30年目のブリーダーズカップ

前日になって30回目の記念となる開催がキャンセルされるとは驚きました。
BC中止のお知らせ
そういったわけでRon様世界線において今年のBCは中止となりました。
おわり。
…いや、このニュースを見たときには真っ白になりましたよ。Ron The Greekが負けることを前提に"BCは衰退しました"というアホ記事を準備し始めていたのにどうしてくれるんです?
右前脚に軽い裂け目が確認できたということでRon The GreekはBCをスクラッチ。2週間程度で調教にも復帰できるような軽いもののようですが、このタイミングでそういうことになってしまう間の悪さはありますね。とりあえずRon The Greekに関しては来年のことは未定のままフロリダに送られるようです。陣営の決定待ちですが、来年は7歳となりますし、どこか引受先があるならそのまま種牡馬入りでしょうか。ケンタッキーは無理でもフロリダのどこかで種牡馬になれれば良いのですが。
さて、気を取り直して。

Classic: Mucho Macho Man

Game On Dudeやらかしてくれたなあというのが正直なところです。
Mucho Macho Manは去年がFort Larnedに僅差に迫る2着でしたから十分な力はありました。ただ、3歳のKentucky Derbyの頃からG1になると勝ちきれないところはあって、去年だとWoodward SからBC Classicをともに2着でした。そういう馬なので古馬のトップクラスと目されながらもG1を勝ったのは前走のAwesome Again Sが初めてでしたが、今回ので完全に化けたかな。5歳馬がBC Classicを勝ったら普通は引退して種牡馬入りかなと思いますが、そのうち発表がありますかね。Holy Bullの直系ですからマイナーフェチは歓喜すると良いよ。
50歳のGary Stevensは前日にBeholderで勝ったDistaffと合わせて開催2勝目。両日のメイン開催を持っていくというとんでもなさ。どちらも有力とはいえ倒さなければならない相手がいる状況で成し遂げるのですからすごいですね。かつてMucho Macho Manの父Macho Unoの主戦も務めていてBC Classicには2年連続で出走しましたが、勝利を得ることはできませんでした。そういった意味でもうれしい勝利だったんじゃないかな。
ハナ差の2着が3歳のWill Take Charge、アタマ差で3着がDeclaration Of War、4着が去年の勝ち馬Fort Larnedでした。Will Take chargeは追い込んできて結局少し足りないというA.P, Indy感あふれるレースでした。
そしてBCになると今年もダメだったGame On Dudeは9着と散々な結果でした。何が悪いのかわからないんですよね。Santa Anitaで勝てないわけでもないし、間隔が空いたことが悪い方に出たのかなとしか。4F目にラップタイムが22.97を記録しており、ハイペースで前にいた馬が沈むという展開にはなっていますが、Fort Larnedは4着に踏ん張っているわけですし、Mucho Macho Manも後ろにいたわけではないしねえ。むしろ3コーナーでGame On DudeとMucho Macho Manが並びながら先頭に仕掛けていくところは、これは来たと思わせてくれたのですが。

Distaff: Beholder

レースをリードしたのはAuthenticityで、これにRoyal Deltaが圧力をかけながら続く展開。Beholderは前2頭を見る三番手で進めました。Royal Deltaがまくりに掛かるかと思ったのですが動かず、Beholderが一気に前に出ると最後の直線はリードを保ったままで圧勝しました。人気の一角Princess Of Sylmarはスタートからさっぱりで何が何やら。
Beholderは夏にGary Stevensと組むようになってから3連勝としました。Santa Anitaを主として走り、今年初戦となったSanta Ynezで2着になった以外は完勝していました。今年の3歳牝馬のタイトルをPrincess Of Sylmarと争っていましたが、この一戦で勝負ありでしょう。
Royal DeltaはAuthenticityのペースに苦しめられたとしていますが、ドバイから戻ってきて復帰したFleur De Lis以降休養なく出走していたことと前走がPrincess Of Sylmarとの勝負になったことで厳しい状態だったかなと。ラップを確認すると前半飛ばして最後に止まっているのが明らかですが、Royal Deltaレベルでそれを言い訳にされてもという気分ではありますし、Beholderもついて行って勝負しているわけですし。バックストレッチで一瞬Authenticityの前に出る構えを見せましたが、そこから後退してしまいました。
Princess Of Sylmarは終始後方でレースに絡めず終わっており、西海岸への遠征経験が全くなかったのが影響したかもしれません。

