Saudi Cup: G1 Riyadh Dirt 1800m

Saudi CupとしてはBC Classicの1,2着馬、Pegasus World Cupの1,2着馬に加えて、去年のDubai World Cup勝ち馬と日本のダートチャンピオンまで出走してくるのだから大成功である。もう少し現役を続けざるを得ず今年になってサウジアラビアのファイサル殿下がオーナーに加わったWhite Abarrioの状況であったり北米明け4歳の台頭、また引退の遅い日本のダート馬が上位に多いというところは幸運もあるのだが、2月のRiyadh、3月のMeydanはとても都合のいい位置にあるといえる。

また、サラブレッド競馬ではG1格がSaudi Cupにしかないので、芝がメインのDohaがSaudi Cupの直前で大規模開催を打とうとするのもまあ分かる。H.H. The Amir Trophyがパート1のG1格を取れれば、ダート馬はサウジ、芝馬はカタールからUAEに転戦という流れが大きくなるのかもしれない。

こういった情勢の影響をまともに受けているのが日本競馬。賞金額を考えると仕方のない部分は大きいが、川崎記念は開催時期が変更され、フェブラリーSはここを選外となった馬が回ってくるレースになってしまった。これまで川崎記念フェブラリーSが担っていたDubai World Cupへの準備レースとしての役割はSaudi Cupに持っていかれたと言え、去年の勝ち馬Ushba TesoroとLemon Popはいずれもこのレースに遠征している。加えてSaudi Cupの出走ボーダーはアメリカからの遠征馬がどれほど来るかで変わってくるし、名称に縛られて開催時期を動かしにくいフェブラリーSには悩ましいところだろう。

こういった状況も国際化の一側面ではあり、アメリカでもちょっと?賞金の増えたDonn HであるところのPegasus World Cupはまだギリギリだが、Santa Anita Hはいろいろとヤバいか。

さて、アメリカからは去年のBC Classicを勝って古馬トップに上り詰めたWhite Abarrio、直前のPegasus World Cupを勝ってきたNational Treasureと同2着のSenor Buscador、4歳で路線の有力馬とみなされているSaudi Crownが揃った。またBC Classicで2着のDerma Sotogakeもエントリーしており、去年とは一変した様相を見せている。もっとも去年はアメリ古馬戦線がのっけから酷すぎただけであって、通例ならアメリカからこれくらいの遠征馬を出すことはできるというのが今年のフィールドのように思える。

昨年とは打って変わってLuxembourgの回避があってもScotland Yardが補欠一番手で出走枠に入れないメンバーとなった。Lemon Drop Kid産駒とMineshaft産駒がいまさらこんなところで激突するの面白すぎるんだが。

斤量57kgの定量戦で、南半球産の3歳馬は53.5kg、牝馬には2kgのアローワンス。

Carmel Road: Quality Road - Inspired by Unbridled's Song

アメリカ産馬、サウジアラビア調教。レート114、A. Albadah厩舎、C. Ospina騎乗。

4歳馬。前走はリステッドのKing Faisal Cupに出走して1着。2歳時、G1 Breeders' Futurityに出走して13着、G2のLos Alamitos Futurityで2着という実績がある。今シーズンからサウジアラビアに移籍した。サウジアラビアの国内調教馬としては上位だが、遠征馬を相手にするには厳しい。

Crown Pride: Reach The Crown - Emmy's Pride by King Kamehameha

日本産馬、新谷厩舎クラウンプライド。レート117、J. Moreira騎乗。

G1を勝てないまま5歳になった。G2 UAE Derby勝ちの後は上位にいるものの勝てないレースが続き、去年はSaudi CupもDubai World Cupもともに5着だった。Korea Cupで久しぶりの勝利を手にしたが、続くチャンピオンズカップは大敗している。

