Melbourne Cup: Flemington Group 1 Turf 3200m

フランス産馬とアイルランド産馬がそれぞれ8頭で最多の出走頭数である。アイルランド産馬ではClevelandが取り消しており出走が8頭である。後はオーストラリア産が2頭、イギリス産が2頭、ニュージーランド産は2頭で、日本産が1頭との23頭の出走である。
斤量が重いのはフランス産馬が多く、長距離の欧州産馬ならフランス産が強いと言えるだろう。その中でもドイツ由来の血統が重視されているのがここしばらくの状況。アイルランド産馬はイギリスやアイルランドで行き場をなくした血統馬が流れてきているというところか。
展開によっては中距離の持続性の様相を呈し、必ずしもスタミナ勝負を要求されるわけではなく、2400m程度で走っている上級馬が持っていくレースになる場合がある。
では出走馬。馬番=斤量順。

Gold Trip: Outstrip - Sarvana by Dubai Destination

フランス産馬。Ciaron Maher & David Eustace厩舎。2番枠、斤量58.5kg。
24戦3勝で去年の勝ち馬。去年は57.5kgを背負って勝ちきっている。今年は同じく3200mのG1 Sydney Cupを15着と大負けしている。G1 Turnbull S勝ち。フランス時代にはG1 Prix Ganayで2着や凱旋門賞4着の実績もある。
Aga Khanの牝系出身で、Sのイニシャルだが12-c族でSarafinaらとは異なる。先代から受け継がれていて、そのファミリーにはKalanisiが出ている。
父Outstripは北米芝路線の活躍馬Asi Siempreの仔でBC Juvenile Turfの勝ち馬。Gold Tripはその初年度産駒である。

Alenquer: Adlerflug - Wildblossom by Areion

フランス産馬。Michael Moroney厩舎。9番枠、斤量56.5kg。
18戦5勝で、イギリス時代はG1 Tattersalls Gold Cupを勝ち、G1 International Sで2着の実績もある。今年からオーストラリアに舞台を移しているが、結果は芳しくなく、3000m級の距離も今回が初めてとなる。
Gestut Romerhofがフランスで生産したドイツ血統のように見せかけて、実のところAdlerflugの母系である9-h Aライン以外でドイツ要素は薄い。

Without A Fight: Teofilo - Khor Sheed by Dubawi

アイルランド産馬。Anthony & Sam Freedman厩舎。16番枠、56.5kg。
22戦10勝。Sheik Mohammed Obaid Al Maktoumオーナーブリードでイギリスでデビュー後、今年になってオーストラリアに移籍した。イギリス時代からステイヤーで16FのG3 Silver Cup勝ちが最大の実績。オーストラリア移籍後は中距離で実績を積んで、前走は2400mのG1 Caulfield Cupを勝った。
去年はCrisford厩舎名義のままMelbourne Cupに出走して13着。今年は最重要のCaulfield CupでGold Tripらを下しての参戦となる。

Breakup: Novellist - Little Jun by Kurofune

日本産馬。ブレークアップ。吉岡辰弥厩舎。18番枠、斤量55kg。
22戦5勝。G2アルゼンチン共和国杯勝ちがあり、今年G2阪神大賞典3着から、春の天皇賞4着の実績を残した日本のステイヤー。前走のCaulfield Cupでは8着だった。
父がNovellistで祖母の父にKing's Bestが入る血統はAlenquerなどよりよほど五代前でのGERが多い。
日本からの遠征は2019年のMer De Glace以来であり、その時と同様に前哨戦にCaulfield Cupを選んだ。Caulfield CupMelbourne Cup最大の前哨戦ではあるが、結果は連動しないことも多いので8着という結果はあまり気にしなくてもよいだろう。かつてはDelta BluesとPop Rockもこのレースを使って本番で好走しているが、Pop RockのCaulfield Cupは7着であった。

Vauban: Galiway - Waldfest by Hurricane Run

フランス産馬。Willie Mullins厩舎。3番枠、斤量55kg。
14戦7勝でアイルランドからの遠征馬。
フランスでデビュー後にアイルランドに移籍してハードル戦を走っていた。ハードルレースではG1 Spring Juvenile Hurdle、G1 Triumph Hurdleを勝ってPunchestownのChampion Hurdleで2着もある実績馬。フラットレースの勝ち鞍は2400mまで、ハードルレースでは16Fを中心に出走していたようである。前走はフラットでNaasのG3 Ballyroan Sを勝っている。
Gestut Ravensbergの5-h牝系でWのイニシャルを持っていたところ。すなわち三代母がWaldmarkであり、Waldgeistの近親である。

