桁が違うどころの話ではない

単位から違うとは恐れ入りました。
仕事中の回覧。とあるマスコミの記事(1ヶ月ほどの前のだったか)が酷い出来なんで注意してくださいという取引先からの連絡でした。
論文を引用していたがppbのところをppmと取り違えて、その数字で話を進めて結論に持って行くのだから恐ろしい。コメントを取られた専門家も1000倍も違う数字を持ってこられたとは思ってもいなかっただろうなあ*1。そんなんで"専門家も警告する"などと書かれてしまうわけで。まあ、そもそもタイトルを見るに論文のテーマ自体が記事の主張する内容とはまるで違う方向*2を向いていて、記事の主旨に都合の良い数字(単位が違うが)を見つけたので使いましたという印象で…
ある意味、叩きやすいものを叩くというマスコミの典型を見たような気がしました。記者が不勉強で取材もしてねえやってのはよく分かった。*3
原料メーカーさんも大変だなあと思わされました。ああいった記事が鵜呑みされた挙句に過剰反応されてしまうのが常態ってのもありますしね。

*1:大抵の場合その程度の量(ppbオーダーな)ならば問題ない。で、マスコミによく出てくる危険性ってのが過剰投与試験(マウスなんて代謝が速いので時折ヒトに数値を当てはめると摂取不可能な数字が出ます)の結果がダメなら普通に摂ってもダメと言われてしまう類だから怖い怖い。物には限度があるという言葉を知りましょう。過剰摂取試験そのものは必要で、その結果をどう扱っていくかという話です。念のため書いておく。

*2:分離分析技術(抽出、分離能、精度、検出下限などなど)の進歩で、これまで見えなかったものが見えるようになったという方向の話。

*3:ついでにそろそろ「人工」、「合成」とつけば毛嫌いして、「天然」とくれば誉めそやすってのも止めませんかね。世の中そんな単純には出来ていません。あと、「危険」はニュースになるし煽られもするけど、「安全」についてほとんど触れられないのもどうかと。