略歴
Savabeelは2001年9月23日産まれのオーストラリア産馬。オーストラリアで現役時14戦3勝で、G1を2勝した。3歳いっぱいで現役を引退するとニュージーランド北島の馬産の中心地であるワイカト地方にあるWaikato Studで種牡馬入り。ニュージーランドとオーストラリアで多くのG1馬を輩出し、ニュージーランドでのリーディングサイアー獲得は8回に及ぶ。
血統背景
父Zabeelはオセアニアの大種牡馬Sir Tristramの後継種牡馬として名高く、Sir Tristram系の嫡流としてその父系を現代にまで伸ばしている。
母Savannah SuccessはオーストラリアとニュージーランドでG1を2勝した名牝である。New Zealand Oaksでは名手Lance O’Sullivanを鞍上に迎え2馬身半差で快勝した。3歳で引退すると繁殖入りし、オーストラリアでDanehillを付けた後Zabeelを付けるためにニュージーランドに渡っている。ニュージーランドで産んだ初仔がGarrison Savannahで、続けてZabeelを父とする二番仔がSavabeelであった。Zabeelを付けたのは一年だけで、すぐにオーストラリアに戻っているためSavabeelはオーストラリアで産まれている。Savabeelの活躍を受けて半兄Garrison Savannah、半弟Arlingtonも種牡馬入りしているが、いずれも芳しい結果は残せなかったようだ。
そのファミリーは19世紀にドイツで生まれオーストラリアに輸入されたWhite And Blueを基点とするオセアニアの土着牝系で、1-o族に属している。Savabeelが出たのはクイーンズランドに流れた分岐で、同系のDanelaghから同じくZabeelを父としてVengeance Of RainとDizelleの兄妹が出て同時期にそれぞれ香港とオーストラリアでG1を勝ったことが注目されるだろう。また、後にG1を6勝したBlack Heart Bartが従弟に出ている。Vengeance Of Rainは1歳上、Dizelleとは同年齢だったが、G1勝ちではSavabeelの方がDanelaghの兄妹より先であった。DizelleはZabeelの4×2という特徴的なクロスを有するPinotを産み、Victoria Oaksを勝った彼女は繁殖牝馬として日本に渡っている。
生産者
Savabeelの生産者名義はGlenlogan ParkとGraeme A. Rogersonの連名である。
Glenlogan Parkはクイーンズランドで有数の規模を誇る生産者で、祖母Alma Materを所有しておりSavannah Successの生産者でもあった。
Rogersonはニュージーランドの最多勝調教師であり、2012年にはニュージーランドの競馬殿堂入りを果たしている。ニュージーランドの他にシドニーとドバイにも拠点を有し、Savannah Successを調教師として管理し牝馬チャンピオンに育て上げた。彼は生産者としても長く活動しており、現在でも80頭を超える繁殖牝馬を有している。その生産の著名な例としてWinxの母Vegas Showgirlがあり、現役引退後に売却している。自身をコマーシャルブリーダーと位置づけているようで、活発に繁殖馬の取引を行っているようだ。
競走成績
Savabeelは当歳で母Savannah SuccessとともにWestbury StudのGerry Harveyに売却されたが、後のSavabeelをRogersonが買い戻している。そしてRogersonを中心としたシンジケートの所有として、そのRandwickの厩舎で調教された。したがってその現役生活はシドニーエリアを中心としたものとなった。
2歳の2月にKensingtonの名を冠したRandwick競馬場の開催における2歳のハンデキャップ戦で、Savabeelはデビュー勝ちを収めた。人気サイドではなかったものの、1000mで4.5馬身差をつける快勝であった。しかし2歳ではこの1勝のみで、G2 Pago Pago Sでは1着が後の香港スプリント王者Absolute ChampionであるGenius And Evil、2着には翌シーズンの最優秀三歳馬にして後の大種牡馬Fastnet Rockという好メンバーで6着、G1 Champagne Sではここでシドニー2歳三冠を達成したDance Heroの前に3着という結果に終わった。
3歳の春シーズンはSavabeelのキャリアハイライトとなった。RandwickやRosehillの3歳戦の重賞を使われ1800mのG2 Gloaming Sで2着と距離が延びて結果が出たところで、10月には2000mのG1 Spring Champion Sを勝って2勝目を挙げると、その月のうちにメルボルンに遠征しシーズン前半の中距離チャンピオンを決めるG1 Cox Plateに出走した。ここには古馬勢として前年のシドニーで3歳戦を席巻したニュージーランド最強馬Starcraft、三連勝中で一番人気に支持されたElvstroem、充実一途のGrand Armee、Moonee Valleyを得意とする前年勝者Fields Of Omagh、牝馬ながらに香港ダービーを勝ったElegant Fashionといったメンバーが集まり、3歳でG1を勝ったばかりのSavabeelは13頭中の6番人気という評価であった。SavabeelはこのレースでFields Of Omaghに1馬身差をつけて勝利した。3歳馬で48.5kgの斤量に助けられた面はあるものの、これだけのメンバーが揃ったCox Plateを勝ったことでSavabeelの評価は上がる。連闘で出走したVictoria Derbyを2着として春シーズンを終えている。
3歳の秋はG1 C.F. Orr Sから始動してElvstroemの2着とするものの、その後は振るわず3歳のシーズンをもって引退した。
通算では14戦3勝でG1を2勝。2000mがベストだが、2500mのVictoria Derby、1400mのC.F. Orr Sでそれぞれ2着しており、距離への対応力はあったと考えられる。
種牡馬成績
引退後はWaikato Studにて種付け料35000NZドルで種牡馬入り。二年目の産駒からScarlett LadyがQueensland Oaksを勝ったのを皮切りに、33頭のG1馬を出し、合計で55勝としている。またステークス馬は145頭に到達し、父Zabeelの持つ166頭の記録に近づいている。
Savabeelは今年で23歳になるが昨シーズンも100頭を超える種付けをこなしており、健康状態に問題はないとされる。2024シーズンの種付け料はニュージーランド最高額の10万NZドルを維持する。
現役時のオーナーだったRogersonは種牡馬シンジケートにも加わっており、毎年2頭の牝馬を種付けに送っているという。
ニュージーランドのサイアーリーディングは少し複雑で、ニュージーランドのみの賞金を集計し一般的にNZリーディングサイアーとみなされるGrosvenor Awardに加えて、ニュージーランドとオーストラリアの賞金を合算したDewar Awardと全世界の賞金をまとめたCentaine Awardの3つの評価系が存在する。
Savabeelは2014/15シーズンから8年連続でGrosvenor Awardを獲得し、2022/23シーズンではProisirに奪われたが、2023/24シーズンはリーディングを奪い返した。加えてDewar Awardは2015/16シーズンから2019/20をOcean Parkに取られるがそれ以外では独占し7度、Centaine Awardは2015/16から連続で8度獲得している。
Grosvenor Awardを9回獲得しており、これは20世紀半ばの大種牡馬Foxbridgeが記録した11回に次ぎ、近年ではこの領域でZabeelを凌いでいたVolksraadの8回を超えた。Dewar Awardはオーストラリアでの出走割合が多かったZabeelが15回という圧倒的な実績を持っておりこちらはまだまだ及んでいないが、これに関しては初年度にOctagonalを擁して早々にタイトルを獲得していたZabeelが凄すぎるのである。一方でSavabeelはその種牡馬生活の序盤にWaikato StudではO'Reillyの全盛期、Windsor Park StudではHigh Chaparralのシャトル期に重なっており、種牡馬タイトル獲得まで時間がかかっていた。
