Breeders' Cup: Wait For an Answer

では一頭の牝馬が伝説となった二日目。

Classic - Zenyatta

スタート直後にZenyattaは控えて最後方。Regal Ransomが逃げて1コーナーへ。Regal Ransomに続くのは内にColonel John、中にEinstein、外にGirolamoという集団。更にSummer Birdがその後ろで内に着ける。向こう正面ではRip Van Winkleが2番手にまで上げるがその他は大きな動きはなく、Zenyattaは依然後方の11番手でMine That Birdが更に離れて最後尾を追走する形で3コーナーに入った。3コーナーで空いた内に飛び込むZenyatta。そこから4コーナーを回りながら外に出して進路はクリア。先に内から抜け出しているGio Pontiを軽く抜き去り1馬身差を付けていた。恐ろしい馬だ。2着はGio Ponti、3着Twice Overと今年も芝を主戦場にする馬の活躍が目立ったか。以下Summer Bird、Colonel John、Richard's Kid、Awesome Gem、Regal Ransom、Mine That Bird、Rip Van Winkle、Einstein、GirolamoでQuality Roadはゲートに入らず、スクラッチとされた。
レースラップは24.16-23.72-24.00-24.28-24.46というラップだが、先行勢はColonel Johnが5着に入るのがやっとで、Zenyatta、Gio Pontiとも差して決着している。
Zenyattaは父Street Cry、母Vertigineux、その父Kris S.。通算14戦全勝。John A. Shirreffs調教、Mike E. Smith騎乗。Shirreffs師はこれで同一年にLadies' ClassicとClassicを制覇する快挙となった。Marverick Production生産、Mr. & Mrs. Jerome S. Moss所有。10Fという距離も牡馬相手も関係なく自分のレースをして勝ちきった。強いよなあ。14戦の内GIは8勝。ダートトラックはOaklawnのApple Blossom Hだけですが、当時路線で最強クラスのGinger Punchを3着に下して4馬身半差で圧勝を見せているのでダートをこなせない馬ではありませんでした。Hollywood、Del Mar、Santa Anitaのメイントラックが全て合成馬場になっていたという状況依存でしかないわけですが、歴史的にこの合成馬場がどういった評価を受けていくかがはっきりしないのがどうにも。しかしBC Classicで牡馬相手に勝利し年間無敗なら、他にどんな実績を持つ馬が出ていようと年度代表馬にならねばなりません。北米競馬とはそういうものであるはずですから。どんな理由があれ、Rachel Alexandraはこの舞台から逃げているのです。その理由として使われてしまうからこそ合成馬場ってどうなのよと言われてしまうのだろうが。Eclipse Awardの投票結果がどう出るかに大変興味があります。
2着Gio Pontiは芝路線の馬で今年距離延長に成功したとはいえ11Fまで。12FはTurf Classicで2着とやや不安を持ったか、それならばと10Fのメインレース挑戦でした。Santa Anitaのメイントラックでは昨年GIIIのSir Beaufort Sを勝っていますが、人気を集めたSturb Sでは5着でした。その後芝でKilroe Mile、Manhattan H、Man O'War S、Arlington Millionと4連勝して北米芝路線を制圧するもTurf ClassicでInterpatationに差し返されて2着。馬場がSoftでスローペースのレースだったが、あれではスタミナ不安が出るのも仕方なく、じゃあMile走れよとか思ったが、こっちで2着なら大正解だろう。
Twice Overが3着で、今年も欧州芝からの遠征馬がこれくらいに入ってくる。一方でRip Van Winkleは飛んでるからこれだけであれこれ言うべきではないだろうけど、Summer Birdが負けているのは昨年のRaven's Pass、Henrythenavigatorと合わせて北米としてはやられている感があるのではないかなと。Summer Birdの4着が今年ダートトラックをメインに走ってきた馬の最先着という結果では。

