Dubai World Cup: Dirt 2000m Group 1 出走馬紹介

Overview

出走15頭に日本調教馬が8頭とSaudi Cup以上の集中っぷり。北米調教馬はCountry Grammerだけで日本調教馬以外はかなり薄いメンバーになったと言える。Saudi Cupの上位が勢ぞろいといった趣きで7着だったJun Light Boltまでが揃って、9着Remorseも出走する。そこに日本から芝G1馬Vela Azul、ダートスペシャリストT O KeynesとUshba Tesoro、Meydanの前哨戦で勝ち上がってきたAlgiersに同路線からSalute The Soldier、Bendoogが出走するという様相。どうにも6歳馬の競演となっているのだが、北米競馬を考えると6歳はねえって思う。

基本的にはSaudi Cupの上位馬があと200m走ってどうなるかで、そこに日本からくる追加の3頭が絡んでくるという様相だろう。結局Country Grammerと日本馬の勝負。

北米調教馬の参戦はCountry Grammerのみになってしまったが、そもそも今年は北米のメインストリームがかなり低調になりそうで、今年は年明けからのGulfstreamとSanta Anitaで勝ったのがArt CollectorとStilleto Boy、ここにDefundedが絡んでいるだけってのはロマンに欠ける。Flightlineに加えてLife Is Good、他にも古馬のOlympiad、去年の3歳でもEpicenter、Early Voting、Mo Donegal、Cyberknifeが軒並み引退し、Rich Strikeは現状Kentucky Derby一発屋に甘んじているという状況では仕方ないのではあるものの、真面目にTaiba何とかしてくれと思ってたのにでてこないのはつらい。

Vela Azul: Eishin Flash - Vela Blanca by Kurofune

日本調教6歳馬ヴェラアズール。去年のジャパンカップ勝ちでレート123を獲得し、本戦にはトップレートとしての参戦になった。よく知られているように去年芝路線に転換する前はダートの中距離戦を使われていた。連勝してG1馬にまでなったのは芝の2400m付近のレースなので、ダートでどこまでかというのは気に掛けなければならないのだろうが、全く走れないようなことはないはず。Meydanのダートで追い込んでくるのはかなりきついと思うが、条件と展開がはまることに期待しておく。

Country Grammer: Tonalist - Arabian Song by Forestry

アメリカ調教6歳馬。去年の勝ち馬で、Saudi Cup 2着からの転戦になるのは去年と同じ。安定感は文句なしだが、いろいろな要素からあまり強いイメージがないのはちょっとかわいそうではある。Flightlineの存在だったり、Baffert厩舎だったりとね。

勝てば2018-19のThunder Snowに次ぐ2頭目の連覇達成である。もっともDubai World Cupを勝った北米馬が翌年現役に残るかというと普通は1年間のキャンペーンで上がりに到達するわけで、やっぱり強いというイメージを与えられていないことの悲しさを感じるところでもある。Thunder Snowの場合はGodolphinの馬で北米ではG1を勝ってなかったって事情があったわけで。

Country Grammerの父TonalistはBelmont S勝ちやJockey Club Gold Cup連覇とやや古風な本格派といった競走実績で、縁の深いMissy Baba牝系出身ということもあってかオールドファッションを好むLane's Endで種牡馬入りした。8FでもCigar Mile Hを勝ち、Metropolitan Hで2着という実績はあるものの、この手の種牡馬は産駒成績で苦戦しがちで、Tonalistも初年度産駒として得たCountry Grammerが出世頭というかもう頼りきりといった様相で、他にはG2馬が2頭出ているに過ぎない。

母系は北米23-b族の中でも最強格のChris Evertの一族に属しており、Juddmonteが手掛けてNorthern Dancerの2×3が特徴的なWillstarを経由する。Willstarとその全姉Vivianaが大きな成功を収め、Distant Viewを入れるとSightseekが出ており、Country Grammerはその同血となる祖母Prima CentauriにForestry、Tonalistと入ってくる。ここではForestryの母Shared Interestがとても効果的で、Country Grammerの重層的な血統構成の鍵となっている。

Algiers: Shamardal - Antara by Platini

イギリス調教6歳馬。Clisford厩舎。Al Maktoum Challenge Roundの1と2を勝って3はスキップして本戦に臨む。去年はJebel AliのダートG3を勝って、本国でもLingfieldのAWリステッドを2着という実績を有する。

Maktoum Challenge Roundはスーパーサタデー開催のRound 3ならまだしもRound 2までは勝っていても順調ですねとしか言えず、Round 3にしても日程がバッティングするSaudi CupがG1格を得ているのでちょっとこれまでのような立ち位置は難しいように思える。