とはいえ現在では祖父Sir Tristramと父Zabeelを継いで同時代でずば抜けた実績を誇る種牡馬となっているSavabeelだが、自身の後継種牡馬は未だ心許ない状況である。初期の活躍馬には牝馬が多く、または名マイラーKawiのように騙馬かという状況で、牡馬のG1勝ちは2017年にNew Zealand 2000 Guineasを勝つEmbellishを待たねばならなかった。そのEmbellishはCambridge Studで種牡馬入りし、初年度世代が3歳になったばかりである。Tasmania DerbyやG3 Food Services Chairman's Sを勝ったBold Soulが代表産駒となっている。
なお近年になってSavabeel後継の状況は改善しており、オーストラリアのNewhaven ParkはCool Aza Beelを種牡馬入りさせ、Savabeelの牡馬としては初めてG1を2勝したMo'Ungaも2024/25シーズンから同スタッドに導入されることが決まっている。またSavabeelを繋養するWaikato StudはNew Zealand 2000 Guineas勝ちのNoverreを後継候補として確保した。これらは種牡馬Savabeelが実績を積み上げたことで、牡馬が容易に去勢されなくなったことが理由の一つに挙げられる。
Sir Tristram父系
Savabeelの父系はCambridge Studによってニュージーランドに導入されたSir Tristramを起点としてSir Tristram系、あるいはこのSir Tristramの祖父からSir Gaylord系とされることが多い。
Sir Tristram自身は名オーナーRaymond Guestの生産で、父はそのRaymond Guestの代表馬であるSir Ivor、さらにその父がSir Gaylordである。
Sir GaylordはSecretariatの半兄としても知られ、Kentucky Derbyの最有力馬と目されながら直前に故障で引退を余儀なくされた。種牡馬としてはヨーロッパで成功し、Sir IvorやHabitatを擁してTurn-To父系の一分岐であるSir Gaylord系を構成した。他に後継種牡馬としてDrone、Lord Gaylord、Lord Gayle、牝馬ではGay MatildaやGay Missile、GailyがSir Gaylordの産駒として知られる。
Sir Ivorはその代表産駒でイギリスで2000 GuineasとDerbyを勝った二冠馬であり、かつ同年中にアメリカに渡りWashington DC Internationalを勝った名馬である。種牡馬としてのSir Ivorは牝馬の活躍が目立つフィリーサイアーであり、Sir Tristram以外の父系は大きく発展することはなかった。母父として極めて優秀でありGreen Desert、Alzao、Shareef Dancer、El Prado、Goodbye Halo、Avianceなどその活躍馬は枚挙に暇がない。現代では直接母父の位置に来ることはもうないとはいえ、血統表において牝馬の父として入る場合に極めて重要な種牡馬であるといえる。
Sir Tristramの母方はHyperionの半妹All Moonshineを三代母にするという良血である。All Moonshineの産駒に名種牡馬Mossboroughが出ている他、牝駒のEye Wash、French Polish、All My Eyeがそのファミリーを大きく発展させ、Selene牝系の中核を成している。
Sir Tristramの競争実績は評価できるレベルではなかったものの、Cambridge Studの創設にあたりその軸となる種牡馬を求めていたPatrick Hoganがその血統に惚れ込みニュージーランドに導入された。気性の悪さなども懸念されたが種牡馬入り直後からSovereign RedやGrosvenor、中期にはKaapstad、そして後年にZabeelを出してニュージーランドのみならずオセアニアを舞台に空前の成功を収めることになった。現在ではGrosvenorやKaapstadからの直系は衰退し、Zabeelのラインによって支えられている。
Zabeelの直系ではSavabeelの他に、OctagonalからLonhroを経てPierroに繋がるラインがあり、Pierroの後継種牡馬として一番手のPierataは現在Yulong Studに繋養され、初年度産駒がデビューしたところである。2歳のG1馬は出なかったが、Golden Slipperで2着のColemanを出している。こちらは牡馬産駒に対する去勢傾向がやや緩やかでOctagonal、Lonhro、Pierataがそれぞれ初年度産駒で後継となって父系の更新が速く、Savabeelとは対照的である。
Sir Gaylord父系全体で見ると21世紀になってからは衰退が著しく、現在ではZabeel直系とトルコで活躍するLuxorが残る程度になっている。こうしたなかで異系としての需要が出てきており、Octagonal、Lonhro、Denmanは北半球へのシャトル実績を有し、OctagonalからはLaverockが出た。
産駒実績
Savabeel産駒をG1馬を中心に見ていく。Waikato Studに繫養されていることから、母父にはWaikato Studで一つ前の世代の種牡馬にあたるPinsやO'Reillyが多く、さらにその前にはCentaineを持つパターンが目立つ。これら種牡馬はすべてGarry ChittickのWaikato Studをニュージーランドで最高の牧場に発展させた功労者たちである。
ニュージーランドの種牡馬事情を鑑みると、2001年から2004年までMontjeuがWindsor Park Studにシャトルされており、2005年にはHigh Chaparralに切り替わった。Savabeelの種牡馬入りは2005年とHigh Chaparralのシャトル初年度とぶつかっている。このHigh Chaparralのニュージーランド初年度産駒はSo You ThinkやShoot Outを出す彼の種牡馬キャリア最大のプレミアムで、初年度がそこと被ったSavabeelには影響があったように思われる。
Stud Record as of the end of the season 2023/24
2006年産
初年度産駒となる2006年産馬はよく言って平凡なレベルにとどまっている。重賞馬は3頭出したが、G1には届かなかった。
Tullamore 2006 out of Trocair by Flying Spur
騙馬。初年度の筆頭活躍馬で、1600mから2400mで5勝、G2 Brisbane Cupを勝った。
My Emotion 2006 out of Midnight Rock by Rory's Jester
牝馬。1200mから1600mで3勝、G2 Moonee Valley Fillies Classic、G3 VRC Thoroughbred Breeders Sを勝った。Thoroughbred Breeders Sの勝利が種牡馬Savabeelに取って初の重賞勝ちであった。
2007年産
Savabeelにとって初めてのG1馬Scarlett Ladyが出て種牡馬としての評価を高めた世代である。重賞馬5頭で計12勝を挙げており、この世代の活躍はSavabeelにとって大きな飛躍のきっかけとなっている。
Scarlett Lady 2007 out of On Call by Ironclad
牝馬。1400mから2400mまでで8勝。G1 Queensland Oaksを勝ち父に初G1をもたらした。
デビュー5戦目に勝ちあがるとそこから連勝を続け、G2 Travis S勝ち後にオーストラリアのクイーンズランド開催に遠征した。オーストラリアでも勢いが止まらず、G3 The Roses S勝ちからG1 Queensland Oaksを勝って3歳のキャリアを終えた。
4歳になってもオーストラリア遠征を敢行しているが、結果は伴わなかった。遠征の合間にG1 New Zealand Sを勝っている。
Floria 2007 out of Aria by Centaine
牝馬。1300mから2400mまでで5勝。オーストラリアの牝馬戦線で長く活躍しG2 Brisbane Cupなど重賞3勝。
Lady Kipling 2007 out of Akela by Al Akbar
牝馬。マイル戦で活躍し通算11勝を挙げた。G2を2勝し、G1では2着を3回記録している。
2008年産
前年の世代に続いて3歳シーズンでG1馬が出て、オーストラリアでも通用するクラシックディスタンスの産駒を出せる種牡馬となった。