Turf - Conduit

Presious Passionがいつも通りのバカ逃げ。毎回の事ながらスタートから1頭だけ違うレースを走ります。他の出走馬は心得たもので、全くこれを追わずに2番手Spanish Moonが実質先頭で、ヒルサイドを駆け下りて1週目の直線に入って差がほぼ10馬身。3番手にはDar Re Miが着けて、Telling、Monzante、Red Rocksと続いて、最後尾Conduit。直線半ばではSpanish Moonがややつり出されてDar Re Miとの差が開き、Dar Re Mi以降は固まって進みます。向こう正面では徐々にPresious Passionと後続の差が詰まり、TellingがDar Re Miの前に出てSpanish Moonと並ぶ3番手に着けます。3,4コーナーを回ってPresious Passionは完全に捕まっていますが、ここからずるずる後退しないのがこの馬の特徴で、このレースでも内埒を確保して粘ります。Dar Re MiはそのPresious Passionの後ろに着けてしまい、更にコーナーを回って直線に入るとすぐ外にConduitが来てしまったため進路を失いました。ConduitはそこからPresious Passionとの競り合いを何とか制して、連覇達成。2着Presious Passionで3着がDar Re Mi。以下Spanish Moon、Red Rocks、Monzante、Telling。Allegreがスクラッチしています。
レースラップは23.08-22.06-24.10-25.34-25.14-24.03と実にPresious Passionらしいラップ。10F通過が1:59.72で勝ち時計が2:23.75ですから、均せばハロン12秒程度の普通のラップとなります。後続馬群のラップはほぼそんなところではないかと。
Conduitは父Dalakhani、母Well Head、その父Sadler's Wells。通算14戦7勝。Sir Michael Stoute調教、Ryan Moore騎乗。Ballymacollのオーナーブリード。昨年のSt. Legerを勝ってBC Turfも勝つと、今年はキングジョージとこのBC Turfですから、これだけを見れば相当な馬です。同時代的にもっと強い馬がいて、Eclipse Sと凱旋門賞で完敗しているのが、BC Turf連覇という肩書きほどには強さを感じない原因か。
Presious Passionはこういう馬だからとしか言えない。スタート直後に飛ばして、中盤はペースを落としておいて、最後はそこそこ粘る。レース全体のどこで脚を使うかという点で極端にスタート直後に片寄っているだけで、こういうのもありなんじゃないのとは思う。何より見ていて楽しい。今回もConduitには最後交わされたが2着に入っているので、この馬にとってはこのやり方があっているのだろう。
Dar Re Miは直線で抜け出す場所がなかったのが不運だが、一瞬の瞬発力があればあの状況でもまとめて行けたと思われるだけに、ジリジリとしか伸びない脚質がアダになったようにも見える。これはどうしても仕方ないが、3コーナーくらいからPresious Passionの外に並びかけていける進路を確保していればもうちょっと違った形に出来たかなとは思わされた。

Mile - Goldikova

GladiatorusとCowboy Calが並んでレースを引っ張り、大外枠スタートのGoldikovaはそのまま馬群の外を余裕の追走。向こう正面に入ると前の2頭にWhatsthescriptが絡んで速いペースでレースが進む。直線に向いてCourageous Catが先頭に出る。内を突いて出たCourt Visionも粘り、JustenuffhumorがCourt Visionを追い詰めに掛かる。しかし内の情勢に関係なく、外から一気にGoldikovaがまとめて差しきってこのレース連覇。2着がCourageous Cat、3着Justenuffhumor、4着Court Vision。以下Delegator、Karelian、Femeley、Whatsthescript、Gladiatorus、Cowboy Cal、Zacinto。
レースラップは22.98-22.24-23.12-12.13-11.79と前半ややオーバーペースで前で競ったCowboy Cal、Gladiatorus、Whatsthescriptは沈む結果となった。
Goldikovaは父Anabaa、母Born Gold、その父Blushing Groom。15戦10勝。Frederic Head調教、Oliver Peslier騎乗。Wertheimer et Frereのオーナーブリード。馬群から一瞬で抜け出した昨年のレースほどのインパクトはなかったが、今年もCourageous Catを並ぶ間もなく抜き去って切れ味はさすがでした。Wertheimer兄弟の馬はBC4勝目で全てSanta Anitaでの勝利。来年も現役続行と言われていますが、この勝利を受けてのインタビューに弟のGerardはまだ分からないと応じました。三連覇となれば史上初ですし、挑戦する価値はあるかな。Ouija Boardは1着2着1着でしたし。こういったことはオーナーブリーダー牝馬にのみ許された贅沢という気はします。
Courageous CatはAfter Market、Jalilの全弟になる3歳馬。Wygotが売らずに手持ちで走らせている。来年が勝負の馬と思える。
前が潰れるCourt Visionにとっては願ったりの展開で、自身も上手く内をついて抜け出そうとはして、結局4着という結果がどうにもCourt Visionの限界なのか。

