名繁殖牝馬たち

TDNのAndrew CaulfieldセンセイもUrban SeaとHasiliとHeight of Fashionを持ち出してコラムを書いてるなあ。Height of Fashionは1000GuineasのGhanaatiもあるんだろうけど、Urban Seaの繁殖成績を賛するには単にGIではなく、Classic Raceであるというところに重きを置きたいようにも見えました。
そして、Sea the StarsはそのHeight of Fashionの息子Nashwan以来となる二冠制覇を狙うのですな。歴史は巡る。

Height of Fashionの繁殖成績

特記するものだけ。

Nayefなんてよくもこの繁殖にGulchを付けたなと。Thunder Gulchの活躍があってのことではあるのでしょうが。で、Nayefの出したTamayuzは祖母がAllez les TroisでUrban Seaの妹となるわけですね。
これら直系以外、Height of Fashionの姉妹から出た馬としてはBurghclereからディープインパクトウインクリューガー、HighbrowからAsk、Wily TrickからElegant Fashionと有名どころが出ています。

Urban Sea周辺海域

直仔を今更取り上げても仕方ないのでその近辺を。
Urban Seaのきょうだいとなるとまず前出のAllez les Trois。仔にAnabaa Blue、孫にTamayuzが出るほか、Measured TempoやReuniteも話題になる程度には活躍しました。
King's BestはGuineasを勝ち、種牡馬としてDubai Surprise、Proclamationを出しましたし、最近だとCreachadoir、Best Nameといったあたりですか。初期の活躍馬がValiとかの名牝系に依存していたのに比べると、このところはSadler's Wellsで一点突破を図る分かりやすい方向に変化しています。
よく知られている通り、Urban Seaのこのファミリーはドイツ血脈でも屈指の名門9-h族A-Lineからのスピンアウトです。そして一旦ドイツから離れErlenhofの手によってドイツに舞い戻ったところで産まれたのがAnzilleroであり、最初からSchlendaerhanが手放さずに残したところから出たのがAdlerflugです。

HasiliというかKeraliが凄いんです

5頭のGI馬を出したHasiliですが、GI2着までのDansiliも含めてほとんどDanehillじゃねえかとはよく言われるところで、例外のHeat HazeにしたところでGreen Desert産駒なら祖父Danzigってのは同じ。Hasiliの凄いところは5歳で産んだDansiliから一年空けてBanks Hill、Heat Haze、Intercontinental、Caciqueを連続で出し、また一年空けてChamps Elyseesが出ているところです。
で、その辺りのGI馬きょうだいの従妹にPromising Leadがいるわけですが、これがまた父Danehillの母父Kahyasi。更にPromising Leadの妹Visitは父Oasis DreamとこれはHeat Hazeを意識したか。どっちにせよ、こういう構築された血統になると、適合する種牡馬もきっちり決まってくるというものかなと。Urban Seaのように相手を変えて活躍馬を送ることも評価されるべきですが、Hasiliらの配合の確実性も評価されてしかるべきです。
同じく従弟になるブラジル産のLeroidesanimauxは現地の種牡馬事情を反映した父Candy Stripesなんですが、これの半兄Uapyboが父Blush RamblerということでどちらもBlushing Groomなのね。そしてBlushing Groomと来ればKahyasiの母父に入るのです。だから、その母を北米に輸入してGiant's Causewayというのはまずまずの選択。それなら素直にRahy使っとけとは思うが。同母から出たもう一頭のGI馬Disportはそれとは無縁。
Three Valleysも従弟で母父がKahyasiではなくNiniski。Blushing Groomを持たない彼はGIは2着までで勝てなかった*1

スタンド「イメージ・オヴ・リアリティ」

Empire Makerという大駒を有しながら、ガン無視されたToussaudは涙目。欧州で走らせていないわけでありませんが、その実績は自身のGamely H勝ちなど北米に集中する傾向にあります。
初仔がMr. Prospectorを父に持つChester House。GI馬の母にMr. Prospectorという血統背景から高い期待を受け、イギリスに拉致られました。そこでも2年連続でEborのInternational Sを3着など悪くはない結果ですが、最後は北米に渡りArlington Millionを勝って引退し、種牡馬となるも8歳の若さで死亡。Venturaなどの活躍馬を得ていますから、惜しい死でした。
続けて産んだHonest Ladyは父Seattle Slew。Santa Monica Hを勝ち、BC Sprintで2着に入る快速馬でした。繁殖としてもFirst Defense(Unbridled's Song)を産んでいます。やはり快速を活かしたスプリンターですね。
次はDistant View産駒のDecarchyです。Eddie Lead H2着まででGIは勝てませんでしたが、GII時代のKilroe Mileを勝っています。
Gone West産駒のCivilisationは3戦未勝利。血統背景を考慮され、West Virginiaで種牡馬になっています。
Woodman産駒のChisellingは10戦3勝の戦績でSecretariat Sを勝っています。Empire Makerの活躍などもあって、南アフリカのMaine Chance Farmで種牡馬をする予定でしたが、どうも産駒を残せず亡くなっているようです。
この次に産まれたUnbridled産駒がEmpire Makerです。東海岸のGIを連勝してKentucky Derbyを一番人気で迎えますが2着。その後Belmont SにてFunny Cideの三冠を阻止する勝利で期待に応えました。種牡馬としてPioneerof the Nile、Country Star、Acomaなどを出し成功しつつあります。
その後のToussaudの仔は競走馬としては実績を残していません。牝馬ばかりなのでいずれ名を見ることがあるのではないかと。
このToussaudの全姉がNavarraで、アルゼンチンで種牡馬入りするIndygo Shinerを産んでいます。北米での現役時は芝のGIII勝ちまで。GII Del Mar Derbyの2着などもあります。
種牡馬はいろいろ使っていますが、Mr. ProspectorSeattle Slewになってきます。El Gran Senorが入ることを考えると納得のいくところか。Indygo ShinerはアルゼンチンでSouthern Halo牝馬を喰いまくって実績を得ているのですが、北米となるとSouthern Halo牝馬よりBuckpasser内包のMr. Prospectorという手が見えてきますね。

*1:Middle Park Sを1位入線で確定するも、後に薬物規定に抵触して失格