれます。フロリダ州のトップとなったHigh Cottonは150頭の種付けを行いました。フロリダには110頭のGone Astrayもいますが、反面ケンタッキー州で数をこなす種牡馬がおらず先行きは不安です。

Fappiano直系(種牡馬27頭、種付け頭数2086頭)

100頭を超えたのがSumemr Bird(141)、Candy Ride(139)、Twirling Candy(118)、Sidney's Candy(116)、Midnight Lute(115)、Unbridled's Song(112)、Half Ours(101)となり、この直系の本流っぽいUnbridled's Songのラインが苦戦しているのは印象的。というかCandy Rideが強いだけか。もちろん種牡馬の数を見ればUnbridled's Songの仔は多いのですが、どれもこれもUnbridled's Songを上回れないということに苦戦というイメージが付きまとうのでしょう。UnbridledにさかのぼるとBirdstoneからSummer Birdがいるし、Broken Vowもまずまずではありますが、こちらもEmpire Makerがいなくなってから大物感に欠けますね。

Gone West直系(種牡馬12頭、種付け頭数934頭)

Proud Citizen(142)、Speightstown(109)、Haynesfield(106)が100頭を超えました。Speightstownがここまですごくなるとは思わなかったです。一方、El Corredorが完全に姿を消しました。2年前は100頭を超えていたのに今年は19頭でこれではニューヨーク送りにされるのも仕方ないですね。

Smart Strke直系

Smart Strike自身が130頭と人気を保っており、Lookin At Luckyが104頭、Curlinが100頭といった状況。今年20歳のSmart Strikeがあと何年種牡馬を続けられるかわかりませんが、Smart StrikeがいなくなってもLane's EndはCurlinEnglish Channelで需要を引き受けられる体制になっています。

Street Cry直系

Street Cryを持つDarleyは他にもStreet Sense、Street Boss、Desert Partyを抱えており、Street Senseを日本に連れてくるのも妥当な判断かなと思えます。一番受けがよいでしょうし。

Forty Niner直系

Coronado's Questが北米に残したAwesome Gamblerがカリフォルニアにいますが、他はすべてDistorted Humor。Flower Alleyが132頭で並んでトップ。Distorted Humor自身は99頭でした。

Kingmambo直系

Henrythenavigatorが115頭に減らした一方Lemon Drop Kidは141頭まで増加。Henrythenavigatorは現在First Crop Leadingで3位と良いスタートなので、来年はまた150頭クラスに戻すでしょう。

Relaunch直系

種付け頭数上位はTiznowとその仔らで、Colonel John(152)、Tiz Wonderful(143)、Tiznow(129)、Tizway(121)、American Lion(110)までが100頭を超えました。 Tiznowは産駒デビューの頃にかなり評価を下げていたイメージが強くあるのですが、期待値が高すぎたということもあったんでしょうかね。今は普通に良い種牡馬という風だと思います。

Halo直系

Hat Trickが134頭と大きく増やしました。去年のDabirsimの活躍に救われた形ですが、今年はさっぱりなので来年は激減しそうです。他に北米で活躍している印象が全くないMore Than Readyですが、自身が93頭をこなしたのに加えてReady's Imageが129頭と良い状態。

Roberto直系

Archarcharchが159頭でトップとちょっと意味が分からない。Arch自身は114頭の種付けをこなし、Blameも104頭と十分な数があります。一方Rock Hard Tenは41頭にまで減少しています。