サウジカップアンダーカード

サウジカップ開催のアンダーカードでは今年からNeom Turf CupがG1に昇格した。他にG2がRiyadh Dirt Sprint、1351 Turf Sprint、Red Sea Turf Hの3戦。G3でSaudi Derbyが開催される。Saudi Derbyは今年からRoat to the Kentucky Derbyのポイント対象レースに追加された。

2020年の創設以来、サウジカップ開催全体で日本からの遠征馬は好成績を納めており、今年も各レースに有力馬が出走予定である。G1となったNeom Turf Cupも含めて出走馬を見ていこう。

Saudi Derby: G3 Riyadh Dirt 1600m

総賞金150万ドル。

過去にフルフラット、ピンクカメハメハ、フォーエバーヤングが勝っており、勝てなかったときでもセキフウとシンフォーエバーが2着、デルマソトガケが3着という結果を残している。また、この後にUAE Derbyを使ってKentucky Derbyを目指すローテーションでフォーエバーヤングとデルマソトガケが本戦への出走を果たしている。

アメリカ調教馬は過去にG1 Del Mar Futurity勝ちの実績を持っていたPinehurstが勝っているが、この時期に北米を離れるのはListedクラスの勝ち馬までとなることがほとんどである。UAEからするとUAE 2000 GuineasとUAE Derbyの間となるので、去年のGolden VekomaのようにUAE 2000 Guineasの勝ち馬が出てくると有力となる。

Saudi Derbyは今年からKentucky Derbyのポイントレースに組み入れられた。欧州中東路線は今年若干の変更があり、中東ではこれまでUAE Derbyのみがポイント加算だったのが、Saudi Derbyに加えてMeydanのUAE 2000 GuineasとDubai Road to Kentucky Derby Sが追加された。とはいえ、Saudi Derbyでも30ポイントの加算しかなく、UAE Derbyが100ポイントレースでポイントが抜けていて、仮にUAE 2000 GuineasからSaudi Derbyと連勝しても50ポイントでUAE Derbyで2着の60ポイントに及ばない。欧州からのルートは言うに及ばずで、ポイント的にはUAE Derbyに全力の状況に変化はないようだ。

そういうわけで、UAE Derbyを見据えつつ北米と日本からの遠征馬がメインとなってくる出馬表だが、フランスとイギリスからも挑戦者はいる。UAEの3歳路線はSix Speedが圧倒的であるが、Riyadhには遠征していない。

持ちレートが高いのは牝馬のTokai Ma Cherie、カトレア賞勝ちのSatono Voyage、アメリカのスプリンターObliterationである。

Acknowledgemeplz: Bucchero - Starpship Fantasy by Yes It's True

Doug O'Neil厩舎、Flavien Prat騎乗

フロリダ産馬。

G2 Los Alamitos Futurityを4着、今年のG2 Sanvicente Sを3着の西海岸馬。

Al Haram: Iffraaj - Liberamente by Tagula

Abdullah Alsidrani厩舎、Ricardo Ferreira騎乗

アイルランド産馬でサウジアラビアで3戦3勝。前走はQualifierにもなっているSaudi 2000 Guineas勝ち。道中は後ろに付けて、コーナーから位置を押し上げると直線で一気に後続を突き放している。地元馬ではちょっと抜けた能力。母の全兄がスプリンターのG1馬Limatoである。

Best Green: Smart Falcon - Peaceful Joy by Pyro

Junji Tanaka厩舎、Ryusei Sakai騎乗。

ベストグリーン。北海道の田中淳司厩舎所属。門別でデビューから3連勝し、川崎の交流重賞鎌倉記念も勝って、全日本2歳優駿で3着。

Cielo Di Roma: Romanised - Suestar by Dark Angel

Gianluca Bietolini厩舎、Mickael Barzalona騎乗

フランス調教馬。4戦2勝で、G1 Jean-Luc Lagardereでは7着。DeauvilleでオールウェザーのListed Prix Zeddaanを勝っている。

Keiai Agito: Espoir City - Turf Designer by Unbridled's Song

Yukihiro Kato厩舎、Joao Moreira騎乗

ケイアイアギト。美浦加藤征弘厩舎所属。3戦2勝。

My World: Essential Quality - Quebec by Into Mischief

Brad Cox厩舎、Irad Ortiz Jr.騎乗

ケンタッキー産馬。ニューヨークで4戦3勝。ListedのNashua SとBTのJerome Sを勝っている。

Obliteration: Violence - I'mclassyandsassy by Master Command

Steve Asmussen厩舎、Joel Rosario騎乗

ケンタッキー産馬。2歳でSaratogaのG3 Sanford Sを勝って、G2 Saratoga Specialで2着という実績馬。スプリンターと判断されたのか芝スプリント路線に向かってListedのKentucky Downs Juvenile Sprint、Indian Summer Sと2着を続け、BC Juvenile Turfに出走して4着。3歳になるとダートに戻って6FのBT Renaissance Sを勝った。

ここまででもレース選択が謎すぎるが、スプリント能力はかなりのものだろう。

Satono Voyage: Into Mischief - Jolie Olimpica by Drosselmeyer

Hiroyasu Tanaka厩舎、Keita Tosaki騎乗

サトノボヤージュ。美浦田中博康厩舎所属。4戦3勝。3連勝でカトレアSを勝った。カトレアSはJapan Roadのポイントレースに指定されているが、Japan Roadはシンプルに3歳のヒアシンスSと伏竜Sでのポイント争奪で決まるので、中東路線に乗る手はありだろう。

持ち込み馬で母のJolie OlimpicaはブラジルのG1 Jockey Club Brasileiroの勝ち馬で北米の芝重賞路線でもスプリントからマイルで活躍した。

Shayem: King Of Change - Sounds Of April by Exceed And Excel

Karl Burke厩舎、James Doyle騎乗

アイルランド産馬。4戦3勝。PontefractのListed Silver Tankard Sを勝っている。

Tokai Ma Cherie: Drefong - Tokai Mystery by King Kamehameha

Daisuke Takayanagi厩舎、Katsuma Sameshima騎乗

トウカイマシェリ栗東の高柳大輔厩舎所属の牝馬。5戦2勝で園田のG3兵庫ジュニアグランプリの勝ち馬。ダート重賞勝ちがあって評価が高い。

Tuwajeri: Phoenix Of Spain - Tara Celeb by Excelebration

Abdullah Alsidrani厩舎、Muhammad Aldaham騎乗

アイルランド産馬。サウジアラビア調教で前走のSaudi 2000 Guineasで2着。

Union Security: Maximum Security - Run And Go by Union Rags

Ahmad Bin Harmash厩舎、Connor Beasley騎乗

アメリカ産馬。UAE調教で5戦1勝。

Very Connected: Connect - C J's Gal by Awesome Again

Kenny McPeek厩舎、Adel Alfouraidi騎乗

ケンタッキー産馬。6戦1勝だが、G3 Street Sense Sで3着、G2 Kentucky Jockey Club Sで4着とそれなりの実績を持っている。

Wonder Dean: Dee Majesty - Wonder Siang Praw by Wonder Acute

Daisuke Takayanagi厩舎、Oishin Murphy騎乗

ワンダーディーン。栗東の高柳大輔厩舎所属。4戦1勝。

Riyadh Dirt Sprint: G2 Riyadh Dirt 1200m

総賞金200万ドル。

日本調教馬はコパノキッキング、ダンシングプリンス、リメイクで3勝である。ダートのスプリンターとなればアメリカがとにかく強く、日本がそれに続くという形である。

アメリカ調教馬の勝利はElite PowerとStraight No Chaserでいずれも前年のBC Sprintの勝ち馬であるようにダートスプリントではBC Sprintが無視できず、今年は去年の2着馬Imaginationを中心に、4着馬American Stage、6着馬Lovesick Bluesが出走してくる。また香港のSelff ImprovementはソウルのダートでG3 Korea Sprintを勝っており、香港のスプリンターのレベルを考えると割って入ってもおかしくないといえる。

日本調教馬では去年3着のGabby’s Sisterと重賞3勝のYamanin Cerchiが上位か。

American Stage: Into Mischief - Bonita Mia by Warrior's Reward

Yoshito Yahagi厩舎、Ryusei Sakai騎乗

アメリカ産の4歳馬アメリカンステージ。矢作芳人厩舎所属で、去年は3歳ながらドバイに遠征し、G3 Mahab Al Simaalを2着するとG1 Dubai Golden Shaheenに出走して6着に入った。帰国後にOPの藤森Sで2着に入ると次はBC Sprintに遠征して4着。前走はOPのジャニュアリーSを11着。芝では2歳OPの中京2歳S勝ちがあるが、それ以外はダートで出走しているスプリンターである。

Colour Up: Mehmas - Tifariti by Elusive Quality

Doug Watson厩舎、Pat Dobbs騎乗

アイルランド産の8歳騙馬。UAE調教で21戦5勝。

ずっとUAE国内で出走していて、遠征に出てくるのは初めて。去年はG3 Mahab Al Simaalを4着、G1 Dubai Golden Shaheenを5着。前走はG3 Al Shindagha Sprintを3着からの出走となる。

Don Amitie: Asia Espress - Classics by King Halo

Teiichi Konno厩舎、Ryan Moore騎乗

日本産の6歳馬ドンアミティエ今野貞一厩舎所属。

ダート1200mのOP競争を3勝しており、芝のG3函館スプリントで3着の実績がある。前走はG3カペラSで15着。

Echo Point: Dubawi - Yodelling by Medaglia D'Oro

Musabbeh Almheiri厩舎、Connor Beasley騎乗

アイルランド産の8歳騙馬。UAE調教で30戦4勝。

イギリスでデビューしたが3歳のうちにUAEに移籍している。当初は中距離で走っていたが、距離を短くしていってスプリントに落ち着いた。重賞クラスへの出走は少なく芝の方が好成績である。前走は芝1000mのG2 Blue Point Sprintで2着に入っている。

Imagination: Into Mischief - Magical Feeling by Empire Maker

Bob Baffert厩舎、Flavien Prat騎乗

アメリカ産の5歳馬。14戦3勝。

3歳ではG2 San Felipe Sを勝ち、G1 Santa Anita Derbyで2着に入ったが、Baffert厩舎所属ということもあってKentucky Derbyには出走できなかった。Preakness Sで7着となった後は短距離に転じていてG2 Santa Anita Sprint Championshipの勝ち馬。BC Sprintでも2着と北米ダートスプリントの実力馬となっている。

Just Beat The Odds: Munnings - Bella D'Oro by Medaglia D'Oro

Gregg Sacco厩舎、Irad Ortiz Jr.騎乗

アメリカ産の6歳騙馬。13戦5勝。

東海岸の条件戦で活躍しており、前走のG3 Elite Power Sで重賞初出走して勝利。

Lovesick Blues: Grazen - Queenofhercastle by Ministers Wild Cat

Librado Barocio厩舎、Goevanni Franco騎乗

カリフォルニア産の8歳騙馬。43戦9勝。

西海岸のスプリンターで去年G1 Bing Crosby Sを勝っている。BC Sprintでは6着。

Muqtahem: Soldier's Call - Smooth Sailing by Bated Breath

Abdullah Alsidrani厩舎、Muhammad Aldaham騎乗

サウジアラビア産の4歳馬。10戦6勝。

父Spring At LastはSilver Deputyの後継種牡馬だったが、早くにサウジアラビアに輸出されていた。Riyadhのダート1200mを3連勝しており、前走でRiyadh Dirt Sprint Qualierを快勝した地元のエース。

Royal Zabeel: Mastercraftsman - Lady's Maid by More Then Ready

Michael Appleby厩舎、Jason Watson騎乗

アイルランド産の5歳騙馬。18戦6勝。

イギリスからの遠征馬。前走はSouthwellのオールウェザーでListedのGolden Rose Sを勝っている。

Self Improvement: Deep Field - Jerry's Witness by Star Witness

Ka Leung Manfred Man厩舎、Jerry Chau騎乗

オーストラリア産の6歳騙馬。36戦7勝。

オーストラリアから香港への移籍馬。香港ではハンデキャップ戦への出走だが、去年のG3 Korea Sprintの勝ち馬でダート重賞の勝ち馬である。

Transferred: Dark Angel - Samaah by Cape Cross

Abdullah Alsidrani厩舎、Ricardo Ferreira騎乗

アイルランド産の5歳騙馬。14戦5勝のサウジアラビア調教馬。

ダートで走っていたが、芝のOPを勝つと前走はTurf Sprint Qualifierに出走して4着。

Yamanin Cerchi: Four Wheel Drive - Yamaninpetigateau by Yamanin Seraphim

Naoya Nakamura厩舎、Mirai Iwata騎乗

日本産の4歳馬ヤマニンチェルキ。中村直也厩舎所属。ダートのスプリントで重賞を3連勝して、前走のカペラSでは2着。日本からの遠征馬では最上位の実績。

Gabby's Sister: Apollo Kingdom - Ange D'Etoile by Special Week

Kazutomo Mori厩舎、Joao Moreira騎乗

日本産の5歳牝馬ガビーズシスター。森一誠厩舎所属。

去年はG3カペラS勝ちからRiyadh Dirt Sprintに遠征して3着。帰国後はダートのスプリント重賞に出走するも勝ち鞍はない。今年もカペラSに出走して4着からの遠征となった。

1351 Turf Sprint: G2 Riyadh Turf 1351m

総賞金200万ドル。

過去に日本調教馬はソングライン、バスラットレオン、アスコリピチェーノで3勝している。今年もG1 NHKマイル勝ち馬のパンジャタワーを筆頭に3頭が出走する。

欧州のスプリントG1馬が参戦することになった。Lazzatにとっては1351mの距離が微妙なところとなる。1300mまではこなしているし、対抗馬がそれほど強力でもないので問題なさそうか。

