Breeders' Cup: Journey Thorough the Dark

二年連続でPro-RideのOak Tree at Santa Anitaでの開催となったBreeders' Cup。LA Timesがこの開催に合わせて掲載した合成馬場に対するコラムのタイトルに釣られて土曜に会社で流し読んだらなかなかの内容で、そちらの紹介にも時間を取りたいところですが、まずは初日のレース結果を。

Ladies' Classic - Life Is Sweet

スタートで先手を取ったのは父Tapitから受け継いだ芦毛が目立つCareless Jewel。Lethal Heatが埒沿いからこれを追い、その外にMusic Note、Rainbow Viewと3頭が並んで2番手を形成して1コーナーへ。Provisoが続いて、MushkaとCocoa Beachが並んでその後ろから、そして最後にLife Is Sweetが追走していた。2コーナーから向こう正面に入ってCareless Jewelが後続を大きく引き離すがこれは明らかにオーバーペース。Lethal Heatはつきあわず、後続のペースは落ち着いたものだっただろう。3コーナーに差し掛かる時点でProvisoがLethal Heatの内に入り込み3番手に進出している。Careless Jewelは4コーナーを回って直線に入るところで後続に捕まり、馬群は広がり横一線の直線勝負となった。大外からLife Is Sweetが一気に突き抜けて、内に進路を取ったMusic Noteの脚は伸びない。2着にはこれも外に進路を取っていたMushkaが入り、Music Noteが3着。以下Proviso、Rainbow View、Cocoa Beach、Lethal Heat、Careless Jewelという順に決着した。
レースラップは23.50-22.28-23.96-26.14-12.70の乱ペースで勝ち時計1:48.58。Careless Jewelが22.28などというスプリント戦まがいのラップで明らかに飛ばしすぎた影響は後続が一気に差を詰めた26.14のラップに出ている。逃げて圧勝を積み重ねてきた馬だったが、今回はやり過ぎだった。2番手Lethal Heatは平均的な24秒前後のラップを刻んでいたのではないかな。
Life Is Sweetは父Storm Cat、母Sweet Life、その父Kris S.。通算15戦6勝。John A. Shirreffs調教、Garrett K. Gomez騎乗。Mr. & Mrs. Martin J. Wygodのオーナーブリード。Sweet Catomineの全妹であり、今年の序盤に芝路線で台頭してSanta Margaritaを勝っている。その後AW挑戦を敢行し、Zenyattaを倒すのはこの馬かと期待されたこともあったが、逆にZenyattaの強さだけが際だつという結果になってしまった。どちらも後ろに着けて末脚勝負のタイプなのでZenyattaの鮮やかさを印象づける立場になっていたとも言える。Hollywood Gold Cupにも出走して3着に入るという実績を残しているが、スローペースに嵌められると脆いところがある。今回はLethal Heatがペースを握れば怖いところだったのだが、Careless Jewelの暴走でそれほどペースが落ちず、直線入り口でほぼ横一線の展開になったのが利した。今年になってShirreffs厩舎に移籍し、Zenyattaとは同厩であったが、これまでShirreffs師が使い分けずにぶつけまくったのだが、今回はZenyattaのClassic挑戦で使い分けが成り立った。これでしっかり取るあたりShirreffs師も素晴らしい。
2着Mushkaは前走Spinster SではProvisoの降着を受けて繰り上がり勝利。大きな影響を受けていたのでProvisoを上回っていたことは間違いないが、ここで改めて示すことが出来たと言える。
2年連続で3着に終わったMusic Noteは主戦G. GomezをLife Is Sweetに取られてR. Maraghが乗っていた。その影響もあったのかも知れないが、まあA.P. Indyだからという部分で全て納得することが出来たり。BCを勝つような奴はA.P. Indy産駒と認めない(嘘
Lethal Heatはもう少しペースを落としたかったところだが、BCでそれを望むのは難しかったか。最後は9Fの距離も影響していたように思われる。面白い馬なのでまた頑張って欲しい。

