The Last Son of Clear Mandate got a Juvenile Grade 1

9月2日に開催された今年のSaratoga開催の幕を引く2歳G1 Hopeful SでStorng Mandateが勝ちました。当日は水の浮いた馬場状態でMuddyという発表でしたから、9馬身差という着差をそのまま評価することはできませんが、BC Juvenileへの切符を掴んだのは良かったと言えるのではないでしょうか。
Strong Mandateは父Tiznow、母Clear Mandateという血統で、半兄にはFull Mandate、Newfoundlandなどがおります。母Clear Mandateは北米牝馬路線でG1を3勝した活躍馬で、半姉のFairydollからはトゥザヴィクトリーなどが出ています。要するにそういうわけで、私が注目するには十分ですね。
Clear MandateはStrong Mandateを産んだ際に合併症を発症して安楽死処置がとられており、Strong Mandateが忘れ形見となります。Newfoundlandなども運に恵まれればG1を取れるのではないかというところまではいきましたが、全体的に不振だったClear Mandateの仔たちで最後にG1タイトルを獲得する産駒があらわれたのは喜ばしいことです。
Strong Mandateは10/5にBelmontで開催されるChampagne Sにエントリーしています。BCに向けてSanta AnitaのNorfolk Sも検討されていたのですが、結局BC前の遠征を嫌った形になりました。ここだとHopeful Sの再戦という趣が強いので、Hopeful Sの勝利が馬場に恵まれたものだったかどうかを判断されることになると思います。別路線組ではここまで3戦をすべて圧勝しているBoji Moonが怖いかな。
Clear Mandateの産駒はPedigree Queryでは以下の11頭が確認できますが、セリのカタログなどでは12頭の産駒がいたように記載されています。

Full Mandate (by A.P. Indy)

1999年に産まれたClear Mandateの一番仔。イヤリングセールではA.P. Indy産駒として当時最高額の320万ドルで取引されています。北米で競走馬生活を送り、リステッドのBlack Tie Affair Hを勝ってステークス勝ちまで出世しましたが、重賞には縁のないまま引退し、フロリダのHartley/DeRenzoで種牡馬となりました。父A.P. Indyの良血種牡馬ということで人気を集めましたが、活躍馬を得られずに評価は下がる一方でした。
Ron The Greekはそうした中で現れ、Full Mandateの産駒として初めて重賞を勝ってKentucky Derby Trailに名を連ねました。その後は振るいませんでしたが、古馬になってからG1 Santa Anita Hを勝つなど活躍しています。
Full Mandateは2013年になってサウジアラビアに移って種牡馬を続けています。

Newfoundland (by Storm Cat)

2000年産の二番仔。父がStorm Catとなった当馬はイヤリングセールで兄を上回る330万ドルで取引されています。Coolmoreグループに落札されており、Aidan O'Brien調教師の管理の元、アイルランドでデビューを迎えました。
初戦こそ勝ちますが、その後の2歳重賞戦線ではパッとせず、3歳でバリードイルを離れてアメリカに移籍しました。アメリカではG3 Canadian Turf HやG3 Skip Away Hを勝ち、G1でもSuburban HでPeace Rulesに、Jockey Club Gold CupでFunny Cideに次ぐ2着を記録しています。しかし、それらのレースはメンバーの薄いレースでもあり、GhostzapperSaint LiamRoses In Mayなど当時のトップクラスが出走してきたG1では大敗しています。4歳で出走したBC Classicは13頭立ての12着に終わり、このレースを最後に引退して種牡馬入りしました。
Kentuckyで種牡馬入りしましたが、兄Full Mandate以上に振るわず、現在ではチリのHaras Dadincoで活動しています。南米にはStorm Cat直仔の良血種牡馬がこういった形で多数入っていますが、チリなのでかなり厳しい状況にあることは間違いないです。

The Mighty Tiger (by Storm Cat)

