Innocent When You Dream

1億ポンドとか言ってるけどお前ら正気に戻れ―というTelegraghのHotspurことJ.A. McGrath記者によるありがたい記事。
彼自身Sea The Stars引退の記事では"true champion" "The perfect racehorse"と最大限に賞賛を与えていますし、"ハンデキャッパーたちのやり方ではSea The Starsのような馬を量れない"とレート的な部分で評価が走らないことも擁護しています。そんな立場ながら、ちょっと周りの熱狂に違和感があるといったところか。
Sea The Stars worth £60 million at stud: Horse Racing - Telegraph
HTMLのヘッダ内Titleでは6000万ポンドなんだけど、記事タイトルとしては1億ポンドになっててどっちなんだよと。とはいえ読んでみるとどっちも正解っぽい記事ではあり。
とりあえず以下は訳しているように見せかけて、気分でしっかりとは訳していません。最悪です。内容が気になる人は原文ヨロということで。

Sea The Starsがthe Derbyを勝った後、更に記憶に残されるべき凱旋門賞を含めた4つのレースを勝ったにも関わらず、彼に付けられた値札がそのときから50%しか上積みされていないことは奇妙に映るかも知れない。
彼がEpsomで勝った直後にSea The Starsの価値はおよそ4000万ポンドであると了解されていた。その後レースを勝つ度に記者たちは彼の値段をつり上げ、凱旋門賞を勝った後には1億ポンドと言い出す者さえ出る始末だった。
だがお前ら、冷静になれ。
Sea The Starsの価値は6000万ポンドといった辺りが妥当だろう。忘れてはならないことはその金額は誰かが支払う金額であるということだ。そしてその数字は通常、種牡馬としての種付け料収入の概算に基づいて決定されている。
馬産の世界は競走の世界とは全く違った趣である。それでも競馬場はその秘められた能力を証明する場であるし、その流行は市場を形成するにあって重要な役を担う。Sea The Starsは現在最も優れた馬である。だが、この先3年後にも最も優れた馬であるだろうか。彼の購入を検討する者達はそう自問しているに違いない。
実際そのようなことは起こりえるだろうか。1970年、Mill ReefBrigadier Gerardという極めて優れた2頭の馬が現れたほんの12ヶ月後にNijinskyというチャンピオンが現れることを誰が信じただろう。だが、それが実際に起こったことだ。
Sea The Starsが直面している疑問は彼が新しい仕事をどのようにこなすかである。それは競馬場で成してきたこととは全く異なっている。彼は100から130頭への種付けをこなすのに十分な受胎率を示せるだろうか。George WashingtonEl Gran Senorの如きを忘れてはならない。そう、何も保証などされていないのだ。
種牡馬の収支計算はこのところ修正されてきている。近年の有力種牡馬はシーズンに120から150頭の牝馬への種付けを行っている。最もよく使用されているのは4年の活動期間を基準とした計算である。また、南半球に行くことで更に多くの繁殖牝馬、それは則ち種付け料収入を得ることが出来る。
過去20年に渡ってSadler's Wellsは彼自身が最も成功した種牡馬であることを証明してきた。彼の種付け料はPrivateに設定されていたが、少なくとも20万ポンドは下らないと見積もられていた。またその父Northern Dancerの最後のシーズンは50万ドルという種付け料が設定されていた。
今日の厳しい経済情勢でも彼の子孫たちはその名を競馬場でのパフォーマンスと人気の両面で維持し続けている。現在最も成功している3頭の種牡馬Galileo(種付け料は15万ユーロであろう)、Danehill Dancer(種付け料8万ユーロ)そしてMontjeu(種付け料10万ユーロ)である。
Sea The Stars種牡馬としても魅力に溢れている。彼は優れた馬体を持ち、Galileoの半弟という優れた血統を持ち、優れた気質を持ち、優れたパフォーマンスを発揮して見せた。だが、それでも彼はまだ何も種牡馬として証明してみせたわけではない。
現在Sheikh Mohammedが率いるDarleyはIrish National StudとSea The Starsを繋養する名誉を巡って争っている。オーナーであるTsui Familyはいまだ彼らと交渉中である。価格が高すぎるため可能性のある買い手はもうほとんどいないのだ。
Coolmore StudがこのSea The Stars争奪戦に手を出すことはあるまい。CoolmoreはかつてTsui Familyとの共有を解消しているし、今年はSea The Starsの前に憐れなほどに負け続けた。

んー、昔似たようなことを書いた気がします。
2008-05-20 - DREAM SCHEME:ブクマレス: 1500万ドルの価値
結局種付け料収入の見込みが種牡馬の価値になるというあたりで、突拍子もない数字はまず出ないし、高額になればなるほど手を挙げられる陣営も限られてくるからってことでしょう。といってもTelegraghらしく話がポンド建てで、6000万ポンドでも90億円あるいは1億USドル程度の換算にはなるわけですから、十分ぶっ飛んだ数字なんですね、Sea The Stars。流石の社台もこのレベルの争奪となると参加出来ないか。
余計な事をいくつか付け加えておくと、種付け料収入とは書いていますが、資金が実際にその通りに動くかどうか、要するにフォールシェアリング等々があって種付け料収入なんて一概に計算できるものではないということはわかりきっているわけです。ただ、産駒の評価をする基準のベースに据えられるものの内に種付け料が入ってくるはずですし、それだけの価値を生み出すという概念的な捉え方をするのが良いのかなとも。DarleyだかIrish National Studだかはきっちり決まった値段を払う事になるだろうけどね。
Sea The Starsのベストレースはどれなんだろう。
あの凱旋門賞はKinaneの手腕に魅せられたという印象が強くある。Sea The Starsの2400mでのパフォーマンスにも不満はないのだけども。
古馬相手のレースはSandownのEclipse Sだった。ここではConduitやCima de Triompheを下しているが、2着は1馬身差で3歳馬Rip Van Winkleであった。
字面だけならばYorkのInternational Sを3歳で勝つという部分に評価を持っていきたくなるのだけれども、今年は4頭立てでしかなく、その3頭までが3歳馬であった。唯一の古馬はBallydoyleのラビットでしかなかった。そもそもSea The Stars以外にはBallydoyleしかいなかったわけだが。1馬身差の2着にMastercraftsmanってどうよとも。これはかなりMastercraftsmanを低く見積もっているからかもしれないが。
そうなるとLeopardstownのIrish Champion Sか。ここもほぼ3歳馬同士の勝負ではあって、Casual Conquestが出走してきていたが、箸にも棒にもという有様。
総じてSea The Stars古馬のライバルに恵まれなかった。原因は現役に4歳世代のだらしなさに帰せられるのでSea The Starsの責任ではないが。そういった辺りでSea The Starsの評価は難しい。去年まではDuke Of MarmaladeやらDylan ThomasやらOuija Boardらと何かしら古馬で強い馬がいたのだが、今年は最後までそういう存在が現れなかった。結局Youmzainが凱旋門賞で格好を付けただけになっちゃったからなあ。
ところで種牡馬Cape Crossってのもどうなんだと未だに引っかかっていたり。Ouija BoardとSeachangeとあと何がいたっけ的な。