Filly and Mare Turf - Midday

Santa Anitaの芝10Fは3,4コーナーの中間地点がスタートであり、その先の4コーナーではシンボリルドルフを引退に追い込んだメイントラックを横切るという極悪設定だが、スタートが綺麗に揃って大きな影響は無し。内枠から好スタートを切ったVisitが先行してレースを引っ張った。1週目のホームストレッチでは外からVisitに並びかける2番手にDynaforce、その内にRutherienneと着けて、外からMaram、Middayは埒沿いの5番手で、その後ろがやや空いてMagical Fantasy、さらに後ろから外Pure Clanと内Forever Togetherが並んで追走する展開となった。向こう正面でMiddayは内埒沿いに3番手に並びかける位置に上げる一方、Forever Togetherは淡々と最後方のレース。直線に入るとMiddayが内を突いて抜け出し、そのMiddayが開いた進路をPure Clanが突いて一気に迫るが1馬身差まででMiddayの勝利。Forever Togetherは直線で外に出して鋭く伸びるも届かず3着だった。4着には逃げたVisitが粘り、以下Magical Fantasy、Maram、Rutherienne、Dynaforceと決まった。
レースラップは24.14-24.69-24.12-23.13-23.06の上がり勝負。道中で大きく動く馬がない淡々としたレースだった。このペースで中団の馬に切れ味を出されてしまえばForever Togetherは届かないか。Pure Clanは上手く進路が空いていたが、そこを突いて抜けてくる脚は素晴らしかった。
Middayは父Oasis Dream、母Midsummer、その父Kingmambo。通算11戦4勝。Henry Cecil調教、Thomas P. Queally騎乗。Juddmonteのオーナーブリード。今年は英愛のOaksでSariskaに負けるも10FのNassau Sで勝利。10Fがベストという印象の馬だったが、Prix de l'Operaでは3着に敗れている。このくらいの実績ならまだ北米路線の馬でも対抗できるのだが、レースが瞬発力勝負になると欧州馬の強さが際だつという印象。向こう正面で前が空いて労せず良い位置を確保できたのが勝因の一つだろう。Henry Cecil師はBC初勝利となった。
Pure Clanは直線でよく進路を見つけたなと思うが、こういう展開だったら強さが出るのか。現役に残るなら楽しそうだがどうだろう。
Forever Togetherは3着で引退する。2年近くトップに居続けたのだからもう十分だろう。

Filly and Mare Sprint - Informed Decision

Informed Decisionがスタートを決めてレースを引っ張りそうだったが、内からFree Flying Soulが出てきて、Informed Decisionは2番手で落ち着いた。Informed Decisionの外にはSeventh Streetが並んで、大外スタートのVenturaはいつものように控えて後ろから。4番手Sara LouiseでさらにGame Faceが続いている。Venturaの後ろにEvita Argentinaが着け、4コーナーではVentura、Evita Argentinaともに外から捲りに掛かるも、Evita Argentinaはその先伸びず。直線に入るとFree Flying Soulを軽く交わしてInformed Decisionが先頭に立つ。この時点でSeventh Streetは脱落し、外から伸びてくるVenturaとの勝負になるが、Informed Decisionが馬体を並べることすら許さず1馬身1/4差で逃げ切った。Venturaも普段通りの競馬で届かないのは仕方ないか。Informed Decisionは合成馬場だと最後まで止まらない。3着には逃げたFree Flying Soulが粘りきり、以下Sara Louise、Only Green、Silver Swallow、Evita Argentina、Seventh Street、Game Face。Seventh Streetは勝負所で手応えがなく、Game Faceはやはり馬場が合わなかったか。
レースラップは23.23-22.72-23.71-12.00。Free Flying Soulもこれならフロックということはないか。
Informed Decisionは父Monarchos、母Palangana、その父His Majesty。通算14戦11勝。Jonathan E. Sheppard調教、Julien R. Leparoux騎乗。C. Kidder & N. Cole生産でAugustin Stableの所有。今年はKeenelandのMadison SでもVenturaを下しており、合成馬場には自信を持っていた。一方でダートではBallerina SでIndian Blessingと揃ってMusic Noteに負けるといったこともあり、このあたりの結果でもダートと合成馬場は別物といえるだろう。
VenturaはまたしてもInformed Decisionにやられたというところだろう。それでも今年は5戦して2勝、2着3回と素晴らしい安定感。この中に牡馬相手の芝マイル戦Kilroe Mile2着とWoodbine Mile勝ちがあるは特筆に値します。今回出走せず引退となったIndian Blessingも含めて今年の牝馬短距離はタレントが揃っていました。これならこのレースのGI昇格も当然といった感じですし、今後もこういう状況が続けば何よりかなと。
4着は斤量差があったとは言え前走Gallant Bloom HでIndian Blessingに迫った3歳馬Sara Louise。来年に期待ということになるか。