Sangster 2008 out of Quinta Special by Spectrum
騙馬。1200mから3200mで6勝。ニュージーランドのチャンピオンステイヤーとなった。
2歳のシーズン終盤に1200mのデビュー戦を勝ち上がった。3歳になるとオーストラリアに遠征し、G1 Spring Champion Sを3着、G3 Norman Robinson Sを2着と2000mのレースで上位に入って、G1 Victoria Derbyを勝った。3歳春のキャンペーンが終わると一時ニュージーランドに戻り、1400mのG1 Waikato Draught Sprintで一叩きしてオーストラリアの秋競馬に遠征した。なお、Waikato Draught Sprintは距離が全くあっておらず最下位であった。秋シーズンは揮わず最大目標のAustralian Derbyは9着に終わっている。
4歳になるとニュージーランドでローテーションが組まれ、距離が伸びてくると結果を出して2000mのG1 International Sと3200mのG1 Auckland Cupを勝った。三度オーストラリアに遠征すると2400mのG1 The BMWで3着とやはり距離が長いレースで結果を残している。
正統的なクラシックディスタンスランナーかつステイヤーであり、前シーズンのScarlett LadyがQueensland Oaksを勝ったのに続いて、本馬がVictoria Derbyを勝ったことはSavabeelがダービー・オークス路線のクラシックな走者を出すタイプの種牡馬であるという印象を強くすることになった。
Diademe 2008 out of Bling by O'Reilly
3歳になってデビューするが、4歳になった3戦目の1600m戦で勝ち上がるとそのまま3連勝、重賞挑戦しても勢いは鈍らずG2 Cal Isuzu Sを2着、G2 Rich Hill Mileを3着からG3 Westbury Classicで重賞初勝利となった。G1 NZ Thoroughbred Breeders Sで3着とするとシーズンの最後はオーストラリアのブリスベンに遠征したが、結果ははかばかしくなかった。5歳のシーズンはCal Isuzu Sで重賞2勝目。6歳ではWestbury Classicを再び勝って、NZ Thoroughbred Breeders SでG1勝利に届いた。その後は連闘でオーストラリアのG1 Queen Of The Turf Sに出走したが8着、さらにG3 Dark Jewel Classicを6着が最後の出走となった。
Brambles 2008 out of Prickle by Pins
騙馬。オーストラリアで出走し1400mから2400mで6勝を挙げた。
メルボルンのPeter G Moody厩舎からデビューし、地元で2勝を挙げると3歳秋にシドニー続いてブリスベンに遠征している。DoombenのG3 Rough Habit Plateを勝つと、さらにG3 Grand Prix S、G1 Queensland Derbyとブリスベン開催の3歳馬のトップに立った。古馬になってからステイヤーとしての活躍が期待されたものの、ケガにより2年のブランクを余儀なくされ、復帰したときには5歳になっていた。リステッドやハンデ戦を中心に調整され、6歳でG1 Turnbull Sで2着となって復活を示した。その後ようやくステイヤーとして期待された路線に戻ることになったが、結果は伴わず、Melbourne Cupの15着を最後に引退となった。
Bramblesの世代はVictoria DerbyをSangsterが勝っているし、South Australian DerbyはZabeel産駒のZabeelionaire、Queensland Oaksを勝ったQuintessentialも含めてクラシックディスタンスではニュージーランド産馬の活躍が目立っていた。Queensland Derbyでは上位4頭までをニュージーランド産馬で占める結果となっている。Bramblesはこのとき連勝中で一番人気を背負い、QuintessentialとZabeelionaireをまとめて下して大変な期待を受けた。ケガから復帰してもこの路線のニュージーランド馬優位は変わらず、Bramblesも上位の顔ぶれに戻ってきたがTurnbull SとCaulfield CupではLucia Valentinaに敵わなかった。最後のレースとなったMelbourne Cupは欧州産馬とニュージーランド産馬が大半を占め、オーストラリア産馬はほとんど出走してこず、遠征馬にワンツーを食らうという有様であった。2014年、Admire Raktiが悲劇に見舞われたMelbourne Cupである。
2009年産
Soriano 2009 out of Call Me Lily by Just A Dancer
牝馬。1200mから2000mで9勝。2014/15のニュージーランド中距離チャンピオン。
2歳のデビュー戦を勝ってG1挑戦となったが勝てず、3歳のシーズンもG1 Levin Classicで3着があるとはいえ、G3を勝つのがやっとであった。NZ DerbyとNZ Oaksにも出走しているが2400mが長かったこともあってかそれぞれ10着、14着と大敗している。
古馬になって実力を上げると成績も安定して上位に顔を出すようになり、4歳シーズンのG1ではSpring Classicを4着、Zabeel Classicを3着、New Zealand Sを4着と結果を残し、G2 Awapuni Gold Cupを勝った。5歳シーズンがキャリアのハイライトで2000mのG1でZabeel ClassicとHarbie Dyke Sを勝って、1600mのG1 Thorndon Mileでは2着と夏場にピークを迎えている。この活躍が決め手となって、中距離カテゴリーのチャンピオンに選出された。6歳になると衰えを見せG2を2勝しているが、G1では苦戦した。
Costume 2009 out of Disguised by O'Reilly
牝馬。1400mから2040mで6勝。古馬になってから本格化した中距離ランナー。
3歳でデビューし1400m戦を勝ち上がるが、3歳での実績はほぼない。4歳になると条件戦を勝ち上がりプレミア開催に姿を見せるようになって本格化し、1月にはG1 Thorndon Mileで2着とすると続くG1 Harbie Dyke Sを勝った。5歳のシーズンはHastingsの春G1を3戦し、距離が足りないFoxbridge Plate、Windsor Park Plateでは勝負に参加しなかったが、2040mのLivamol Classicを勝った。その後オーストラリアに遠征してG1 Mackinnon Sに出走、帰国後はG2 Rich Hill Mileに出走したがどちらも大敗しており、5歳の実績はLivamol Classic勝ちだけであった。
Chintz 2009 out of Charmed by O'Reilly
牝馬。G2 Rich Hill Mile勝ちのマイラー。4歳がキャリアのピークで、オーストラリアに遠征した5歳シーズンは不調に陥り引退した。
2010年産
KawiとLucia Valentinaを擁するプレミアム世代。Kawiはニュージーランドの短距離路線で長く活躍し、Lucia Valentinaはオーストラリアの2000m路線で存在感を持っていた。この世代の活躍はSavabeelをリーディングサイアーに押し上げるのに十分なものであった。
Kawi 2010 out of Magic Time by Volksraad
騙馬。1200mから2000mで活躍し通算15勝。ニュージーランドのG1を7勝し、2016/17シーズンの中距離チャンピオン、2017/18シーズンのスプリントマイルチャンピオンに選出された。
デビューは3歳になってからで2戦目に勝ち上がった。Levin ClassicでG1初挑戦となるもののこの時は11着に終わっている。その後条件戦に戻って実績を上げると、4歳の後半から重賞に姿を見せるようになりG3 Taranaki Cupを勝っている。シーズンの最後にG1 Easter Hを3着として4歳シーズンを終えている。5歳になるとシーズン序盤にHastingsのG1 Challenge SでG1初勝利とし、ニュージーランドの古馬G1路線を歩んでZabeel ClassicとThorndon Mileも勝ってG1を3勝した。
