Breeding Statistics: 2018 Live Foals in North America

The Jockey Club(アメリカの方)が発表しているBreeding Statisticsのデータです。元データはjockeyclub.com*1のResources>Fact Book>Breeding Statistics*2に存在します。
普段はReport of Mares Bredの数字を見ているのですが、2017年はさぼっていたためせっかくだからとBreeding Statisticsの方を見てみました。RMBの方が私の知りたいデータ傾向を反映しているのと発表時期が早いのですが、たまには全部見ておくのも良いのかなという気分です。
Report of Mares Bredと比べるとリストにマイナーな種牡馬が増えている一方でLive Foalsが0になっている種牡馬も散見されてしまい、RMBをまとめるときよりむなしさに襲われる頻度が多くなるのが問題でしょうか、私のやる気に対して。 種牡馬総数1777頭、種付け頭数34286頭、産駒出生頭数21128頭というデータです。受胎頭数は23644頭と報告されています。 Jockey Clubが公開しているデータに血統データを付加しましたのでGoogle Driveスプレッドシートで公開します。種牡馬名のA to Zで整列しています。
Breeding Statistics 2017-2018 (Google スプレッドシート)
種牡馬の血統データはPedigreequery*3に突っ込んで出てきたものです。ヒットしない種牡馬については簡単に調査した結果、それらしいデータが見つかった場合は入力しました。全体として正確性は保証しません。 A.P. Indy系のごときラベリングは私の趣味が優先された恣意的なものです。父系直系は始祖まで遡って並べていますから、必要であればフィルタリングに使用してください。 さて、いまさら一般的なサイアーラインの勢力分布について書くつもりはありませんが、一応特記しておくべき内容は書いておきます。

Palomino系統

北米でも特徴的な毛色はそれだけで生き残っている部分があります。ほとんどの場合は未出走で繁殖入りし、サラブレッドとしてJockey Clubに登録する必要は薄いと思いますが、登録されればその他の種牡馬と同じように出てくるので、マイナー系統を見る際の攪乱要因です。分かる限りは切り分けていますが、取りこぼしもあるかと思いますので注意してください。
北米ではPalomino(月毛)の系統としてMilkieとGlitter Pleaseの父系が著名です。MilkieはMahmoudの直系で、2018年に出生したBlandford直系のサラブレッドは全てこのMilkieの父系になっています。Glitter PleaseはPrincequilloの直系で、Glitter Pleaseの父系を加えてしまうと現存するPrincequillo直系の数字に少なからぬ影響を与えてしまいます。Five Eighty Fourは自身は特異な毛色ではありませんが、母にMilkieが入るSmoked GoldとExcalibur Foxが種牡馬になっています。
Palominoの発現は白毛と関連しないため、基本的にはPalominoやCremelloと呼称される毛色の固定化に走っているようです。
直系としてみるとここに含まれますが、Pure White Goldは母Our White Ladyから白毛を受け継いだ白毛馬です。

白毛関連系統

北米には白毛系統がいくつかあり、そのあたりと関連するSabino、Frame Overoを出す系統群です。
白毛馬White Beautyの白毛は優性白毛の遺伝子によるもので、母系で受け継いだThe White Fox白毛種牡馬入りしていました。The White Fox自身は若くして亡くなりましたが、その白毛を受け継いだ後継種牡馬が登場しているのが現況です。
Sabinoは大きな白斑を作る遺伝子で、ホモ接合で持つと全身に広がって白毛を発現します。 白毛馬Not Quite WhiteはこのSabinoによる白毛で、その仔Airdrie Apache種牡馬となって、産駒に多くの白毛を得ています。
Overoも白斑を生じる遺伝子で、ヘテロ接合の時はFrame Overoとして発現し、ホモ接合の時に白毛と同時に致死性を発現するようです。Patchy Lassyを母とするRacey Remarque、Ellusive Quest、Regal RegaliaがFrame Overoの種牡馬となっています。前二者は父がSunny's Solo Halo、後者はC Spot Goを父としています。 また、Black Toney直系ではBlue GaziがFrame Overoで、その父系を繋いでいます。

Jump Sire

サラブレッドは概して馬術競技向きではないとされ、元競走馬が馬術競技に転向することがほとんどです。その中で、Bonnie Nuitの父系は馬術競技種牡馬として供用されて代を繋いでいます。Bonnie Nuitは父系を遡ると、Royal CanopyからRoi Herodeにたどり着くレアものです。この父系からはGem TwistやRiviera Wonderなどがアメリカの障害飛越の殿堂馬となっています。ただ、報告があったT F Classic Twistは傍系で、Good TwistからGood News Joeに継承された本流はすでに衰退しており、先細りしているのが実情でしょう。 北米で2017年に種付けが報告されたByerley Turk父系の種牡馬は他にLegal Joustingがいますが、産駒出生には至らなかったので、2018年に産まれたByerley Turk直系のサラブレッドはT F Classic Twistを父とする2頭のみです。