Annaf: Muhaarar - Shimah by Storm Cat

Michael Appleby厩舎、Rossa Ryan騎乗

アイルランド産の7歳馬。41戦9勝。

2年前の勝ち馬で、去年は6着。G1では通用していないが、前走はG3のBengough Sを勝っており、欧州の重賞レベルにある。

Comanche Brave: Wootton Bassett - Ishvana by Holy Roman Emperor

Donnacha O'Brien厩舎、Ryan Moore騎乗

アイルランド産の4歳馬。10戦2勝。

去年はIrish 2000 Guineasに出走して5着。

Fortune Time: Greater London - All Time Best by Brian's Time

Tatsuya Yoshioka厩舎、Ryusei Sakai騎乗

日本の5歳馬フォーチュンタイム。吉岡辰弥厩舎所属。

G2阪神カップの3着馬。

Geography: Holy Roman Emperor - Guaijara by Montjeu

Saad Aljenade厩舎、Camillio Ospina騎乗

ドイツ産の5歳騙馬。15戦6勝。

ドイツのSchiergen厩舎所属で出走し、G2 Oetingen Rennenの勝ち馬である。今回サウジアラビアに所属が変更となっている。

Lazzat: Territories - Lastochka by Australia

Jerome Reynier厩舎、James Doyle騎乗

フランス産の5歳騙馬。14戦8勝。

Wathnan Racingが所有する欧州スプリント路線のトップホースの一角。G1はMaurice De GheestとQueen Elizabeth II Jubilee Sを勝っており、British Champions Sprintでは2着だった。

Love De Vega: Lope De Vega - Ribble by Motivation

Mohammed Ahmed厩舎、Adel Alfouraidi騎乗

アイルランド産の7歳馬。46戦9勝。

2024年にサウジアラビアに移籍して芝スプリント路線の上位馬となった。Turf Sprint Qualifierの2着馬。

Marvelman: Invincible Spirit - Varamini by Siyouni

Andrew Balding厩舎、Patrick McDonald騎乗

アイルランド産の4歳馬。10戦2勝。

G2 Park Sの勝ち馬。マイルのG1 Queen Elizabeth II Sでは14着だった。

Panja Tower: Tower Of London - Clarksdale by Victoire Pisa

Shinsuke Hashiguchi厩舎、Joao Moreira騎乗

日本の4歳馬パンジャタワー。橋口慎介厩舎所属。

去年のNHKマイルCの勝ち馬で、1200mのG3キーンランドカップも勝っている。去年のGolden Eagleで5着以来の出走となる。

Reef Runner: The Big Beast - Paradise Bay by Blame

David Fawkes厩舎、Irad Ortiz Jr.騎乗

フロリダ産の5歳騙馬。22戦7勝。フロリダが主戦場だが、去年西海岸に遠征してG2 Eddie D. Sを勝った。BC Turf Sprintにも出走して4着に入った実力馬である。

Shin Forever: Complexity - Praising by Pulpit

Hideyuki Mori厩舎、Keita Tosaki騎乗

アメリカ産の4歳馬シンフォーエバー。森秀行厩舎所属。

去年はSaudi Derbyに遠征して2着。その後UAE Derbyは4着に終わった。帰国後は芝の1600m戦に出走しているが、G3中京記念で2着が最高。マイルでは頭打ちになって短縮してきたというイメージ。

Zefzaf: Mo Town - Tizza Trick by Tiznow

Sami Alharabi厩舎、Joel Rosario騎乗

アメリカ産の6歳馬。サウジアラビアで15戦7勝。

現地のスプリンター。芝の方が向いていそうで、Turf Sprint Qualifierの勝ち馬である。

Zio Jo: Nyquist - Senorita Corredora by El Corredor

Doug O'Neil厩舎、Flarien Prat騎乗

アメリカ産の6歳騙馬。25戦4勝。

西海岸の芝マイラーでG1 Frank E. Kilroe Mileで2着の実績がある。前走では6.5FのG2 Joe Hernandez Sに出走して3着。5FのBT戦もこなしており、距離に問題はなさそうである。

Time To Dazzle: Not This Time - Staria by Unbridled's Song

Mark Casse厩舎、Oisin Murphy騎乗

アメリカ産の5歳牝馬。14戦4勝。

G2 Franklin Sの勝ち馬。

Neom Turf Cup: G1 Riyadh Turf 2100m

総賞金300万ドル。

芝戦のメインもG1に昇格。そうは言ってもカタールと取り合いの側面はあり、距離の違いで住み分けて安定すればよいのではないだろうか。

過去にオーソリティとシンエンペラーが勝利し、ディアドラとキラーアビリティが2着に入った。G1に昇格し、賞金も増額されたので、中距離馬にとって価値の高いレースになりうる。

レートを見れば牝馬のSurvieがトップでAlohi Aliiや去年の勝ち馬Shin Emperorが続くことになるが、今年は少しさみしいメンバーにも見える。実績上位はFacteur Chevalであるものの去年低迷しており、復活するようには思えない。他にはBahrain International Trophyを勝ってきたRoyal Championが出走する。

Alohi Alii: Duramente - Espoir by Orfevre 

Hiroyasu Tanaka厩舎、Mirai Iwata騎乗

日本産の4歳馬。美浦田中博康厩舎所属。

去年は皐月賞8着からフランスに遠征し、G2 Guillaume D'Ornanoを勝った。凱旋門賞は16着に大敗し、その後出走できないままである。G2日経新春杯を目指して調整されていたが、外傷を理由として回避している。

Bolide Porto: Le Havre - Bella Bolide by Rock Of Gibraltar

Bader Rezaiq厩舎、Camillio Ospina騎乗

アイルランド産の5歳馬。サウジアラビア調教で20戦7勝。

地元の芝戦では上位で、前哨戦のPrince Khalid Abdullah Cupを勝っている。

Facteur Cheval: Ribchester - Jawlaat by Shamardal

Jerome Reynier厩舎、Michael Barzalona騎乗

アイルランド産の7歳馬。22戦6勝。

欧州マイル路線の上位馬として出走した2024年のG1 Dubai Turfを勝って名を上げた。その後は勝ちがなく、去年はダートに挑戦してG1 Al Maktoum Challengeを3着してG1 Saudi Cupに出走して7着。ドバイでは芝に戻ってDubai Turfに出走したが、その後不振に陥っている。

Galen: Gleneagles - Apache Storm by Pivotal

Joseph O'Brien厩舎、Dylan Browne McMonagle騎乗

イギリス産の5歳騙馬。16戦3勝。

G1 Hong Kong Cupで4着。

Phantom Flight: Siyouni - Qushchi by Encosta De Lago

George Scott厩舎、Callum Shepherd騎乗

イギリス産の7歳騙馬。24戦8勝。

バーレーンで3勝している。

Royal Champion: Shamardal - Emirates Queen by Street Cry

Karl Burke厩舎、Oisin Murphy騎乗

アイルランド産の8歳騙馬。23戦8勝。

去年イギリスでG3 Winter DerbyとG2 York Sを勝っている。前走はバーレーンのG2 Bahrain International Trophy勝ち。

Shin Emperor: Siyouni - Starlet's Sister by Galileo

Yoshito Yahagi厩舎、Ryusei Sakai騎乗

フランス産の5歳馬。栗東矢作芳人厩舎所属。

去年の勝ち馬ではあるが、その後はDubai Sheema Classic、Irish Champion S、ジャパンカップ有馬記念とG1を4戦してさっぱりな結果で評価が難しい。

相手関係はかなり楽ではあるのでG1タイトル獲得も夢ではないのだが、古馬のSiyouni産駒で近走が終わっているのはとてもじゃないがおすすめできない。

Silawi: Dubawi - Silasol by Monsun

Hamad Al Jehani厩舎、James Doyle騎乗

アイルランド産の6歳騙馬。28戦4勝。

Wathnan Racingの所有馬で、カタールのHamad Al Jehani厩舎の所属となっている。去年のG1 Canadian International勝ち馬。その後のBC Turfでは13着とさっぱりだが、今年はMeydanでG1 Jebel Hattaに出走して2着。ベストは中距離だろうが安定感はない。

Yamanin Bouclier: Kitasan Black - Yamanin Poudrer by Chichicastenango

Mikio Matsunaga厩舎、Norihiro Yokoyama騎乗

4歳馬ヤマニンブークリエ。栗東松永幹夫厩舎所属。

重賞ではG2セントライト記念で2着の実績。

Direct Security: Sioux Nation - Cutie Pie by Mastercraftsman

Fahad Naser厩舎、Joel Rosario騎乗

アイルランド産の6歳牝馬サウジアラビア調教で24戦2勝。

ListedのPrince Khalid Abdullah CupでBolide Portoの2着。

Survie: Churchill - Sotteville by Le Havre

George Boughey厩舎、Ryan Moore騎乗

アイルランド産の5歳牝馬。14戦4勝。

イギリスのGeorge Boughey厩舎所属だがフランスで実績を上げており、G1 Prix De Dianeで2着、G2 Prix De Malleretの勝ち馬。G1ではPretty Polly Sで3着やPrix Jean Romanetで2着に入り、Prix Vermeilleで4着。

牡馬相手でどうかの部分はあるとはいえ安定している。

Red Sea Turf H: G2 Riyadh Turf 3000m

総賞金250万ドル。G2を3戦開催しているが、Red Sea Turf Hのみ賞金が少し高い。

日本調教馬はステイフーリッシュ、シルヴァーソニックビザンチンドリームで3勝。芝長距離のハンデ戦という条件なので日本調教馬か欧州馬という決着であろう。今年は日本から出走するのがシュトルーヴェとヴェルミセルの2頭。過去の出走馬に比べると実績不足は否めない。

一方欧州馬はフランスで3000mの重賞実績がある4歳馬のTennessee StudとEspoir Avenirの両頭がハンデも重すぎずよさそうである。ただ、彼らが勝った重賞は3歳限定戦であり、古馬との勝負はEspoir AvenirがRoyal-Oakで4着の結果しかない。Melbourne Cupで2着のGoodie Two Shoesは51.5kgというハンデに恵まれていたが、このレースでは57.5kgを背負うことになってかなり厳しい。

Presage Nocturne: Wootton Bassett - Kyurem by Verglas

Alessandro Botti厩舎、Stephane Pasquier騎乗、60kg

アイルランド産の6歳馬。18戦5勝。

3000mクラスのステイヤー。去年はMelbourne Cupに遠征して、Caulfield Cupは4着だったが、Melbourne Cupでは19着だった。

Tabletalk: Camelot - Dillydallydo by Holy Roman Emperor

Tom Clover厩舎、Rossa Ryan騎乗、59.5kg

アイルランド産の5歳騙馬。11戦2勝。

長距離カテゴリーではYorkのG3 Silver Cupで3着になり、ChesterのListedで2着となった。去年のシーズン後に去勢されている。

Epic Poet: Lope De Vega - Sagaciously byy Lawman

David O'Meara厩舎、Daniel Tudhope騎乗、58.5kg

アイルランド産の7歳騙馬。24戦5勝。

去年の2着馬。その後のG2 Dubai Gold Cupで3着すると、欧州でもG2 Yorkshire CupとG3 Geoffrey Freer Sで2着に入っている。去年と同じくMeydanのG3 Al Khail Trophyをステップにしての出走となる。今年は2着からの出走。

Sons And Lovers:  Study Of Man - So In Love by Smart Strike

Joseph O'Brien厩舎、James Doyle騎乗、58kg

イギリス産の5歳騙馬。13戦2勝。

LeopardstownのG3 Ballyroan Sの勝ち馬。これまで中距離から12Fまでの出走で長距離は初出走。

Struve: King Kamehameha - Anchuras by Deep Impact

Noriiyuki Hori厩舎、Joao Moreira騎乗、58kg

日本の7歳馬シュトルーヴェ。堀宣行厩舎所属。

G2日経賞やG2目黒記念の勝ち馬だが、近走はパッとしない。

Tennessee Stud: Wootton Bassett - In My Dreams by Sadler's Wells

Joseph O'Brien厩舎、Ryan Moore騎乗、57.5kg

アイルランド産の4歳馬。9戦3勝。

2歳でG1 Criterium De Saint-Cloudを勝ってクラシック路線に乗り込んだ。その3歳での成績はDerbyで3着、Irish Derbyで4着と悪くない。シーズンの最後はフランスでG2 Prix Chaudenayを勝った。3歳限定の3000m戦。

Burdett Road: Muhaarar - Diamond Bangle by Galileo

James Owen厩舎、Patrick Cosgrave騎乗、57.5kg

イギリス産の6歳騙馬。29戦7勝。

平地戦とジャンプレースを行ったり来たりしている。前走はMeydanの2800m戦で2着。

Goodie Two Shoes: Fastnet Rock - Fits Like A Glove by Galileo

Joseph O'Brien厩舎、Dylan Browne McMonagle騎乗、57.5kg

アイルランド産の7歳牝馬。19戦7勝。

G3 Stanerra Sの勝ち馬で去年のMelbourne Cupの2着馬。牝馬としては57.5kgと重い斤量となった。

Espoir Avenir: Montmartre - Espoir A Realiser by Linngari

Christophe Ferland厩舎、Corallo Enzo騎乗、57kg

フランス産の4歳馬。9戦3勝。

3000mのG3 Prix Gerald De Geoffireを勝っており、G1 Prix Royal Oakでは4着というフランスのステイヤー。Prix ChaudenayではTennessee Studの4着に敗れた。

Vermicelles: Gold Ship - Maroon Drop by Conduit

Keiji Yoshimura厩舎、Michael Balzarona騎乗、57kg

日本の6歳牝馬ヴェルミセル。吉村圭司厩舎所属。

Real Dream: Lope De Vega - Laganore by Fastnet Rock

Ian Williams厩舎、Kieran Shoemark騎乗、55.5kg

アイルランド産の7歳騙馬。

Tarriance:  Frankel - Visit by Oasis Dream

Andrew Balding厩舎、Oisin Murphy騎乗、54.5kg

イギリス産の4歳騙馬。

Obaiyah Arabian Classic: PA-G1 Riyadh Dirt 2000m

賞金総額200万ドル。

中東の場合、カタールのDohaやUAEのAbu Dhabiが芝開催となるので、ダートはMeydanが重要である。一方でUAEのダート路線は3月のKahayla Classicまで直結するAl Maktoum Challengeの3戦があり、2月はR3と時期が重なっている。多くはKahayla Classicを目標に連戦するが、今年はR2で2着だったFirst Classsが遠征してきた。

地元の路線ではQualifierとなっているG3 Al-Dareyah Cupの他にG1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupからの参戦がある。

ここしばらくのサウジアラビアのアラブ競馬で支配的だったTilal Al Khalediahは今期初戦を勝利したもののその後出走出来ていない。代わってAl Khalediah Stablesのトップに立ったのが6歳のNadem Al Molwk Al Khalediahである。対抗するのがNazeeb Alzamanであるが、この2戦で差を付けられている。

