International S: G1 York Turf 10F56yd

なんで13頭も出てくるんだとも思うが、現状の欧州中距離は古馬ではAuguste RodinとLuxembourgが軸なもんで、この2頭をまとめてキングジョージで使ってしまったらInternational Sが手薄になるのはまあそうだろう。City Of TroyがEclipse Sを快勝した時点でクールモアの使い分けは決まったのだろうが、ContinuousはG3 Royal Whip Sに持っていくくらいならこっちでもとは思わなくもなく。

今年前半の中距離G1でいろいろ勝ち馬が出ているもののMqse De Sevigneはフランスで牝馬限定戦を中心にしたローテーションだし、Haya ZarkはそのMqse De Sevigneに負けた。CurraghでAuguste Rodinを下したWhite Birchは登録しても出てこない。

といったあたりでマイルや12F路線からのチャレンジャーがいてこの頭数。City Of Troyはどうしようもなくとも、それ以外なら何とかなりそうという思惑はありそうか。

Alfaila: Dark Angel - Adhwaa by Oasis Dream

Owen Burrows厩舎、Jim Crowley騎乗。

Shadwell所有の5歳馬。父がDark Angelということもあってか最初は短めの距離で使われていたが、3歳の夏から9FのG3 Strensall SとDarley Sを連勝して中距離路線に入ってきた。去年はG2 York Sを勝ち、G1初出走となったIrish Champion Sでは5着に終わっている。今年はAscotのG1 Prince Of Wales's Sから出走して4着、前走ではYork Sの連覇を決めた。充実しており、相手が格段に軽いとはいえ同じ舞台のYork Sを連覇していることは無視できない。

Dark Angel産駒は時折中距離までこなす産駒も出てくるが、G1では欧州の9F以上では実績がない。9F勝ちはいずれもアメリカやドバイのコースである。AlflailaはYork競馬場で重賞3勝しておりこのコースを得意としているというか、Yorkなので勝負できているということはあるかもしれない。

Docklands: Massaat - Icky Woo by Mark Of Esteem

Harry Eustace厩舎、Hayley Turner騎乗

OTI Racing所有の4歳馬。主としてマイル戦を走っており、今期は3戦してすべて2着という結果である。重賞級というイメージはないが、前走はAscotのG1 Queen Anne Sで2着にきて驚いた。マイルより長い距離では未勝利の時期にWolverhamptonのオールウェザー戦で8.5Fに出走しただけである。

父MassaatはTeofilo産駒で7Fから8Fで実績があり、2000 Guineasの2着馬である。Docklandsは初年度世代で、オーストラリアのCoco Jambooと並ぶ活躍馬である。2世代目からはドイツでG3 Schwartzgold Rennenを勝ったQueues Likelyがいて重賞レベルの実績持ちはこれくらい。母父がMark Of Esteemというところからも分かるように母系の更新は遅く、近親に目立った活躍馬はおらず、半姉Ickymasho、半兄Harbour Viewsが重賞レベルで実績を残している程度。

Durezza: Duramente - More Than Sacred by More Than Ready

Tomohito Ozeki厩舎、Cristophe Lemaire騎乗。

Carrot Farmの4歳馬で去年の菊花賞馬である。今年は金鯱賞2着で始動したものの、春の天皇賞は15着と惨敗した。

母More Than SacredはMore Than Ready産駒のオーストラリア産馬でG1 New Zealand Oaksなどを勝った。Raffles Racingのオーナーブリードで引退後にノーザンファーム繁殖牝馬として輸入したが、Durezzaが出るまで活躍馬に恵まれなかったようだ。Durezzaがデビューした後の2022年12月に繁殖牝馬として上場され、Yulong InvestのYuesheng Zhangが落札して現在はアイルランドで繁殖として活動しているらしい。Welsh Flameの流れを汲む2-f族で近親にはFlame Of TaraからSalsabilやMarju姉弟が著名である。

Hans Andersen: Frankel - Shadow Hunter by Arcano

A.P. O'Brien厩舎、W,M. Lordan騎乗。

4歳馬。もうお馴染み、クールモア陣営のペースメイカー。

Israr: Muhaarar - Taghrooda by Sea The Stars

John & Thady Gosden厩舎、William Buick騎乗。Shadwell所有の5歳馬。前走はAscotのListed勝ち。過去にNewmarketのG2 Princess Of Wales's S勝ちがあり12Fで実績を残しているが、今年は10F路線にシフトしてきている。

母はOaksやキングジョージを勝ったクラシックディスタンスの名牝Taghrooda。13-c族のうちAlbanillaの血を引く名族でイニシャルがEとくれば、近親には本流たるAga Khan生産のOaks馬Ezeliyaが出てくる。父がスプリンターのMuhaararではあるが、やはりこのファミリーはクラシックディスタンスこそが本領というところはあろう。

Maljoom: Caravaggio - Nictate by Teofilo

William Haggas厩舎、Tom Marquand騎乗。Sheikh Ahmed Al Maktoum所有。

マイル路線の5歳馬。今年はQueen Anne Sで3着、Sussex Sで2着と結果を残している。

祖母Woodmavenの血統にアメリカ色が強く母NictateはBuckpasserの恩恵を強く受ける。Archとの相性が良い牝系で、Arkansas Derbyを勝ったArcharcharchが出ている他、1000 Guineasで2着のArch Swingやロシアのオークス馬S Aranchaも出ている。