Turf: Magician

MagicianはIrish 2000 Guineasを勝っていますが、その次のSt. James Palace Sで最下位に終わっています。今回はそれ以来の出走となり、12Fを走るのももちろん初めて。こんなもんわかるかい。Galileoは凄いねとしか言えんわ。
The Fugueは直線で先頭に立ちますがMagicianの追い込みに屈して2着。Indy Pointは抑えきるように見え、勝ったなと思ったんですけどね。

Filly And Mare Turf: Dank

時計は悪くなく、前残りというレースになりました。道中は2番手で逃げるEmollientを見ていたDankが直線で抜け出して、Romanticaの追撃を封じ込めて半馬身差勝利。直線に向いても集団がそのまま走っている変な印象のレースでした。
DankはStoute厩舎でBeverly Dに続いて北米のG1は2勝目となりました。このまま北米に残ってた方が楽じゃないのかなとは思う。

Mile: Wise Dan

Wise Danがスタートを少し失敗して、これはやらかしたかなと思って見たのですが、きっちり勝ちきれるのですから力が違いました。Olympic Gloryは後ろから伸びがなく9着に終わっています。

Dirt Mile: Goldencents

Verrazanoは良い位置につけてレースをしていたように思うのですが、3コーナーから後退してそのまま終わってしまいました。このあたりの格のなさがどうしようもなく付きまとうのですよね。
GoldencentsはSanta Anita Derbyを勝った3歳馬で、Kentucky Derbyでも上位人気に支持されていましたが17着に大敗し、西海岸の短距離路線に転じました。Points Offthebenchに頭を押さえつけられましたが、Bing CrosbyとSanta Anita Sprint Championshipで両方2着には来ていたので、実力はありました。Santa Anita Derbyを勝ってるんだからそりゃマイルなら何とかなるよな。

Sprint: Secret Circle

Gentleman's Betを交わしたSecret Circleに直線一気に追い込んだLaugh Trackが迫りますが、何とかSecret Circleが凌いで1着。Laugh Trackは直線だけで全部ひっくり返そうとする思い切った展開にしましたが、そこまではうまくいきませんでした。勢いは完全に上でしたが。

Filly And Mare Sprint: Groupie Doll

最後Judy The Beautyに詰め寄られましたが、余裕を残してGroupie Dollの勝ち。

Turf Sprint: Mizdirection

逃げたReneesgotzipをMizdirectionがきっちり差して勝利。2番手追走だったTightend TouchdownもReneesgotzipを攻めるが両者譲らず2着は同着となっています。

Juvenile: New Year's Day

人気薄のConquest TitanとRum Pointが前に出てレースを引っ張り、Strong Mandateが3番手で続く序盤となりましたが、すぐにStrong Mandateが先頭に出て引っ張るようになります。人気薄の2頭は3コーナーに入るまでに脱落しており、一番人気のHavanaがStrong Mandateに迫って交わし先頭で直線に入りますが、内に潜り込んできたのがNew Year's DayでStrong Mandate、Havanaをあっさり交わして1馬身1/4差で勝利。Havanaに対して食い下がるStrong Mandateが2着を狙いますが交わせず2着Havana、3着Strong Mandate。
ハイペースで前に行った馬は伸びきれず、展開が向いたNew Year's Dayにまとめて持っていかれたようなところはあります。Strong MandateにしてもHavanaにしても外枠からのスタートではこれ以外ないかなというレース運びはしており、運がなかったとは言えるでしょう。Havanaはスタートの出が良かったのですが、内で2頭きれいに出ていて入り込めませんでした。Strong MandateとHavanaが逆の位置ならとも思いましたが、より外枠のStrong Mandateに取れる選択じゃないですしね。コーナーで膨らむHavanaの外にいたら怖い。
Strong Mandateは前走のBelmontでさっぱりでしたが、ここでは十分なレースを見せています。Saratogaで勝った時は水が浮くような馬場状態だっただけに、通常の馬場でどこまでやれるかは不安だったのですが、これなら今後も期待していいのだなと。これからしばらくの北米はStrong Mandateを追いかけて見ていくことにします。Lukas先生も今年のOxbowで久しぶりに三冠戦を勝ったので、次はStrong Mandateでお願いします的な。
勝ち馬が大成しにくいレースなので適度に負けている方が良いのですよ。うん、多分ね。
Havanaはまだ荒削りっぽいので完成したら怖いですね。