持ちレートではFirst Classs、Nadem Al Molwk Al Khalediah、Nazeeb Alzamanの3頭が抜けている。

AA RX Burn: Burning Sand - Shehaada by Amer

Musabbeh Almheiri厩舎、Kieran Shoemark騎乗

アメリカ産の5歳馬。UAE調教で13戦2勝。

アメリカで4戦し、UAEに渡った。Listed勝ちまでの実績で前走はG1 Al Maktoum Challenge R2を6着。

ERAではアメリカ産馬、Equibaseではコロラド州産馬という登録で生産者名義がDianne Waldron And Garrett Fordとなっているが、JCSAではNLDの記載。Dianne WaldronはRB冠を使うフロリダのアラブ生産大手であるRoseBrook Farmの創業者なんでアメリカ産とするのが正しいのかと。

Al Zeer: Al Mamun Monlau - Assma Al Khalediah by Amer

Ibrahim Al Hadhrami厩舎、Michael Barzalona騎乗

フランス産の6歳馬。フランスのFrancois Rouhaut厩舎所属で17戦4勝。本戦ではUAEのIbrahim Al Hadram厩舎からの出走になる。

欧州での出走がほとんどでフランス以外にも各地でUAE President Cupに出走している。中東ではカタールでの出走履歴がある。主な勝ち鞍としてはカタールのAl UqdaのG2 Qatar International Derby、ベルギーのWaregemのG3 President Of The UAE Cup勝ち。ずっと芝で出走してきたが、前走ではモロッコのAnfa競馬場の国際開催でのG2 Grand Prix His Majesty The King Mohammed VIでダート2100m戦に出て2着。

Angad Al Khalediah: Laith Al Khalediah - Basalh

Naser Multaq厩舎、Naif Alanazi騎乗

サウジアラビア産の6歳馬。サウジアラビア調教で20戦3勝。

ListedのJCSA Cupを勝っている。

First Classs: Da Hess - Toppoftheclass by Genuine Monarch

Doug Watson厩舎、Connor Bearsley騎乗

アメリカ産の9歳馬。UAE調教で39戦9勝。

アメリカでデビューし、その後カタールに移籍、現在はUAE調教となっている。2022年に昇格前のAl Mneefah CupとG1 Kahayla Classicを勝っており、その後各地のG1で芝・ダートを問わず活躍している。少し低迷していた時期があったものの、去年復活を遂げた。これまでに勝っているG1にはAbu DhabiのJewel Crown、Abu Dhabi Gold Cupがあって芝の2200mを得意としている。去年はG1 Kahayla Classicを勝ってシーズンを終え、今シーズンになってH.H. The President Cupの前哨戦を3着、本戦を12着という結果であった。今年はダートのG1 Al Maktoum Challenge R2で2着から参戦となる。どちらかというと芝への出走が多いものの、ダートでも十分な実績を誇っている。

Madhmoon: Majd Al Arab - Loullou by Njewman

Hussein Alsenaidi厩舎、Amur Alrasbi騎乗

オマーン産の8歳馬。オマーン調教で今シーズン5戦全勝。

昨シーズンまではオマーンでハンデキャップ戦を走っており、他にはUAEのSharjahでPrestige戦に出走していることが確認できる。今シーズンはオマーン産馬限定戦から始動しているが、オープンレースでも問題なく勝っている。

Moshrif: Dahess - Tashreefat by Bengali Dalbret

Xavier Thomas-Demeaulte厩舎、Guillaume Guedj-Gay騎乗

フランス産の8歳馬。フランス調教で登録されているが近走はカタールでの出走がメイン。2024年にはG1 Al Mneefah Cupで2着に入った。ずっと芝戦で結果を出してきているが、前走はRiyadhのG1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupでダートの1800mに出走して5着。

Mutwakel Alkhalediah: Laith Al Khalediah - Wasil by Kerbella

Naser Multaq厩舎、Ricardo Ferreira騎乗

サウジアラビア産の10歳馬。サウジアラビア調教で26戦10勝。

G1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupで2着。

Nadem Al Molwk Al Khalediah: Laith Al Khalediah - Nahila Al Khalediah by Jalood Al Khalediah

Naser Multaq厩舎、Adel Alfouraidi騎乗

サウジアラビア産の6歳馬。サウジアラビア調教で7戦5勝。

昨シーズンは出走がなく、約2年振りの出走となった今期はRiyadhでUAE President Cupを2着とするとG3 Imam Turki Bin Abdullah SwordとG1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupをどちらも4馬身差で快勝した。 

Najeeb Alzaman: Hilal Al Zaman - Labwah by Asad Saif

Abdulaziz Almosa厩舎、Oisin Murphy騎乗

フランス産の7歳馬。サウジアラビア調教で17戦10勝。サウジアラビアに来る前はイタリアとフランスで4戦1勝としている。

サウジアラビアでは2024年のG1 Obaiyah Arabian Classicで3着の実績がある。去年はKahayla Classicに出走して6着。今シーズンは3戦して全てNadem Al Molwk Al Khalediahとの勝負。UAE President Cupでは勝ったもののG3 Imam Turki Bin Abdullah Swordを2着、G1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupは3着とやや差が出来てしまった。

Nijinski Al Maury: Amer - Nemosie Al Maury by Kesberoy

Mustafa Almosa厩舎、Daniel Tudhope騎乗

フランス産の10歳馬。サウジアラビア調教で19戦5勝。

フランスでデビューし、カタールを経てサウジアラビアへやってきた。フランス調教時にベルギーでListedを勝っている。G3 Al-Dareyah Cupの2着馬。

Nirehazz: Al Mamun Monlau - Nirelia by General

Omar Altuwilei厩舎、Nawaf Almudiani騎乗

フランス産の5歳騙馬。サウジアラビア調教で7戦3勝。

去年はAl-Dareyah Cup勝ちからObaiyah Arabian Classicに出走して3着の実績を残した。今シーズンはUAE Presiden Cupでの4着のみ。

Vizhir:Manark - Cherazade by Dormane

Musabbeh Al Mheiri調教、Fahad Alfouraidi騎乗

フランス産の6歳馬。UAE調教で18戦8勝。

2024年のObaiyah Arabian Classic2着馬であるが、昨シーズンは低迷していた。今シーズンはMusabbeh Al Mheiri厩舎に移籍して、MeydanでG2 The Madjani Sを勝った。前走のG1 Al Maktoum Challenge R2は13着で厳しい。

Dim Albahr: Khalid El biwaibiya - Rabia by Burning Sand

Rakan Alotaii厩舎、Khaled Almimoni騎乗

サウジアラビア産の6歳牝馬。7戦6勝。

Listed戦までの活躍馬であるが、上位馬とぶつかったKing Abdulaziz Racetrack Championでは6着に終わっている。

Maestro Du Croate: Al Mamun Monlau - Emeraude Du Croate

Bassim Almousa厩舎、Camillio Ospina騎乗

フランス産の4歳馬。サウジアラビア調教で7戦1勝。

前走のG3で本戦の前哨戦となるAl-Dareyah Cupの勝ち馬。4歳馬なので斤量は有利。

Al Mneefah Cup: PA-G1 Riyadh Turf 2100m

賞金総額150万ドル。

アラブ馬の情報はJockey Club of Saudi Arabiaに加えてEmirates Racing Authority、Qatar Racing and Equestrian Club、Royal Cavalry of Oman、France Galop、Equibaseといったあたりでデータを調べているものの、完全な情報をフォローすることは難しいので、この辺りまででわかる限りのものです。

アラブ競馬は冬に中東開催がメインで夏場はフランスがメイン開催となる。中東の開催ではカタールUAEが先行していて、サウジアラビアが続くといったイメージである。2月にはサウジアラビアでSaudi Cup Dayの開催とカタールでH.H. The Amir Sword Festivalの開催が組まれている。カタールのDohaは芝コースなので、ダート馬はRiyadhに集まるが、芝は両者で取り合う形にはなる。アラブの芝戦はサウジアラビアの本レースが2100mに対して、カタールではメインレースのH.H. The Amir Swordが2400m、Qatar International Cupが1600mとなっていて、距離と賞金で使い分けられる形である。

サウジアラビアでは芝とダートの両方で競馬が開催されているが、主となるのはダートの方であり、地元馬はAl Mneefah Qualifierからというパターンとなってくる。中東エリアでの芝の重要な前哨戦として12月にAbu Dhabiの2200mで開催されるG1 H.H. The President Cupがあり、この上位馬はAl Mneefah CupかカタールのAmir Swordに出走することになる。今年のPresiden CupはHM Alchahineが快勝し、3馬身離れて2着がNabucco Al Maury、さらに4馬身ほど離れた3着がRB Kingmakerであった。HM Alchahineはドーハに向かい、Nabuco Al MauryとRB Kingmakerはリヤドに参戦した。HM AlchahineとRB KingmakerはUAEのNational Studがオーナーなのでここでは使い分けられている。

さて、最近のサウジアラビアの純血アラブ競馬はTilal Al KhalediahとAsfan Al Khalediahがリードしていたが、去年のこのレースではAsfan Al Khalediahが3着に終わって様相が変わることとなった。去年の勝ち馬RB Kingmaker、2着のNabucco Al Maury、4着のJade De Faustが出走してくる。地元の前哨戦は同条件のAl Mneefah Qualifierで上位3頭が揃って出走してくるが、2着が軽斤量の4歳Chagall Al Maury、3着Madrassa以降は大きく離される結果で勝ったAdeeb Al Shahaniaが抜けた力を見せている。

持ちレート上位馬はRB Mary Lylah、RB Kingmaker、Nabucco Al Mauryに加えて地元のBint Ghaliat Al Khalediahとなっている。

Adeeb Al Shahania: Jalnar Al Khalediah - Assma Al Khalediah by Amer

Saleh Almadfa厩舎、Muhammad Aldaham騎乗

フランス産の5歳馬。サウジアラビア調教馬で5戦3勝。

前走のAl Mneefah Qualifierの勝ち馬。終始レースをリードして、軽斤量の4歳馬Chagall Al Mauryにチャレンジを許さず1馬身半差で完勝した。G1 Prince Sultan Bin Abdulaziz International Cupでは4着。

Djafar: Dahess - Badira by Munjiz

Doug Watson厩舎、Kieran Shoemark騎乗

フランス産の9歳馬。UAE調教で33戦5勝。

フランスでデビューしてその後カタールに移籍。フランスと中東を行き来するキャリアで2024年からUAE調教となっている。去年はMeydanで芝のG2 Mazrat Al Ruwayahを勝っている。夏場の欧州ではGoodwoodのG1 International SでAl Ghadeerの3着が最高成績。MeydanのAl Maktoum Challengeシリーズに出走してR1を5着、R2を4着から芝に戻ってきた。

Madrassa: No Risk Al Maury - Jamaheer by Mahabb

Abdullah Sayer厩舎、Abdullah Alwafi騎乗

珍しいイギリス産の7歳馬。サウジアラビア調教馬で16戦4勝。

フランスで2戦した経歴があり、その後がやや不明ながら、昨シーズンからサウジアラビアで出走している。

Al Mneefah Qualifierの3着馬で、その後ダートのG3 King Abdulaziz Racetrack Championを勝って出走してくる。

フランスギャロとERAで血統情報に相違があり、ERAでは母父がAF Albaharとなっているが、出走歴があるフランスギャロの情報を優先した。また、Equibaseでは同名同父の5歳のフランス産馬がヒットするが詳細を確認できない。

Nabucco Al Maury: Assy - Nemosie Al Maury by Kesberoy

Zavier Thomas-Demeaulte厩舎、Guillaume Guedj-Gay騎乗

フランス産の6歳牝馬。フランス調教。

去年の2着馬で、その後カタールのG1 Gold Swordを3着してフランスに渡り、G3 Prix Deryanで4着、ベルギーのG3で3着からG1 Arabian World Cupに出走して4着となった。今シーズンはG1 H.H. The President Cupで2着。

RB Kingmakerにはやや劣るというところだったが、前走で逆転した。

RB Kingmaker: Baseq Al Khalediah - RB Royale Madame by Majd Al Arab 

Helal & Tahnon Alalawi厩舎、Cristian Demuro騎乗

アメリカ産の7歳馬。UAE調教で24戦9勝。

去年の本レース勝ち馬で、その後フランスに渡ってG1 The President Of The UAE Cupを3着、G3 Prix DeryanとG1 Doha Cupを勝って、凱旋門賞開催のG1 Arabian World Cupに出走したが10着に終わった。その後はUAEに戻り、リステッドの前哨戦を勝ってG1 H.H. The President Cupに出走したが3着だった。去年は1月にAbu Dhabiで1戦挟んできたが、今年はH.H. The President Cupからの直行となっている。

基本的に戦績が安定しているが、時折大きく負けることがある。去年のArabian World Cup、一昨年のH.H. The President CupやDubai Kahayla Classicがそれである。Nabucco Al Mauryとは勝ったり負けたりという関係になる。

Turki Al Khalediah II: Laith Al Khalediah - Wasil by Kerbella

Naser Multaq厩舎、Naif Alanazi騎乗

サウジアラビア産の7歳馬。サウジアラビア調教で31戦10勝。

サウジアラビアのアラブ競馬最大手であるAl Khalediah Stablesの自家生産馬。

今シーズン初戦のオープン競走を勝っている。前走はG3 King Abdulaziz Racetrack ChampionでMadrassaの2着。ダート戦がメインで芝は去年のAl Mneefah Cupを9着以来の出走となる。

Bint Ghaliat Al Khalediah: Hatim Al Khalediah - Muneerah Al Khalediah by Amer

Naser Mutlaq厩舎、Fahad Alfouraidi騎乗

サウジアラビア産の8歳馬。25戦8勝。

Al Khalediah Stabelsの自家生産馬。

2024年の6着馬で、その後1年間のブランクを経験。今シーズンはTaifで2勝しているが、上級戦は厳しそう。

Jade De Faust: AF Albahar - Nireiss by Akim De Ducor

Bassim Almousa厩舎、Camillio Ospina騎乗

フランス産の7歳牝馬サウジアラビア調教で26戦6勝。

去年の4着馬だが、近走はダートのスプリント戦への出走がほとんどである。前走はG3 Sprint Championshipで2着。

Lacaro Du Croate: No Risk Al Maury - Beanie Du Croate by Dahess

Xavier Thomas-Demeautle厩舎、Dylan Browne McMonagle騎乗

フランス産の5歳牝馬。フランス調教馬。フランスで8戦2勝の戦歴でLa Teste-Bassin ArcachonG1 Criterium Des Poulichesを勝っている。他に去年はカタールでAl Uqda開催のAmir Silver Swordに出走して2着。

