BC Filly And Mare Turf: Santa Anita Grade 1 Turf 10F

Inspiralがこちらを選んだので距離をこなせばInspiralでなんでもないレースになるのだろう。

とはいえタレント豊富なメンバーで、他にも注目点は多い。

北米芝で強いChad Brown厩舎はPeter BrantのIn ItalianとKlaravichのMcKulickという二枚を投入してきた。Gina RomanticaをMileに回してもこの2頭がいるのだから強い。北米路線からはFev RoverもG1実績を積んで挑戦する。また、アルゼンチンからの移籍馬Didiaも優れた能力を見せている。

欧州からはWarm HeartとLumiere Rockも参戦している。

Didia: Orpen - Delambre by Rainbow Corner

アルゼンチン産の5歳馬。Ignacio Correas厩舎。

アルゼンチンではG1を2勝し、Copa De PlataではSan Isidroの芝2000mでトラックレコードを記録している。去年の7月に北米移籍し、重賞級に出てきたのは今年になってから。

アルゼンチン在籍時は7戦4勝、北米移籍後は6戦5勝で、北米での唯一の敗戦はG1 New York Sの2着である。

Fev Rover: Gutaifan - Laurelita by High Chaparral

アイルランド産馬。Mark Casse厩舎。

元はイギリス調教馬で1000 Guineasで3着になった実力馬。古馬になった去年からカナダのMark Casse厩舎に移籍し、活躍の舞台を北米に変えた。

今年はColonial Downsに開催が移ったBeverly D SとWoodbineのE.P Taylor SとG1を2勝し、北米調教の芝牝馬としては上位の立場であるが、Chad Brownの上位牝馬には分が悪い。

父Gutaifanはスプリント戦に実績があり、Dark Angelの後継種牡馬である。父とともにYeomanstown Studに迎えられたが、すでにフランスに移されたようだ。Fev Roverはその2年目の産駒で、現状唯一の重賞馬である。

In Italian: Dubawi - Florentina by Redoute's Choice

イギリス産馬。Chad Brown厩舎。

Gina Romanticaと双璧を成すChad Brown-Peter Brantコネクション。Gina RomanticaがMileに回って、FM TurfがIn Italianの担当となった。

去年の2着馬で、今年はG1のみに出走して4戦2勝。Jenny Wiley SとJust A Game Sを勝つが、Diana SとFirst Lady Sは2着だった。Diana Sでは同厩舎のWhitebeamに負ける失態を見せるが、First Lady SはGina Romanticaとのマイル勝負で負けた形。

自身が8-f Dancing Showの牝系で、母父Redoute's Choiceは近親にあたり、母FlorentinaではRedoute's Choice≒Twylaが1×2という配合となる。北米の芝戦ならDubawiで十分間に合っているが、そこに母系の強みが乗って上位である。

Inspiral: Frankel - Starscope by Selkirk

イギリス産馬。John Gosden厩舎。

Cheveley Parkご自慢のマイラー牝馬。専ら8F戦に出走しており、中距離戦の経験はない。なのでMileとFilly And Mare TurfにダブルエントリーしてMileに出走するものとばかり考えていたが、こちらを選んできた。硬い馬場を好み、今年はSussex Sで最下位の5着となったときにSoftの馬場が合わないとコメントがあった他、去年Queen Elizabeth II Sで負けたのもAscotのGood to Softであった。

祖母の半兄に名マイラーMediceanが出る3-o族。Rainbow Quest、Selkirk、Frankelと入るので中距離をこなしてもおかしくはないが、走ったことがないのだからわからない。

Lindy: Le Havre - Llanita by Rock Of Gibraltar

フランス産馬。Brendan Walsh厩舎。

3歳馬で、今年のPoule d'Essai Des Poulichesを2着するもPrix De Dianeは8着に終わった。その後北米に渡り一般戦を叩いてKeenelandのG1 Queen Elizabeth II Challenge Cupで2着。北米芝なら10Fで行けるという判断だろう。