Defunded: Dialed In - Wind Caper by Touch Gold

アメリカ産馬、サウジアラビア調教。レート116、A.K. Mashref厩舎、L. Saez騎乗。

6歳馬。去年のG1 Awesome Again Sで2着した後にオーナーが変わりサウジアラビアに移籍となっている。現地では出走しておらず、Saudi Cupがデビュー戦となる。

4歳から本格化し、Hollywood Gold Cupを2着、Awesome Again Sを1着の実績を挙げた。2023年の古馬路線を支えた1頭で、この年もG1勝ちはHollywood Gold Cupの1勝のみだったが、Pegasus World Cupを2着、Santa Anita Hを3着、Awesome Again Sを2着とG1路線で上位の実力を示し続けた。Awesome Again SではNational TreasureやSenor Buscadorに先着している。

Derma Sotogake: Mind Your Biscuits - Amour Poesie by Neo Universe

日本産馬、音無厩舎デルマソトガケ。レート120、C. Lemaire騎乗。

4歳馬。去年はSaudi Derbyを3着からUAE Derbyを勝ち、Kentucky Derbyを6着のあと間隔が空いて直行したBC Classicを2着という戦績。Kentucky Derbyの出走馬が総崩れとなっている状況でぶっつけだったとはいえBC Classicで2着は十分な結果だった。

King Abdulaziz競馬場のダートが今年はどのような傾向を示すか分からないものの、BC ClassicでWhite Abarrioと勝負できていたDerma Sotogakeが最も期待できそうと考えている。

Hoist the Gold: Mineshaft - Tacit Approval by Tapit

アメリカ産馬、アメリカ調教。レート116、D. Stewart厩舎、J. Velasquez騎乗。

5歳馬。走りづめですでに27戦のキャリアを持っている。去年はPhoenix SとCigar Mile HでG2を2勝した。やや短距離志向があるものの、前走はPegasus World Cupを4着で、9F戦もこなして見せた。

Lemon Pop: Lemon Drop Kid - Unreachable by Giant's Causeway

アメリカ産馬、田中厩舎レモンポップ。レート120、坂井瑠星騎乗。

6歳馬。去年はフェブラリーSでG1初勝利を挙げると、南部杯チャンピオンズカップも勝って3勝。フェブラリーS時点では1600mでも長いのではと考えられていたが、1800mまでクリアしている。Dubai Golden Shaheenへの遠征では全く合わず10着とキャリアで唯一連対を外す結果となっている。

Lemon Drop Kid産駒でG1を3勝といえばオールウェザーのRichard's Kid、芝のBeach PatrolとダートでのLemon Popとなった。今年活躍を積み増せば、晴れてLemon Drop Kidの最強産駒としてGodolphinの庇護を受けての種牡馬入りという夢が見えてくるのでそうなるべき。

Meisho Hario: Pyro - Meisho Ohi by Manhattan Cafe

日本産馬、岡田厩舎メイショウハリオ。レート117、浜中俊騎乗。

7歳馬。帝王賞連覇とかしわ記念でG1を3勝。去年はJRAのG1でどちらもレモンポップに追い付けないという状態だったので、このレースでもレモンポップを捕えられるかから始まるのではないだろうか。

出走取り消しが発表された。

National Treasure: Quality Road - Treasure by Medaglia D'Oro

アメリカ産馬、アメリカ調教。レート121、B. Baffert厩舎、F. Prat騎乗。

4歳馬。去年はSanta Anita Derby4着でKentucky Derbyの出走ラインに届かず直行したPreakness Sを勝った。その後はBelmont S、Travers Sとパッとしないままで、Awesome Again Sは4着からの出走となったBC Dirt Mileで2着に入って復活した。今年の初戦でPegasus World Cupを勝っての遠征で格好がついた。

Power In Numbers: Girvin - Gold Edge by Eddington

アメリカ産馬、サウジアラビア調教。レート110、A. Mohamoud厩舎、A. Alfouraidi騎乗。

4歳馬。元はアメリ東海岸の馬で3連勝でブラックタイプに出世したところでサウジアラビアに移籍となっており、今シーズンは5戦3勝。G2 Prince Naif Bin Abdulaziz CupとSaudi Cup Qualifierの位置でリステッドになったCustodian of the Two Holy Mosques Cupを勝ってきた。レートではDefundedやCarmel Roadが上回っているが、地元を代表する立場ならこちらだろう。