Mubarizat Alkhalediah: Laith Al Khalediah - Bint Bshimookh Alkhalediah

Naser Mutlaq厩舎、Adel Alfouraidi騎乗

サウジアラビア産の6歳牝馬サウジアラビア調教で13戦6勝。

Al Mneefah Qualifierの5着馬。オーナー名義はAl Khalediah Stablesを所有するPrince Khalid Bin Sultan Abdulaziz Sonsとなっている。

Preciosa Al Ashai: TM Fred Texas - Essaouira Du Breuil by Munjiz

Abdullah Sayer厩舎、Alexis Moreno騎乗

フランス産の7歳牝馬サウジアラビア調教で21戦3勝。

近走はずっとダートで出走していた。

RB Mary Lylah: Al Mourtajez - Rich Kinkga by TH Richie

Alban De Mieulle厩舎、Mickael Barzalona騎乗

アメリカ産の6歳牝馬カタール調教で20戦13勝。

アメリカ時代に11戦8勝の成績を残してWathnan Racingに購入されてカタールに移籍。去年はMeydanのKahayla Classicに出走して13着。この時は同い年の妹RB Malexisと同じレースに出走したとしてちょっと話題になっていた。アラブ馬は人工授精と胚移植による生産が認められているからこそのイベントである。

その後はフランスでLa Teste-Bassin ArcachonのG1 Liwa International Sを勝ち、トルコではVeliefendiのG3 Malazgirt Trophyを勝っている。LongchampのG1 Arabian World Cupでも3着の実力馬である。今シーズンは3戦し、G2 Qatar National Day Trophyを勝った。これは好位から抜け出して圧勝する強い競馬。前走はG3のH.E. Sheikh Joaan Bin Hamad Al Thani Trophyで後ろから追い上げていったが3着までだった。

Chagall Al Maury: Al Mamoun Monalu - Corrida De Ghazal by Dormane

Abdullah Alsidrani厩舎、Ricardo Ferreira騎乗

フランス産の4歳馬。サウジアラビア調教馬で5戦1勝。

条件戦を勝ってAl Mneefah Qualifierに出走して2着。4歳馬なので斤量に恵まれるが、勝ったAdeeb Al Shahaniaには軽くあしらわれた印象でまだ力不足に見える。

International Stud Book Committee Annual Report 2024から数字つまみ食い

International Stud Book Committeeの2024年の年次報告から数字を拾ってみました。ISBCが発表しているデータから一部の国のデータを抜き出したものです。すべて2024年の報告なので、種牡馬繁殖牝馬の数と産駒登録数は世代にズレが生じています。種牡馬はCompleted a coveringとあるので受胎させていることが条件で、繁殖牝馬も同様受胎した牝馬数。輸出入はPermanent Imports/Exports completedという表記なので遠征などによる一時的な輸出入を除いた2024年の移動数ととらえてください。これには繁殖馬の輸出入も含んでいます。また、多くの競走馬を輸入している香港が統計に含まれていないのですが、それ以前に輸入頭数がかなり超過していてなかなかに厄介。とはいえ各国の規模感を把握することはできるのではないでしょうか。そんなわけで。

 

Stallions

Broodmares

Registered Foals

Imports

Exports

Difference

日本

280

10889

7718

297

38

259

オーストラリア

393

16744

11698

1850

1315

535

ニュージーランド

74

4012

2681

545

1372

-827

イギリス

107

6038

4198

880

2234

-1354

アイルランド

189

11107

8887

668

2068

-1400

フランス

370

10487

5416

4949

2697

2252

ドイツ

46

629

560

464

559

-95

イタリア

63

647

478

985

167

818

南アフリカ

55

2470

1850

49

28

21

アメリ

940

25775

16389

794

2014

-1220

カナダ

85

924

901

10

41

-31

アルゼンチン

515

9312

5933

83

230

-147

ブラジル

126

2201

1694

16

208

-192

チリ

107

1886

1334

53

38

15

ペルー

38

536

387

86

50

36

ウルグアイ

226

2116

1473

322

33

289

             

韓国

74

1466

1134

263

2

261

中国

47

238

113

59

0

59

タイ

2

3

3

15

0

15

フィリピン

83

693

317

61

0

61

インド

64

1302

847

88

0

88

             

UAE

0

0

0

446

441

5

サウジアラビア

235

2700

267(未確定)

64

63

1

カタール

16

50

58

195

56

139

バーレーン

27

130

104

114

98

16

トルコ

198

4504

2584

140

9

131

クウェート

27

122

22

320

3

317

オマーン

0

0

0

38

0

38

ロッコ

74

623

229

122

35

87

チュニジア

10

45

14

6

11

-5

ケニア

6

53

26

13

1

12

             

ベルギー・ルクセンブルグ

6

17

9

134

26

108

オランダ

1

3

4

50

26

24

デンマーク

13

184

98

83

58

25

スウェーデン

11

65

135

110

64

46

ノルウェー

4

35

16

59

18

41

スペイン

36

140

73

279

107

172

ポーランド

36

235

115

20

42

-22

チェコ

24

190

106

330

85

245

スロバキア

7

29

23

76

35

41

ハンガリー

27

119

79

133

82

51

ブルガリア

18

56

29

23

7

16

ロシア

440

2196

686

166

125

41

             

メキシコ

32

201

134

146

0

146

プエルトリコ

47

386

297

0

0

0

バルバドス

38

147

61

2

0

2

ジャマイカ

32

428

175

75

0

75

パナマ

42

233

186

87

4

83

パラグアイ

20

86

28

26

0

26

ヴェネズエラ

52

414

341

24

0

24

この手のデータはかなり前にも同じようなものを見ていますが、10年前どころではないので大きく変化しています。意外な国でそこそこの規模の生産が行われていたりするので、細かく見ていくと面白いです。フランスの数字は意味が分かりませんが。 また、年次報告では10年分のサラブレッド生産総数の変遷も出ていますが、全体でみると2023年、2024年で大きく減少しています。

2005年から2022年での主要生産国の状況

ISBCには2005年から2022年での生産頭数の変遷も示されていますが、日本は+2%となっています。世界的なサラブレッド生産の状況を見るに、大きな変動がない日本の状況は例外的です。リーマンショックからの経済不況の影響で2010年代の前半に生産頭数が落ち込みますが、その後2010年代後半に回復し、現在はやや増加傾向です。他に2005年と2022年で生産頭数の差が小さいのはアルゼンチンとフランスですが、アルゼンチンは2010年頃にピークを迎えた後は減少して2022年に2005年の水準に戻っており、2024年はそこから大きく数字を落としています。フランスは少し増えたというところ。

これ以外の主要な生産国は軒並み大幅な減少で、アメリカが-49%とほぼ半減しており、2024年の数字だとそれを割り込んでいますから20年で生産規模は半分になってしまいました。カナダはさらに深刻で-59%という数字が出ています。南米ではブラジルの減少が大きく、チリやウルグアイとの差が小さくなっています。ヨーロッパではイギリスやアイルランドリーマンショックの影響を受けて減少して、元の水準に戻っていないといったところでしょうか。

といったところで2024年の産駒登録数で行くと、サラブレッドの生産規模はアメリカ、オーストラリア、アイルランド、日本、アルゼンチン、フランス、イギリス、ニュージーランド、トルコ、南アフリカ、ブラジル、ウルグアイ、チリ、韓国といった順番。おそらくサウジアラビアは1000頭を超えているので韓国と同じくらいには入りそう。カナダ、ドイツ、イタリアは1000頭に届きません。

なお、アメリ

アメリカのJockey ClubのFact Bookからアメリカの各州の種牡馬繁殖牝馬の頭数も見ておきましょう。数字の基準は若干違いますが、データは同じく2024年で、テキサスを拾うために上位15州まで。

State

Mares Bred

Stallions

Kentucky

16,688

205

California

1,510

81

Florida

1,340

68

New York

1,209

35

Louisiana

941

66

Maryland

499

24

New Mexico

459

55

Pennsylvania

442

36

Indiana

406

39

Oklahoma

387

48

West Virginia

334

33

Arkansas

305

34

Ohio

292

42

Texas

275

36

Nebraska

134

15

ケンタッキーだけでオーストラリアに匹敵するのはとんでもない。また、カリフォルニア、フロリダ、ニューヨークあたりの二番手組でもドイツとイタリアを合わせたくらいの規模はあって、これでもフロリダやカリフォルニアは10年前に比べて半減した結果というあたりアメリカヤバい。

 

 

北米の種牡馬事情を見てみよう

北米のReport Of Mares Bredはアメリカ、カナダ、プエルトリコの今年の種付け頭数がまとめられている。9月30日までにJockey Clubに報告された速報値であって翌年になると産駒出生数ともにBreeding Statisticsとして発表されるが、この時になるとReport Of Mares Bredの時点より種牡馬が追加されたり種付け頭数が増えることがあるものの、そのほとんどはマイナーな種牡馬なので大勢に影響するものではないと考えてよいだろう。

といったわけで、今年のReport of Mares Bredのデータをブッコ抜いて少々の情報を付け加えたのでGoogle Documentを公開する。

2025 Breeding Resources - Google ドライブ

データの正確性は保証しないので、必要な場合はぜひとも元データを確認してもらいたい。Report of Mares BredはJockeyclub.comのFact Bookの項目に含まれている。

The Jockey Club

血統情報はPedigreequeryで1頭を除いて確認できた。

Thoroughbred Horse Pedigree Query

1頭のみ他に思いつく手段でも検索したが血統情報を確認できなかった。ただ、以前であればこうした正体不明の種牡馬は1頭どころでなかったので、極めてマイナーな種牡馬自体が減ってきているのであろう。

概要

今年のReport Of Mares Bredでは740頭の種牡馬がリストに載り、種付け頭数の総計は24681頭であった。参考までに2024年はReport Of Mares Bredでは種牡馬837頭、種付け頭数25853頭で、これがBreeding Statisticsになると種牡馬1099頭、種付け頭数27180頭であった。なおそのLive Foalsは17103頭である。例年の傾向も含めて考えると、今年の稼働種牡馬は最終的に1000頭前後といったところだろう。20年前の2005年には4000頭弱の種牡馬が60000頭を超える種付けを行っていたことを考えると恐ろしい減少で、殊に種牡馬の減少が著しい。

北米の種牡馬の種付け頭数が初めて200頭を超えたのは2001年で、Thunder Gulchが216頭に種付けを行った。その後は2005年にGiant's Causewayで244頭、Lion Heartで233頭ということがあったが、これは例外としてしばらくは200頭前後が最大の種付け頭数という時代が続いた。最初はAshford Studの種牡馬で種付け頭数が多い状態だったが、徐々に他の種馬場も種付け頭数を増やすようになっていき、2014年にScat Daddyが一気に250頭を突破すると、以後はトップの種牡馬は250頭を超えるのが当たり前となった。2018年には南半球シーズンでの種付けも含めてInto Mischiefが296頭、2023年のGolden Palは南半球シーズンなしに293頭と300頭に近づいている。上位種牡馬への集中が激しいケンタッキーでは種牡馬1頭あたりの平均種付け頭数が80頭を超える状態が続き、これは次に平均種付け頭数が高いニューヨークの倍以上の数字である。

主要な生産州毎に種付け頭数のトップを順に見ていくと、ケンタッキーはTiz The Lawの274頭、ニューヨークはBuccheroの192頭、フロリダはWin Win Winの137頭、ルイジアナはAurelius Maximusの117頭、メリーランドはBlofeldの96頭、カリフォルニアはMidnight Stormの82頭、ニューメキシコはMarkingの75頭、オンタリオはHarlocapの75頭、アルバータはTapitureの69頭、ウエストヴァージニアはMy Pranksterの53頭といったところである。その年の種牡馬の人気に影響を受けるが、フロリダやニューヨークはシーズンの種付け頭数が多くなりがちでカリフォルニアはそこまで集中しないという傾向通りである。

主な父系で分類すると、Mr. Prospectorの直系は10067頭、Northern Dancerの直系が8010頭、Nasrullahの直系が5643頭で、ここまでで全体の95%を超えている。10年前にも集計しているが、Mr. Prospectorは全体の数はほぼ変わらず、FappianoSmart Strikeが伸びて、Gone WestDistorted Humor、Street Cryは規模を保っているが、Seeking The GoldGulchKingmamboなどの直系がほぼ見られなくなった。Northern Dancer直系はStorm CatEl Prado、War Frontが全体として勢力を保持し、一方Deputy MinisterDixieland Bandなどが激減して、Northern Dancer系としても大きく数を減らしている。Nasrullah直系ではA.P. IndyTapit以外の不振で半減する状況にありつつ、Uncle Moが大きく伸びた。他にはBlushing Groom直系が完全に衰退して全体の数を減らした。Hail To Reasonの直系はHalo、Robertoともに激減で特にRoberto直系の衰退が顕著である。これ以外のマイナー父系の状況はさらに厳しく、多くの直系は途絶の危機に直面している。

全体の種付け頭数が減少しているので、種付け頭数を維持しているMr. ProspectorStorm Catの直系により集中が強くなっているというのが現在の状況といえる。

では、個別に見ていこう。

北米の主流をなす父系

Storm Cat系5122頭

北米ではStorm Birdの傍流は2025年の種付けはなく、すべてがStorm Catを通るものとなっている。規模の大きな分岐としてはHarlan's Holiday、Giant's Causeway、Scat Daddyを示すことができる。

Harlan’s Holiday系2553頭

Harlan's Holidayの父HarlanはG1 Vosburgh Sを勝ったスプリンターだった。かつてはMenifeeという後継種牡馬も存在したが、現在の北米では全てHarlan's Holidayを通る父系となっている。

Harlan's HolidayはオハイオのDouble D Farmの生産で、セリでも落札額が10万ドルに満たないとあって注目を集める存在ではなかった。しかし2歳戦から頭角を現し、3歳のKentucky Derby路線ではFountain Of Youth Sの2着からFlorida DerbyとBlue Grass Sを勝って有力馬としてKentucky Derbyに出走した。Johannesburgの参戦もあって混戦となった本戦で一番人気に支持されたものの7着に終わった。古馬ではDonn Hを勝ってDubai World Cupで2着の実績がある。すでに他界していたHarlanの後継種牡馬として種牡馬入りすると初年度からInto Mischiefを出し、その後Shanghai Bobbyが出てさらに人気を高めた最中の2013年にシャトル先のアルゼンチンで世を去った。

