コミックREX 2月号

エスペリダス・オード(堤抄子

これまでにもその示唆はありましたが、アリアの王としてエルハイアが目指しているものと、その配下の一般的なアリア族が求めているものの違いがはっきりと出ています。アリア族は人間に対する復讐、エルハイアはその先を見ているということになるのですが、このエルハイアの理想は一部のエルハイアの信奉者以外には受け入れられにくいものでしょう。だからこそエルハイアはアリア族に対しては絶対的な王者として振る舞わなければならないとは言えるのかな。そしてエルハイアには対等な相手として人間の友が必要で、エルハイアはアルドにそれを期待していた。たった三人しかいないエルハイアの恩人とも言える人間に。だけどエルハイアは自分の手でその可能性を失ってしまった。エルハイアにとっても苦しい状況なんですよね。
アルドの方もどうやらエルハイアの事を憶えていましたが、アルドの知るエルハイアと今のエルハイアが違ってしまうのは、アリア族であるエルハイアにとってはまず力で抑えなければ状況を変えられないからではあります。そのことをエルハイア自身は分かっていますし、必要以上に殺さないという彼の方針はそうしたものの上にあるのでしょう。エルハイアがまず力を選ばなければならない状況に置かれてしまったのがこの悲劇の原因にあって、エルハイアをその状況に置いてしまったのは先の大戦の結果によるもの。結局のところ、アースィファには先代の勇者としての不作為に責がないとは言えないだけになぁ。やるせないものがありますね。