2016/17シーズンもHastingsで始動し、G1 Challenge SとG1 Windsor Park Plateを連勝するとオーストラリアに遠征した。当時のオーストラリア中距離にはWinxがいたため、Cox Plateなど主要レースを避けて西オーストラリアのG1を狙ったが3戦して結果を掴めないまま帰国となった。ニュージーランドに戻るとG1 WFA Classicを勝ってシーズンでG1を3勝。この年のニュージーランドでは中距離路線に強力なコンテンダーがいなかったこともあってVolkstok'n'barrellなどを抑えて中距離チャンピオンに選出されている。2017/18シーズンもシーズン前半でHastingsのG1に出走したがここで勝ち切れず、それでも夏にG1 Captain Cook Sを勝った。このシーズンはずっと勝ちきれない結果で衰えも感じさせたが、マイルから短距離で安定した結果を残し、この年G1 BCD Group Sprintの6着を最後に引退した。シーズンでCaptain Cook Sの1勝しか挙げられなかったものの、スプリント・マイルでの年度表彰を受けた。ニュージーランドの短距離路線がMelody Belleの時代となる直前のことである。
Kawiは古馬で3シーズンに渡って一線級で活躍し、G1を7勝という実績を持つ割には印象度が低い。同時期にMongolian KhanやBonnevalがオーストラリアでの活躍も含めてどちらも2シーズン続けて年度代表馬になったことに比べると、オーストリア遠征がうまくいかなかったことは大きなマイナスになっていそうである。もっとも当時のオーストラリアにはWinxが君臨しており、2400mで戦えたMongolian KhanやBonnevalと異なり、マイルから中距離が主戦場でWinxと真っ向ぶつかることは考慮されるべきであろう。またKawiの引退後に短距離路線はMelody BelleとAvantageが台頭したことでKawiの印象を薄くしてしまったかもしれない。
Lucia Valentina 2010 out of Staryn Glenn by Montjeu
牝馬。1200mから2000mで7勝。オーストラリアでG1を3勝した2000mのスペシャリスト。
3歳になってTaurangaのデビュー戦を勝ち上がり、G3 Wellington Sを勝った。続くG2 Great Northern Guineasでは落馬競走中止となり、G2 New Zealand Bloodstock Royal Sを2着としてオーストラリアに移籍となった。シドニーの秋開催では、G1 Vinery Stud Sを勝ってAustralian Oaksは3着で3歳シーズンを終えた。
4歳ではFlemingtonのG1 Turnbull Sを、5歳ではRandwickのG1 Queen Elizabeth Sを勝った。また5歳では香港のHong Kong Cupにも遠征しており、この時はレースレコードをたたき出したエイシンヒカリの前に5着という結果であった。2400mまでは十分にこなせる範囲で、G1 Caulfield Cupでも3着に入っている。
Savvy Nature 2010 out of Generous Nature by Carnegie
騙馬。オーストラリアで活躍し、G2 Mitchelton Wine Vaseなど3勝、香港に移籍して2勝を挙げるとオーストラリアに復帰して引退した。
2011年産
初年度産駒のデビュー以降、Scarlett LadyがQueensland Oaksを勝つまでやや低調だった影響からか、この世代は産駒数を大きく減らしている。そのような状況で3頭がG1に届き、Savabeelの優秀さを示している。
Shillelagh 2011 out of Trocair by Flying Spur
牝馬。1600mまでで8勝。初年度産駒の活躍馬Tullamoreの全妹で、兄が届かなかったG1タイトルを手に入れた。
3歳シーズンの終盤に北島の南部にあるWoodvilleの競馬場でデビュー勝ち。4歳になると条件戦を連勝するが、レースレベルが上がると通用しなかった。4勝目を挙げると5歳になってメルボルンに渡っている。オーストラリアでも条件戦からの出走だったが、2戦目で勝ちあがると重賞級となり、G3 Hong Kong Jockey Club Sでは2着となった。その後シドニーのChris Waller厩舎に転厩している。6歳になってG1に姿を見せるようになると、Kennedy Mileを勝った。その後7歳まで現役を続け、G1 Empire Rose S勝ちや、G1 Australian Cupで2着という実績を残している。
上位で安定するタイプではなく、何かがハマると上位に来るし、それが突き抜けてG1を2勝したというイメージ。牝馬にしては遅い7歳まで現役を引っ張っているが、7歳でもG1勝ちを重ねたので成功の部類だろう。
Savaria 2011 out of Amathea by O'Reilly
G3 Lowland SでPlatinum Witnessと同着で重賞初勝利としてNew Zealand Oaksに出走すると、今度はPlatinum Witnessを3/4馬身差に下して頂点に立った。その後Australian Oaksに遠征したが6着。古馬になってからはニュージーランドの古馬戦線で戦っていたがG1レベルにはなかった。3200mのG3 Wellington Cupを勝っている。
Sound Proposition 2011 out of Ebony Babe by Ebony Grosve
牝馬。マイル戦を中心に6勝。
3歳でデビュー。2勝を挙げてNZ Derbyに出走し、上位2頭には離された3位入線だったがのちに失格となっている。4歳になって復帰するとG1 Easter Sを勝った。翌シーズンも現役を続けたが、New Zealand Sで3着になったのが目立つ程度。
Easter Sはニュージーランドのシーズン最後のG1だったが、本馬が勝った時は2着のTrojan Warriorとともに人気薄の決着であった。これが以前よりレースレートが低迷して降格危機にあったEaster Sに止めを刺す形となってしまい翌シーズンからG2に降格となっている。なお、Sound Propositionは翌シーズンにTauranga SとZabeel Classicで最下位、Trojan WarriorもTechnology Sを最下位でHarbie Dyke Sがブービーと降格に説得力を持たせる結果となってしまっている。
Saavoya 2011 out of Royal Prize by Prized
2012年産
これまでの活躍を受けて産駒数が大きく増えた世代となったが、結果は伴わずG1馬はPasadena Girlのみとなった。重賞級まで見てもColdplay、Splurge、Clarify、Spirit Birdなど7頭にとどまる。一方でNew Zealand Derby2着馬のWhat's The StoryはSavabeel産駒として初の後継種牡馬入りを果たしている。
Pasadena Girl 2012 out of Nina From Pasadena by Redoute's Choice
牝馬。オーストラリアで2歳G1を勝つなど3勝。
Flemingtonでデビューから連勝し、G3 Thoroughbred Breeders Sを勝った。シドニーに向かいRandwickのG1 Sires' Produceは4着だったが、続くG1 Champagne Sを勝った。3歳は春にメルボルンの牝馬路線でG1 Thousand GuineasとG1 Victoria Oaksで4着となった。その後はさっぱりで、アデレードのG1 Australasian Oaksの10着を最後に引退した。
Coldplay 2012 out of Forty Two Below by O'Reilly
牝馬。ニュージーランドで重賞を4勝、G2 Cal Isuzu SとG2 Rich Hill Mileを勝っている。
Splurge 2012 out of Splashing Out by O'Reilly
騙馬。重賞2勝、G2 Manawatu Challenge Sの勝ち馬。
Clarify 2012 out of Clareta by Pauillac
騙馬。G3 Manawatu Cupの勝ち馬。
What's The Story 2012 out of Tall Story by Carnegie
牡馬。Savabeelにとって初めての後継種牡馬となったNZ Derby2着馬。