勢力拡大したのはInto Mischiefによるところが大きく、初年度産駒であるGoldencentsの活躍と父Harlan's Holidayの死去により人気が急上昇して現在に至っている。しばらくは種付け頭数が200頭を超え、トップ争いの常連であった。近年は年齢のことがあるのかやや減らしたが、2025年でもInto Mischief自身が176頭の種付けをこなし、後継種牡馬も含めるとこの分岐で2400頭を超える種付け頭数である。

100頭を超えているのはInto Mischiefの176頭、Authenticの123頭、Goldencentsの129頭、Life Is Goodの188頭、Maximus Mischiefの161頭、Newgateの180頭、Practical Jokeの263頭、Timberlakeの161頭、Domestic Productの224頭、Honest Mischiefの101頭というところである。Honest Mischiefはニューヨーク供用、Domestic ProductはPractical Joke産駒である。

Giant's Causeway系1112頭

Giant's Causewayはマイルから中距離でG1を6勝。その厳しいローテーションを走りぬいてアイアンホースの異名を取ると3歳で欧州年度代表馬に選ばれ、Storm Cat産駒中でも最上級の実績を誇った。引退後はアイルランドのCoolmore Studで1年種付けを行うと、翌年以降はアメリカのAshford Studで種付けを行った。常に人気の種牡馬で晩年に減るまでは毎年200頭前後の種付けを行い、産駒はコンスタントに活躍してリーディングサイアーも獲得している。

後継種牡馬では初年度産駒のShamardalが欧州で大きな勢力を築いたが、芝向きで北米ではときおり芝マイルや芝牝馬路線でLope De Vegaなどの産駒を見かける程度である。北米での後継種牡馬としては初期にFirst SamuraiやEskendereyaを得たものの大成功とまではいかず、後年に出したNot This Timeが主流となっている。

このような状況で今年の種付け頭数はNot This Timeの系統以外はばらけており、100頭を超えたのはNot This Timeの214頭と、Not This Time後継種牡馬たちのCoburnが194頭、Epicenterが129頭、Up To The Markが133頭というところである。他にはEskendereyaの後継種牡馬としてMitoleがケンタッキーで67頭が目につく。

Hennessy系856頭

Hennessyは2歳のみの現役で9戦4勝し、Hopeful S勝ちやBC Juvenileで2着という実績を残した。Hollywood Futurityの4着を最後に3歳では出走できないまま引退した。現役時のイメージは早熟馬で、2年目に出たJohannesburgも2歳で7戦全勝し、欧米の2歳チャンピオンを同時受賞する活躍を見せてそのイメージを強めた。

直系の種牡馬としてはそのJohannesburgから出たScat Daddyが傑物で、三冠馬Justifyを筆頭に多数の活躍馬を得ている。

Hennessyのその他の後継種牡馬にはWise Danを出したWiseman's Ferryや日本に導入されたHenny Hughesが居たものの、現在の北米にはほぼ残っていない。

種付け頭数が100頭を超えるのはJustifyの244頭とその子Heartlandの123頭である。その他ではScat Daddy直仔のFlameawayが存在感を出してきた。また良血のMendelssohnもシャトルサイアーとして成功を収めている。

その他のStorm Cat

その他のStorm Cat系ではTale Of The Catの直系からBuccheroの192頭、Girvinの127頭が多い。BuccheroはTale Of The CatからLion Heart、Kantharosと代を経た系統でBook’Em Dannoの活躍で種付け頭数が跳ねあがっている。GirvinはTale Of The CatからTale Of Ekatiを経るラインでフロリダで種牡馬入りしていたが、ケンタッキーに移って種付け頭数が増加した。

他のStorm Cat後継種牡馬で有力だった系統はかなり勢力を失っており、Bernstein後継のKarakontieが67頭で目立つ程度である。Forestry、Forest Wildcat、Stormy Atlanticの後継はケンタッキーで種付け頭数を確保できずマイナーな産地で生き延びている。

A.P. Indy系3743頭

A.P. Indy系とは言うもののそのほとんどはPulpitから出たTapitによるものである。

Tapit系2270頭

A.P. Indyの直系を継承するTapit種牡馬キャリアが20年を超えて高齢になっているが、今年は82頭への種付けを行った。後継種牡馬としてはConstitutionが実績上位でこれから期待される種牡馬としてFlightlineやCharge Itが控えている。Essential Qualityは初年度産駒がデビューしたがまだこれといった産駒は出ていない。もっとも今年の新種牡馬は総じて苦しんでおり、重賞馬すら全体で1頭しか出ていないような状況である。

100頭を超える種付けをしているのはTapitの直仔ではCharge Itの235頭、Constitutionの188頭、Essential Qualityの127頭、Flightlineの145頭、Forstedの114頭、Tacticusの110頭がいて、全てケンタッキーでの供用。他にConstitutionの後継種牡馬でIndependence Hallが155頭、Tiz The Lawが274頭、ニューヨークのAmericanrevolutionが113頭というところ。

その他のA.P. Indy

PulpitはSky Mesaも有していたが、直系はすでに衰退した。

A.P. Indyの系統は牝馬の父として優れている反面、直系の発展はTapitを別にしてことごとく行き詰った印象がある。現在でもある程度の規模で存続しているが、過去のA.P. Indy直仔種牡馬の時代からするとかなり衰退している。

初期産駒の活躍が目覚ましかったBernardiniはその後継種牡馬がことごとく失敗し、残るのはStay ThirstyのラインでCoal Frontが101頭の種付けを確保した。Stay Thirsty自身はカリフォルニアに送られて久しく、今年の種付けは40頭であった。

MineshaftはDialed Inが後継として何とか残るほか、Senor Buscadorが種牡馬入りしており、ケンタッキーでまだ踏みとどまっている状況である。

Malibu Moonは後継種牡馬が軒並み不振で、ルイジアナのGormlyで41頭がせいぜい。

FlatterとCongratsの兄弟は長く種牡馬として活躍馬を出し、Flatterは後継種牡馬も成功を収めている。Upstartが147頭に種付けを行い、その直仔Zandonも93頭の種付けが報告された。

Friesan Fire産駒のArmy Muleは素質がありながらも体調の問題でレースに満足に出走できなかった。4歳のCigar Mile Hで圧勝し、3戦3勝のまま引退種牡馬入りとなっている。手ごろな種付け料で初年度の種付け頭数を確保し、その中からG1馬One In Vermillionを出すなど成功を収め、今年は140頭に種付けを行う人気種牡馬となった。

Majestic Warrior産駒のLeinsterはフロリダで種牡馬入りし、今年の種付け頭数は111頭である。初年度産駒がデビューしており、初年度リーディングで9位である。来年からニューヨークに移動する。

Fappiano系4194頭

現在のFappiano直系はCandy Rideの系統とUnbridledの系統に分けられ、Unbridledは更にUnbridled's SongとEmpire Makerに分けることができる。

Candy Ride系2004頭

アルゼンチン産まれのCandy RideはアルゼンチンでG1を2勝し、北米移籍後にG1 Pacific Classicを勝ってHill'n'Dale Farmで種牡馬入りした。産駒が活躍し始めるとその拠点をLane's End Farmに移して今日に至っている。Lane's End Farmは北米の大手牧場としては種付け頭数を控える傾向にあり、Candy Rideも種付け頭数が200頭を超えることはなく、ピークでも187頭までであった。高齢の近年は100頭を割り込み、今年の種付け頭数は73頭である。すでにGun Runnerという後継者を得ており、加えてTwirling Candyも種牡馬として成功を収めている。

種付けが100頭を超えたのは、直仔ではGun Runnerの218頭、Twirling Candyの182頭、Vekomaの211頭がある。来年あたりから産駒デビューが始まるGun Runner後継種牡馬ではCyberknifeの159頭、Gun Pilotの161頭、Guniteの163頭、Pappacapの111頭、Taibaの169頭があり激戦である。

Unbridled系2080頭

Unbridledの直系はUnbridled's SongとEmpire Makerに大別される。

Unbridled's Song系1115頭

Unbridled's Songは初年度からSongandaprayer、Even The Scoreなどが出て成功した種牡馬である。牝馬の活躍が多かったが、晩年にもLiam's MapやArrogateを出している。初期の後継種牡馬も結果を残していたが父系の発展には至らず、現在は晩年の代表産駒であるArrogateとLiam's Mapにかかっているところである。

若くして世を去ったArrogateの後継種牡馬ではArcangeloが141頭、Seize The Greyが196頭と人気を集めた。

Liam's Mapは157頭の種付けを行う人気種牡馬である。しばらくG1レベルでの活躍馬が途絶えていたが、今年は3頭のG1勝ちが出て復権している。

Empire Maker系961頭

Empire Makerの父系はPioneerof The NileとBodemeisterによって発展したが、現在では三冠馬American Pharoahを出したPioneerof The Nileが優勢となっている。

American Pharoahの168頭とルイジアナのAurelius Maximusが117頭で3桁を超えた。American Pharoahは本国では今一つの評価だが、種付け料を下げていったので頭数自体は多めに推移していた。他のPioneerof The Nile後継種牡馬ではCairo PrinceやThousand Words、カリフォルニアのMidnight Stormが頭数を確保している。

その他のFappiano

その他のFappianoとしてはQuiet AmericanとRubianoも有力な勢力だったが、かなり衰えている。Quiet AmericanはReal QuietからMidnight Luteと代を進めたがMidnight Luteの先が続かなかった。ルイジアナの州産馬限定戦で活躍したStar GuitarはQuiet Americanの直仔で、ルイジアナ種牡馬入りして堅実に人気を集め、今年も85頭という種付け頭数であった。一方Unbridledも含めて母系に入ったときの影響力は相当なものがある。

Caro系1833頭

一部まだ残っているためCaroを起点にしているが、このほとんどはUncle Moの直系である。Uncle Moを通らない直系ではIndian Charlieの直仔がまだ残っており、フロリダのAdios Charlieが49頭と存在感を残している。他にMay Pal Charlieがルイジアナで16頭の種付けを行っている。

Uncle MoはBC Juvenileを勝って3歳になると短距離を志向したスピードに優れた競走馬だった。種牡馬入りすると初年度産駒が大活躍してその地位を一気に上げ、北米を代表する種牡馬となった。Indian CharlieとUncle Moの二代でこの直父系を復興させたともいえる。残念ながらUncle Moは2024年に亡くなり、現在はその後継種牡馬の時代に入っているが、Uncle Mo自身は母父としての影響を持つようになってきている。

100頭を超えているのはUncle Mo直仔でArabian Knightの273頭、Caracaroの119頭、Golden Palの198頭、Kingsbarnsの196頭、Nyquistの175頭、Yauponの198頭である。NyquistUncle Moの初年度産駒で、BC Juvenileを勝って翌年のKentucky Derbyも制覇する快挙を成し遂げた。種牡馬としても好調だが未だ核となる後継種牡馬は得られていない。来年から種牡馬入りするJohannesや現役のNysosはその候補だろう。Yauponは驚異的な早仕上がりとスプリント能力で今年のファーストクロップリーディングで1位に付けているが、大物を得られていない。Kentucky Derby路線と縁がなく、その後スプリント戦に出てくるのではないかという印象。

Smart Strike系1663頭

カナダの名門出身のSmart StrikeはダートにCurlin、芝にEnglish Channelを残したが、English Channel種牡馬として苦戦し、Curlinの勢力が突出することになった。Curlinは北米の本格派として3歳と4歳で年度代表馬に選出された名馬で、種牡馬入りすると初年度産駒からPalace Maliceという大物を得たが、高い期待に応えていないと評価された。5年目の登録産駒が40頭にまで落ちるという状況だったが、そのころから活躍馬が続出して復活を遂げている。北米ダートで10Fをこなすスタミナ源とされることも多いが、Cody's WishやElite Powerというスピードに優れた産駒を出すことができる。20歳を超えたが今年も105頭の種付けをこなしている。

他に100頭を超えているのはCurlin直仔でCody's Wishの160頭、Elite Powerの161頭、Good Magicの132頭がいる。その先ではGood Magicの系統が先行していてBlazing Sevensが139頭、Dronochが149頭、Muthが185頭となる。全弟Dornochの種牡馬入りでMageが大きく頭数を減らしている。

Gone West系2370頭

北米におけるGone West系はSpeightstownとElusive Qualityが大きな勢力を有している。

Speightstown系1494頭

Speightstownは2歳から活躍したが、怪我の影響で長いブランクがあり6歳になってBC Sprintを勝って種牡馬入りした。その初期からコンスタントにG1まで行ける活躍馬を出す非常に優良な種牡馬で、Gone West系らしく芝でも活躍馬を出していた。一方で大物には欠けており後継種牡馬はこれまでMunningsがいる程度であった。最近になってCharlatanなどが種牡馬入りしている。

3桁を超えたのはCharlatanの191頭、Munningsの149頭、Nashvilleの126頭、Olympiadの113頭、Prince Of Monacoの176頭とMunnings産駒のJack Christopherの103頭である。

Elusive Quality系794頭

Elusive QualityはダートのスプリンターでJaipur Sなど重賞2勝で引退した。2年目の産駒にSmarty Jonesを得るとその後もRaven's PassやQuality Roadを出して人気を高めた。後継種牡馬として成功したのはQuality Roadで、種付け料が一時20万ドルにまで達したが、近年は勢いを減じている。

種付けが100頭を超えているのはQuality Roadの後継で、City Of Lightが148頭、Cornicheが106頭、National Treasureが202頭である。種牡馬として実績を上げているのはFiercenessを出したCity Of Lightで、CornicheとNational Treasureは産駒デビュー前である。

その他のGone West

Grand SlamやMr. Greeleyのラインが残っているが、ケンタッキーには種牡馬がなく、種付け頭数も少ない。

El Prado系1107頭

El Pradoアイルランドで2歳G1を勝って3歳で引退すると、Adena SpringsのFrank Stronachによって種牡馬として北米に持ち込まれた。北米では人気が出ない芝馬という見立てもあり、最初から人気種牡馬というわけではなかったが、産駒が重賞レベルで活躍すると繋養地がAdena Springsに変わったあたりの産駒からMedaglia D'Oro、Kitten's Joy、Borrego、Artie Schillerなどが立て続けにG1を勝って一躍人気種牡馬となった。またMedaglia D'OroとKitten's Joyは後継種牡馬としても成功を収めた。

