Johannesburg comes

2010南アフリカワールドカップ開催記念、或いはTurffonteinのGI勝利記念(嘘
よく買えたなあと思うと同時にStravinskyさえ持て余しているのにどうするのよとも。それともAshfordがJohannesburgあたりを手放さないといけない状況になってるのか。
かつてJRAはこの馬をヨハネスバーグと表記したが、今回はヨハネスブルグに落ち着いたようで何より。

競走馬Johannesburg

デビューから6連勝で、Morny、Phoenix、Middle Parkと仏愛英三ヵ国のGIを勝ち、2歳シーズンの最後にBC Juvenileを走るために海を渡り、そこもCame Homeらを軽く蹴散らして7戦全勝で2歳のキャリアを終えました。4ヶ国の2歳王者となり、Cartier AwardとEclipse Awardを同時受賞して、栄光に包まれた2歳のキャリアに華を添えます。これはArazi以来の快挙でした。
反面、3歳では3戦をこなしますが、勝ちを得ることなく引退に追い込まれています。早熟のスーパーホースといったところだったか。
そういえばAraziもかつて日本で種牡馬をしていましたね。結果はどうにも芳しくなかったですし、その後スイスに流れ着いたという記事を読んだ記憶がありますが、今はどうしているんだろう。後継種牡馬にはCongareeが出ていますけれども。

種牡馬Johannesburg

種牡馬としてもいきなりScat Daddy、Baroness Thatcherを出す素晴らしいスタートを切りました。しかし新種牡馬リーディングでは期待通りに首位を走るも、BCをStreet Senseに取られたことによってStreet Cryに逆転されています。その後Second-Crop、Third-CropともStreet Cryを超えることは叶いませんでした。
欧州でもSageburgを勝たせましたし、今年の2歳にはRadioheadがいます。シャトル先でも先日TurffonteinがSir Rupert Clarkを勝ちました。ただ、やや伸び悩む馬が多いという印象は出てしまいます。シャトル先でGIを勝たせるだけならVan Nistelrooyですらクリアしていることですから、TurffonteinのGI勝ちもやや遅かったと言えるのではないか。今年のシーズンはオーストラリアではなくアルゼンチンにシャトルされている事情もあり、見切りを付けられつつあったとも言えるかなと。
Hennessyが亡くなっていたため、その後継者としての需要があるかと思われましたが、その後Darleyで種牡馬入りしたHenny Hughesの存在もあってセールスポイントとしては弱かったかとも。

Ashfordの事情

Ashford Studは種付け料をやや低く設定することによって繁殖を集めるという手法をとっています*1。毎年発表される種付け頭数でも200頭を超える種牡馬が出てくるのはAshford*2でした。Giant's Causewayを始めとしてLion HeartやGrand SlamTale Of The Catがそうですし、今年はAshfordから放出されましたがChapel Royalも数をこなしていました。例えば去年でもLion Heartは215頭に種付けを行っていますし、Giant's Causewayが190頭、Chapel Royalが196頭、Van Nistelrooyが172頭、Scat Daddyが162頭、Tale Of The Catが150頭、Grand Slamが151頭、Johannesburgが139頭、Thunder Gulchでも130頭、DehereFusaichi Pegasus、Powerscourtとなると100頭前後になります。去年の種付けということで経済不況の直撃を受ける前ですから、これが今年になってどう変わったか。今年の種付け料は11月頃に速報値が発表されますし、その時期には来シーズンの種付け料も公示されてくるので、注目して見るべきでしょう。
とりあえずAshford Studの2009年版Stallion Roasterを確認してみましょう。

今年の種付け料はGiant's CausewayとLion Heart、Powerscourtが2008年の価格を維持したものの、全体的に下げていました。ただ、他の種馬場はそれ以上の減額を行ったため、相対的なAshfordの手頃感が減じてしまったのではないかなと。
血統的にはStorm Catが目立ちますね。AshfordはCoolmoreの北米支場であり、本国アイルランドがSadler's WellsとDanehillに偏っているのに対して、北米ではStorm Catに偏った構成となっています。