3歳でデビューして勝ち上がるが上位戦では苦戦していた。2勝目を挙げてNZ Derbyに挑戦すると短頭差の2着と奮闘した。そこからAustralian Derbyに遠征したが6着に終わる。古馬になってからは順調さを欠き、4歳の初戦で5着になると跛行が見られ1年半近いブランクを経て復帰するもそこで最下位に終わり以降はレースに出走することがなかった。
条件戦までの2勝にとどまったが、デビュー戦の1200mでの勝ちっぷりが良く、またNZ Derbyの2着が評価されたか、オーナーにも加わっていたニュージーランドのNorwegian Farmに種牡馬として迎え入れられた。母Tall Storyの半姉がG1を3勝したTall Poppy、祖母Fun On The RunもG1馬という血統背景で去勢されなかったことが種牡馬への道を開いたと言える。Norwegian Farmにとっては唯一の繫養種牡馬で、”The first Group One performed son of Champion sire SAVABEEL to go to stud in New Zealand"と謳っている。
種牡馬としての環境は恵まれたとは言い難く、初年度と二年目の産駒は数頭が勝ち上がるものの2勝馬は香港でデビューから連勝したSuper Joy N Funのみであり、彼にしても2勝目以降はやや苦しんでいる。
2013年産
この世代は重賞馬が11頭出ており、増えた産駒数に見合った結果を残した世代といえる。
Hall Of Fame 2013 out of Around The Clock by Galileo
騙馬。1800mまでで11勝。香港に移籍し、Dances With Dragonと改名したニュージーランドG1馬。
2歳で勝ち上がり。3歳になるとRiccartonのGuineas TrialとListedを連勝してNew Zealand 2000 Guineasに出走し2番人気に支持されたが10着に終わった。Ellerslieのプレミア開催で勝って、G1 Levin Classicに出走すると2000 Guineasで2着のSavile Rowをハナ差で下して勝利。その後はWaikato Guineasで5着、Cambridge Breeders Sも5着といまいちで、オーストラリアのDoombenに遠征して出走したListedも5着で3歳を終えた。
4歳になると香港に移籍した。香港での登録名はDances With Dragonで漢字表記は興龍共舞であった。香港では7歳のシーズンまで現役を続け33戦6勝のキャリアであった。その大部分はClass 2やClass 3のレースに出走しているが、6歳のシーズンでは4勝を挙げ、重賞レベルにたどり着いた。シーズンの最後にG3 Premier Plateを勝っている。7歳のシーズンは重賞路線で出走し、年末のHong Kong Cupを最後に引退した。
Nicoletta 2013 out of Celtic Crown by Doneraile Court
3歳でデビュー、G3 Desert Gold Sを勝って、G2 Sir Tristram Fillies Classicを2着に入り、New Zealand Oaksは4着だった。4歳になると2000mのG1を狙うが、Harbie Dyke Sで3着、New Zealand Sは6着で、マイル戦ではThoroughbred Breeders Sで3着。G1ではまだ少し力不足だった。
5歳のシーズンはG3 Taranaki Breeders Sを勝って、G2 Tauranga Sを2着と好調なスタートであったが、その後は不調に陥っていた。シーズン終わりのG1 New Zealand Thoroughbred Breeders Sに出走したときは全く圏外とみなされていたが、単騎逃げの形から追走馬が先に失速する展開の利がありゴール前で一気に詰め寄られるものの凌ぎ切って大穴を演出した。
Rattan 2013 out of Grand Princess by Last Tycoon
騙馬。香港の活躍馬。通算42戦7勝の成績を残し、G2 Sprint Cupを勝ってG1 Chairman's Sprint Prizeで2着に入った5歳時点がピーク。Hong Kong SprintでDanon Smashの3着という成績も持っている。
Yearn 2013 out of Princess Uno by Danehill
牝馬。G2 Auckland Thoroughbred Breeders S勝ち。
2014年産
引き続き好調な産駒成績で、この世代からは4頭のG1馬が出ている。
Savvy Coup 2014 out of Eudora by Pins
牝馬。1600mから2400mで6勝。NZ Oaksを勝って3歳チャンピオンとなった。
勝ち上がりは3歳の11月と遅れたが、G3 Eulogy Sを勝つとG1 Levin Classicは3着に入って実力を示している。Karaka Millionで3着の後、Hastingsに行ってG3 Lowland S勝ちからG1 NZ Oaksに出走するとこれも勝った。その後、Australian Oaksに向かったがここは5着だった。
4歳シーズンは序盤のHastingで開催されるHawk's Bay三冠に出走。距離が延びるにつれて好結果となり、1400mのG1 Tarzino Trophyを5着、1600mのG1 Windsor Park Plateを2着、2000mのG1 Livamol Classicを勝つという結果であった。このLivamol Classicを最後に引退している。
Concert Hall 2014 out of Classic Legacy by Carnegie
牝馬。1400mから2400mで11勝。6歳シーズンにピークを迎え、1600m戦を得意としたが3200mにも対応した。
デビューまでに時間がかかり、3歳の秋になってデビューしている。デビュー戦で勝ち上がったが、その後も条件戦をメインとして走っており、4歳の秋にG3勝ちしてからは重賞レベルにステージを上げたもののG1は遠いという内容だった。6歳になるとG3 Tompson H、G2 Tauranga Sと1600m戦で連勝し、G1 Captain Cook Sでは2着とマイル路線の有力馬にのし上がると、2000mのG1 Zabeel ClassicでG1馬に上り詰めた。シーズンの後半は調子を落とし、オーストラリアにも遠征したが結果は伴わなかった。7歳になるとG2 Cal Isuzu S、G3 City of Auckland Cupを勝つが、G1では通用しなくなっている。City of Auckland Cupで2400mへの手応えを得たのかG2 Avoldale Cupにも出走して2着、最後は3200mのG2 Auckland Cupを2着で引退となった。
Hasahalo 2014 out of Halloween by Encosta De Lago
牝馬。2勝馬だが、重賞を2勝というNew Zealand 1000 Guineas馬。
2歳でデビューすると、2戦目のG2 Wakefield Challenge Sで2着、続くG3 Eclipse Sが初勝利となった。Karaka Millionでは2着まで順調なキャリアだったが、G1になるとSistema Sが5着、Manawatu Sires' Produceが13着とさっぱりだった。3歳になっても低調でG1 New Zealand 1000 Guineasに出走したときは2歳で終わった馬とみなされ人気薄だったが最終コーナーで大外に持ち出して直線抜けて4馬身差で勝利。ただこれは復活ではなく、その後また勝てなくなり4歳まで現役を続けて引退した。
NZ 1000 GuineasはRiccartonの荒れた馬場で外に出したことが功を奏したとはいえ鮮やかで、その再現が期待される条件は何度かあったものの二度目はなかった。
なお、Wakefield Challengeの3着からKaraka MillionでHasahaloを逆転して勝利したのがMelody Belleで、Sires' Produceはその輝かしいキャリアで14を重ねるG1勝利のスタートとなっている。
Embellish 2014 out of Bling by O'Reilly
牡馬。非去勢馬として初のG1馬は祖父がいたCambridge Studで種牡馬となった。
2歳の終盤にデビューして1戦をこなしたが、3歳になってから勝ち上がり3連勝でG1 New Zealand 2000 Guineasまで駆け抜けた。Karaka Millionで2着の後にオートストラリアに遠征しAustralian Guineasに出走したが8着で3歳は終わった。4歳では2戦するも勝ちはなく引退した。