Juvenile Fillies - She Be Wild

Always A PrincessがShe Be Wildを制して先行。コーナーから向こう正面でConnie And Michaelが外から進出して2番手に上がり、She Be Wildは埒沿いの3番手を追走という形になった。有力どころはBlind Luckが中団で、Devil May Care、Negligee、Biofuelは後ろからの競馬。直線半ばでShe Be Wildが粘るAlways A Princessを内から交わし、外ではBlind LuckやBeauticianが、更に大外を回してBiofuelが飛んでくる展開だったが、She Be Wildが粘りきる。2着はBlind Luckとの競り合いを制したBeauticianで、3着がBlind Luck。以下Biofuel、Always A Princess、Negligee、Zilva、Connie And Michael、Ms. Vanessa、Bickersons、Devil May Care、Champagne d'Oro。
レースラップは23.88-24.09-25.44-6.75。
She Be Wildは父Oflee Wild、母Trappings、その父Seeking The Gold。通算5戦4勝で前走Alcibiades SではNegligeeに差されて2着だった。Wayne M. Catalano調教、Julien R. Leparoux騎乗。M. & N. Mazzoniのオーナーブリードでオーナー名義はNancy Mazzoni。父Oflee WildはWild Againの後継種牡馬で名種牡馬を多数出しているGolden Trailのファミリーに属する。叔父にDynafomerである。この世代が初年度産駒にあたり、産駒GIはここが初勝利。

Juvenile Fillies Turf - Tapitsfly

このレースはノングレード戦のまま。
Rose Catherineが逃げてTapitsflyが2番手からの競馬。4コーナーで外から仕掛けたTapitsflyが直線でRose Catherineとのマッチレースに持ち込み勝利。2着Rose Catherine、以下House Of Grace、Hatheer、Jungle Tale、La Nez、Potosina、Lillie Langtry、Smart Seattle、Lisa's Kitten、Elusive Galaxy、Junia TepziaでDad's CrazyとIn The Slipsがスクラッチしている。
レースラップは22.95-24.07-23.31-11.73-12.19とちぐはぐ。
Tapitsflyは父Tapit、母Flying Marlin、その父Marlin。Tapit芦毛産駒は目立ちますね。通算7戦3勝。芝ではSaratogaのP.G. Johnson Sを勝っていた。またメイントラックに変更されたがBelmontのMiss Grillo Sでは2着。それにしてもTapit牝馬に出ると面白い。Dale L. Romans調教、Robby Albarado騎乗。Frank L. Jonesのオーナーブリード。Frank L. Jonesは30年以上馬主をしてきたが、BCに出走させたのはこのTapitsflyが初めてだった。またDale L. RomansもBC初勝利。Dale L. Romans師にとってFrank L. Jonesは父親のJerry Romansの時代から預けてもらっていたということもあり感慨深いだろう。

Marathon - Man Of Iron

今年から距離延長によって14Fとなった。
Man Of Ironは後ろに控える競馬。3コーナーからCloudy's Knightがリードを取り、これをSt. Leger馬Masteryが追い詰めるという展開で直線へ。更に内に進路を取ったMan Of Ironを加えた3頭の勝負となり、Masteryが脱落。内外離れた勝負だったがMan Of Ironがハナ差前で勝利。2着Cloudy's Knight、3着Mastery、以下Gangbuster、Muhannak、Father Time、Eldaafer、Nite Light、Black Astor、Sir Dave。
レースラップは48.23-25.43-25.45-25.25-25.23-24.52。平均ペースではあるか。北米で長距離戦なんてやったらこんなものというラップにしか見えない。
Man Of Ironは父Giant's Causeway、母Better Than Honour、その父Deputy Minister。Belmont S馬を2頭出したBetter Than Honourのスタミナは凄いねといったところだろう。通算10戦4勝で前走はDundalkのAW11F戦を勝っていた。これでAW戦績が4戦3勝であり、明らかにそれに向いたタイプという事だろう。昨年勝ったMuhannakもDundalkのAW11F戦からの参戦で勝っていて、距離実績とかを気にせずAWで実績のある欧州馬で安定するのではないかと思わせられる結果だった。

