Pivotalヒャッハー

個人的には楽しすぎる話題なのです。
競馬コラム - netkeiba.com | タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール結果報告/合田直弘/世界の競馬
ブックマークでも言及したんだけど、最後にさらっと書かれているPivotal産駒の件。
Tattersallsのサイトに行ってカタログを見たりして確認すると、落札者の名義はK. Maedaとなっているので、ノースヒルズの中の人という事になるでしょうか。
日本でのPivotal産駒の競争成績といえば、かつてFeet So Fastが京王杯スプリングCに遠征して3着というのがある程度。合田氏がコラムで触れておられるようにそもそも外国産馬としてほとんど入ってこない事情があります。Feet So Fastについてはこの結果を残しながら安田記念に出走しないことを一部で疑問視されていたように記憶していますが、何のことはなく、マイルなんて走ったこともないという馬でしたのよね。陣営は最初から京王杯スプリングCだけとコメントしていたし、戦績もJRAが紹介してくれているのを見れば分かるのにねとか考えてたことを思い出します。
一方でPivotal産駒は欧州ではマイル戦に強いスピードに優れた馬が多く、名マイラーと呼ばれる資格を持った馬を多く輩出しています。私は西海岸の芝牝馬路線にGolden Apples、Megahertzと立て続けに萌える馬を送り込んだ頃からヒャッハーなんですが、日本の競馬にほとんど関係しないのでPivotalって日本での注目度が低すぎるよねとは思う。その北米芝での牝馬2頭の活躍で産駒が日本に来たら面白いだろうにと思っていた頃に遠征してきたのがFeet So Fastだったんですよね。
種牡馬としてDanehill亡き後は欧州でSadler's Wellsに次ぐ種付け料を掲げていました。Standing at Coolmoreが並ぶ英愛リーディングにおいて上位に入っています。最近はGalileoとかの方が高いんだろうけど、今年は6.5万ポンドを提示しています。
代表的なPivotal産駒を挙げてみましょう。

Golden Apples

1998年産。母Loon、母の父Kaldoun。Caroの4×3。3歳で北米移籍しDel Mar Oaksを勝つなどの実績を残していましたが、4歳になってGI2勝でEclipse Awardの芝牝馬部門を獲得しています。

Silvester Lady

1998年産。母Gara Yaka、母の父Soviet Star。Nureyevの3×3。ドイツオークス馬。レーポで見る限り6戦2勝。繁殖としてはアメリカにいるっぽい。

Megahertz

1999年産。母Heavenly Ray、母の父Rahy。フランスでデビューするも3歳で北米に渡る。これには当時創設されたAmerican Oaks Invitationalの存在が影響したと考えられます。GIタイトルはJohn C. Mabee HとYellow Ribbon Sの二つだけですが、Santa AnitaのGIIあたりでやたらと走っていた記憶があります。牡馬相手でもHollywood Turf Cupで2着というのがありました。勝ちまくったので獲得賞金は200万ドルを突破。

Chorist

1999年産。母Choir Mistress、母の父Chief Singer。Northern Dancerの4×5。Pivotalを繋用するCheveley Park Studのオーナーブリード。Pretty Polly Sを勝っている。中距離で活躍。

Peeress

2001年産。母Noble One、母の父Primo Dominie。Northern Dancerの4×5。Windsor Forest Sで当時のマイル路線トップであるSoviet Songを下して有名になる。Sun Chariot S、Lockinge SのGI2勝。マイル戦線で活躍。Cheveley Park Studのオーナーブリード。繁殖入りしたら迷わずMediceanとか言っちゃうのがCheveley Parkクオリティ。

Saoire

2002年産。母Polish Descent、母の父DanehillNorthern Dancerの4×4、Natalmaの5×5*5。愛1000ギニーを勝った。その後は距離を延ばそうとして果たせなかった。

Halfway to Heaven

2005年産。母Cassandra Go、母の父Indian RidgeNorthern Dancerの4×4。愛1000ギニー、Nassau S、Sun Chariot SとGiを3勝。