Savabeelの後継としてはNZ Derbyで2着のWhat's The Storyが先に種牡馬入りしていたが、G1を勝って大手のスタッドに入るのはEmbellishが初めてであった。全姉にG1 NZ Thoroughbred Breeders Sを勝ったDiademe、従兄がスプリントチャンピオンのSacred Starである。
初年度産駒は3歳のシーズンで、5勝を挙げListedのLaunceston GuineasとTasmania Derby、G3のFood Services Chairman's Sを勝ったBold Soulが勝ち頭。またニュージーランドではListed以上で勝ち馬は出ていないがNZ 2000 Guineasで2着のTaliskerが出ている。
牡馬によくEmbellishなんて名を与えたなと思わなくもない。
Supera 2014 out of Sopra Tutto by Van Nistelrooy
牝馬。G2 Tauranga SとG2 Travis Sの勝ち馬で、G1でもZabeel Classic、Tarzino Trophy、New Zealand Thoroughbred Breeders' Sで2着に入っている。祖母はMelbourne Cup勝ちのステイヤーEtherealでニュージーランドの名牝系出身。
2015年産
前年に続いて4頭のG1馬を出しており、充実した世代。
Prise De Fer 2015 out of Foiled by Snippets
騙馬。1400mから2000mで11勝。長期間にわたり活躍したマイラー。
3歳になってデビュー。3歳のシーズンは特に注目するレースはなく、NZ Derbyにも出走したが8着に終わっている。4歳になると条件戦から5連勝で、G2 Rich Hill Mile、G3 Taranaki Cupを勝った。その勢いでG1 WFA Classicに挑戦するが、Avantageの前に2着だった。この後のニュージーランドはAvantageとMelody Belleの二強時代となり、Prise De Ferはその脇役の一頭に甘んじた。二強が引退してからも勝ちきれないレースが多かったが、7歳にしてCaptain Cook SでG1勝利を遂げた。8歳となった2023/24シーズンも現役を続けたが、G3で2着に来るのがやっとであった。現役終盤はマイルから距離を延ばしていき2400mのWaikato Cupで2着という結果も残しているが、層が薄く勝ちやすいレースを狙ったという印象が強い。3200mのAuckland Cupで10着になったのを最後に引退した。
The Chosen One 2015 out of The Glitzy One by Flying Spur
牡馬。1400mから2400mで7勝を挙げ、オーストラリアのカップ戦実績が評価されてニュージーランドチャンピオンステイヤーに選ばれた。
3歳シーズンにデビューして5勝し、その中にはG3 Manawatu Classicが含まれている。一方NZ 2000 Guineasは11着、NZ Derbyは11着と通用していなかった。シーズン終盤にオーストラリアに遠征し、Australian Derbyでは4着に入り、その後G3 Packer Plateを勝って帰国した。
4歳のシーズンはオーストラリア遠征でスタートし、長距離路線に参戦するとG3 Herbert Power Sを勝っている。Melbourne Cupを17着として春開催が終わるとニュージーランドに戻り、G1 WFA Classicを3着して再度オーストラリアに向かった。シドニーの秋開催でも長距離路線でSydney Cupで2着に入っている。この戦歴が評価されて、ニュージーランドのステイヤー部門で年度表彰を受けた。
以降のシーズンも、春はMelbourne Cup、秋はSydney Cupを最大目標とした遠征を繰り返した。5歳ではCaulfield Cup 3着からMelbourne Cupで4着で再びステイヤー部門の年度表彰を受けている。ニュージーランドでは遠征の合間となる夏場の開催で出走していて、いずれもG1で大崩れせず、5歳ではHarbie Dyke Sで2着、6歳ではThorndon Mileを勝ってHarbie Dyke SとNew Zealand Sを3着と結果を残した。
引退後はThe Oaks Studにて種牡馬入りした。
ニュージーランドでは古馬に2400mのG1がなく、3200mのカップ戦もNew Zealand CupとWellington CupがG1から降格した後も長くG1格を維持していたAuckland Cupが2021年を最後にG2に降格した。ニュージーランド競馬の規模は、シドニーを中心とするニューサウスウェールズ州はおろかメルボルンのヴィクトリア州にも及ばない程度に過ぎず、現状でこれでは長距離戦の体系を維持できないのだろう。The Chosen Oneは2019年から2022年に渡って活躍し、2019/20シーズンから2021/22シーズンまで3シーズン連続でチャンピオンステイヤーに選出されたが、ニュージーランド国内においては3歳の頃にNZ DerbyやAvondale Guineasに出走したことを除けば2000m以下のレースばかりに出走し、ステイヤーという程の実績は有していない。シドニーへの遠征との兼ね合いもありAuckland Cupに出走することはなく、G1タイトルも1600mのThorndon Mileにて獲得したものである。一方で毎シーズンオーストラリアに遠征し、最大目標はMelbourne CupとSydney Cupであった。その遠征において勝ったのはHerbert Power Sのみであるが、2400mや3200m戦で上位に入る実績を残し、これがチャンピオンステイヤーの根拠となった。馬産において一般的にニュージーランドはオーストラリアよりもスタミナを重視するが、レースではオーストラリアの方がステイヤーに活躍の余地を残すことを近年で象徴するような一頭であった。
Savy Yong Blonk 2015 out of Ampin by Pins
牝馬。1400mから2400mで8勝。2400m戦に強さを見せたステイヤー。
3歳までは目立った成績はなく、New Zealand Oaksにも出走しているが5着に終わっている。古馬になると2000m以上のレースで強さを見せるようになり、G3 City of Auckland Cupで2着に入った。5歳ではG3 Waikato Cupを2着から、City of Auckland Cupを勝って2400mに強いところを見せている。G1勝ちは6歳になって出走したG1 Livamol Classicで、直線ではHarlechとPrise De Ferを加えた3頭の勝負になり鞍上のDanielle Johnsonは連続して鞭を振るったことについて罰金を科されるものの短頸差の勝利をもたらした。これがSavy Yong Blonkの最後のレースとなっている。
Sword Of Osman 2015 out of Bunyah by Distant View
騙馬。2歳で3勝を挙げた早熟のフロントランナー。
2歳の12月にプレミア開催の別定戦でデビュー、1100mのレースで3馬身差をつけて注目された。続いて出走したKaraka Millionは8着に敗れたが、G3 Matamata Slipperを5馬身差で圧勝し、G1 Sistema Sも快勝する強さを見せた。ところが2歳のチャンピオン決定戦であるManawatu Sires' Produceは7着で、2歳戦は5戦3勝で終えた。シーズンの2歳フリーハンデではトップに評価されたが、負けた2戦を勝ったのはいずれもAvantageで、Sword Of OsmanはSistema SでAvantageのデビューからの連勝を止めたものの、直接対決が1勝2敗で負け方の悪さから2歳チャンピオンの栄誉はAvantageのものとなった。
3歳になるとギニー路線でG2 James and Annie Sarten Memorialを勝つが、NZ 2000 Guineasは7着に終わった。以後はスプリント路線を目指し、別定戦を勝ってG3 Mongolian Khan Sで2着同着でシーズンを終える。4歳になると年が明けてから1200mのハンデ戦に出走したが、それを最後に引退した。
