Kentucky Derby Contenders

なんかもう血統表を用意するのも面倒なので、各自Pedigree Queryで確認してもらえればと。Adviceの出走が不明だがどっちにしろ大きな影響は無さそうなので、現時点での賞金リストの上位20頭を適当に。Derby Trialを勝ったHullでは届かないライン。Hullの勝ちっぷり自体は良かったんで、後に期待ということで。

Quality Road

Quality Road Horse Pedigree
トラックレコードでFlorida Derbyを勝利。他にFountain of Youth Sを勝っている。通算4戦3勝。Virginia産馬。
期待馬Dunkirkを一蹴したFlorida Derbyは素晴らしいレースで本戦への期待が膨らむものだったが、その後二度裂蹄しているというニュースが出たことが気がかり。どちらも重症ではないようで、昨年のBig Brownも蹄に悩まされ続けた事を考えれば十分対処されているはずだが、引っかかるファクターにはなる。そういやBig BrownもFlorida Derby圧勝からの臨戦だったか。
Smarty Jonesが活躍したのが2004年であるから、この世代はSmarty Jonesの活躍を見て付けられた世代になる。
自身の母系が13-c Durazna、Elusive Qualityの母系が13-c Natashkaと狙った配合で、地味にGraustarkとBowl of Flowers、Tim TamとOn-And-Onというきょうだいの組み合わせを仕込む。母父Strawberry Roadの母系からNZを経由した欧州血脈を取り込むあたりもポイントが高い。近親の活躍馬としては伯母にAjinaが出ているほか、Bahriが挙げられる。
Quality Roadが勝ってしまうと父にとって2頭目Kentucky Derby馬となるし、先年Raven's Passを出していることも考えると、ちょっとElusive Qualityがおかしな事になるので却下という方向で一つ。

Friesan Fire

Friesan Fire Horse Pedigree
Louisiana Derbyを圧勝して直行。3歳ではFair Groundsで3戦負け無しの実績で、9Fを走っていないが、距離を問題にするタイプではないだろうと考えられる。Louisianaからの直行ということでやや間隔が空くが、今シーズンで3戦を消化しており、標準的なキャリアと言える。LeComte、Risen Star、Louisiana DerbyとFair Groundsでの3連勝なので、そこから離れてどうなるかを気にした方が良い。
A.P. Indyに対して、母父にSecretariatを持つDehereを使っているし、オセアニアの牝系でSir Tristramが入って、Sir GaylordRound Tableを持てたメリットはあるだろう。一方で母父Dehereというのは引っ掛かる部分にもなるのだけれど。従兄にVictoria Derbyを勝ったBenicioがいる。
しかしながらA.P. Indy産駒がKentucky Derbyのような大レースを勝ってしまうシーンを想像できない。こういうレースで人気を集めて負けるのがA.P. Indy産駒の正道ではないかとも。でも、負けたら母父にDehereなんか持ってるからだよと言ってしまうつもりだが。

Papa Clem

Papa Clem Horse Pedigree
6戦2勝2着2回。Santa AnitaのRobert B. LewisでPioneerof the Nileの2着に入ると、ダートを試す意味も込めてLouisiana Derbyに出走し、Friesan Fireに千切られるも2着を確保した。そして最終プレップではArkansas Derbyに出走し、本命Old Fashionedを2着に下しての名乗り。同レースではハイペースで最後の脚を無くした形のOld Fashionedは骨折が判明して引退に追い込まれている。Papa Clemの勝利はこの事情を考えておかなければならないが、戦績が安定していることを評価できる。
Smart Strike、母父Belong to MeとLane's Endのオーナーブリードではないが、勝てばLane's End歓喜の血統馬。母はDel Mar Debutanteを勝ったMiss Houdini、祖母はHollywood StarletやLas Virgenesを勝ったMagical Maidenであり、完成は早めの血統。Smart Strikeを入れて文句のない構成。Smart StrikeNorthern DancerSir Gaylord大雑把に見ればCurlinと共通である。CurlinDeputy Ministerが持つカナダ血統に意味があり、Papa Clemには不足している要素だが、Smart Strikeは総じてNorthern Dancerとの相性が良いからそこに期待はしておけばよい。

