Queen Elizabeth II Cup: Sha Tin Group 1 Turf 2000m

エントラントは少数精鋭で香港3騎、日本3騎、英国1騎の7頭立て。

地元のエースRomantic Warriorに対し、遠征勢でオーストラリアで開花したDubai Honour、2歳以来のG1タイトルが欲しいDanon The Kidと底を見せていないPrognosisの勝負ではあるだろう。

Sha Tinの2000mはスタートから1コーナーまでの距離が短く、枠による有利不利が出やすいコースであるものの、7頭立てならそれほど大きな影響はないのではないか。

Romantic Warrior: Acclamation - Folk Melody by Street Cry

浪漫勇士

12戦9勝。去年のQueen Elizabeth II Cupを勝って香港中距離路線の最強馬となった。今シーズンは12月のHong Kong Cupを圧勝してみせて面目躍如であるが、ここ2戦はGolden Sixtyに苦杯を嘗めさせられている。マイルのStewards’ Cupはともかく2000mのHong Kong Gold Cupで最後に差し切られたのはちょっとどうか。とはいえTourbillon DiamondやMoney Chatcherにはしっかりわからせているし、Hong Kong CupではDanon The Kid以下の日本馬にも影を踏ませなかった。近年の香港中距離ランナーとしては一等抜けた存在なのは間違いない。

Tattersallsのイヤリングセール出身で香港でデビューした。デビューから連勝し、4歳路線でCalifornia Spangleというライバルを得てHong Kong Classic MileとHong Kong Derbyを勝った。その後の重賞戦線でCalifornia Spangleとは中距離とマイルに路線が分かれた。今年のStewards' Cupで久しぶりに相まみえたが、まとめてGolden Sixtyに差される結果となっている。

父AcclamationはTry My Bestから伸びるスプリンター父系で、自身はG1を勝てずに終わったが、種牡馬入りすると早熟なスプリンターを出しやすい系統として繁栄している。

Acclamation産駒が中距離以上で活躍する例は乏しいが、Romantic Warriorは祖母Folk OperaがE.P. Taylor Sを勝って12F路線でも活躍していた実績があり、従兄にもペルーで2600mのG1 Gran Premio Nacionalを勝ったMr. Bailettiが出ていて、母系の素養が大きそうである。

Dubai Honour: Pride Of Dubai - Mondelice by Montjeu

譽滿杜拜

17戦6勝。前走はオーストラリアRoyal RandwickのQueen Elizabeth Sを勝っていて、QE連勝を目指して出走してきた。オーストラリアの2000mでG1を2勝しており実績は上位となる。香港では3歳だった2021年にHong Kong Cupに出走してLoves Only Youの4着の実績がある。

オーストラリアの中距離G1を取りに行ったというイメージで軽んじられるきらいはあるかもしれないが、もともとは3歳でChampion Sの2着という実績があり、去年一年がやや不振だったというところだろう。

Danon The Kid: Just A Way - Epic Love by Dansili

野田小子

15戦3勝。無敗で制した2歳のホープフルSのあとは勝ち鞍がないものの、基本的にはG1でも上位に入る実力を維持している。というか関東に遠征しなければよいのではないかと思えるほど。12月のHong Kong Cupでは2着だが、追い込んだものの直線で差を広げられる有様でRomantic Warriorからは4馬身半差を付けられた。

Tourbillon Diamond: Olympic Glory - Modave by Montjeu

飛輪閃耀

38戦7勝。香港中距離路線の古株だが、実績はG3まで。去年の2着馬ではあるもののRomantic Warriorを逆転できる目は見えない。オーストラリア時代はEric The Eelの登録名で14戦4勝、G1ではAustralian Derbyの3着まで。

Money Catcher: Ferlax - Warren's Sister by Savabeel

發財先鋒

27戦3勝。今シーズンになって香港中距離の上位に定着した。Hong Kong Cupの3着馬であるが、基本的にはTourbillon Diamondと勝ったり負けたりの関係でほぼ同等。近走結果ではやや上回るといえる。ニュージーランド時代はJason Belltreeの登録名で8戦1勝。G2のAuckland GuineasやAvondale Guineasで2着の結果を残していた。なおAvondale Guineasは2100m戦である

父FerlaxはPentire産駒のニュージーランド産馬で、G1 Australian Guineasの勝ち馬である。引退後にニュージーランドに戻って種牡馬入りしたが、若くして亡くなったため産駒は3世代しか残っておらずMoney Catcherはその最後の世代に当たる。Money Catcherの他にはニュージーランドでImelda MaryとInmyshadow 程度で、牡馬はほぼすべて去勢されているため後継種牡馬は存在しない。

Prognosis: Deep Impact - Velda by Observatory

先見

8戦5勝。前走金鯱賞勝ちからの遠征となった。川田が乗れば全勝だが、流石に天皇賞の裏開催に持ってくることはできず、香港を拠点とするベテランZac Purtonが騎乗する。半姉にはイギリスの2歳G1馬Vordaが出ているが、父がOrpenとディープインパクトでは特性が違いすぎて参考にならない。

三代母のVel D'Ericaがイタリアの牝馬二冠でフランスオークスでも2着という実績を持ち、母Veldaまでイタリアでレースキャリアを送ったファミリーである。

Geraldina: Maurice - Gentildonna by Deep Impact

吉典娜

18戦6勝。去年エリザベス女王杯を勝っているので二つ目のQEタイトルを狙う。