Medaglia D'Oroからは直仔のBolt D'Oroが145頭、Violence産駒のForteが154頭とVolatileが155頭。Kitten's Joyからは直仔のOscar Performanceが180頭が大きい。

Distorted Humor系906頭

Forty Ninerが北米に残した最大の後継種牡馬Distorted Humorである。Forty Ninerの日本での人気の高さもあって後継種牡馬であったEnd SweepやCoronado's Questなどが日本に導入されたのとは対照的にDistorted Humorとその産駒は日本にほぼ縁がなかった。

Distorted Humorの競争成績はG2勝ちまでで特に目立ったものはなく地味な種牡馬であったが、初年度産駒からFunny Cide、翌年にはCommentator、さらに続けてFlower Alley、Hystericalady、Any Given Saturdayを出してその評価を高めた。以後もDrosselmeyerやJimmy Creedを出しており、28歳になる2021年まで種付けをこなし種牡馬を引退した。後継種牡馬では1戦だけで骨折により引退したMacLean's Musicが130頭に種付けを行い、更にその産駒のJackie's Warriorが166頭、Drain The Crockが139頭、Complexityが119頭と地位を固めている。

Street Cry系663頭

Street CryはGodolphinの所有馬としてDubai World Cupを勝って種牡馬入りした。初年度産駒のStreet SenseがBC JuvenileKentucky Derbyを勝つ活躍を見せ、更に古馬戦になると短距離のStreet Boss、遅れてデビューしたZenyattaが出現した。以後も継続して北米とオーストラリアで活躍馬を出していて、後期の代表産駒にはNew Year's DayやWinxが出ている。

後継種牡馬も北米とオーストラリアで発展し、北米ではStreet Senseが勢力を有している。Street Senseの後継種牡馬として、McKinzieが175頭、Max Fieldが147頭、Speaker's Cornerが143頭の種付けを行った。

Danzig系1207頭

北米のDanzig直系は欧州やオセアニアとは様子が異なり、DanehillGreen Desertがほとんど存在せず、晩年に出したWar FrontとHard Spunが大きな勢力となっている。

War Front系645頭

War Frontは古馬になって活躍したスプリンターでG2勝ちまでしかなく、種牡馬入り直後に人気というわけではなかった。初年度産駒からThe FactorやData Linkが出て、2年目のDeclaration Of Warの登場で軌道に乗った。芝とダートを問わず産駒が走ることが特徴で、評価を固めた後にHit It A Bomb、U S Navy Flag、Omaha Beachを出して期待に応えている。War Front自身が現役で68頭に種付けを行っており、直仔種牡馬ではAnnapolisが115頭、Omaha Beachが184頭の種付けを行った。初期の活躍馬ではThe Factorは種牡馬としては今一つで、Declaration Of Warは産駒デビュー後に日本に輸出された。Declaration Of Warは北米に後継種牡馬を残しているが、Gufoは芝の活躍馬で人気を集めるには至っていない。

Hard Spun系436頭

Hard SpunDanzig最後の大物として期待を集め三冠戦を善戦したあと、夏にKing's Bishop Sを制した。BCではClassicに出走してCurlinの2着で、中距離ではG1タイトルを得られなかったが、問題なくこなすタイプであった。4歳から種牡馬入りすると初年度からZo ImpressiveやHard Not To Likeを出した。牝馬の活躍が目立つ種牡馬だが牡馬でも活躍馬を得ており、後継種牡馬も確保している。現在でもHard Spunは健在で122頭の種付けを行っており、他にTwo Phil'sが101頭の種付けを行った。

衰退傾向の父系

Deputy Minister系404頭

北米で隆盛を誇ったDeputy Minister系は主流となったAwesome AgainGhostzapperがどちらかというと牝馬に強い種牡馬だったことで直系の拡大はできなかった。Ghostzapper産駒のMystic Guideが147頭を集めているが、その他ではLogginsの61頭、Knicks Goの41頭が多い程度。Knicks Goは今年のシーズンを最後にアメリカを去り、来シーズンからは韓国で種付けを行う。

Halo系372頭

Haloの直系ではSouthern Haloから出たMore Than Readyが一定の勢力を有しているが、縮小傾向にある。Sunday Silenceの直系は種牡馬頭数が少ないながらも、一定程度の種付け頭数を安定して確保する傾向が続いている。

Sunday Silence系183頭

北米のSunday Silence直系ではSilent Nameが中堅種牡馬として活躍していたが、オーナーであるAdena Springsの活動縮小に加えてオンタリオ供用で自身の高齢化もあって、種付け頭数はかなり減ってきている。他方、Hat Trickが北米に残したWin Win Winはフロリダで種牡馬入りし、産駒デビューに合わせて人気を高め今年は137頭への種付けを行っている。

More Than Ready系183頭

BC Mileを勝って種牡馬入りしたばかりのMore Than Looksの57頭が最大で、続くのが今年からカリフォルニアに移ったCatholic Boyの33頭である。

父Southern Haloの頃から南半球に強い系統ではあり、More Than ReadyもオーストラリアにSebring、南アフリカにGimmethegreenlightを出し、Verrazanoはブラジルに輸出された。

Roberto系196頭

かつて勢力を拡大したRobertoの直系だが、現時点ではKris S.後継種牡馬のBlameが73頭で踏みとどまっているのがやっとという状況にまで追い込まれている。Dynaformerの後継種牡馬はTemple Cityが22頭というところにまで落ちてしまった。

Raise A Nativeの傍流

AlydarのラインはカリフォルニアでBenchmarkからGrazenが出て生き残った。Grazenが34頭、その直仔Tough Sundayが21頭の種付けを行っている。

Wavering MonarchのラインはSuper SaverからRunhappyやCompetitive Edgeが出ているが、いずれも後続が苦戦している状況である。

Mr. Prospectorの傍流

Gulchの直系はThunder GulchからPoint Givenに至る系統がほぼ見られなくなり、現在ではカリフォルニアに導入されたSir Prancealotが56頭の種付けを行っている程度である。Sir PrancealotはNayefからTamayuzを経る系統で、アイルランド種牡馬入りしていたが、初年度産駒のBeau RecallやMadame Prancealotが西海岸の芝戦で活躍したこともあってカリフォルニアに輸入された種牡馬である。

Carson Cityは後継種牡馬のCity Zipが成功し現在はその後継種牡馬の時代である。Collectedが52頭の種付けを行っているが、来年からカリフォルニアに移る予定である。

DubawiはBCの芝戦で活躍を見せているが、そのほとんどはGodolphinの所有馬によるもので、北米を根拠地としているイメージがない。ダートでの活躍がほぼ見られないこともあって、北米でDubawiの系統が人気を掴むには至っていない。

Northern Dancerの傍流

北米でのNureyev直系はカリフォルニアのUnusual Heatが独自の勢力を築いていたが、後継種牡馬での発展は見られなかった。それでもAcclamation(2006年カリフォルニア産)がカリフォルニアで35頭への種付けを行っている。また、Pivotalの直系からはSiyouni産駒のSacred Lifeが種牡馬入りしている。

Try My Bestの直系ではDark Angel産駒で北米芝G1路線の活躍馬だったRaging Bullが種牡馬入りし30頭の種付けをこなしている。

北米独自のNorthern DancerラインであるDixieland Band系は後継種牡馬のDixie Unionも種牡馬として成功して勢力を保ったが、現在ではUnion Ragsの21頭が最大頭数でその後継者には期待を掛けられない状況である。

Nasrullahの傍流

Bold Rulerの直系はA.P. IndyからTapitに至って繁栄を続けている。それ以外の直系となるとRaja BabaのラインでYes It's True産駒のThe Big Beastアーカンソーで46頭の種付けを行っている。

Blushing Groomの直系は北米でRunaway GroomやMt. Livermore、Rahyが活躍したが、その直系はほぼ衰退し、Runaway Groomの直系がわずかに残る程度となった。

血統表の中に消えゆく父系

In Reality系

Godolphin Arabianの直系を受け継ぐこの系統はIn Realityの成功により命脈を保った。In Realityの主要な後継種牡馬にはRelaunch、Known Fact、Valid Appealがあり、Known Factは欧州芝向けに、RelaunchとValid Appealは北米ダート向けに活躍馬を出していた。

Relaunchの孫であるTiznowはBC Classicを連覇して種牡馬としても大いに成功した。Tiznowは一時自身とその後継種牡馬で1000頭を超える種付けをこなしこの直系を復興させたかに思われたが、後継種牡馬が軒並み失敗に終わり、現在では風前のともしびとも言える状況に陥っている。

In Realityの直系全体でケンタッキーでの種付け報告はなく、カリフォルニアで39頭のTizamagicianが最大という状況である。

世界的に見てもブラジルのPut It Back後継、欧州のDream Aheadが踏みとどまっている程度という状況にある。

Himyar系

便宜上Himyarに収束させているが、Himyarは150年前に産まれており、その直仔でRough'n Tumbleを出したPlauditの系統とDominoの系統に分かれたのは19世紀のことである。

Rough'n Tumbleはフロリダで重要な種牡馬となり、快速馬Dr. Fagerの父となっている。現代につながるのはDr. Fagerの同期だったMinnesota Macの方だが、その仔であり後継となったGreat AboveはDr. Fagerの半妹Ta Weeを母に持っている。またTartan Farmsが遺したフロリダ血統の影響力の源泉はDr. Fager関連の血統といえる。

Great Aboveの仔Holy BullはG1を6勝、3歳では年度代表馬を獲得する活躍をみせ、種牡馬としてもGiacomoやMacho Unoを出した。父系を継いだのはMacho Unoで、BC Classic勝ちのMucho Macho Manを出している。現在はMucho Macho Manがカナダのオンタリオで31頭、Arizona Moonがアリゾナで19頭という種付け状況である。

Dominoの直系はPeter PanとBlack Toneyの親子などが出て一時隆盛したが、現在はほぼ途絶えた。Colinからの直系がAck AckからBroad Brush、Includeと繋がってきたが今年はプエルトリコのAlbizuのみ種付けが報告された。また、Black Toneyの直系として最後まで勢力を持ったCrimson Satanを経るラインからSatans Irish Debutが種牡馬となっているものの、父は未勝利馬で自身はEquibaseにすら登録されていないとあってはサラブレッドの競走馬として生産されているとは言い難い。

Damascus

イリノイのThree Hour Napが4頭という報告があるのみである。

Damascusの直系ではケンタッキーにSkipshotが残っているが、Report Of Mares Bredの時点では種付けが報告されていない。去年は2頭に種付けし、1頭が出生という状況である。Skipshotの現役でめぼしい産駒としてはPegasus World Cup Turfで3着になったChasing The Crownがいる。Chasing The CrownはSkipshot唯一のG1馬Vasilikaの全弟で、6歳になっても去勢されていないのはその先の可能性があるということなのだろうか。

Buckpasser

Buckpasserは母父としての存在があまりにも大きく、直系を大きく発展させることができなかった。代表産駒であったBuckarooからKentucky Derbyを勝ったSpend A Buckへと伸びたが、その先で苦戦した。Spend A Buckの後継種牡馬となったのはブラジル産馬のEinsteinで、現在ではその子Tap Backがカリフォルニアで種牡馬入りしている。

St. Simon系

Ribot直系はHis Majesty、GraustarkTom RolfeArts And Lettersなどによって拡大したが、21世紀になるとその勢力を失った。His Majesty系ではPleasant Colonyが成功したものの、後継種牡馬Pleasant Tapが多少の結果を出したが上手くいかず衰退した。Cormorantの系統ではKentucky Derbyを勝ったGo For GinもAlbert The Greatを出すのがやっとの状態で、そのAlbert The Greatの直孫Shogoodがイリノイで11頭に種付けを行ったのが最大である。

その他のSt. Simonの直系はPrincequilloの直系が北米に勢力を有していた。Prince Johnの系統のMeadowlakeやRound Tableの系統のK One Kingの後継種牡馬が残っていたがここ数年では種付けの報告がなくなっている。

Hong Kong International Races

現在の香港競馬はスプリントにKa Ying Rising、マイルにVoyage Bubble、中距離にRomantic Warriorを擁し、レース体系的にどうしても層が薄くなるクラシックディスタンス以外では地元馬の連覇に大きな期待が寄せられている。特にRomantic Warriorが出走するHong Kong Cupは、そのあまりの強さに地元馬が集まらず7頭立てでのレースとなってしまった。こういう状況で、欧州からの遠征馬はHong Kong Vaseに狙いを定めており、他の3レースは香港のチャンピオンに日本馬が挑む形のレースとなりそうである。

Hong Kong Vase: G1 Sha Tin Turf 2400m

欧州シーズン終了後に開催されるクラシックディスタンスの大レースはBC Turf、ジャパンカップHong Kong Vaseとなる。今年はBC TurfにRebel's Romance、Minnie Hauk、Goliathなどが出走しており、そのうちGoliathがBC Turfから転戦して香港にやってきた。また凱旋門賞の上位から直行してきたのが3着のSosieと4着のGiavellottoで、彼らが中心となるレースだろう。

香港調教馬ではEnsuedとBundle Awardが2400mでの実績を持っているが、こういう国際競争ではEnsuedの方に実績がある。

Los Angeles: Camelot - Frequential by Dansili

A.P. O'Brien厩舎、Ryan Moore騎乗

Coolmoreの4歳馬。今年G1 Tattersalls Gold Cupを勝っているが、以後は不振に陥っている。前走の凱旋門賞は最下位の19着に終わった。

Al Riffa: Wootton Bassett - Love On My Mind by Galileo

J.P. O'Brien厩舎、D.B. McDonagle騎乗

アイルランドの5歳馬。AscotではG2 Hardwicke SでRebel's Romanceの2着という結果だったがその後はステイヤー路線でG2 Curragh Cup、G1 Irish St. Legerを連勝した。前走はMelbourne Cupで7着。Irish St. Legerからオーナー名義がAustralian Bloodstock Syndicateに変更されている。

Giavellotto: Mastercraftsman - Gerika by Galileo

M.Botti厩舎、A.Atzeni騎乗

イギリスの6歳馬。去年の勝ち馬で、今年はCoronation Cupで3着、凱旋門賞で4着と柔らかい馬場で力を発揮している。KemptonのオールウェザーG3 September SではKalpanaを下している実力馬である。

