100年目のケニアダービー

例の記事の本編に入る前に番外編的な。
ということで、何気にtabonline SAを見ていたらちょうどKenya Derby開催が引っかかったのでそちらを。自分もケニアで競馬開催が行われていること自体は知っていたもその詳細は知らなかったので、ざっと調べたことを保存しておく程度のものです。
サブサハラでの競馬開催は南アフリカジンバブエモーリシャスケニアマダガスカル、チャドといった国々がIFHAの統計から読み取れます。その中で一定規模の馬産が行われているのは南アフリカジンバブエケニアです。

ケニアの競馬事情

現在のケニアの競馬はJockey Club of Kenyaが管轄し、Ngong Racecourseで行われています。
ケニアは赤道直下にある国ですが、南半球のシーズンに合わせて9月から7月まで隔週で開催されており、年間で22開催となっております。2011-12シーズンでは162レースが実施されたようです。重賞の体系ははっきりわかりませんが、3歳に関してはGuineas、Derby、Oaks、St. Legerの三冠体系が残っているようではあります。さすがは旧イギリス植民地。
Jockey Club of Kenyaのサイトに当地における競馬の歴史が載っていたのでざっと見た限りでは、1898年から数年間ポニー競馬が開催されたあと、1904年に東アフリカターフクラブがナイロビのカリオコールで競馬の開催を始めています。1921年には東アフリカターフクラブがケニアジョッキークラブに改称。
戦後の1954年には主に各地でポロトーナメントとの共催で野外競馬を開催していますが、これらは継続しませんでした。同年に競馬ルールの近代化が行われているので、これに関連しているのかもしれません。
1957年に初めて日曜の競馬開催が認められますが、これはコモンウェルス全体でも初めての事例となった模様。それまでは金曜と土曜の開催しかしていなかったんですね。
1964年から写真判定を導入。1960年代は他にもケニア生まれの騎手が出てきたり、薬物検査が導入されるなどの改革期です。当時の薬物検査はイギリスに検体を送って実施していたようです。
2005年には南アフリカの競馬実施組織であるPhumelelaとGold Circleおよび競馬専門チャンネルのTellytrackとケニア競馬の馬券発売について協定を結んで国外での馬券発売を開始し、さらに2006年にはケニアから南アフリカ、イギリス、ジンバブエシンガポール、ドバイの馬券購入が可能となっています。2011年には場外発売も開始。電話投票やインターネット投票が現在開発の最終段階にあるとしています。

ケニアの馬産

ケニアの血統書は1990年に国際血統書委員会の承認を受けています。
かつて私がIFHAのデータをまとめたアレで確認すると、ケニアは2003年が種牡馬16頭、繁殖牝馬165頭、生産頭数108頭と報告されています。その後の変遷はデータがなく不明です。
1990年代から主に南アフリカ産馬が輸入されており、2008年以降は輸入馬にもクラシックレースが開放されました。
2011-12シーズンのリーディングサイアーはAshtontownという南アフリカ産馬です。それに互しているのがアイルランドから南アフリカシャトルされて定住したあとケニアにたどり着いていたらしいRussian Revival。どちらにせよ繁殖馬の主な輸入元も南アフリカのようです。
ケニア産馬のレベルはまだまだ南アフリカ産馬に及んでいませんが、2008年にはケニア産馬として南アフリカの競馬で初勝利をしています。
競走馬の取引市場としては毎年7月にOBTS Yearling Saleというものが開催され、50から60頭が上場されているようです。

Ngong Racecourse

ケニアの首都ナイロビの中心から西に約5kmほどの位置に広がるヌゴングの森にあり、現在のケニアで唯一の競馬開催を行っています。1954年に開設され、1904年からナイロビの中心地で競馬を開催してきたカリオコール競馬場から開催を引き継ぎました。
芝の右回りコースで周回は約2000mです。ポケットを使用することで1200mまでの直線コースをとることも可能です。
芝トラックの内側にモーターレース用のコースが敷設され、さらにその内はゴルフ場となっています。

Kenya Derby

ケニアダービーはケニア競馬最大のイベントで、初回は1914年に開催されています。よって今年はちょうど100年目の開催となったようです。途切れず開催されているかどうかがわからないので100回目と言い切る情報は持ち合わせておりません。
芝の2400mで開催されており、今年の賞金は南アフリカランド換算で65411ランド、現地通貨の値はわかりません。南アフリカのレースだと賞金が最も安いG3でもこの倍はありますね。
今年はケニアダービーに11頭が出走し、そのうち3頭が南アフリカ産馬でした。父Dynasty、母の父Al Muftiなんて血統も見え、ガチ過ぎて引くレベル。ただし、このShuftiは2着。
勝ったのは南アフリカ産馬の一角Westonianで、父はBezrin。通算9戦7勝とレベルの違いを見せています。出走表にレーティングが記載されており、Westonianは40+でした。連勝中で2着馬を寄せ付けずに圧勝続きで、プレレート二番手のWooniestandが31ですからちょっと差があります。古馬のハンディキャップレーティングでも最上位が40+なのでケニアのトップレートということになるのでしょう。