Las Palmas - Tuscan Evening

おまけのアンダーカード。牝馬限定の芝マイルと狙い所を心得ている条件設定。
で、勝ったのはOasis Dream。

Breeders' Cup: Wait For an Answer

では一頭の牝馬が伝説となった二日目。

Classic - Zenyatta

スタート直後にZenyattaは控えて最後方。Regal Ransomが逃げて1コーナーへ。Regal Ransomに続くのは内にColonel John、中にEinstein、外にGirolamoという集団。更にSummer Birdがその後ろで内に着ける。向こう正面ではRip Van Winkleが2番手にまで上げるがその他は大きな動きはなく、Zenyattaは依然後方の11番手でMine That Birdが更に離れて最後尾を追走する形で3コーナーに入った。3コーナーで空いた内に飛び込むZenyatta。そこから4コーナーを回りながら外に出して進路はクリア。先に内から抜け出しているGio Pontiを軽く抜き去り1馬身差を付けていた。恐ろしい馬だ。2着はGio Ponti、3着Twice Overと今年も芝を主戦場にする馬の活躍が目立ったか。以下Summer Bird、Colonel John、Richard's Kid、Awesome Gem、Regal Ransom、Mine That Bird、Rip Van Winkle、Einstein、GirolamoでQuality Roadはゲートに入らず、スクラッチとされた。
レースラップは24.16-23.72-24.00-24.28-24.46というラップだが、先行勢はColonel Johnが5着に入るのがやっとで、Zenyatta、Gio Pontiとも差して決着している。
Zenyattaは父Street Cry、母Vertigineux、その父Kris S.。通算14戦全勝。John A. Shirreffs調教、Mike E. Smith騎乗。Shirreffs師はこれで同一年にLadies' ClassicとClassicを制覇する快挙となった。Marverick Production生産、Mr. & Mrs. Jerome S. Moss所有。10Fという距離も牡馬相手も関係なく自分のレースをして勝ちきった。強いよなあ。14戦の内GIは8勝。ダートトラックはOaklawnのApple Blossom Hだけですが、当時路線で最強クラスのGinger Punchを3着に下して4馬身半差で圧勝を見せているのでダートをこなせない馬ではありませんでした。Hollywood、Del Mar、Santa Anitaのメイントラックが全て合成馬場になっていたという状況依存でしかないわけですが、歴史的にこの合成馬場がどういった評価を受けていくかがはっきりしないのがどうにも。しかしBC Classicで牡馬相手に勝利し年間無敗なら、他にどんな実績を持つ馬が出ていようと年度代表馬にならねばなりません。北米競馬とはそういうものであるはずですから。どんな理由があれ、Rachel Alexandraはこの舞台から逃げているのです。その理由として使われてしまうからこそ合成馬場ってどうなのよと言われてしまうのだろうが。Eclipse Awardの投票結果がどう出るかに大変興味があります。
2着Gio Pontiは芝路線の馬で今年距離延長に成功したとはいえ11Fまで。12FはTurf Classicで2着とやや不安を持ったか、それならばと10Fのメインレース挑戦でした。Santa Anitaのメイントラックでは昨年GIIIのSir Beaufort Sを勝っていますが、人気を集めたSturb Sでは5着でした。その後芝でKilroe Mile、Manhattan H、Man O'War S、Arlington Millionと4連勝して北米芝路線を制圧するもTurf ClassicでInterpatationに差し返されて2着。馬場がSoftでスローペースのレースだったが、あれではスタミナ不安が出るのも仕方なく、じゃあMile走れよとか思ったが、こっちで2着なら大正解だろう。
Twice Overが3着で、今年も欧州芝からの遠征馬がこれくらいに入ってくる。一方でRip Van Winkleは飛んでるからこれだけであれこれ言うべきではないだろうけど、Summer Birdが負けているのは昨年のRaven's Pass、Henrythenavigatorと合わせて北米としてはやられている感があるのではないかなと。Summer Birdの4着が今年ダートトラックをメインに走ってきた馬の最先着という結果では。