2001年産の三番仔でNewfoundlandの全弟になります。イヤリングセールでの落札額は250万ドルで、兄と同じくCoolmore入りしました。ただし、兄NewfoundlandがMagnier名義となったのに対して、The Mighty TigerはTaborの名義で登録されています。
2歳で勝ち上がるも重賞で頭打ちとなって放出されるのも兄と同じなら、その引き取り手がSumaya U.S. Stableとなるのも同じでした。しかしながら、The Mighty Tigerの方は兄のようにアメリカで活躍することができず、そのまま引退して種牡馬入りとなっています。アメリカでは種牡馬入りの当てがなく、直接チリのHaras Sumayaでスタッドインしています。
Newfoundlandに先んじてチリに入っていたこととSumayaの手に残ったことは彼にとって幸運であったようで、Sumaya Stableのオーナーブリードでチリの2歳、3歳王者となるOyamadを出しました。Oyamadはその後北米に移籍しています。

League Of Nations (by A.P. Indy)

2002年産の父をA.P. Indyに戻した四番仔。イヤリングセールの取引額は97.5万ドルとミリオンに達せず、結果の出ないClear Mandateの状況を反映しています。
競走馬としても1勝こそ挙げたもののなんら見るべきところがなく、17戦1勝という戦歴で引退しています。引退後はベネズエラ種牡馬入りしました。

Diva (by A.P. Indy)

2003年産で五番仔にして初めての牝駒となりました。G. Watts Humphery Jr.が手元に残してデビューしています。Divaも1勝こそ挙げますが、活躍できずに引退し繁殖入りしました。
繁殖初年度にForestryを付けられて繁殖セールに上場されるとKinsman Farmに60万ドルで落札され、Humpheryの手を離れました。

Bright Line (by Fusaichi Pegasus)

2004年産の六番仔。Divaと同じく牝馬であったため、イヤリングセールには上場されていません。デビューが遅くなり、1勝だけで引退というのは半姉Divaとほとんど同じです。引退後繁殖入りしていますが、まだこれといった活躍馬は出ていません。Bright LineはまだHumpheryが所有しているのですが、その産駒が牝馬でも手放しているあたり、牝系としての期待はもうないようにも見えます。

Fine Line (by Mineshaft)

2005年産の七番仔。牡馬が4頭続いた後に牝馬が3頭続くことになりました。この次からはまた牡馬ばかりなので、Clear Mandateの牝駒はDiva、Bright Line、Fine Lineの3頭となります。
Fine Lineも競走馬としては遅い時期に1勝を挙げただけで引退し、繁殖入りとなっています。状況はBright Lineと同じでしょう。どちらかから活躍する産駒が出てくれるとよいのですが。

Chairman (by Giant's Causeway)

2007年産の牡馬。この頃から追いかけるのがつらくなって十分には確認できていませんが、Clear Mandateの仔としては初めて未勝利のままに終わっています。

U S S Constitution (by Unbridled's Song)

2008年産の牡馬。イヤリングセールでは28万ドルで取引され、その後2歳トレーニングセールで37.5万ドルで取引されています。まだ競走馬として現役です。

Smart Mandate (by Smart Strike)

2009年産の牡馬です。現在まで未出走で消息不明。

Strong Mandate (by Tiznow)

2011年産の最後の産駒。Strong Mandateを産み落とした際に合併症を発症したClear Mandateには安楽死処置が取られました。イヤリングセールでの取引額は20万ドルです。現在までのキャリアは3戦2勝です。
馬主名義はRobert C. Baker and William L. Mackです。彼らは年に数頭をD. Wayne Lukasに預けるというスタイルのオーナーです。25年の付き合いになるらしく、この組み合わせではGrand SlamやDublin、Proud Citizenが有名です。
Strong Mandateが2012年にイヤリングセールに上場されたときのカタログの記載では

11 other registered foals, 10 of racing age, 9 to race, 8winners

とあり、この時点で未出走はSmart Mandate、未勝利はChairmanでしょう。