Russian Derby Day

今週末はCentral MoscowでRussian Derby開催です。アンダーカードの2歳戦M.N. Efros Memorial SにはMata Hariがエントリーしてますよってあたりも込みで簡単に紹介。

Russian Derby Starters

今年の賞金は60万ルーブルです。ちょっと前が100万ルーブルだったのが、去年謎に12万ルーブルに落ちていましたから、戻しては来たと言えるのかな。Krasnodarあたりが賞金を積み増している事を考えると60万ルーブルでも微妙なところ。Krasnodar Derbyが50万ルーブル、Rostov Derbyが30万ルーブルですからね。Kazanの25万ルーブルがおとなしく見えるわ。
今年のエントリーは8頭で、その内3頭がR.A. Kadyrovの持ち馬。まずその3頭から。Kadyrovは国外で馬を買ってきてロシアで走らせるより、既にロシアで走っている馬を買うパターンが目立つが、この3頭も7月以降にKadyrovが購入したもの。

Minedream: Mineshaft - Perfect Timing by Deputy Minister

北米産。通算6戦5勝。今シーズンはKrasnodar、Kazan、Pyatigorskと巡って3戦全勝。Kazanの高額戦Kazan City Sを勝ったあとにKadyrovにオーナーが変更となっている。2着Max Ottoに2秒以上、13馬身の差をつけての勝利で目を付けられてしまった様子。Kadyrovにオーナーが変わってから初出走は8/7のPyatigorskの条件戦。これも圧勝しており、仕上がりに問題は無さそう。距離経験は2000mまでしかないので残り400mがカギだが、ここまでの走破時計からして2分40秒程度で走れそうでまず問題ないだろう。もっともロシアで時計を気にしても仕方ないが。Moscowでは初出走となる。鞍上にはロシアトップの一角Magomet A. Kappushevを確保している。これまでも6戦中3戦で手綱を取っており万全だろう。

Proper Ready: More Than Ready - Proper Cielo by Conquistador Cielo

北米産。通算8戦3勝。これまでの8戦は全てPyatigorskで出走しており、Fiber Sandを導入しているPyatigorskとダートのMoscowの違いに対応出来るかがポイント。前走はPyatigorsk Derbyを2着と2400mの実績がある。

Big Fang: Fusaichi Pegasus - If It's Meant To Be by David

北米産。通算5戦1勝。キャリア5戦全てがPyatigorskでの出走で前々走の条件戦で初勝利。前走はPyatigorsk Derbyに出走して4着。ガチな北米芝ダート兼用血統には見えるものの、距離が持つようなイメージは無い。ロシアだと走力の違いでこれでも2400m走り切っちゃうんだなという典型ではある。
ここまで3頭がR.A. Kadyrovの所有馬。次の2頭はJockey Club Racing LLC所有。

Terz: Consolidator - Katiba by Gulch

アイルランド産。通算7戦2勝。距離は1800mまでしか走っていない。Moscowでキャリアを積み、Season Opening Sを勝つなど実績を残している。前走は1600mのGranit II Sを走って4着だが、勝ち馬には大きく離されていた。その前がKazan City Sで8着。この遠征の影響があったのかもしれない。

Skripach Na Kryshe: Unbridled's Song - Friendly Michelle by Artax

北米産。通算4戦1勝。前走MoscowのAnilin Sが初勝利。Anilin Sはロシアのレースには珍しくかなりの接戦になっている。
そして残り3頭。

Cherny Prince: Singspiel - Gone Singing by Gone West

カナダ産。Shovgenovskiy Stud Farm所有。通算6戦3勝。2歳でMoscowのG1 Winter Favorite Sを勝ったのが初勝利という経歴を持つ。今年はKazanで2戦。条件戦を勝ってKazan City Sに臨んだが4着だった。1800mまでの経験しかないが、母系がToo Baldのラインで血統的なスジが通っていて怖い存在。

Indian Bird: Indian Ocean - Rodeo Springs by Wekiva Springs

北米産。I.V. Merkulov, A.Y. Bryksin所有。通算2戦未勝利。今年の7月にデビューし、Moscowの2000m戦を2回走り、前走のAnilin Sが接戦の2着と能力はあるようだ。