2歳でAvantageに土を付けているのは素晴らしいが、負けたレースはAvantage関係なしに惨敗している。スタートから先頭に立って逃げ切るレースしかできないが、2歳のKaraka Millionではゲート内で大きく立ち上がってしまいハナを取れないまま中段に沈み、Manawatu Sires' Produceは内からひたすら圧力を受けた結果直線で沈む結果になっている。3歳でもNorthland Breeders Sではゲート難が出てゲート入りをやり直しているし、Hawke’s Bay Guineasでもゲートで暴れる素振りを見せていた。また、Mongolian Khan Sでは逃げ切ることができなくなっており、衰えも早かったという印象である。
Queen Of Diamonds 2015 out of Love Diamonds by Danehill
牝馬。G2 Lowland S勝ち。祖母はTristaloveでEight Carat直系の超良血馬。
2016年産
G1馬はProbabeelのみとなったが、オーストラリアや香港での活躍馬も出ており、世代の獲得賞金としてはトップである。
Probabeel 2016 out of Far Fetched by Pins
牝馬。1200mから2000mまでを舞台にオーストラリアでも活躍して13勝を挙げた2020/21のニュージーランド年度代表馬。
2歳の年明け前にデビューし、初戦こそ2着だったものの、3連勝でKaraka Millionを圧勝するとオーストラリアに遠征しRandwickのSires' Produceに出走したが5着で2歳のキャリアを終えた。3歳になると再びオーストラリアに渡っており、G1 Flight Sで2着となった。一旦帰国してKaraka Million Classicを勝つとオーストラリアでG1 Surround Sを勝ってG1初勝利となった。以後、調整等でニュージーランドに戻ることはあってもレースの出走はオーストラリアのみである。3歳の後半はG1 Vinery Stud Sを2着としたが、Australian Oaksでは8着に敗れた。
4歳ではEpsom HとFuturity SとG1を2勝しているが、Cox Plateなどでは大きく負けている。5歳になってもCaulfield S勝ちからCox Plateに参戦しているが、どうにもCox Plateでは分が悪かった。
ニュージーランド牝系にSavabeelを使っておきながらスピードを武器にした牝馬で、2400mのAustralian Oaksではさっぱりだったのが印象的。
Zayydani 2016 out of Ruqqaya by Van Nistelrooy
牝馬。G3 Matriarch S勝ち。オーストラリアで6勝を挙げた。
Acting 2016 out of Hollywood by Pins
牝馬。G2 Tranquill Star S勝ち。オーストラリアで勝ち上がりから三連勝で重賞勝ちを決めたがそれまでだった。
Aotea Lad 2016 out of Corsage by Volksraad
騙馬。G2 Wakefield Challenge S勝ち。
Savvy Command 2016 out of Best Command by Court Command
騙馬。シンガポールに輸出され、Singapore Derbyで3着。45戦して5勝を挙げている。
Adelaide Ace 2016 out of Ampin by Pins
牡馬。オーストラリアで5勝。G2 Caulfield Autumn Classicの勝ち馬。
Zebrowski 2016 out of Polish Princess by Polish Precedent
騙馬。G1 Australian DerbyやG2 Herbert Power Sで2着の実績があり、香港に移籍後は中距離の重賞を2勝した。
2017年産
リーディングサイアーを獲得後に種付けが行われた世代で質・量ともに充実している。
Atishu 2017 out of Posy by No Excuse Needed
牝馬。1400mから2000mで10勝。3歳でデビューし41戦をこなすFlemingtonが得意なタフネス。
3歳シーズンが始まってすぐにデビューするが、勝ち上がりには5戦を要した。勝ち上がり後は南島に遠征してRiccartonでListedの2戦を含めて3連勝し、3歳のキャリアを終えるとともにオーストラリアに移籍した。
オーストラリアではシドニーのChris Waller厩舎に所属し、当初はG1では歯が立たずせいぜいG3で勝てるかどうかというレベルだったが、徐々に自身のステージを挙げていき、2022/23シーズンではFlemingtonのG2 Matriarch Sを勝って牝馬路線に名を上げるとこのシーズンの終盤にRoyal Randwick開催のG1 Queen Of The Turf SでついにG1タイトルを手に入れた。続く2023/24シーズンも引き続き好調で春のFlemingtonでは牡馬相手にG1 Champions Sを快勝して見せた。秋のG1では勝つことができなかったものの、Australian Cupは3着、Queen Of The Turf Sは2着と上位で結果を残している。
Mo'Unga 2017 out of Chandelier by O'Reilly
牡馬。1400mから2000mにかけて5勝。牡馬産駒としては初めてG1を2勝、引退してオーストラリアで種牡馬入りする。
オーストラリアで3歳になってからデビューし3連勝するとG1 Caulfield Guineasに挑んだが7着で跳ね返された。秋になると充実し、G1 Randwick Guineasの2着から2000mのG1 Rosehill Guineasを勝った。その後の古馬混合戦ではG1 Doncaster Mileが10着、G1 Queen Elizabeth Sは最下位の7着と芳しくなかった。
4歳になると初戦のG1 Winx SではVerry Elleegantを下して2勝目のG1。続くG1 Makybe Diva Sは2着と好調なスタートだったが、以降はやや調子を落とし、G1 Futurity S2着程度があるにとどまった。5歳のシーズンもWinx Sからの始動だったが10着に大敗し、その後はI'm ThunderstruckやAnamoeといった当時の強力な中距離路線の中、G1 Champions SやG1 Queen Elizabeth Sで2着に入り路線の上位で存在感を示した。6歳となった2023/24シーズンも現役に残ったが、完全に衰えており春の3戦で早々に引退を決めてしまった。
ピークは5歳だったが、ちょうどAnamoeが君臨したシーズンで更にシドニーの秋開催にDubai Honourが遠征してきたという事情もあってG1勝ちを積み上げることはできなかった。
同期のCool Aza Beelに一年遅れて同じくオーストラリアのNewhaven Parkに種牡馬として迎えられた。
Amarelinha 2017 out of Hopscotch by O'Reilly
牝馬。通算5勝のNZ Oaks馬。Te Akau RacingとJamie Richards厩舎の全盛期の終わりを象徴する牝馬。
2歳からCatchweightに姿を見せていたが、レースのデビューは3歳。2戦目で勝ち上がり、続くG2 Eight Carat Classicも勝利した。Karaka Millionを2着から、G2 Fillies Classic、G3 Sunline Vaseをともに勝つとG1 New Zealand Oaksも勝利。着差は1馬身だったが、コーナーで楽に捲ったレース内容は相当のレベルで今後に大きな期待が持たれた。Australian Oaksに遠征して4着で3歳を終え、4歳のシーズンもオーストラリアに向かった。しかし、これ以降は全く勝てなくなり、ニュージーランドに戻ってG1 WFA Classicの2着はあったものの、最後はオープンのハンデキャップ戦に出走しても通用しなくなる。
New Zealand Oaksまでは7戦して5勝、2着が2回とずば抜けた成績を残した。終始余裕の手応えで大外から捲ってくる派手なレースぶりも相まって期待の高い馬であった。New Zealand Oaksが最後の勝利になるなど当時では思いもせず、オーストラリアでも通用するのは間違いないと考えられていた。オーストラリア遠征が全くの失敗に終わったあと、ニュージーランドに戻ってくるとかつての余裕のある走りは陰もなく力んだ走りになり、こんなにも変わり果ててしまうのかと感じたほどである。その頃には気性の問題が相当あったのかもしれない。