Turf - Conduit

Presious Passionがいつも通りのバカ逃げ。毎回の事ながらスタートから1頭だけ違うレースを走ります。他の出走馬は心得たもので、全くこれを追わずに2番手Spanish Moonが実質先頭で、ヒルサイドを駆け下りて1週目の直線に入って差がほぼ10馬身。3番手にはDar Re Miが着けて、Telling、Monzante、Red Rocksと続いて、最後尾Conduit。直線半ばではSpanish Moonがややつり出されてDar Re Miとの差が開き、Dar Re Mi以降は固まって進みます。向こう正面では徐々にPresious Passionと後続の差が詰まり、TellingがDar Re Miの前に出てSpanish Moonと並ぶ3番手に着けます。3,4コーナーを回ってPresious Passionは完全に捕まっていますが、ここからずるずる後退しないのがこの馬の特徴で、このレースでも内埒を確保して粘ります。Dar Re MiはそのPresious Passionの後ろに着けてしまい、更にコーナーを回って直線に入るとすぐ外にConduitが来てしまったため進路を失いました。ConduitはそこからPresious Passionとの競り合いを何とか制して、連覇達成。2着Presious Passionで3着がDar Re Mi。以下Spanish Moon、Red Rocks、Monzante、Telling。Allegreがスクラッチしています。
レースラップは23.08-22.06-24.10-25.34-25.14-24.03と実にPresious Passionらしいラップ。10F通過が1:59.72で勝ち時計が2:23.75ですから、均せばハロン12秒程度の普通のラップとなります。後続馬群のラップはほぼそんなところではないかと。
Conduitは父Dalakhani、母Well Head、その父Sadler's Wells。通算14戦7勝。Sir Michael Stoute調教、Ryan Moore騎乗。Ballymacollのオーナーブリード。昨年のSt. Legerを勝ってBC Turfも勝つと、今年はキングジョージとこのBC Turfですから、これだけを見れば相当な馬です。同時代的にもっと強い馬がいて、Eclipse Sと凱旋門賞で完敗しているのが、BC Turf連覇という肩書きほどには強さを感じない原因か。
Presious Passionはこういう馬だからとしか言えない。スタート直後に飛ばして、中盤はペースを落としておいて、最後はそこそこ粘る。レース全体のどこで脚を使うかという点で極端にスタート直後に片寄っているだけで、こういうのもありなんじゃないのとは思う。何より見ていて楽しい。今回もConduitには最後交わされたが2着に入っているので、この馬にとってはこのやり方があっているのだろう。
Dar Re Miは直線で抜け出す場所がなかったのが不運だが、一瞬の瞬発力があればあの状況でもまとめて行けたと思われるだけに、ジリジリとしか伸びない脚質がアダになったようにも見える。これはどうしても仕方ないが、3コーナーくらいからPresious Passionの外に並びかけていける進路を確保していればもうちょっと違った形に出来たかなとは思わされた。