Soulcombe: Frankel - Ribbons by Manduro

イギリス産馬。Chris Waller厩舎。4番枠、斤量53.5kg。
15戦5勝。イギリス時代はYorkのハンデキャップ戦で14Fを勝っていた。オーストラリアでは2600mのG3 Queen's Cupを勝っている。近走はG1 Turnbull S3着からG1 Caulfield Cupを7着。
近親にSoviet Songが出ている20-aで祖母はその全妹Sister Actである。

Absurde: Fastnet Rock - Incroyable by Singspiel

フランス産馬。Willie Mullins厩舎。8番枠、斤量53.5kg。
15戦4勝。Wertheimerのオーナーブリードでフランスでデビュー後、アイルランドのWillie Mullins厩舎に移籍した。
キャリアの特徴はVaubanに似ていて、こちらも移籍した今年からハードルレースに使われている。前走はYorkのEbor H勝ちで長距離戦の走力はある。

Right You Are: So You Think - Leica Ding by Redding

オーストラリア産馬。Ciaron Maher & David Eustace厩舎。15番枠、斤量53kg。
26戦10勝。普段は中距離で走っているが条件戦からG3くらいまでのイメージ。近走でG1に出走しているが、G1 Underwood Sで5着、G1 Turnbull Sで11着、G1 Caulfield Cupで5着といずれも足りていない。
母系はニュージーランドLeica Ladyで要するにNothin Leica Daneの近親となる8-k族。母Leica Dingは2400mのG3 Geelong Cup勝ち馬。

Vow And Declare: Declaration Of War - Beblitzt by Testa Rossa

オーストラリア産馬。Danny O'Brien厩舎。19番枠、斤量53kg。
37戦5勝。4年前の勝ち馬で現在8歳。去年のMelbourne Cupは54kgを背負って10着だった。今年はさらに1kg軽くなり53kgでの出走。一定の力は保っており、今シーズンは2000mのG1 Caulfield Sで2着、2500mのG2 Moonee Valley Cup2着から参戦となった。
9-c Tessa Gillianの牝系でイギリスに残っていたLoraの分岐だったが、結局オーストラリアに買われてきている。同分岐にはCracksmanやタイトルホルダーが属している。

Cleveland: Camelot - Venus De Milo by Duke Of Marmalade

アイルランド産馬。Kris Lees厩舎。23番枠、斤量52kg。出走取消。
15戦3勝。クールモアの生産馬で2歳で勝ち上がるも3歳シーズンを全休し、4歳になって復帰した。Joseph O'Brien厩舎に移ったものの大成せず今年になってオーストラリアに遠征し、そのままKris Lees厩舎に移籍した。G1 Sydney Cupは16着であったが、Randwickの高額賞金戦2600mのSt. Legerで2着するとG2 Moonee Valley Cupを勝った。
Poet's WordやHarbour Lawが近親にいる7-a族で距離には自信があるだろう。

Ashrun: Authorized - Ashantee by Areion

フランス産馬。Ciaron Maher & David Eustace厩舎。11番枠、51.5kg。
17戦4勝。2020年のMelbourne CupにAndreas Wohler厩舎から出走して10着。その後の動向がよくわからないが、今年になってCiaron Maher & David Eustace厩舎からバリアトライアルに現れ、今シーズンからオーストラリアで出走している。前走はG3 Geeleong Cupで2着となっていてなんだろうな感がすごい。2020年にすでにオーストラリアのシンジケートに売却されていたようではある。

Daqiansweet Junior: Sweet Orange - Paulette by Keeper

ニュージーランド産馬。Phillip Stokes厩舎。12番枠、斤量51.5kg。
27戦7勝。3200mのG2 Adelaide Cupを勝ち、G1 Sydney Cupで3着と距離に自信がある。今年になって長い距離を使っていないがちょっと戦績を落としている。

Okita Soushi: Galileo - Amicus by Fastnet Rock

アイルランド産馬。Joseph O'Brien厩舎。20番枠、斤量51.5kg。
13戦4勝。Coolmoreの生産馬で日本人馬主だからこの馬名なのか。
Joseph O'Brien厩舎からのデビュー戦でO'Brien厩舎の良血馬を喰っている。その後はDundalkのオールウェザーで連勝しているのが目立つくらい。そこで16Fをこなしている。Caulfield Cupからの遠征で、前走は12着。
ニュージーランドOlympic Aimから広がる22-b族で母AmicusはCaulfieldのG1 Thousand Guineas勝ち。近親にStarspanngledbanner。また、Elvstroem、Haradasun、Highland Reelなども同じ一門である。