Saudi Crown: Always Dreaming - New Narration by Tapit

アメリカ産馬、アメリカ調教。レート116、B. Cox厩舎、F. Geroux騎乗。

4歳馬。去年のG1 Pennsylvsnia Derby勝ち。今年はG3 Louisiana Sを軽く勝って、アメリカを出発した。

Senor Buscador: Mineshaft - Rose's Desert by Desert God

アメリカ産馬、アメリカ調教。レート117、T. Fincher厩舎、J. Alvarado騎乗。

6歳馬。古馬になってから台頭し、G1勝ちはまだないが、前走のPegasus World CupではNational Treasureを追い詰めクビ差の2着まで来ている。

Ushba Tesoro: Orfevre - Millefeui Attach by King Kamehameha

日本産馬、高木厩舎ウシュバテソーロ。レート122、川田将雅騎乗。

7歳馬。2022年の末から東京大賞典川崎記念Dubai World Cupという並びでG1を3連勝した。BC Classicでは5着だったが帰国して東京大賞典で4つ目のG1タイトルを手にした。

White Abarrio: Race Day - Catching Diamonds by Into Mischief

アメリカ産馬、アメリカ調教。レート124、R. Dutrow厩舎、I. Ortiz騎乗。

5歳馬。3歳ではFlorida Derby勝ちからKentucky Derbyに臨んだが、特に目立ったところがないまま16着に終わっている。4歳でもさほど有力とは思われていなかったが、10年間の資格停止処分が明けて再開されたDutrow厩舎に移籍してから上向き、Metropolitan Hを3着からWhitney Sを圧勝したことで注目され、BC Classicでは一番人気を背負って先行策からDerma Sotogakeを押さえ切って勝利。

Whitney S勝ちから一気にBC Classicを取ったとはいえ、それまでのキャリアは胸を張れるレベルではなく、血統面でのアピールもないため種牡馬入りには至らず5歳でも現役が続行された。1月にはサウジアラビアのFaisal殿下が所有権の一部を購入したことが明らかにされるとともにSaudi CupからDubai World Cupに転戦する予定であることが示された。

Isolate: Mark Valeski - Tranquil Song by Unbridled's Song

アメリカ産馬、UAE調教。レート115、D. Watson厩舎、J. Rosario騎乗。

6歳馬。去年からドバイに移籍しており、短距離のAl Shindagha SprintとMahab Al Shimaalをともに2着からGodolphin Mile勝ちでシーズンを終えた。今シーズンはG2 Al Maktoum Mileを勝っている。アメリカ時代はAqueductのG3 Nashua Sで8F経験があったが、ほぼ短距離で使われていた馬である。Godolphin MileAl Maktoum Mileの結果から後200mは行けそうに見える。

Scotland Yard: Quality Road - Leslie's Harmoney by Curlin

アメリカ産馬、サウジアラビア調教、レート113、M. Almulawah厩舎、L. Morales騎乗。

メイショウハリオの出走取り消しにより繰り上がりで出走。

5歳馬。アメリカで4戦して未勝利でサウジアラビアに移籍し、現地の未勝利戦、ローカルG1のKing Faisal Cup、リステッドになったかつての国内最高峰レースCustodian Of The Two Holy Mosques Cupまで3連勝して挑戦した去年のSaudi Cupでは期待を集めたが13着と惨敗した。今年も去年と同じ臨戦で来るのだが、King Faisal Cupは6着、Custodian Of The Two Holy Mosques Cupが2着と結果が付いてきていない。

祖母がLeslie's Ladyで母のきょうだいにはMendelssohn、Beholder、Into Mischiefが名を連ねるとびっきりの良血馬。