I Want Revenge

I Want Revenge Horse Pedigree
8戦3勝でWood Memorial勝ちから参戦する。この馬も西海岸から東に転じたパターンで2歳でCashCall Futurity2着の実績を持ち、Robert B. Lewisでは3着としてAqueductに舞台を移した。ここでGotham、Wood Memorialを取ったのだから文句はない。Gothamでの圧勝は相手関係に寄与される面もあるが、Wood Memorialでは出遅れた挙げ句、直線では前を塞がれながらも外に持ち出して一気に差したあたりモノが違った。
母はアルゼンチンから輸入されたMegiual。父Stephen Got EvenはいきなりStevie Wonderboy、Don't Get Madを出して注目されるもその後さっぱりになっていたので、GI級の活躍馬は久しぶり。I Want Revenge自体は2006年産となるので、そういった初年度産駒が登場する直前の種付け。母父にはRoyが入っているが、祖母はアルゼンチンらしい血統であり、牝系の世代交代のタイミングからやや古い血を良く保っていると見るべきか。
今更Stephen Got Evenも無かろうと思うところはあり、Lane's EndとしてもLemon Drop Kidに何とかなって欲しいところはあろう。

Pioneerof the Nile

Pioneerof The Nile Horse Pedigree
西海岸のトップとしてSanta Anita Derbyを勝って参戦することになった。8戦5勝。今シーズンはRobert B. Lewis、San Felipe、Santa Anita DerbyとSanta Anitaで3勝、2歳のCashCall Futurityも勝っており、西海岸トップの評価は揺るがない。一方で西海岸以外での出走となるとKeenelandのBreeders' Futurityを走ったのみであり、ダート経験が無いことが問題視される。また、堅実と言えばそうだが、Quality Road、Friesan Fire、I Want Revengeといった他地区のトップホースと比較してレースでの印象が総じて弱い。
Empire Maker産駒はよく分からないし、ダート経験無しで判断しかねる。調教で動いても、レースになると全くダメだった実例が去年あったことだし、レースで走らせてみないと分からない事があるのだろう。その意味ではRobert B. Lewisの後で舞台を替えたI Want RevengeとPapa Clemがそれぞれ結果を残しているので、この2頭との比較に意味があるかも知れない。

Square Eddie

Square Eddie Horse Pedigree
2歳のBreeders' Futurityを勝ち、BC Juvenileで2着。3歳ではSan Rafaelで2着に入り、Lexingtonで3着。
カナダ・オンタリオ産馬で、イギリスでデビューしたがさっさと北米に戻ってきた。ダート経験の問題と3歳になってからの使われ方の問題を抱えている。Lexington Sへの出走は何とか間に合ったといったところで、ここを叩いた結果の上昇があればではある。
カナダ産だが母Forty Granはアメリカ産で、どうやらケンタッキーの種牡馬を付けて、カナダで産むという生産形態になっているようだ。内国産限定になるカナダ三冠への出走権との兼ね合いだろう。

Regal Ransom

Regal Ransom Horse Pedigree
ドバイ戦線から乗り込んでくるUAE Derby馬。2歳は北米で2戦し、Oak Tree開催のGI Norfolk Sに出走するも9頭中の8着に終わっている。その後ドバイで過ごし、今年はNad Al Shebaで3戦。コンディションレース、UAE 2000 GuineasではどちらもDesert Partyの2着に敗れたが、UAE DerbyではDesert Partyを逆転しての勝利。北米での実績が2歳の10月で、GIでブービーでは判断出来ようはずが無い。強いか弱いかも、北米ダートへの適性も何もかも未知というべき。
血統に頼って判断しようにも叔父Minister Eric以外では、遠くにDuke of Marmaladeの偽物が引っかかったり、Cryptoclearanceがいる程度しか。母父にRed Ransomというのが難解さのレベルを上げる要因だが、基本的にはDistorted Humorに対して適合しない母父であるように見える。Red Ransomの母父という形でDamascusが入るという点を活かせばとも考えるが、母はどうも違う志向の構成をして、RobertoとMr. Prospectorの組み合わせを基調としている。Distorted HumorMr. Prospectorを還したことになるが、Distorted HumorはいまいちRobertoを使わないだけに。
勝てばそれこそ歴史が変わる。

Desert Party

Desert Party Horse Pedigree
こちらもドバイ戦線からのUAE 2000 Guineas馬。2歳は北米で3戦して、SaratogaのHopeful Sを8頭中の6着とRegal Ransomと大差ない結果だが、その前にSanford Sを勝っている。Nad Al Shebaの3戦はいずれもRegal Ransomと同じレースに出走し、2勝1敗と勝ち越したが、UAE Derbyを落としたので負け。2000 Guineasでの4馬身3/4差を逆転されたのでRegal Ransomと比しても強く推せない。Regal Ransomとのチームプレイを織り込んでも、こちらは使われる側に回されそうである。

General Quarters

General Quarters Horse Pedigree
Blue Grass Sの勝ち馬で、他にSam F. Davisも勝っているので、ダート実績もある。たが、Tampa Bay Derbyは5着に敗れており、信頼できかねる。父Sky Mesaは2年目のこの世代で成功を収めたが、初年度産駒がデビューして以降はっきりと合成馬場向きと言われてきたことも思い出すべきだろう。
Sky Mesaは北米でも最上級の血統を持ち、General Quarters自身もMiswakiの同族で北米らしく洗練された血統を持っている。世代の更新が速いため、閉じているようで閉じきらない不思議な印象を受ける血統表でもある。