Royal Rhyme: Lope De Vega - Dubai Queen by Kingmambo

K.R. Burke厩舎、Clifford Lee騎乗。Sheikh Mohammed Obaid Al Maktoum所有。4歳馬の中距離ランナー。今年はG3 Brigadier Gerard Sを勝っているが、G1となるとちょっと物足りない。前走は同条件のG2 York Sで4着、4頭立ての最下位であった。

母Dubai QueenDubawiの半妹である。

Zarakem: Zarak - Harem Mistress by Mastercraftman

J. Reynier厩舎、Maxime Guyon騎乗。Ecurie Benaroussi SofianeとHaras D'Etrehamの共有。

4歳馬。去年はフランスで5連勝しているが、パリではなく南部の競馬場であった。目立つ成績としてはVichyのListed Prix Frederic De LagrangeでDouble Majorを下してステイヤー路線に行かせたことくらいか。自身はパリでLongchampのG2 Conseil De Parisで6着となっている。今年はG2 Prix D'Harcourtを勝って、一番人気に支持されたPrix Ganayで8着に終わるも、前走のPrince Of Wales's Sでは2着と浮き沈みが激しい。

父ZarakはZarkavaを母とする良血馬でG1 Grand Prix Saint-Cloudを勝ってHaras Bonnevalで種牡馬入り。3世代目となる今年の3歳からPoule D'Essai Des Poulainsを勝ったMetropolitanが出た。他にZagrey、Haya Zarkを出しており、フランスで注目を集める若手種牡馬である。

Bluestocking: Camelot - Emulous by Dansili

Ralph Beckett厩舎、Rossa Ryan騎乗。

Juddmonteの4歳牝馬。前走はキングジョージで2着。Yorkでは今年のG2 Middleton Fillies Sを圧勝しており相性は良さそう。ややレース間隔が詰まっているのは気に掛かる。

父がCamelotということもあってか3歳では12Fを使われていたが、今年は10Fに出てきて成功している。母がG1 Matron S勝ちのマイラーEmulousでその全弟に中距離の活躍馬First Settingが出ている。

Ambient Friendly: Gleneagles - Roxity by Fastnet Rock

James Fanshawe厩舎、Robert Havlin騎乗。The Gredley Family所有。

EpsomのDerbyを2着、CurraghのDerbyを3着としてきた3歳馬。Irish Derbyでは一番人気を背負い、3歳クラシック路線の上位馬と言って差し支えないがCity Of Troyの印象が強すぎてやや影が薄くなってはいるか。City Of Troyと勝負するには厳しそうだ。

Calandagan: Gleneagles - Calayana by Sinndar

F-H Graffard厩舎、S. Pasquier騎乗。

Aga Khan所有の3歳騙馬。フランスでG2 Prix Noaillesを勝ったものの去勢されていたためレース選択が限られ、G3 Prix HocquartからAscotのG2 King Edward VII Sに出走して圧勝で3連勝を決めた。レース内容からは12Fが合っていそう。

Aga Khanに引き取られたLagardereの遺産である16-b族の出身で、近親にはClodovilや南アフリカのダービー馬Aragostaが出ている。父GleneaglesはスプリンターのMill Streamを出している実績もあるが、やはり本質的にはクラシックディスタンスを得意としそうなタイプが多く、本馬の場合はSinndarを父とする母Calayanaや近親のAragostaがやや長めの距離を得意としており、血統背景からも12Fがベストになるのではないかと思われる。

City Of Troy: Justify - Together Forever by Galileo

A.P. Obrien厩舎、Ryan Moore騎乗。

クールモアが誇る3歳、6戦5勝のEpsom Derby馬。Derbyの後はSandownで古馬相手のEclipse Sを快勝しており、今となっては2000 Guineasで9着に惨敗したのは何だったのかと言いたくなる。それだけ冬場の調整に失敗していたということなのだろう。

Derbyでも快勝しているが、やはり10F路線の方が向いているような印象は受ける。

Galileo牝馬の母に対してミスプロを追加してくるJustifyはマッチしてそうで、Yarn=Preachの姉妹クロスで早熟なスピードを持ち込みそうなところにGhostzapperA.P. Indyが適度な重さをもたらすように思われる。

Sadler's Wells≒Nureyevで組まれた母Together Foreverは2歳のG1 Fillies' Mileを勝っており、その全妹Forever TogetherはOaks馬である。9-e族でも盛況なGeneral Storeの牝系で他にHeatseeker、Lord Shanakill、Havana Greyが近親に出ている。また近縁としてジャンタルマンタルの名を上げることもできる。

Ghostwriter: Invincible Spirit - Moorside by Champs Elysees

Clive Cox厩舎、Righard Kingscote騎乗。

3歳馬。去年はデビューから3連勝でG2 Royal Lodge Sを勝っている。今年は2000 Guineasからスタートして4着。Prix Du Jockey Clubも4着ときて、前走はSandownのEclipse Sを3着。前走ではCity Of Troyとは結構な力量差があるように思われた。

こちらも9-e族の名牝系でZafonicやZamindarを出したZaizafonの末裔で、祖母Marching Westがその全妹である。