2021/22シーズンを最後に調教師のJamie Richardsが香港に拠点を移し、2022/23シーズンからはニュージーランドの厩舎を引き継いだMark Walker調教師の管理に替わっているが、立て直しは効かなかった。あれほど強かったAmarelinhaが単なるオープン競走のハンデキャップ戦で見せ場もなく二桁着順に終わるのは衝撃的ですらあった。2022年9月のマイル戦Winners Circle Mileで11着のあとに跛行が見られ、内視鏡手術による措置を受けたものの追加の異常が確認されたことで引退が決まった。
Cool Aza Beel 2017 out of Cool 'N' Sassy by Testa Rossa
牡馬。2歳で6戦4勝して引退した2歳チャンピオン。
デビュー戦で勝ち上がり、2戦目のListed Fasttrack Sは直線で完全に行き場をなくして4着に終わった。次走にKaraka Millionを目標としていたところ中間で熱発して調整が遅れるものの、Taurangaの1200m戦からの連闘でKaraka Millionを勝った。MatamataのG3 Waikato Stud Slipperは渋った馬場が合わずに2着だったが、G1 Sistema Sは先行抜け出して快勝した。この成績で年度表彰の2歳馬部門を受賞している。
ケガで3歳以降は出走しないまま引退して、シドニーから西の内陸部の名門Newhaven Parkにて2021年から種牡馬入りとなった。Danzigが母父のTesta Rossa経由のみで遠く、DanehillもGreen Desertも持ち合わせていないことから配合の範囲が広く、母系は近年でもAlohaやその娘Libertiniが出て優秀であることから期待されている。2歳でスプリント能力を見せたキャリアもオーストラリアにおいて好まれるタイプと言える。
Brando 2017 out of Saoirse by Iffraaj
騙馬。G2 Awapuni Gold CupとG2 Japan Trophy勝ちで、G1 Levin Classicで2着。
2018年産
I Wish I Win 2018 out of Make A Wish by Pins
騙馬。1500mまでで活躍し7勝。現在のオーストラリア短距離路線を代表する一頭。
デビューはニュージーランド、Awapuniの2歳未勝利戦で勝利した。続けてG1 Manawatu Sires’ Produceに出走して2着となって2歳のシーズンを終えた。3歳はG3 Northland Breeders’ Sの2着から始動し、ListedのEl Rocaを2着、G3 Barnswood Farm Sを3着と勝ちきれなかった。G1 New Zealand 2000 Guineasは8着と大敗した。年明けのプレミア開催の1200m戦で2勝目となるが、Listed2着から参戦したG1 Levin Classicでは3着に終わった。しかしこのLevin Classicは勝ち馬がオーストラリアで短距離チャンピオンとなるImperatriz、2着馬がOn The Bubblesと強力で、どちらも同厩舎でLevin Classicまでに直接対決し負けていた相手であった。
4歳になるとオーストラリアに移籍し、高額賞金戦のGolden Eagleを勝って名を上げた。その後はスプリントのG1で健闘し、TJ Smith SではThe Everestを勝ったGiga Kickを下している。5歳となった今シーズンもスプリント路線で安定した成績を残し、シーズンの最後にG1 Smith Cupを勝った。
結構な短距離特化型で、1600mではNZ 2000 Guineasを大敗しているし、Levin Classicは3着に入っているがImperatrizが勝つようなスプリンターのレースである。オーストラリアに移籍後も1600mのG1 Toorak Hでは5着であった。3着内に入れなかったのはこれまでのキャリアで2度だけだがどちらもマイルのG1である。
Noverre 2018 out of Magic Dancer by Rip Van Winkle
牡馬。父の後継を期待されて種牡馬入りしたNew Zealand 2000 Guineas馬。
2歳で勝ち上がり。3歳のシーズンはG3 War Decree Sを勝ってNew Zealand 2000 Guineasも勝ったが、これを最後に引退している。引退後の2022年からWaikato Studで種牡馬入りとなった。
血統面ではDanehillを持たず、Green DesertもDesert SunからでInvincible Spiritは入らず有利である。一方で母父にRip Van Winkleを持ち、後背にSir Ivorが多めかつSadler's Wellsはクロスで使っていこうという感じか。
The Perfect Pink 2018 out of The Solitaire by O'Reilly
牝馬。New Zealand 1000 Guineas馬。
3歳で勝ち上がり、New Zealand 1000 Guineasを勝った。その後、G2 Waikato Guineasで2着に入るが、G2 Avondale Guineasは6着、New Zealand Oaksは4着に終わった。4歳になると全く通用しなくなり、引退した。
Forgot You 2018 out of Simply You by O'Reilly
牡馬。オーストラリアで4勝。G2 Stutt Sを勝って、G1 Rosehill Guienasを2着。
2019年産
Skew Wiff 2019 out of Starvoia by Starcraft
牝馬。短距離で活躍して現在4勝。
3歳で勝ち上がるとG2 Eight Carat Classicで2着、ギニーやオークスには出走しなかったがG1 Levin Classicで2着、古馬混合のG1 NZ Thoroughbred Breeders Sでも2着に入った。
4歳になるとHastingsのG2 Foxbridge Plateで2着になり、G1 Tarzino Trophyを勝つとオーストラリアに遠征しG3 Hong Kong Jockey Club Sを勝ったが、G1では苦戦している。
Major Beel 2019 out of Gram by O'Reilly
騙馬。オーストラリアで4勝を挙げているダービー馬。
シドニーのWaterhouse厩舎からデビュー。2歳シーズンの締めくくりで勝ち上がった。シーズンが変わっても引き続いてレースに使われれるが勝ち切れず、2勝目は夏場の休養を挟んでからのレースであった。2勝し、G2 Tulloch Sで2着となるとAustralian Derbyに出走した。Australian Derbyでは有力とは思われていなかったが、NZ Derby馬のSharp ’N' Smart等を下して勝利した。4歳のシーズンは不振で、長距離に活路を見出そうとしているが結果は付いてこない。
2020年産
Orchestral 2020 out of Symphonic by O'Reilly
牝馬。1200mから2400mで6勝。待望の本国ダービー勝ちは牝馬によって達成された。
2歳のデビュー戦はAvondaleの別定戦で日本人騎手のMasa Hashizumeが騎乗して2着だった。続く未勝利戦を勝ち上がっている。3歳では1200m戦で復帰するとG3 Bonecrusher Sを2着とし、1600mの別定戦で2勝目を挙げた。Karaka Millionも勝つと、G2 Avondale GuineasからG1 NZ Derbyと転戦していずれも後続を突き放して圧勝した。NZ Derbyの後はオーストラリアに遠征し、G1 Vinery Stud Sを勝って、G1 Australian Oaksは3着としてシーズンを終えている。
中距離だとニュージーランド国内の同世代は相手にしないレベルで、Australian Oaksは勝ったAutumn Angelと1馬身差で3着だったが、取りこぼしたという印象のレースであった。
Ascend The Throne 2020 out of Thee Achiever by O'Reilly
騙馬。G2 Waikato Guineasを勝って、New Zealand Derbyは3着。今後中距離路線を支えることが期待される。
Interlinked 2020 out of Daisy Chain by Pins
騙馬。オーストラリアで2勝しニュージーランドに遠征してきて、G2 Avondale Guineas3着からG1 NZ Derby5着。