Mile - Goldikova

GladiatorusとCowboy Calが並んでレースを引っ張り、大外枠スタートのGoldikovaはそのまま馬群の外を余裕の追走。向こう正面に入ると前の2頭にWhatsthescriptが絡んで速いペースでレースが進む。直線に向いてCourageous Catが先頭に出る。内を突いて出たCourt Visionも粘り、JustenuffhumorがCourt Visionを追い詰めに掛かる。しかし内の情勢に関係なく、外から一気にGoldikovaがまとめて差しきってこのレース連覇。2着がCourageous Cat、3着Justenuffhumor、4着Court Vision。以下Delegator、Karelian、Femeley、Whatsthescript、Gladiatorus、Cowboy Cal、Zacinto。
レースラップは22.98-22.24-23.12-12.13-11.79と前半ややオーバーペースで前で競ったCowboy Cal、Gladiatorus、Whatsthescriptは沈む結果となった。
Goldikovaは父Anabaa、母Born Gold、その父Blushing Groom。15戦10勝。Frederic Head調教、Oliver Peslier騎乗。Wertheimer et Frereのオーナーブリード。馬群から一瞬で抜け出した昨年のレースほどのインパクトはなかったが、今年もCourageous Catを並ぶ間もなく抜き去って切れ味はさすがでした。Wertheimer兄弟の馬はBC4勝目で全てSanta Anitaでの勝利。来年も現役続行と言われていますが、この勝利を受けてのインタビューに弟のGerardはまだ分からないと応じました。三連覇となれば史上初ですし、挑戦する価値はあるかな。Ouija Boardは1着2着1着でしたし。こういったことはオーナーブリーダー牝馬にのみ許された贅沢という気はします。
Courageous CatはAfter Market、Jalilの全弟になる3歳馬。Wygotが売らずに手持ちで走らせている。来年が勝負の馬と思える。
前が潰れるCourt Visionにとっては願ったりの展開で、自身も上手く内をついて抜け出そうとはして、結局4着という結果がどうにもCourt Visionの限界なのか。

Dirt Mile - Furthest Land

だからダートじゃねぇだろ、ダートじゃ。というレースも今年からGI格です。
Midshipmanがレースをリード。これをNeko Bay、Furthest Land、Mr. Sidneyらが追う展開で3コーナー。Mastercraftsmanは4コーナーで外に出せず内から。逃げ切りを図るMidshipmanに外からFurthest Land、内からMastercraftsmanが攻める形となり、Furthest Landがこれを交わして先頭。外からはReady's Echoが飛んでくるが、Furthest Landが凌いで1着。2着にReady's Echo、3着Midshipman、4着Mastercraftsman。以下はMambo Meister、Neko Bay、Mr. Sidney、Chocolate Candy、Bullsbay、Pyro。Chocolate Candy、Bullsbay、Pyroは後方ママで完全に空気状態。Pyroはマイルでも長いということになってしまったのか、或いは合成馬場が全く合わないか。Bullsbayは馬場かな。
レースラップは23.97-23.50-23.61-12.12-12.30。
Furthest Landは父Smart Strike、母Flagrant、その父Rahy。通算16戦8勝。Michael J. Maker調教、Julien R. Leparoux騎乗。生産はCatherine Willsで、Kenneth L. & Sarah K. Ramsey所有。伯父にDyneverが出ています。これはいろいろな意味で今後に期待大ですね。

Sprint - Dancing In Silks

Zensationalが微妙に遅れたように見えるスタートでしたが、大勢に影響なく、ZensationalもCost Of Freedomの後ろに着ける3番手からレースを進めました。Gayegoは抑えて離れて追走。しかしコーナーを回って外に出したZensationalはそこから伸びずに脱落し、粘るCost Of Freedomとそれに食らいつくFatal Bullet、内を突くGayego、好位抜け出しの体勢をとるDancing In Silksの勝負となってFatal Bulletが脱落。Cost Of Freedomを内からGayego、外からDancing In Silksが挟む形で並び、外から一気に来たCrown Of Thornsが加わって4頭が並ぶPhoto Finish。ハナ差でDancing In SilksがCrown Of Thornsに対して残り、更にアタマ差で3着Cost Of Freedom、ハナ差4着Gayego。以下Zensational、Fatal Bullet、Fleeting Spirit、Capt. Candyman Can、Join In The Dance。Gayegoは勢いがあったはずだが、最後急に脚が止まったようにも。あれでCost Of Freedomを差せていないのかと。
レースラップは21.88-22.34-11.66-12.26。
Dancing In Silksは父Black Minnaloushe、母Lemhi Love、その父Royal And Regalのカリフォルニア産馬。通算13戦7勝。Carla Gaines調教、Joel Rosarino騎乗。生産はRonald E. JexでKen Kinakin所有。前走は同条件のCalifornia Cup Sprintを勝っていました。この他Del MarのPirates Bounty Hを勝っています。
Crown Of Thorns、Cost Of Freedom、Gayegoは揃って前走が同条件のAncient Titleでそれぞれ2着、4着、1着。コース適性がはっきり出ていたのかなとは思う。Zensationalも西海岸のスプリントGIで3勝しているわけで合成馬場には問題無かったろうが。

