Pocket Powerは引退し、妹River Jetezは活躍の場を国外に求め、Mother Russiaもターフを去った。強いと言われた現4歳世代が今一つその期待に応えられない中で、TurffonteinではIguguが牝馬三冠を達成して名を知らしめた。トップホースの国外流出と世代交代という南アフリカ競馬が抱えていた問題が垣間見える今年のDurban Julyの出走表。メリットレート順に付与される馬番では5歳馬Big City Lifeを除いて、Happy Landingまで4歳馬が占めることになった。
7/2 Greyville 7R Vodacom Durban July (Grade 1) 2200m
No. | MR | Draw | Horse | Weight | Jockey | Trainer |
1 | 115 | 7 | PAST MASTER | 60 | Gerrit Schlechter | Darryl Hodgson |
2 | 112 | 2 | BIG CITY LIFE | 59.5 | Andrew Fortune | Glen Kotzen |
3 | 113 | 11 | BRAVURA | 57.5 | Anton Marcus | Joey Ramsden |
4 | 110 | 4 | PIERRE JOURDAN | 57.5 | Doug Whyte | Gary Alexander |
5 | 108 | 18 | CAPTAIN'S WILD | 56.5 | Randall Simons | Mike de Kock |
6 | 108 | 16 | LION IN WINTER | 56.5 | Glen Hatt | Joey Ramsden |
7 | 107 | 17 | HAPPY LANDING | 56 | Muzi Yeni | Joe Soma |
8 | 106 | 15 | VERTICAL TAKEOFF | 55.5 | Card Scratching | Sean Tarry |
9 | 109 | 10 | IGUGU (AUS) | 55 | Anthony Delpech | Mike de Kock |
10 | 109 | 14 | RUN FOR IT | 55 | Felix Coetzee | Justin Snaith |
11 | 109 | 6 | THE APACHE | 55 | Raymond Danielson | Gavin van Zyl |
12 | 108 | 1 | BULSARA | 55 | Bernard Fayd'Herbe | Gavin van Zyl |
13 | 108 | 5 | ENGLISH GARDEN | 54.5 | Karl Neisius | Mike Bass |
14 | 104 | 20 | FLIRTATION | 54.5 | Gavin Lerena | Mike de Kock |
15 | 107 | 12 | BLACK WING | 54 | Ian Sturgeon | Paul Gadsby |
16 | 103 | 19 | SAFWAN (AUS) | 54 | Billy Jacobson | Mike de Kock |
17 | 108 | 3 | CASTLETHORPE (AUS) | 53 | Karis Teetan | Mike Bass |
18 | 105 | 13 | EMERALD COVE | 53 | Richard Fourie | Justin Snaith |
19 | 104 | 8 | GALILEO'S DESTINY (NZ) | 53 | Kevin Shea | Mike de Kock |
20 | 102 | 9 | SUPER STORM | 53 | M J Byleveld | Mike Bass |
中でも注目を集めるのはTurffonteinの牝馬三冠を達成したIguguである。SA Oaksで2450mをこなしていることから距離の不安はなく、55kという斤量も3歳牝馬であることを考えるとやや負担が重く見えるが、それでもよく55kで止まったと言うべきだろう。Turffonteinの牝馬三冠と前走のWoolavington 2000が主な実績で、この4連勝は圧勝に次ぐ圧勝だが、3歳牝馬限定戦でしかないという見方もあるのだろう。Iguguは普通に行けば来年のDubai International Racing Carnivalに向かうだろうし、あるいは早ければそれ以前にも南アフリカから出てしまうのではないかな。この先の南アフリカで大きなレースとなれば11月のSummer Cup、1月のJ&B Metと行ったあたりになるわけで、De Kock師ならその前に後半戦の欧州に乗り込むという手があるような気はする。
Iguguと同じく3歳のEmerald Coveは前走Woolavington 2000でIguguに軽くあしらわれた。12月のCape Fillies GuineasでもIguguが2着、Emerald Coveが3着とIguguに勝てないし、差を見せつけられるようなところはある。それでも1月にはPaddock SでFlirtationら古馬相手に勝って見せる非凡なところはある。牝馬限定マイル戦のGarden Provinceに回るかと思っていたが、こちらに挑戦してきた。あっちにはあっちでDancewiththedevilがどうにも抜けて強いという事情はある。一方FlirtationはSummer CupではMother Russiaを下している。J&B Metでは良いところがなかったが、Empress Club S、Gold Challengeと続けて3着に入って復調気配である。特にGold Challengeでは背負っての3着であり、斤量が楽になる今回はHappy Landingらの上に行ける期待がある。
トップハンデはメリットレートで115を獲得したPast Masterとなり、60kを背負う。今年のJ&B MetでMother Russiaを下してビッグタイトルを手に入れた。J&B Metを勝った後休養に入り、5月のG2 Drill Hall Sで復帰。復帰戦は勝ったが、Gold Challengeでは9着に負けた。距離経験が2000mまでと2200mを走るのはこのレースが初めてとなること、前走Gold Challengeで9着と大きく負けていることからかなり厳しいだろう。
59.5kを背負うのがBig City Life。2年前のDurban Julyを勝ったが、その後不振に陥った。去年はGold Challengeを勝って復活したかに思われたが、そのまま休養に入ってDurban Julyには出走せず。今年のDrill Hall Sで復帰したが結果は伴わず、Gold Challengeも12着と良いところがない。メリットレートシステムのせいではあるが見込まれ過ぎた斤量となっている。
3番手はBravura。昨シーズンは無敗でCape Derbyを勝ったが、古馬になった今シーズンは期待外れのシーズンとなった。前走Gold ChallengeでDancewiththedevilの2着に入ってようやく復活が見えてきた状況。
Pierre Jourdanは昨シーズンTurffonteinの三冠を狙うもスタミナに勝るIrish Flameに屈した。今シーズン初戦は勝ったが、その後は勝てない。これまですべてのレースをTurffonteinでこなしており、他のコースで出走するのは今回が初めてとなる。
Captain's WildはColorado King Sを勝って臨んだChampions Challengeを2着として実力を見せたが、前走のGold Challengeでは10着に終わっている。Champions Challengeは勝ったHappy Landingに1k与えた状態で0.25差であるから勝っていてもおかしくないレースであった。
基本的に南アフリカの競馬ではトップクラスが2000mまでとなるので、Durban Julyは最後の200mが曲者ではある。Iguguは前売りでEvenとなるほどの人気を集めている。3歳牝馬相手でしか実績を積んでいないとはいえ1600mから2450mの距離までを問題なくこなし、圧勝しているのでこのメンバーならそれも当然といったところか。ただそれはTurffonteinだけの話ではあるし、牝馬三冠とはいえ実際その内の2レースはG2格しか得ていないので、まだ人気先行っぽい印象はあるのだが、ここを勝って本当のヒロインになれば良いのではなかろうか。それはそれで今後確実にまたチャンピオンの流出という問題が出てくるのだけれども。