Wait a While

先週のWait a WhileのBC後の検体からプロカインが検出されたというニュース。ブラホの該当記事はざっと流し読んだだけで、ふーん程度にしか見ていなかったんだけど、id:BUNNYさんの今週のニュース記事でペニシリンとあったので、何でペニシリン?と思って記事を読み直してみた。
Wait a While Tests Positive in BC | bloodhorse.com
今週のニュースまとめ - 名牝達の後宮 - 創造は力
ブラホの記事をしっかり読んで一応事情は承知した。
まずWait a WhileはYellow Ribbon Sを勝った二日後に発熱症状を示した。このため*1抗生物質を使用するも効果が出なかった。獣医はペニシリンG製剤を投与する判断を下し、そのように処置された。
で、まず最初の抗生物質使用ですが、これはおそらく経口投与だったのではないかなと思われます。その後に投与されたペニシリンGは筋肉注射で投与されます。プロカインが出てくるのは筋肉注射を行うために局所麻酔が必要で、この局所麻酔剤として使われたからです。
さて、問題は何故レース後の検査で出たかです。当然プロカインが規制されているのは承知でしょうし、記事中にもレース14日前までに使用するように助言され、実際にはBCの18日前にその注射を受けたようです。
…うーん、プロカインが18日も体内に残るかなあ。検出されたのは代謝産物だと思いますけど、それでもプロカインなんて投与後直ぐにでも分解されるような薬剤ですし。Pletcher師は以前にもレース後に局所麻酔剤が検出され、資格停止処分を受けたことがあります。このときに検出されたのはメピバカイン。こっちはやや代謝が遅いです。
プロカインは水に溶けやすく、エステル結合を持つため容易に加水分解を受けます。数ある局所麻酔剤の中でも最も分解されやすいです。一方メピバカインはアミド結合を持つ物質で、水溶性ですがタンパク質への結合力が強いので持続性があります。分解も肝臓で薬物代謝酵素によって行われるので、体内での挙動がプロカインとはかなり異なります。
だから、メピバカインが検出されるのはまだ分かる。だけど、今回のプロカインは18日前の投与でレース当日まで残るようには思えなかったり。獣医師もその辺りを考えた判断だと思うんだけどなあ。
CHRBのヒアリングでどういった裁定が下るかですな。14日にやるという話だから、今日なんだが。

*1:おそらく何らかの感染症を疑ったのだろう