Goliath: Adlerflug - Gouache by Shamardal

F.-H. Graffard厩舎、C.Soumillon騎乗

フランスの5歳騙馬。去年のキングジョージ勝ち馬で、今年はドイツでG1 Grosser Preis Von Baden勝ち。BC Turf11着からの参戦となる。

Sosie: Sea The Stars - Sosia by Shamardal

A.Fabre厩舎、M.Guyon騎乗

フランスの4歳馬。フランスで実績を上げており、今年はPrix GanayとPrix D'Ispahanを勝っている。2400mの方が得意で前走凱旋門賞3着からの参戦となる。

Urban Chic: Suave Richard - Edgy Richard by Harbinger

R.Takei厩舎、C.Lemaire騎乗

日本の4歳馬。去年の菊花賞馬だが、その後は未勝利。前走は秋の天皇賞で5着。

Ensued: Lemon Drop Kid  - Alluvial Gold by Danehill Dancer

J.Size厩舎、C.Williams騎乗

香港の5歳騙馬。去年の4着馬で香港調教馬では最上位だった。今年もQueen Elizabeth II Cupで4着と香港調教馬ではトップなのだが、地元馬相手のレースではHong Kong Gold Cupで2着があるものの、それ以外はいまいちである。

Eydon: Olden Times - Moon Mountain by Frankel

A.M. Balding厩舎、O.Murphy騎乗

イギリスの6歳馬。去年まではリステッドレベルだったが、今年はG3 Aston Park Sを勝ち、前走はイタリアでG2 Gran Premio Del Jockey Clubを勝って2400mの重賞を2勝して実力を付けている。

Moments In Time: Lookin At Lucky - Magia Para Todos by Rock Of Gibraltar

C.S. Shum厩舎、H.Bowman騎乗

香港の6歳騙馬。チリ産馬でチリ時代の登録名はRacatan。G1 Nacional Ricardo Lyonを勝って、G1 El Ensayoは1位入線ながら失格となった。そのEl Ensayoがチリでの最後のレースとなり、香港に輸入されMoments In Timeとして登録された。香港ではよい結果を得られていない。

Bundle Award: Shamus Award - Ecosse by West Quest

J.Size厩舎、J.McDonald騎乗

香港の5歳騙馬。

Ka Ying Generation: Churchill - War Goddess by Champs Elysees

P.C. Ng厩舎、L.Ferraris騎乗

香港の5歳騙馬。

Hong Kong Sprint: Sha Tin Turf 1200m

現在最強のKa Ying Risingに挑むのはSatono Reveということになる。復活したLucky Sweynesse、地元の二番手であるHelios ExpressとスプリンターズSを勝ったWinCarnelianも出走してくるが、とにかくKa Ying Risingが絶対的すぎる。

Ka Ying Rising: Shamexpress - Missy Moo by Per Incanto

D.A. Hayes厩舎、Z.Purton騎乗

香港の5歳騙馬。2年前は条件戦に出走していたが、シーズンの最後にG3 Sha Tin Vaseを勝った。昨シーズンはシーズン当初から無敗のままHong Kong SprintでG1初勝利とすると、その後も連勝を続けて8戦8勝でシーズンを終えた。レベルの高い香港のスプリント戦で競り合いに持ち込ませず、この1年で最も近かったのが去年のHong Kong SprintHelios Expressが半馬身差に迫ったものである。そのHelios Expressにしてもその後は大きく着差を付けられており、Ka Ying Risingのヤバさがわかる。今シーズンはオーストラリアに遠征しRandwickのG1 The Everestに出走して快勝しており、香港に戻ってもG2 Jockey Club Sprintを勝って遠征の影響はなさそうである。

Satono Reve: Lord Kanaloa - Ciliege by Sakura Bakushin O

N.Hori厩舎、R.Moore騎乗

日本の6歳馬。高松宮記念の勝ち馬で、Royal AscotのQueen Elizabeth II Jubilee Sで2着のスプリンター。香港では去年のHong Kong Sprintが3着、今年のChairman's Sprint Prizeが2着でいずれもKa Ying Risingに敗れた。前走はスプリンターズSで4着。

Lucky Sweynesse: Sweynesse - Madonna Mia by Red Clubs

K.L. Man厩舎、K.C. Leung騎乗

香港の7歳騙馬。2年前の勝ち馬で香港のスプリントで一時代を築いたが、2024/25シーズンを怪我でほぼ棒に振り、その間にKa Ying Risingがスプリント路線を制した。今年4月に復帰したが、復帰後勝利は得られていない。スプリンターズSに遠征したが11着で、その後G2 Jockey Club Sprintで4着となっている。

Helios Express: Toronado - Paris Texas by Hinchinbrook

J.Size厩舎、H.Bowman騎乗

香港の6歳騙馬。昨シーズンはスプリントの重賞路線でひたすらKa Ying Risingに負け続けた。4歳の三冠戦では短い方から二冠を達成していて、スプリントにこだわる必要はなくも見えるものの、一貫してスプリント戦に出走している。昨シーズンの戦歴は実に8戦して1勝、2着が5回と3着が2回。勝ったのはKa Ying Rising不在のG3 Sha Tin Vaseで、その他のレースでは全てKa Ying Risingに負けている。G1 Chairman's Sprint PrizeではSatono Reveにも先着を許して3着であったが、香港スプリント路線の二番手であることは疑いない。

今シーズンはG3 Premier Bowlでトップハンデを背負って5着、勝ち馬とは20ポンドもの斤量差があった。前走のG2 Jockey Club Sprintは3着。

Win Carnelian: Screen Hero - Cosmo Crystal by Meiner Love

Y.Shikato厩舎、K.Miura騎乗

日本の8歳馬。今年が全盛期でドバイに遠征するとAl Quoz Sprintで2着、秋にはスプリンターズSを勝って待望のG1勝ちを果たした。

Fast Network: Wrote - Alberta by Magic Albert

C.H. Yip厩舎、J.McDonald騎乗

香港の5歳騙馬。今シーズンG3 The National Day Cupを勝って、前走のG2 Jockey Club Sprintでは2着と力を付けてきている5歳馬。

Kaadem: Dark Angel - White Daffodil by Footstepsinthesand

C.Hills厩舎、O.Murphy騎乗

イギリスの9歳騙馬。Royal AscotのQueen Elizabeth II Jubilee Sを連覇したスプリンターで、今年はアメリカに遠征してG2 Woodford Sを勝って、BC Turf Sprintで3着に入ってまだ健在である。

Lucky With You: Artie Schiller - Heredera by Northern Meteor

F.C. Lor厩舎、L.Ferraris騎乗

香港の8歳騙馬。

Beauty Waves: Starspangledbanner - Little Sweetheart by Lawman

A.S. Cruz厩舎、A.Badel騎乗

香港の5歳騙馬。

Raging Blizzard: Per Incanto - Perfect Beat by Magnus

J.Size厩舎、B.Avdulla騎乗

香港の6歳騙馬。今シーズンから重賞に出走し、G2 Premier Bowlで2着に入った。

Tomodachi Kokoroe: Written Tycoon - Rainbeam by Fastnet Rock

D.A. Hayes厩舎、H.Bentley騎乗

香港の7歳騙馬。ハンデに恵まれてG2 Premier Bowlを勝ったが、G2 Jockey Club Sprintでは7着に終わった。

Wunderbar: Rich Enuff - Could Be Something by General Nediym

J.Size厩舎、C.Williams騎乗

香港の5歳騙馬。

Divano: Brave Smash - Been Scene by Bianconi

K.W. Lui厩舎、H.Doyle騎乗

香港の5歳騙馬。

Hong Kong Mile: G1 Sha Tin Turf 1600m

実績のあるSoul RushとVoyage Bubbleに3歳のThe Lion In WinterとEmbroideryが上位にからんでくるレースになるのではないか。遠征では結果を出せなかったVoyage Bubbleだが、香港では安定した成績を残している。

Soul Rush: Rulership - Eternal Bouquet by Manhattan Cafe

Y.Ikee厩舎、C.Demuro騎乗

日本調教の7歳馬。香港にとってはMeydanのDubai TurfでRomantic Warriorを差したことで注目されるだろう。ドバイから帰国後は安田記念で3着に入っているが、前走のマイルチャンピオンシップでは6着に終わった。Hong Kong Mileの常連でもあり、今年が3回目にして引退戦。去年は2着に入っており香港でも問題ないが、過去2回でいずれも先着を許しているVoyage Bubbleが最大の敵となる。

Voyage Bubble: Deep Field - Raheights by Rahy

P.F. Yiu厩舎、Z.Purton騎乗

香港調教の7歳騙馬。昨シーズンは7戦5勝の香港の最強マイラーで、Hong Kong MileでSoul Rushを破っている他、2000mのG1 Hong Kong Gold Cupと2400mのG1 Champions And Chater Cupも勝って、G1 Steward's Cupと併せて古馬三冠を達成した。

今シーズンは初戦のG2 Sha Tin Trophyで12着に終わった。しかしこれはハンデキャップ戦で135ポンドという他と比べて極めて重い斤量を課せられていたこと(次点のGalaxy Patchですら122ポンドで残りの出走馬は120ポンド未満)に加えてレースでは初騎乗となるM.F. Poon騎手の判断ミス(レース後にスチュワードに言及されるレベル)に加えて最後は鞭を落としていたという結果によるものである。前走では本開催の前哨戦となる11月の開催でG2 Jockey Club Cupに出走してRomantic Warriorに挑んだが2着で結局マイルへの出走となった。

Docklands: Massaat - Icky Woo by Mark Of Esteem

H.Eustace厩舎、T.Marquand騎乗

イギリス調教の5歳馬。Royal AscotのQueen Anne Sの勝ち馬だが、その後は勝ちから遠ざかっている。欧州シーズンの最後はQueen Elizabeth II Sで4着、前走はマイルチャンピオンシップに出走して9着だった。去年もHong Kong Mileに出走しており12着に終わっている。

Beauty Joy: Sebring - Impressive Jeuney by Jeune

A.S. Cruz厩舎、B.Avdulla騎乗

香港の9歳騙馬。香港の強豪マイラーで9歳の今シーズンもG2 Sha Tin Trophyで3着に入っている。前走は2000mのG2 Jockey Club Cupで7着。

Galaxy Patch: Wandjina - Voltara by More Than Ready

P.C. Ng厩舎、J.McDonald騎乗

香港の6歳馬。香港のマイル路線で期待されるが、Voyage Bubbleにはとにかく分が悪い。前哨戦ではG2 Jockey Club Mileを勝っているが、Voyage Bubbleがマイルに回ってきたので、苦しいレースになるだろう。

Beauvatier: Lope De Vega - Enchanting Skies by Sea The Stars

Y.Barberot厩舎、A.Pouchin騎乗

フランスの4歳馬。実績はスプリント寄りで1400mを得意とするが、1600mもこなす実績がある。前走はNewmarketのG2 Challenge S勝ち。

Happy Together: Dragon Pulse - Ruby Girl by Fast Company

F.C. Lor厩舎、A.Badel騎乗

香港の6歳騙馬。前走はG2 Jockey Club Mileを3着。

Red Lion: Belardo - Crystal Idea by Namid

J.Size厩舎、H.Bowman騎乗

香港の6歳騙馬。昨シーズンのG1 Champions Mileでは人気薄ながらVoyage Bubbleとのたたき合いで譲らず勝利した。今シーズンはいまいちで、前走のG2 Jockey Club Mileは12着だった。

Sunlight Power: Capitalist - Emirates Comfort by Dubawi

P.F. Yiu厩舎、C.Soumillon騎乗

香港の6歳騙馬。去年のシーズンでクラスを上げて、終盤には重賞に出走するようになった。前走のG2 Jockey Club Mileの2着馬で地元勢としては上位。

My Wish: Flying Artie - Set The Tone by Reset

M.Newnham厩舎、L.Ferraris騎乗

香港の5歳馬。昨シーズンの香港三冠戦では初戦のHong Kong Classic Mileを勝っているが、Classic CupとHong Kong Derbyは2着だった。今シーズンはG3 Celebration CupとG2 Sha Tin Trophyを勝ち、G2 Jockey Club Mileは4着。

Copartner Prance: Epaulette - Woodstock Hussey by Hussonet

K.W. Lui厩舎、M.Guyon騎乗

香港の6歳騙馬。今シーズンG3 Celebration CupとG2 Sha Tin TrophyでMy Wishの2着。G2 Jockey Club Mileでは6着とMy Wishのやや下という実績を残している。

Patch Of Theta: Zoustar - Fortune Of War by General Nediym

K.W. Lui厩舎、C.Williams騎乗

香港の6歳騙馬。G2 Jockey Club Mileで5着だがG1では厳しいだろう。

The Lion In Winter: Sea The Stars - What A Home by Lope De Vega

A.P. O'Brien厩舎、R.Moore騎乗

Coolmoreの3歳馬。Epsom Derbyの前売り一番人気になるほど期待されたが、本戦では惨敗した。その後はマイル戦にフォーカスして立て直しており、Moulin De Longchampで3着、Queen Elizabeth II Sで2着、BC Mileで3着とかなりの実績を残している。父がSea The StarsGalileoも抱えており、なおかつ母やその近親は12Fで実績を有する血統ながらマイラーとして大成しそうである。

Embroidery: Admire Mars - Rottenmeier by Kurofune

K.Mori厩舎、C.Lemaire騎乗

桜花賞秋華賞を勝った日本の3歳牝馬二冠馬。父アドマイヤマーズはマイルでG1を3勝し、Hong Kong Mileも含まれている。

Hong Kong Cup: G1 Sha Tin Turf 2000m

Romantic Warriorの相手などしていられるかということで香港調教馬3頭、日本調教馬2頭、欧州調教馬2頭の7頭立て。そりゃ三連覇中で過去2シーズンは香港で負けなしのRomantic Warrior相手に走るとなると厳しすぎるか。欧州勢も今年はVaseに力を入れているのが明らかである。

Romantic Warrior: Acclamation - Folk Melody by Street Cry

C.S. Shum厩舎、J.McDonald騎乗

香港最強馬Romantic Warrior。今年は中東遠征を行い、MeydanのG1 Jebel Hattaで圧勝すると、RiyadhのG1 Saudi CupでForever Youngの2着、MeydanのG1 Dubai TurfでSoul Rushの2着という結果で香港に戻った。今シーズンの始動戦は本戦の前哨戦であるG2 Jockey Club CupでVoyage Bubble以下を軽くあしらって快勝している。