Juvenile Fillies: Ria Antonia

She's A Tigerが一位入線しましたが、直線でのRia Antoniaとの競り合いで妨害があったとして降着処分となり、Ria Antonia1着、She's A Tiger2着で決着しました。わざわざ外に寄せに行ってちょっとぶつかったようにも見えるのでまあ妥当な降着でしょう。外でやり合う2頭を内からRosalindとSweet Reasonが出し抜こうと来ていましたが間に合いませんでした。
She's A Tigerはコーナーでリードを広げてそのまま行けるかと思いましたが、直線を凌ぎきる余力が無くなっていました。そのせいで最後ばたばたしていて2歳戦ならこんなものなのかなと。

Juvenile Turf: Outstrip

人気馬が上位で決着したものの、一番人気のBobby's Kittenは3着。
GodolphinのOutstripがCoolmoreのGiovanni Boldiniを下して、3着にはRamsey夫妻のBobby's Kittenが入ったという風。ま、北米デビューの期待馬が遠征馬2頭に屈した結果でもありますが。
Outstripは母がAsi Siempreと懐かしいというほど昔でもない活躍馬です。芝で活躍していたのに勝ったG1はダートのSpinster Sというちょっとわからないことをしてくれた馬でした。Artie SchillerとかKitten's Joyと同じでMedaglia D'Oroの後に現れたEl Pradoの活躍馬という印象が残っています。

Juvenile Fillies Turf: Chriselliam

結果を見てからいたのか、と。遠征してくるG1馬はVordaに目が行ってしまい、Chriselliamに全く気付いていませんでした。直線の伸びで格の違いを見せた感じです。北米の2歳芝を走ってる馬でアレをどうにか出来るとは思えないレベル。
あの芝コースで2歳馬が14頭も走ると大変ですね。

Marathon: London Bridge

London Bridgeはイギリスでデビューした3歳馬です。デビュー戦がKemptonでオールウェザーでのレース経験はありましたが、そのごのキャリアは芝のハンデキャップホースでしかないものでした。長距離も前走のDeauvilleくらい。
人気がバラバラだったのですが、これって結局路線として確立していないから基準がないってことかな。
10F通過が2:03.87から2Fラップが25.75、28.70とひどい止まり様。賞金50万ドルだから日本から遠征するにはちょっと少ないんだよなあ。

Gary Stevens

現役に復帰して初めてのBCとなったGary Stevensですが、両日のメインレースを持っていくなど大暴れです。

  • Classic: Mucho Macho Manで1着
  • Distaff: Beholderで1着
  • Juvenile: Havanaで2着
  • Juvenile Fillies: She's A Tigerで1位入線後2着降着
  • Turf: Indy Pointで3着
  • Sprint: Justin Phillipで5着
  • FM Turf: Marketing Mixで5着
  • Juvenile Turf: Got Shadesで5着
  • FM Sprint: Starship Trufflesで12着
  • Marathon: Ever Riderに騎乗するもレース途中で追うのをやめる
  • 騎乗馬無し: Mile、Dirt Mile、Juvenile Fillies Turf、Turf Sprint

ただ、Bill Shoemaker AwardはLondon BridgeとOutstrip、Mizdirectionなどでポイントを稼いだMike Smithが獲得しました。Mike Smithの騎乗馬はほかにRoyal Delta、Laugh Track、Emolientなど。Mike Smithが37pt、Gary Stevensが33ptですから、She's A Tiger降着しなければ38ptでGary Stevensが上回っていました。