Dirt Mile - Furthest Land

だからダートじゃねぇだろ、ダートじゃ。というレースも今年からGI格です。
Midshipmanがレースをリード。これをNeko Bay、Furthest Land、Mr. Sidneyらが追う展開で3コーナー。Mastercraftsmanは4コーナーで外に出せず内から。逃げ切りを図るMidshipmanに外からFurthest Land、内からMastercraftsmanが攻める形となり、Furthest Landがこれを交わして先頭。外からはReady's Echoが飛んでくるが、Furthest Landが凌いで1着。2着にReady's Echo、3着Midshipman、4着Mastercraftsman。以下はMambo Meister、Neko Bay、Mr. Sidney、Chocolate Candy、Bullsbay、Pyro。Chocolate Candy、Bullsbay、Pyroは後方ママで完全に空気状態。Pyroはマイルでも長いということになってしまったのか、或いは合成馬場が全く合わないか。Bullsbayは馬場かな。
レースラップは23.97-23.50-23.61-12.12-12.30。
Furthest Landは父Smart Strike、母Flagrant、その父Rahy。通算16戦8勝。Michael J. Maker調教、Julien R. Leparoux騎乗。生産はCatherine Willsで、Kenneth L. & Sarah K. Ramsey所有。伯父にDyneverが出ています。これはいろいろな意味で今後に期待大ですね。

Sprint - Dancing In Silks

Zensationalが微妙に遅れたように見えるスタートでしたが、大勢に影響なく、ZensationalもCost Of Freedomの後ろに着ける3番手からレースを進めました。Gayegoは抑えて離れて追走。しかしコーナーを回って外に出したZensationalはそこから伸びずに脱落し、粘るCost Of Freedomとそれに食らいつくFatal Bullet、内を突くGayego、好位抜け出しの体勢をとるDancing In Silksの勝負となってFatal Bulletが脱落。Cost Of Freedomを内からGayego、外からDancing In Silksが挟む形で並び、外から一気に来たCrown Of Thornsが加わって4頭が並ぶPhoto Finish。ハナ差でDancing In SilksがCrown Of Thornsに対して残り、更にアタマ差で3着Cost Of Freedom、ハナ差4着Gayego。以下Zensational、Fatal Bullet、Fleeting Spirit、Capt. Candyman Can、Join In The Dance。Gayegoは勢いがあったはずだが、最後急に脚が止まったようにも。あれでCost Of Freedomを差せていないのかと。
レースラップは21.88-22.34-11.66-12.26。
Dancing In Silksは父Black Minnaloushe、母Lemhi Love、その父Royal And Regalのカリフォルニア産馬。通算13戦7勝。Carla Gaines調教、Joel Rosarino騎乗。生産はRonald E. JexでKen Kinakin所有。前走は同条件のCalifornia Cup Sprintを勝っていました。この他Del MarのPirates Bounty Hを勝っています。
Crown Of Thorns、Cost Of Freedom、Gayegoは揃って前走が同条件のAncient Titleでそれぞれ2着、4着、1着。コース適性がはっきり出ていたのかなとは思う。Zensationalも西海岸のスプリントGIで3勝しているわけで合成馬場には問題無かったろうが。