Kyllachy

1998年産。母Pretty Poppy、母の父Song。12戦6勝の成績を残すが、その出走したレースはすべて5F戦という極まったスプリンターだった。重賞で活躍したのは4歳でGI Nunthorpe Sを勝って引退。父のいるCheveley Park Studにて種牡馬入りした。種牡馬としてはTariqやDim Sumを出している。

Captain Rio

1999年産。母Beloved Visitor、母の父MiswakiNorthern Dancerの4×4。GII Criterium de Maisons-Laffitteを勝った。仏2000ギニーに出走したが大敗している。やはりスプリンターだったようだ。引退後種牡馬入りし、NZにシャトルされた。NZで出したのがIl Quello Veloce。

Somnus

2000年産。母Midnight's Reward、母の父Night Shift。Northern Dancerの4×3。3歳でSprint Cを勝って頭角を現すと4歳ではMaurice de Gheest、La Foretを勝ち、Sprint Cの2着もあり最優秀スプリンターのタイトルを手に入れた。セン馬でその後も現役を続け、時折快走を見せている。2007年以降は衰えも顕著になっているので、今年はもう無いかとは思うけど。

Kaneko

2001年産。母Kalimat、母の父Be My Guest。Northern Dancerの4×3。トルコ産馬で、トルコの2000ギニーに当たるErkek Tay Denemeを勝っている。

Excellent Art

2004年産。母Obsessive、母の父Seeking the GoldNorthern Dancerの4×5。生産はCheveley Parkで、Doncaster September Yearlingに上場されMatthew Greenが落札。その後2歳のキャリアを終えるとCoolmoreに買われた。GI勝ちはSt. James Palace Sだけだったが、Sassex SとQueen Elizabeth II SでRamontiの2着に入って評価を高めた。BC Mileは差し届かずの典型的な負け方で2着。3歳一杯で引退し、Coolmoreで種牡馬入りした。Coolmoreがこの馬で転けるとは思えないし、種牡馬として前途有望と見ています。

Falco

2005年産。母Icelips、母の父UnbridledNorthern Dancerの4×5。Wertheimerのオーナーブリード仏2000ギニーを勝った。その後はぱっとせず引退。今年から種牡馬入りしている。オーナーがWertheimerだからマイル志向で使われていたけど、現役を続けていたらスプリント路線に活路を求めたんじゃないかなと。
その他詳しいのはこれ見れ。
Cheveley Park Stud: Pivotal
それで、牝馬なら中距離をこなす馬を出しているのですが、牡馬では頑張ってマイルまでという傾向が顕著です。牡馬と牝馬に分けて平均勝ち距離を出せば面白いのではないかと思いますけど。Pivotal自身がNunthorpe SやKing's Stand Sを勝ったスプリンターであり、その父Polar FalconにしてもSprint Cを勝ったスプリンターであったことを考えるなら、そのスピードこそが武器です。だからクラシックディスタンスを狙うには厳しいが、ギニーならこれほど向いた種牡馬もいないかとは思うところ。
で、冒頭の落札された馬。カタログから拾ってくるとこれです。
http://www.tattersalls.com/cat/breezeup/2009/23.pdf
牡馬なのがちょっと引っかかるところ。何故かってのはPivotal産駒の傾向がアレだから。
カタログを見れば分かるんですが、ドイツの7号族でAをイニシャルとする名門と言って良いファミリーに属しています。カタログ上にもAnna MondaやAnna Paola、Annus Mirabilisという馬が見えますし、記事にもあるとおり姉がFraulein。ま、この牝系だったらマイルは何とかなると思いますし、距離を更に延ばす野心を持てないこともないかと。勝負は3歳とも思います。
今回のセールには2頭のPivotal産駒が上場されていましたが、どちらも牡馬。もう一頭は母Dinka RajaでCarry On Katieの下というそれはそれで楽しそうな血統でした。