2008年を振り返ってみる

私だと一から十まで片寄ったものしか出ませんので、このお題でトラックバック募集。単に私がいろいろな方の記事を読みたいだけなのですが、お手空きでしたら簡単な記事でもトラックバックするなり、コメント欄に記事のURLを書き込んでいただけましたら幸い。

ベストレース: Breeders' Cup Mile

Goldikovaの勝ったあのレース。その1ヶ月前のZarkava凱旋門賞も3歳牝馬がやるレースじゃないくらいに思ったんですが、このときのGoldikovaはそれをすら上回るパフォーマンスを、遠征したアメリカ西海岸でやってのけたということに驚嘆しました。
そしてZarkavaGoldikovaには欧州のオーナーブリーダーの底力とでも言うべきものを見せられる想いでしたので、今年はWildensteinやNiarchosといった辺りにも期待したいなあと。

ベストプレイヤー: Aidan O'Brien

騎手、調教師、馬主など含めてもGIを勝ちまくったこの人かな。ただ、Peeping Fawnが結局レースに出られないまま引退になってしまった事とかもしっかり憶えておきますが。

2008年の重大トピック

書いてたら何個挙げたか数えるのが面倒になったので十大は止めました。ニュースと書いて違和感があったのでこんな話題があったなあ程度に見ていただければ。順不同。思いついた順ということで。

DarleyによるWoodlands買収…そして日本でも

リーマンブラザーズの破綻を発端とした金融危機はこの買収劇の時点ではまだ先の話ではあったが、それでもサブプライム問題が表面化し、それが競馬の世界にも波及していないとは言えない時点の話。
更に後に日本においても西山牧場を買収。

北米の賞金記録更新

Curlinの獲得賞金だけでなく、種牡馬の産駒獲得賞金でもNot For Loveが非ケンタッキー拠点の種牡馬としての、Unusual Heatが在カリフォルニアの種牡馬としての賞金記録を更新した。Not For LoveとUnusual Heatに共通するのはステークスクラスまでで手厚く稼いでいるという点である。これはSilver BuckがSilver Charmに、Cee's TizzyがTiznowに大きく依存していた従来の例を変えるものである。これは人気種牡馬の産駒数が増加する傾向にあることと、下級条件まで含めたレースの賞金増額による効果ではあるだろう。ただし、今後の経済情勢で賞金の行く末は不透明となっている。人気種牡馬の種付け料もケンタッキーの多くの種牡馬が軒並み20%近い減額を行ったため、Not For Loveなどには高額という印象も出てしまうのではないか。

合成馬場に関する話題

Santa Anita開催でCushion Trackが不手際を曝しまくったりということもあり、オールウェザートラックを導入したからバラ色ではないということが周知されたようで何より。その後のBCはPro-Rideによって無事に開催されたことも何より。その結果なんかについては今年も同じくSanta Anitaなので、2年の結果をまとめて判断しても良いのかなという気がしてきてはいる。2年続いたら偶々は通用しないだろうし。
それにしてもNYRAのボスなんかは合成馬場の導入を考えていないと明言していますし、安全性に関しても見方によってはネガティブな結果も出ているらしく、先行きはまだまだ分かりませんね。2008年に新規にメイントラックへの導入を発表した競馬場って無かったのでは。

金融危機の影響によるセール市況の悪化と種牡馬種付け料

Keeneland Septemberまではまだ深刻な影響を受けていなかったと考えられ、そのあたりをベースとして算盤を弾かれた来シーズンの種付け料は苦しくも現状維持くらいにとどめるというスタンスが目立ったのですが、その後November Saleの結果でまず強気に出ていたLane's Endが折れると、他の大手スタッドも軒並み追従して総崩れに近い状況になっていました。あと、これまでは基本Live Foalという支払い条件だったのが、Stand and Nurseにほぼ変わっていますし、他にも生産者が望めばフォールシェアリングをほぼ無条件に受けるというような条件緩和をいくつも目にしました。