Arjuna: Johar - American Maude by Quiet American

ロシア産。Donskoi Stud所有。出走馬中唯一のロシア産馬だがDonskoi Studによる持ち込み馬。通算6戦3勝。Russian 1000 Guineas勝ちで前走のAnilin Sを3着。実績は一番だが、この馬も距離に不安を残す。
カナダ色が強いのはカナダ産のCherny PrinceよりむしろSkipach Na KrysheとIndian Birdだったりする。

Preview

現地でもこの出馬表はメンバー不足という評判。一番人気はMinedreamとなりそう。6戦5勝、Kazan City S圧勝でケチの付けようがない。祖母Dream Schemeのこの馬には頑張って欲しいが、Kadyrov所有となってやや微妙な気分にさせられている。
2400mの距離経験を持つのはPyatigorsk Derbyを走ったKadyrov所有のProper ReadyとBig Fangの2頭のみ。トラックの素材が異なるので特に参考になるものではない。またロシアの場合は距離不安何それ的な結果が飛んでくることが多いので気にしても仕方ない。
MoscowのAnilin Sからは上位3頭が揃って転戦してきた。これにKazanのKazan City Sを勝っているMinedreamが絡む勝負となりそう。勝ち時計は2分40秒台の前半くらいなら妥当な結果に収まりそうだが、30秒台に突入してくるとPyatigorsk Derbyで高速レースを経験している2頭に可能性が見えてくる。Moscowでそんな時計はまず出ないだろうが。

Russian Oaks Preview

Russian Oaksの出走馬はLemon Drop Kid2頭、Pulpit、Malibu Moonと揃っており萌え指数ではDerbyを遙かに上回る。牝馬戦ということもあってかVolgogradskiy Stud Farmが3頭、Voskhod Studが2頭にShovgenovskiy Stud Farmも1頭用意するというこちらもガチな勝負である。中でもこれだけ輸入馬が目立つなかロシア産馬2頭でエントリーのVoskhod Studがどこまでやれるかは注目である。どちらも未勝利馬で厳しいのは否定しない。
有力なのはRostov Oaksを勝ち、Rostov Derby2着からの臨戦となるPlay Afield。対抗できるのはMoscowで3勝しているMarijinkaとPyatigorsk Oaks2着のMoon Surpriseの2頭になるだろうか。Nal'chikで牡馬相手に2400mを勝ってきたSirdariyaも参戦する。

M.N. Efros Memorial S Preview

2歳戦。12頭のエントリーがあるが、1600mの出走経験があるのはKazanのG2で2着になっているMelt Cityだけで、残りは1400mや1200mまでの実績しか持たない。
Mata HariはMoscowで2連勝としているが、1200mまでしか走っておらず距離への対応が問題となるだろう。Moscowで2連勝しているのはAnichkov Mostも同じであり、こちらは1400mのG3勝ちという実績がある。他のエリアからの参戦馬ではPyatigorskで2連勝したあとKrasnodarでもG2を勝って3連勝のEnigma Torqueが有力となる。
Mata Hariは慎重に行くなら牝馬限定のG2 Andorra Sでも良かったと思います。距離が1400mのそこを使って最後にWinter Favorite Sというステップもありなワケで。出走メンバーを確認したけど、Mata Hariが出走したら軽く持って行けるレベル。

それ以外のレース

古馬G1は賞金が低いこともあってか低調なメンバー。2400m路線の有力どころはこの前Kazanで走ってますしね。
Derbyと同条件のAden Sは現状ロシア産馬はこのあたりを何とか勝てればというレベルになってしまうかな。あとはDerbyと違ってセン馬も走れますくらいのレースなんだがAnilin Sの4着と5着はこっち。
短距離のCriterium Sは短距離専念のLemon Hardがエントリーしている。1200mでは手が付けられなくなりつつあるが1000mだとどうかな。対抗するのはTender Charmあたり。Serebryany Borに1000mは短すぎるかな。