Dunkirk

Dunkirk Horse Pedigree
3戦2勝。Florida Derbyで2着に終わり、Kentucky Derby出走のためには賞金面で不安視されたが、今年の路線は賞金がばらけず、またOld Fashionedのように最終プレップまでこなしながら離脱する馬が出て出走ラインにたどり着いた。
Florida Derbyは負けたとはいえQuality Roadを褒めるべきレースで、Dunkirk自身も3着以下に大差を付けていたため評価を落とすことはなかった。デビューから3戦目であのレースに対応したことは十分な能力の証明とも言える。
Unbridled's Song、母Secret Statusという良血で、370万ドルの高額馬。生産はLane's EndのFarishなのでDunkirkが勝ってもLane's End歓喜という状況。むしろそろそろ活躍馬が出ないとSecret Statusもどうかという局面で登場した功労馬である。
3戦というキャリアはCurlinBig Brownを想起させる。CurlinがRebel S、Arkansas Derbyを楽々クリアしていたことを比べるとやや劣ると見なさなければならない。Big BrownもFlorida Derbyを圧勝していた。Dunkirkの臨戦はBig Brownを意識したものだろうが、その域に到達していない。
高額馬、Pletcherと二重苦を背負わされており、オーナーもCoolmoreで、これで外枠でも引こうものなら役満確定である。

Musket Man

Musket Man Horse Pedigree
6戦5勝。Illinois DerbyとTampa Bay Derbyを勝っている。負けたのはSam F. Davis Sでの3着。裏街道で着実に実績を積んだが、これがどこまで通用するか。Tampa BayはStreet Senseが調整に使ってからDerby Trailでの評価を高めたが、そういったものはメンバーが揃ったレースを勝ってこそのものであり、Street Senseの場合はAny Given Saturdayがいた。Musket ManのレースはGeneral Quartersと勝ち負けしているといった程度にしか見えない。最終プレップにHawthornを選んだこともあまり評価できない。
父はYonaguskaである。とりあえずカエレと言っておくべきだろう。この種牡馬で10Fは流石にきつく、それを補うようなものは見あたらない。

West Side Bernie

West Side Bernie Horse Pedigree
7戦2勝。3歳になってからはWood Memorialが2着程度が実績で勝てていないが、2歳のKentucky Cup Juvenileを勝っており、ここ数年の傾向としてこのレースの勝ち馬は評価先行ながら良い評価を受けることが多い。そのTurfwayの舞台でLane's End Sを6着なら最早終了と言わなければならないが、Wood Memorialで息を吹き返したか。
Bernstein産駒にKentucky Derbyを勝たれると「けっとうの ほうそくが みだれる」という事態に陥るのでおとなしくしておいて貰いたい。要所にSecretariat並びにPrincequilloを喰って、Numbered Account、Busandaという上質なLa Troienneの供与源もあって、Bernsteinが悪さをしなければ優れた血統と言える。

Chocolate Candy

Chocolate Candy Horse Pedigree
El Camino Real DerbyとCalifornia Derbyを勝った北カリフォルニア戦線の勝者で、Santa Anita Derbyでも2着とものになっている。元々はHollywodでReal Quiet Sを勝ち、CashCall Futurity3着だったところで北に遠征しており、ここまでのところその判断は成功と見て良い。西海岸から出ていないためダート経験が無い。Santa Anita Derbyの2着は仕掛けをぎりぎりまで待ってのものであったし、出走馬自体がPioneerof the Nile以外は大したことがないといった状況であった。
父はCandy Ride。この馬は13-c族に分類されるが、北米で一大勢力を築くFrizetteに連なるものではなく、フランスのAngaurに連なるものであり、これらは13-cの祖Stay Shotに遡らなければ接続しない。Candy Ride側の分岐はWordenやLe Fabuleuxを出した事で知られており、Candy Rideの母系においてもCithereの配合にその意識が見られる。そこから2代はTourbillonに振った選択で特にFarnesioによってTourbillon-Ksar系の強度近交馬Cardinilを導入されたことを重視できる。Candy Stripesもこれを継続し、更にはBlushing Groom経由のWild Riskを導入している。こうした牝馬Fappiano直系のRide the Railsを入れており、回りくどくUnbridledを意識の上に置いた配合でCandy Rideの血統は成り立っている。
一方母であるCrownetteは北米の名門23-b族であり、Correctionに辿ることが出来る。Won't Tell YouはAffirmedの母として知られるが、Sir Gallahad=Bull DogとGallant Fox=Fighting Foxの2通りの全血クロスを複雑に組み込んでいる。同時にこれはその前の世代でDominoに依存しており、23-b族としては重視されるべきポイントである。ここで母にBull Leaを最上質で組まれたAlydarが入るのだからIn Memoryの繁殖牝馬としてのポテンシャルは高かったと考えられるが、この時期のCulmet Farmの破綻による混乱で十全にその能力を発揮したとは言えず、Crownetteを出すに止まっている。Seattle Slewを使いLa Troienneが導入されるが、この際にもHail to Reason内のSir Gallahad≒Admiral Drakeなどが存在し、後背にDominoの形は変わらない。北米血統の普遍的な特徴だが、洗練され、貫徹されている。
こういう血統の馬が勝てば面白いのだが、実力がやや劣るのが残念なところ。後々大成させてくれればという期待で見ている。