3-d Native Street牝系でFager's Gloryの分岐に属しているが、近いところに目立った活躍馬は出ていない。

Lumiere Rock: Saxon Warrior - Last Gold by Gold Away

アイルランド産馬。Joseph O'Brien厩舎。

2歳でG3を勝ったSaxon Warriorの期待馬だったが、Irish Oaksは4着。G2 Blandford Sを勝って臨んだ前走のPrix De L'Operaは3着とあと少し足りない。

22-dのGold River牝系でGold Awayを父に持つ母Last Goldはなかなかの近親配合馬。Wertheimerの22-dなので近親にGoldikovaなどが出る。

McKulick: Frankel - Astrelle by Makfi

イギリス産馬。Chad Brown厩舎。

Chad Brown-Klaravichのコンビで北米デビューしたFrankel牝馬。去年のニューヨーク芝牝馬2冠馬となった。馬名に全くKlaravichらしさがなく、最初に見た時はBrantの持ち馬かと思ったほどだが、Klaravichの活躍馬の筆頭に名を出そうかという勢いである。

今年はG1 New York Sで3着のあと芝12FのG2 Glens Falls SでWar Like Goddessを喰って11F戦の実績も有している。G2 Flower Bowl Sを2着のあと、G3 Waya S勝ちでBCに乗り込んできた。10Fから12Fあたりを得意としている。

Moira: Ghostzapper - Devine Aida by Unbridled's Song

カナダ産馬。Kevin Attard厩舎。

オンタリオ産の4歳馬で、去年のBC FM Turfでは5着だった。そのBC以外では全てWoodbineで出走していて、通算では12戦5勝。前走はG1 E.P. Taylor Sで3着。G2 Canadian Sを勝っている。

State Occasion: Iffraaj - Forest Crown by Royal Applause

イギリス産馬。Ralph Beckett厩舎。

去年まではハンデキャップ戦を走っていた5歳馬。去年の終わりから重賞にも出走するようになった。前走はG1 Prix De L'Operaで5着。

Warm Heart: Galileo - Sea Siren by Fastnet Rock

アイルランド産馬。O'Brien厩舎。

3歳馬でG1 Irish Oaksは5着だったものの、G1 Yorkshire Oaks、G1 Prix Vermeilleを連勝して12F路線の牝馬としてはトップに立った。

母Sea SirenはオーストラリアでG1を3勝したスプリンター。欧州移籍後に引退し、そのまま繁殖入りしていた。ずっとGalileoを配されていたが、ようやく活躍馬が出た形。

Win Marilyn: Screen Hero - Cosmo Cielo by Fusaichi Pegasus

日本産馬。手塚厩舎、ウインマリリン。

去年のG1 Hong Kong Vaseを勝ったが、今年はG1 Dubai Sheema Classicが6着、G2札幌記念とG2オールカマーをともに9着と揮わない。

ニュージーランドからオーストラリアに流れたオセアニア牝系の14-e族。たまに重賞馬を出しながら続いてきたファミリーで累代の種牡馬もそれほど凄みはないものだった。三代母April Wonderの産駒にVictoria Derby馬Always Thereが出て状況が変わり、祖母Shorwonはその時代の一流に属する種牡馬が使われた。

With The Moonlight: Frankel - Sand Vixen by Dubawi

アイルランド産馬。Charlie Appleby厩舎。

イギリスでデビューしているが、Oaksで11着に終わると北米に舞台を移し、G3 Saratoga Oaks Invitationalを勝った。今年はDIRCのG2 Cape VerdiとG2 Balanchineを勝ったが3月の大一番には出てこなかった。その後は北米のG1 Jenny Wiley SとG1 E.P. Taylor Sでそれぞれ2着。実績は上位だが、G1で負けているIn Italian、Fev Rover、McKulickが揃って出てくるので厳しい。