Sheraz: Sea The Stars - Shemiyla by Dalakhani

フランス産馬。Chris Waller厩舎。22番枠、斤量51.5kg。
Aga Khanの生産馬で23戦4勝。G1 Sydney Cupで2着の実績がある。
こちらのSは3-o族でBay Bridgeが出ているところ。

Lastotchka: Myboycharlie - Muthla by Muhtathir

フランス産馬。Mick Price & Michael Kent厩舎。21番枠、斤量51kg。
12戦4勝。前走はLongchamp 3100mのG3 Prix Gladiateurを勝っている。また去年はSaint-Cloudで2800mのG3 Prix Belle De Nuit勝ちがあり、距離は問題なさそう。このレースからオーストラリアに移籍となっている。

Magical Lagoon: Galileo - Night Lagoon by Lagunas

アイルランド産馬。Chris Waller厩舎。7番枠、斤量51kg。
13戦3勝。去年エリザベス女王杯に出走したお馴染みMagical Lagoon。オーナーのYulongはオーストラリアで大規模な生産拠点を構えており、その関係もあってか今年はオーストラリアに移籍して出走している。
ドイツの4-r族Nixeの一族で活躍馬多数。Novellistの半妹である。

Military Mission: Mastercraftsman - Atlantic Isle by Tamayuz

アイルランド産馬。Gai Waterhouse & Adrian Bott厩舎。5番枠、斤量51kg
27戦7勝。2400mを得意とする。前走はCaulfieldのG2 Herbert Power S勝ち。

Serpentine: Galileo - Remember When by Danehill Dancer

アイルランド産馬。Gai Waterhouse & Adrian Bott厩舎。1番枠、斤量51kg。
21戦3勝。Coolmoreには母方にDanehillを抱えたGalileo産駒なんて対して重要でもないのだろうが、2020年のDerby Sを5馬身半差で勝ったほどの馬が去勢されてオーストラリアで6歳の現役生活を送っているというのは悲しみが強い。確かにDerbyの後は勝てず、4歳になってから長距離路線にシフトしたというのは間違いなくあるのですが。去年はG3 Archer Sの2着からMelbourne Cupに臨むも20着に終わっている。
今年になって復調しており、G3 Premier's Cupで2着。前走はG3 Bart Cummings Sを3着。
9-c族で祖母Lagrionの産駒にDylan ThomasやHomecoming Queen、従兄がShaleである。種牡馬としての期待が低いのは仕方ないか。

Virtuous Circle: Almanzor - She Is Stryking by Stryker

ニュージーランド産馬。Liam Howley厩舎。    6番枠、斤量51kg。
13戦2勝。Australian Derbyの2着馬だがその後はさっぱりである。

More Felons: Churchill - Pivotalia by Pivotal

アイルランド産馬。Chris Waller厩舎。24番枠、斤量50.5kg。
14戦4勝。Geelong Cup 5着からの参戦。

Future History: Showcasing - Likelihood by Mizzen Mast

イギリス産馬。Ciaron Maher & David Eustace厩舎。13番枠、斤量50kg。
16戦6勝。G3 Bart Cummings Sを勝ち、前走のMoonee Valley Cupは3着
祖母はYellow Ribbon S勝ちのLight Jigでその産駒にSeek Againが出ている。

Interpretation: Galileo - Daldiyna by Dansili

アイルランド産馬。Ciaron Maher & David Eustace厩舎。17番枠、斤量50kg。
16戦4勝。前走はBendigoのG3 Bendigo Cup勝ち。
DaylamiDalakhani兄弟がでたAga Khanの9-e族で三代母がDaltawaである。

Kalapour: War Command - Kaladena by Daylami

アイルランド産馬。Kris Lees厩舎。14番枠、斤量50kg。
19戦5勝。G3 Chairman's Hの価値があり、近走でもG1級で好走し、Metropolitan Hを3着、G3 Archer S勝ちから参戦する。
Aga Khanの12-c族でGold Tripの同族。こちらはKalanisiが近くKのイニシャルを維持している。

True Marvel: Masked Marvel - Anecdotique by Enrique

フランス産馬。Matthew Smith厩舎。10番枠、斤量50kg。
53戦8勝。G1 Sydney Cupの2着馬。その後G2のBrisbane Cupでは3着と長距離戦の実績はある。
8-f Ad Altioraの牝系で母の半弟にTrueshanが出る。