Panthalassa: Lord Kanaloa - Miss Pemberley by Montjeu

日本調教6歳馬パンサラッサ。前走Saudi CupでCountry Grammerを抑え込んで勝利。去年はDubai TurfでLord Northと1着同着と話題に事欠かない。次は2000mでどうだというところで、PanthalassaもCountry Grammerもこの距離を苦にするタイプではなく、良い勝負になりそう。

Emblem Road: Quality Road - Venturini by Bernardini

サウジアラビア調教5歳馬。前走のSaudi Cupでは6着で去年の勝ち馬としては物足りない感じもありつつ、健闘はしている。距離は1600mの方がより合っていそうだが、わざわざ出向いてくるならこっちにという気概はわからなくもない。

Geoglyph: Drefong - Aromatico by King Kamehameha

日本調教4歳馬ジオグリフ。前走はSaudi Cupで4着。実に評価に困る結果でダートでも走れる程度にしかとらえられない気はする。

Jun Light Bolt: King Kamehameha - Special Groove by Special Week

日本調教6歳馬ジュンライトボルト。チャンピオンズカップの勝ち馬だが、前走のSaudi Cupは7着に終わり、日本調教馬の中でも下位に沈んでしまった。ドバイのダート戦も芝で重賞クラスの能力は要求されるところがあるので、厳しいように思う。

T O Keynes: Sinister Minister - Maxim Cafe by Manhattan Cafe

日本調教6歳馬テーオーケインズ。前走は川崎記念2着で、勝ちと負けが交互に来るパターンが崩れたものの、順番的には今回よくない結果が出る巡目ではある。去年はSaudi Cupに遠征して8着に終わっていることもあり、遠征での期待はしにくい。鞍上は長期の騎乗停止が明けたOisin Murphyが予定されている。

Cafe Pharoah: American Pharoah - Mary's Follies by More Than Ready

日本調教6歳馬カフェファラオ。マイラーっぽく思っていたらSaudi Cupで3着まできて驚いた。しかしさらに2000mとなると不安しかないところではある。

American Pharoahは大物産駒が出てこず、現状ではCafe Pharoahが突出した産駒とも言える状況ではあり、Dubai World Cupを勝てば箔が付くけど、とは思う。

Crown Pride: Reach The Crown - Emmy's Pride by King Kamehameha

日本調教4歳馬クラウンプライド。去年はUAE Derbyを勝っているので日本馬の中でも名を知られている方。1年たっても主な勝ち鞍がUAE Derbyのままなので、この辺りで大きなタイトルを追加したい。Saudi Cupの時にも言ったけど。

Ushba Tesoro: Orfevre - Millefeui Attach by King Kamehameha

日本調教6歳馬ウシュバテソーロ。芝で走っていたが、去年ダート挑戦すると連勝で東京大賞典を勝ち、今年の川崎記念も勝って一気に国内ダートのトップに名乗りを上げた。

Salute The Soldier: Sepoy - Street Fire by Street Cry

UAE調教8歳馬。そんなわけで今年のAl Maktoum Challenge Round 3の勝ち馬である。Dubaiの常連であり6歳時にはChallenge Roundを3着、1着、1着とこなして本戦たるDubai World Cupでは5着の実績を残した。去年はRound 3が5着で本戦には顔を出していないが、今年はRound 2からの参戦で5着に入るとRound 3を勝って本戦に進出してきた。

前述の通りAl Maktoum Challenge Round 3の価値が低下しているので、どうにも。

Bendoog: Gun Runner - Nellie Cashman by Mineshaft

UAE調教4歳馬。デビューからUAEというGun Runner産駒でChallenge Round 2ではAlgiersから6馬身差の2着、

Round 3はSalute The Soldierから2馬身差の2着とまだ足りていないか。

Remorse: Dubawi - Jealous Again by Trippi

UAE調教の6歳馬。Al Maktoum Challenge Round 2の2着からSaudi Cupに向かい9着に大敗した。去年はRound 3で2着からDubai World Cupに参戦して6着。

Super Corinto: Super Saver - Tradizione Slam by Grand Slam

アメリカ調教5歳馬。アルゼンチン産馬。ペルーでデビューし、Latinoamericanoが開催されるチリに遠征し、その後のG1 Gran Premio Hipodromo Chileを勝ってアメリカに渡った。アメリカではGulfstreamの一般戦しか走っていないが、Latinoamericanoで2着の実績もある。Godolphin Mileが想定されていたが、Dubai World Cupに変更となった。距離はこちらの方が合っていそう。