Juvenile - Vale Of York

D'Funnyboneが先手をとり、その後ろからPiscitelliで1コーナーに向かったが、ここからPiscitelliが内からコーナーリングも利して逃げる展開。3番手は内からVale Of Yorkで落ち着き、その後ろはNoble's Promise。4コーナーでNoble's Promiseが外に出し、Vale Of Yorkは内で我慢。直線ではNoble's PromiseがPiscitelliを競り落としに掛かり、Vale Of Yorkは内を諦めてこの2頭を外から差す進路に変更した。これが後ろから伸びてきたLookin At Luckyと併せる形となり、アタマ差でVale Of Yorkの勝利。2着がLookin At Luckyとなった。3着はNoble's Promiseで、Piscitelliは4着に粘り込んでいる。以下はAikenite、Beethoven、Radiohead、William's Kitten、Eskendereya、Alfred Nobel、Pulsion、Aspire、D'Funnybone。
レースラップは24.26-24.52-24.24-24.24-6.22と平凡。
Vale Of Yorkは父Invincible Spirit、母Red Vale、その父Hallingのアイルランド産馬。通算5戦3勝。Saeed bin Suroor調教でAhmed Ajtebi騎乗。生産はStock Vale、Godolphin所属。

Juvenile Turf - Pounced

このレースはGIIに格付けされている。
レースを引っ張ったのはBridgetown。Interactif、Pouncedも前に着けてレースが進んだ。Interactifは外から、Pouncedは内から窺うレースとなるが3コーナーからBridgetownが内を空けず、直線でPouncedはBridgetownとInteractifの間を突く。この3頭の勝負はPouncedが伸びて1着。2着にBridgetown、3着Interactifで決着。以下Awesome Act、Buzzword、Dean's Kitten、Gallant Gent、Viscount Nelson、Bekcy's Kitten、King Ledley、Zip Quik、Codoy。Kera's KittenとSummer Movieがスクラッチした。
レースラップは23.61-24.89-23.97-11.23-11.77。
Pouncedは父Rahy、母Golden Cat、その父Storm Cat。通算4戦2勝。John H.M. Gosden調教、Lanfranco Dettori騎乗。Carwell Equities生産、Lady Serena Rothschild所有。前走Jean-Luc Lagardereで2着。
Bridgetownは前走WoodbineのGIII Summer Sの勝ち馬で、InteractifはSaratogaのWith Anticipation、KeenelandのBourbonとGIII2勝だった。実績馬が上位を占めたと見て良いか。

Turf Sprint - California Flag

このレースはノングレード。
California Flagが逃げて直線半ばまで後続を引き離した貯金を活かして逃げ切った。2着がGotta Have Her。以下Cannonball、Delta Storm、Canadian Ballet、Silver Timber、Noble Court、El Gato Malo、Get Funky、Square Eddie、Diamondrella、Lord Shanakill、Desert Code、Strike The Deal。Cherokee HeavenとTenga Catがスクラッチ
レースラップは21.50-21.59-22.19-6.00と前傾。さすがに最後はCalifornia Flagの脚が止まっているがそれでも後ろは届かなかった。
California Flagは父Avenue Of Flags、母Ultrafleet、その父Afleetのカリフォルニア産馬。通算16戦8勝。Brian J. Koriner調教、Joseph Talamo騎乗。Hi Card Ranchのオーナーブリード。前走はMorvich Hを勝っていた。Joe TalamoはBCシリーズ初勝利、次はGIで。

Oak Tree Derby - The Usual Q.T.

アンダーカードは3歳の芝9F GII。
万全を期してきたBattle Of HastingsがUnusual Heat産駒に喰われる。

Aqueduct

Nashua - Buddy's Saint

12馬身差で圧勝。前走がデビュー戦で1位入線するも2着に降着されていました。そういったわけで重賞に使われるのはありだし、BC Juvenile Turfの裏開催になったらメンバーも軽いが、逃げて直線向いて余裕のリードがあるのに突き放しに掛かって12馬身差はやり過ぎという気はする。父Saint Liam、母Tuzia、その父Blushing John。