Mine That Bird

Mine That Bird Horse Pedigree
8戦4勝。2歳にWoodbineで4連勝し、BC Juvenileに出走するも12着。今年はSunland Parkで2戦してBorderland Derby2着とSunland Derby4着。カナダで稼いだ分で紛れ込んできたけど、能力不足だろう。
父はBirdstoneで母父がSmart Strikeなら、血統での見劣りはしない。23-b族のKildeerに遡るが、傍流。
2歳の時に稼いだ賞金があるので来てみました。…よし、分かったからカエレ。

Flying Private

Flying Private Horse Pedigree
10戦1勝。Lane's End Sで2着に入ったのが目立つ程度で、Arkansas Derbyに出走したが5着に終わっている。他にMountain Valley Sで2着というのがある。これはノングレード戦。今年はこの程度の実績でも賞金的に本戦出走が可能。これは賞金が上位馬に集中しているためで、Derby Trailでの波乱の少なさを意味している。よってこのように紛れ込んできたエントラントはまず検討に値しない。枠と馬場がおかしな事にならない限りは最終プレップの上位馬が順当に来るのではないか。
Fusaichi Pegasus、母父UnbridledのMr. Prospector2×4。

Mr. Hot Stuff

Mr Hot Stuff Horse Pedigree
7戦1勝。Sham SとSanta Anita Derbyで3着に入っている。昨年の有力馬の一角Colonel Johnの全弟であり、その血統に対する期待もやや込められているのではないか。だが、その兄Colonel Johnもダート初出走の本戦で良いところ無く敗れ去った。Mr. Hot StuffもこれまでHollywoodとSanta Anitaにしか出走しておらず、同種の問題を抱えている。WinStar Farmのオーナーブリード

Hold Me Back

Hold Me Back Horse Pedigree
5戦3勝でLane's End Sを勝った。最終プレップはBlue Grass Sの2着。3勝はすべてPolytrackであり、唯一のダート出走となったRemsen Sは5着。末脚勝負であり、ダートのAqueductではその末脚が不発であった。Giant's Causeway産駒のダート実績と相まって不安しかない。オーナーはWinStar Farm。

Win Willy

Win Willy Horse Pedigree
5戦3勝。展開向いてのものであるとはいえ、Rebel SでOld Fashionedを墜としたのが何より評価できる。3着以下は大きく離されていたので、Old Fashionedには展開と斤量、それ以外には実力で勝利していた。Arkansas Derbyの4着が実力通りの結果と見ても良いだろう。となれば少し能力が足りないか。展開でそれが埋まるならば可能性はあり、脚を溜めて進路が空いていれば夢を見ることが出来るかもしれない。

Summer Bird

Summer Bird Horse Pedigree
3戦1勝。Oaklawnでデビューし2戦目で勝ち上がり。そのままArkansas Derbyに挑戦して3着。後ろから捲り気味に来て前の2頭に迫った。3戦目のレースとしては上々で見所はあった。このArkansas Derby3着の賞金10万ドルがKentucky Derby出走ラインに滑り込ませることになったが、本来はKentucky Derby以降に期待すべきだろう。
父Birdstone、母父Smmer Squall。Storm Birdの3×3というクロスでどちらもStorm Catを通らないのは、見る機会の少なそうなパターンである。母系はFoggy Noteに遡ることが出来、TapitやRubianoが出ているMoon Glitterの分岐。Birdstoneはまだこれといった産駒が出ていないが、ひとまずKentucky Derbyに2頭出走させられるのは明るい話題だろう。

Advice

Advice Horse Pedigree
6戦2勝。Lexington Sの勝ち馬。WinStar Farmの持ち馬で既にMr. Hot StuffとHold Me Backが出走を決めていたことから決定をぎりぎりまで引っ張っている。
Pletcher師としてはAdviceかJoin in the Danceかどちらかになっているわけで、どちらが出てもたいした差は無いように思われる。