Juvenile - Vale Of York

D'Funnyboneが先手をとり、その後ろからPiscitelliで1コーナーに向かったが、ここからPiscitelliが内からコーナーリングも利して逃げる展開。3番手は内からVale Of Yorkで落ち着き、その後ろはNoble's Promise。4コーナーでNoble's Promiseが外に出し、Vale Of Yorkは内で我慢。直線ではNoble's PromiseがPiscitelliを競り落としに掛かり、Vale Of Yorkは内を諦めてこの2頭を外から差す進路に変更した。これが後ろから伸びてきたLookin At Luckyと併せる形となり、アタマ差でVale Of Yorkの勝利。2着がLookin At Luckyとなった。3着はNoble's Promiseで、Piscitelliは4着に粘り込んでいる。以下はAikenite、Beethoven、Radiohead、William's Kitten、Eskendereya、Alfred Nobel、Pulsion、Aspire、D'Funnybone。
レースラップは24.26-24.52-24.24-24.24-6.22と平凡。
Vale Of Yorkは父Invincible Spirit、母Red Vale、その父Hallingのアイルランド産馬。通算5戦3勝。Saeed bin Suroor調教でAhmed Ajtebi騎乗。生産はStock Vale、Godolphin所属。

Juvenile Turf - Pounced

このレースはGIIに格付けされている。
レースを引っ張ったのはBridgetown。Interactif、Pouncedも前に着けてレースが進んだ。Interactifは外から、Pouncedは内から窺うレースとなるが3コーナーからBridgetownが内を空けず、直線でPouncedはBridgetownとInteractifの間を突く。この3頭の勝負はPouncedが伸びて1着。2着にBridgetown、3着Interactifで決着。以下Awesome Act、Buzzword、Dean's Kitten、Gallant Gent、Viscount Nelson、Bekcy's Kitten、King Ledley、Zip Quik、Codoy。Kera's KittenとSummer Movieがスクラッチした。
レースラップは23.61-24.89-23.97-11.23-11.77。
Pouncedは父Rahy、母Golden Cat、その父Storm Cat。通算4戦2勝。John H.M. Gosden調教、Lanfranco Dettori騎乗。Carwell Equities生産、Lady Serena Rothschild所有。前走Jean-Luc Lagardereで2着。
Bridgetownは前走WoodbineのGIII Summer Sの勝ち馬で、InteractifはSaratogaのWith Anticipation、KeenelandのBourbonとGIII2勝だった。実績馬が上位を占めたと見て良いか。

Turf Sprint - California Flag

このレースはノングレード。
California Flagが逃げて直線半ばまで後続を引き離した貯金を活かして逃げ切った。2着がGotta Have Her。以下Cannonball、Delta Storm、Canadian Ballet、Silver Timber、Noble Court、El Gato Malo、Get Funky、Square Eddie、Diamondrella、Lord Shanakill、Desert Code、Strike The Deal。Cherokee HeavenとTenga Catがスクラッチ
レースラップは21.50-21.59-22.19-6.00と前傾。さすがに最後はCalifornia Flagの脚が止まっているがそれでも後ろは届かなかった。
California Flagは父Avenue Of Flags、母Ultrafleet、その父Afleetのカリフォルニア産馬。通算16戦8勝。Brian J. Koriner調教、Joseph Talamo騎乗。Hi Card Ranchのオーナーブリード。前走はMorvich Hを勝っていた。Joe TalamoはBCシリーズ初勝利、次はGIで。

Oak Tree Derby - The Usual Q.T.

アンダーカードは3歳の芝9F GII。
万全を期してきたBattle Of HastingsがUnusual Heat産駒に喰われる。