Storm Cat

GIANT'S CAUSEWAY
Hennessy
JOHANNESBURG
SCAT DADDY
TALE OF THE CAT
LION HEART
VAN NISTELROOY

まとめればハイエンドにGiant's Causewayを配し、HennessyJohannesburg→Scat DaddyのラインとTale Of The Cat→Lion Heartのラインを用意し、その下をVan Nistelrooyが受け持つという分担に見えます。
一方Johannesburgを母系から見ると、名族2-f族に属しており、遡ればRound Tableを出した名門中の名門Knight's Daughterに行き当たります。極近い範囲だけでも書き出すとこうなります。

Narrate (by Honest Pleasure)

Yarn (by Mr. Prospector)
Myth (by Ogygian)
Johannesburg (by Hennessy)
Tale Of The Cat (by Storm Cat)
Minardi (by Boundary)
Preach (by Mr. Prospector)
Pulpit (by A.P. Indy)

ここで注目されるべきはTale Of The Catが出ていることです*3。既に北米リーディングで10位圏内という成功を収め、後継者Lion Heartも種牡馬として、とりあえず合格といえる結果を出しつつあります。他の産駒を見てもGio PontiやTale Of Ekati、シャトル先でもGlamour Puss、Tell A Taleなどが活躍しています。総合的に産駒のスケールでJohannesburgを上回っていると見えるのです。
血統を見てもJohannesburgTale Of The Catに対して利を取れる部分はStorm CatMr. Prospectorが一代後退することなのですが、Storm Catが一つ下がるということはSecretariatが下がるとうことでもあり、デメリットにもなります。
現状ほぼ同じ血統で同じ程度の種付け料ならばTale Of The Catが選ばれるのではないでしょうか。そういった面から考えるとAshfordの種牡馬にあってJohannesburgは浮いていたと言えるのかも知れません。早くもScat Daddyという後継を得ていたことも手放す判断に影響したか。

JBBAの立場から

先日発表されたJBBA種牡馬の今年の種付け頭数は軒並み大幅な減少*4で、市況の悪化に影響されているとはいえ手を打たずにいるということはできない状況*5です。一方で現在の円高傾向は海外から種牡馬/繁殖牝馬を導入するにあたっては利点となります。生産界にその余力が失われているとしてもJBBAにならば可能であったというのが今回のベースでしょう。
また、日本の生産界へのStorm Cat種牡馬の導入という観点からにも意義を見出すことができるか。シーキングザダイヤが北米Hill'n'Daleでの種牡馬入りになるような日本でStorm Cat系への需要には疑問があるが、芝をこなす実績が十分にあり、孫世代にあたるJohannesburgならばという期待はあるのではないか。そして父Hennessyは1年日本にリースされていたことがあり、その当時の産駒からはサンライズバッカスが出ているし、芝でも3歳の初めにケイアイヘネシーらがそこそこ走っていただけに。
JBBAの看板となることを期待されるでしょうが、さてどこまでやれるでしょうね。

*1:一方で種付け料の動かし方が大変に下手ですが

*2:例えば2008年の出走頭数を見れば上からGrand Slam、Giant's Causeway、Fusaichi Pegasusと並び、10位までにはTale Of The CatJohannesburgも入ってきます

*3:いずれTale Of The CatPulpitな組み合わせの萌える配合が現れてくると信じている

*4:新規でアルデバランがいるしケイムホームが数を落とすのは驚かないが、ストラビンスキーやチーフベアハートはどういうことなんだろう

*5:JRAのリーディング上位10頭がマンハッタンカフェアグネスタキオンシンボリクリスエスダンスインザダークスペシャルウィーククロフネフジキセキサクラバクシンオーステイゴールドタニノギムレットという状態では…