Pocket PowerによるJ & B Met連覇(Queen's PlateとのDouble-Double)

今年は三連覇に挑みます。ドバイ以降南アフリカ調教馬が強いと言っていた人の中でどれほどの人がPocket Powerという馬を知っていたかと思って絶望的な気分になったこともありました。この馬はセン馬だし、国外に遠征をかける積極的な理由はありませんし、多くの人に知られることのないまま現役を終えるのだとしたらちと寂しい気分になってしまいますね。

牝馬大活躍

いや、混合戦で牡馬を倒す牝馬は大好きだが、2008年は多すぎ。Sun Classique、Seachange、Tuesday Joy、Il Quello Veloce、ZarkavaGoldikova、Princess Coup、Fine Grain、Vodka、Daiwa Scarlet、Blumenblatt…思いつくままにGIで牡馬を倒した牝馬を挙げてみたが、多分まだいる。
欧州だとZarkavaGoldikovaのような馬が同じ世代に揃っただけでおなかいっぱいになりそうなところで、Halfway to HeavenやNatagoraといった馬まで登場しているのだから、どんだけ凄いのよと言いたくなる。北米ではZenyattaが今年ひょっとしたらPersonal Ensignの13戦無敗を塗り替えるかも知れないというところにまで来ているし、楽しかったね。Nashoba's Key(死亡)とかEight Belles(K Derbyで予後不良)とかDivine Madonna(怪我で引退)とかの残念な話題もあったけど。Heavenly Glowが3歳で引退したのも残念。

大物種牡馬の時代の終わり

北米のStorm Cat、欧州のSadler's Wellsという2頭が種牡馬を引退。北米ではSeeking the GoldDixieland Bandらも来期種付けを行わないことが発表され、ある時代の終わりを強く思わされました。

アルゼンチンでIndygo Shinerがオークスダービーダブルを達成

産駒がNacional、Seleccion、Potrillosとクラシックレースを3勝と大暴れ。2世代にしてアルゼンチンリーディングを狙えるような状況で、さすがに北米もこれを放ってはおかず、Hill'n'Daleがシャトルで導入となりました。
2008年はTapit産駒の活躍とか南アフリカでのCamden Park産駒とかでA.P. Indy系の発展を期待せずにはおれない話題が多くて楽しかったです。Camden Parkは既に亡くなっていますが、代表産駒のJay Pegがドバイで勝っています。

フランスの大先生WSJSに降臨

ネタ的なのも一つ。勝ち鞍無しでポイントを稼いで優勝というあたりに凄くらしさが漂っています。I. Mendizabalはこのシリーズ3回目の出場でしたけど、確かまだ未勝利ですよね。

ステイゴールド産駒El DoradoがSingapore Gold Cupを勝利

シンガポールでは既にコスモバルクシャドウゲイトが遠征してSingapore Airlines International Cupを勝っていますが、現地調教馬が彼らが目指すべき最高峰に位置するレースを勝ったというのはまた違った意味を持ちます。このレースは英植民地時代から80年以上の歴史を持ったレースですし。

アグネスタキオンリーディングサイアー獲得

国内競走馬上がりで51年振りとはいえ、有力な輸入種牡馬が豊富とは言えない状況では来るべくしてきたということではないかな。社台が大物種牡馬をあまり引っ張ってきていないという事情もあるかなと思われます。サンデーサイレンス産駒などの国内で優秀な結果を残した競走馬が種牡馬として人気になり、結果を残すというのは健全なサイクルとも思うし、そっちばっかりで閉じてしまったらそれは問題だろうけど、これくらいのバランスで良いのかなとも。
というか秋シーズンのGIでのHail to Reasonという括りでの勝ちまくりっぷりに恐ろしいものを見たという気はあり。グラスワンダーが2頭もGI馬出すなんて誰が想像したよ。