Bellagio Opera: Lord Kanaloa - Air Routine by Harbinger

H.Uemura厩舎、K.Yokoyama騎乗

大阪杯の勝ち馬で宝塚記念は2着の5歳馬。2000mがベストなのは間違いのないところであるものの、相手が悪い。

Rousham Park: Harbinger - Reinette Groove by King Kamehameha

H.Tanaka厩舎、C.Lemaire騎乗

去年のBC Turfで2着だったが、今年は不振で前走はG2アルゼンチン共和国杯に出走して12着だった。

Galen: Gleneagles - Apache Storm by Pivotal

J.P. O'Brien旧差H、D.B. McDonagle騎乗

アイルランド調教の4歳騙馬。G3 Alleged Sの勝ち馬でG1の経験はなく重賞級。前走はBahrainのG2 International Trophyに出走して2着。

父はGleneaglesで、その前がPivotalにKing's Bestと狙っているところがわかりやすい配合の中距離馬。

Straight Arron: Fastnet Rock - Imperial Lass by Tavistock

D.A. Hayes厩舎、C.Williams騎乗

香港の7歳騙馬。香港の重賞クラスでは古豪で、12月と4月のG1ですっかりおなじみとなっているが、それだけRomantic Warriorに敗北しているということでもある。前走はG2 Jockey Club Cupで4着。

Chancheng Glory: Mor Spirit - Solid Scam by Consolidator

K.W. Lui厩舎、M.Guyon騎乗

香港の5歳騙馬。アメリカのアイオワ州産馬で2歳のうちに香港に輸入され3歳でデビューした。香港三冠戦では2戦目のHong Kong Cupで2着まで。2000mはギリギリっぽく1600mの方が得意に見えるが、前走のG2 Jockey Club Mileで7着に終わってCupに回ってきた。

Quisisana: Le Havre - Quamoclit by Sea The Stars

F.-H. Graffard厩舎、C.Soumillon騎乗

フランスの5歳牝馬。連勝してDeauvilleのG1 Jean Romanetを勝って、その後は凱旋門賞で9着、British Champions Fillies And Maresで3着。2400mを走る実績も十分なのだが、Vaseには同厩舎のGoliathが出走する事情もあってかCupに出走となった。

欧州年度代表馬カランダガンのジャパンカップ

今年ジャパンカップに出走する外国調教馬は1頭のみとなったが、その1頭が今年の欧州最強馬Calandaganなので十分ではないかなと思う。

日本調教馬が凱旋門賞に挑戦するのは毎年の恒例となりながらもいまだそのタイトルを掴めずにいるうちに、アメリカのダートではBreeders' CupでDistaffもClassicも一つは勝ったという状態となって、若干思ってた順番と違うと感じるところはある。TurfやMileだってまだ勝っていないのになと。

一方でジャパンカップ。外国調教馬の勝利は2005年のAlkaasedのレコード以来絶えて20年になろうとしている。日本調教馬が凱旋門賞を勝てないというのなら、外国調教馬はジャパンカップを勝てないということもできる。それぞれで求められる能力や適性が違うのは当然で、そこに優劣があるのではなくバリエーションがあると見るのが穏当なのではないかと考えている。

この間のジャパンカップへの遠征馬にタレントがなかったわけではない。早速2006年には2年続けての参戦となったOuija Boardが来ているし、3着にも入った。しかし、このOuija BoardがAlkaaed後のジャパンカップでの外国調教馬の最高戦績であって勝利どころか連対すらないし、何なら彼女以外では数頭が掲示板を確保するのがやっとという状況であった。その主な参戦馬としては、BC Turfを連覇してきた2009年のConduit、ドイツ産馬として初めて凱旋門賞を勝った2011年のDanedream凱旋門賞オルフェーヴルを下した2012年のSolemiaといったあたりが出てくる。こうした状況で2010年代の後半にはジャパンカップは外国調教馬にとって非常に難易度の高いレースであるという評価が定着し、2019年にはついに遠征馬が不在という事態にまで陥った。褒賞金を含む賞金の増額や検疫体制の整備によって近年は参戦馬が戻り、2024年にはキングジョージを勝ったGoliathとG1を6勝していたAuguste Rodinが参戦して、その結果は6着と8着。

今年出走するCalandaganを管理するのはフランスのF.H. Graffard調教師で、去年Goliathを送り込んでいる。Calandaganの選択肢に早くからジャパンカップがあったのは去年の経験も含めた判断があったのではないか。今年のCalandaganは過去にジャパンカップに出走した外国調教馬としても最上位クラスであり、かつてのOuija BoardMontjeuに匹敵する。クラシックディスタンスではKing George VI And Queen Elizabeth Sを完勝し、前走のChampion Sでは中距離で最強を争ったOmbudsmanとDelacroixも下して今年の欧州年度代表馬に選出された。当年の欧州年度代表馬の出走は2006年のOuija Board以来となる。

Calandagan: Gleneagles - Calayana by Sinndar

Calandaganはフランス調教馬なのでFrance Galopのデータを元にキャリアを見ていこう。

Calandaganは2021年1月27日に父Gleneagles、母Calayana、母の父Sinndarという血統で、Haras De S.A. Aga Khan SCEAによって生産された。

競走実績

2歳になるとAga Khan Studs SCEAのオーナー名義で登録され、F.H. Graffard厩舎から2023年8月12日Deauvilleの1600m戦Prix De MontaiguでM. Barzalonaを鞍上にデビュー戦を迎える。このレースを勝ったのはのちにPoule D'Essai Des Poulainsを勝つMetropolitanで、Calandaganは3着だった。このレース後の8月22日に去勢されており、2戦目は10月31日のChantillyの1900m戦オールウェザートラックで行われたPrix Du Mont Cesarであった。このレースから3歳までの間主戦となるS. Pasquierが騎乗しており、10馬身差で勝利して2歳戦を終えた。2歳時の戦績は2戦1勝である。

3歳になった2024年は、3月16日にSaint-CloudのListed Prix Francois Mathetに出走して2着で始動し、LongchampのG3 Prix NoaillesとG3 Prix Hocquartを勝利してフランス調教の有力な3歳馬とみなされるようになる。去勢されていたためクラシックとは縁がなかったが、Royal AscotのG2 King Edward VII Sでは6馬身差で勝利すると、International SでいよいよG1に挑戦することとなった。ここには世代最強馬のCity Of Troyが出走しており、彼には敵わなかったものの2着という結果はその後に大きな期待を掛けられるものだった。こうした状況の中Champion SではIrish Champion Sを勝って勢いのあるEconomicsとの対決で注目を集めた。しかしEconomicsには完勝しているが、Anmaatに差し切られて2着とG1を勝てないまま3歳のシーズンを終えた。3歳時の戦績は6戦3勝、重賞を3勝し、G1では2回2着に入っており、International SとChampion Sということを考えると一線級の中距離馬である。

4歳になると主戦がM. Barzalonaに変更された。2400m路線に向かってDubai Sheema Classicに遠征するとDanon Decileに迫るも2着。欧州に戻ったCoronation CupもJan Brueghelの2着と3歳の終盤から引き続き勝ちきれないレースを続けていた。Saint-CloudのGrand Prix De Saint-Cloudに出走すると去年の凱旋門賞の2着馬Aventureを3馬身半差に下して待望のG1勝利を遂げた。さらにKing George VI And Queen Elizabeth SではKalpanaに完勝し、クラシックディスタンスにおけるチャンピオンの評価を確定させた。この後International Sをスキップして休養を取っており、この頃から陣営はジャパンカップへの出走をコメントしていた。欧州でのシーズン最終戦は10FのChampion Sで、中距離路線のトップを争っていたOmbdusmanとDelacroixが揃って出走してCalandaganを含めた三強の決戦となり、Calandaganは距離がベストではないと思われていたが、Ombudsmanに決定的な差をつけて今年の欧州最強馬となった。

後方から鋭く追い込んでくる欧州タイプの差し馬で、Kalpanaを切り捨てたKing George VI And Queen Elizabeth SやOmbudsmanを封じ切ったChampion Sは鮮烈な印象を受けた。

Calandaganは去勢されていることがレース選択に大きな影響を与えており、とくに2400mを得意としていながら凱旋門賞への出走資格がないことで後半戦の選択肢が限られている。こうした事情で早くからジャパンカップを見据えていたのだが、前走で1年ぶりに10F戦に出走して今年の10F路線で覇を競ったOmbudsmanとDelacroixに完勝し、文句なしの年度代表馬としての参戦となった。

Meydanや欧州では平坦なSaint-Cloudでのレース経験があるものの、硬い馬場の経験はない。

血統構成

Calandaganは父がGleneagles、母の父がSinndarとどちらも長距離指向のある種牡馬だが、母系はAcclamationまでのスピードの要素が強く、バランスが取れているということなのだろう。またGleneagles産駒の中ではステイヤー化する要素が薄い構成とも思われる。

www.pedigreequery.com

Gleneagles: Galileo - You'resothrilling by Storm Cat

父GleneaglesはGalileoとYou'resothrillingの間に産まれた。2歳でNational Sなど3勝を挙げ、凱旋門賞開催のPrix Jean-Luc Lagardereでは1位入線となるも3着への降着処分を受けた。この実績で当年の2歳チャンピオンに選出されている。3歳になるとギニー路線で2000 Guineas、Irish 2000 Guineasを連勝し、Royal AscotのSt. James Palace Sまで制して3歳マイラーの頂点に立った。しかしその後はレースに登録するもののスクラッチを繰り返し、Queen Elizabeth II Sでようやく姿を見せたが6着となり、最後にBC Classicに出走し8着で現役を終えた。

Gleneaglesの戦歴を振り返ると明らかにマイラーというレース選択であるとともに、硬い馬場を好んでいたという特徴がはっきりしている。勝ったレースのほとんどはGood to Firmであり、Irish 2000 GuineasのGood to Yieldingが例外である。シーズン後半のスクラッチも馬場を理由としており、Good to Softで出走したQueen Elizabeth II Sでは6着とその判断に納得せざるを得ない結果であった。

Gleneaglesは種牡馬としてこれまでに6頭のG1馬を出した。産駒は自身の現役時のイメージより長い距離を得意としていて、初年度産駒のHighland Chiefが勝ったMan O'War Sでも距離は短い方である。Loving DreamやArrow Eagleはステイヤーで、Palladiumもドイツのダービー馬である。スプリンターのMill Streamが極めて異質であるが、Giant's Causeway=You'resothrillingのクロスを持ち、GalileoやSadler's WellsにアプローチするHighland ChiefやLoving Dream、Arrow Eagleとは方向性が異なる。他の重賞馬も含めて配合を見てもGalileoに寄せていくと距離が長めになりやすいということはあるかもしれない。

また、2歳から活躍するタイプは限られており、どちらかといえば古馬になって台頭するパターンが多い。これはCalandaganにも当てはまる。

You'resothrillingはGiant's Causewayの全妹となる血統で自身は2歳でG2 Cherry Hinton S、G3 Sprint Sを勝つ実績を残して繁殖入りするとGalileoとの間に多くの活躍馬を出した。初仔のMarvellousがIrish 1000 Guineasを勝ち、2番仔としてGleneaglesを産んだ。その後もGalileoとの間に、彼ら自身の名を冠せられBelmont Oaks Invitationalを3着のCoolmore、アメリカのSecretariat Sで2着のTaj Mahal、2歳で牡馬相手にPrix Jean-Luc Lagardereを勝つHappily、フランスのPrix De Dianeを勝ったJoan Of Arcを得ている。デビューした産駒は全て勝ち上がっており、1勝にとどまったCoolmoreはG3勝ち、またデンマークに移籍していったVatican CityでもIrish 2000 Guineasで2着の成績があるという極めて優秀な繁殖牝馬である。産駒の活躍はマイル戦に集中しており、一部で中距離もこなすという程度にとどまり、父がGalileoであることを考えるとかなりスピード寄りの母だったといってよいだろう。無論Giant's Causewayという大きすぎる存在の影響を無視してはいけないが。

その母系はIのイニシャルで特徴的なHarry IsaacsのBrookfield Farmが所有したItsabetを端緒とするフロリダ由縁の名牝系である。

Ironicallyの分岐は2歳牝馬チャンピオンのDaerly Preciousを出し、その半妹Immenseの娘にMariah's Stormが出た。このMariah's Stormが現代の基点でありGiant's Causewayとその全弟Freud種牡馬として成功し、You'resothrilling、Fabulous、Pearlingは繁殖入りしてG1馬を送り出した。今年長距離路線に登場したScandinaviaの母がFabulousである。Storm Catが入るYou'resothrillingとFabulousはGalileoとの間にマイラーや中距離馬を出し、能力がずば抜けていたGiant's Causewayは中距離までこなしたが、基本的にStorm Catとの組み合わせは短距離志向である。逆にGalileoが直接入ったPearlingやSadler's Wellsを父とするLove Me Onlyの方はやや長距離向きの仔を出してくる。Gleneaglesが現役時にマイラーで、種牡馬としては長い距離をこなすというのはこうした血統構成のバランスによるものだろう。

なお、Itsabetの牝系には別流としてIaroundの分岐があって、こちらはHasiliに代表される大勢力を築いている。

ボトムライン

Calandaganの母系はGalileoやSadler's Wellsを持たず、Storm Catも入らない中立的なものであるが、スピードとスタミナの要素を有している。

母CalayanaはAga Khanの所有馬としてフランスのG3で2着の経験がある。競争成績はステイヤーのそれであり、2勝目は2800mのレースであった。

牝系をさかのぼるとPearl Maidenに行き当たる。Edward Esmondが所有したPearl Maidenはその産駒に凱旋門賞を勝ち当時のフランス競馬史上最強の牝馬と称されたPearl Capを始めとしてフランスクラシック路線での活躍馬を複数有している。またその娘たちから牝系が発展しており、CalandaganはそのうちのSilver Foxの分岐に属している。この分岐にはイクイノックスも含まれており、21世紀に入っても活躍馬を出し続けている。

Calandaganに至るボトムラインではCloche D'Orがポイントである。Cloche D'Orはイギリスで走り2歳でG3勝ちを果たし、1000 Guineasは10着に終わるとスプリント路線に向かったが勝てずに引退している。Lagardereが繁殖として所有することとなりフランスに渡るとLinamixを父としてClodoraを産んだ。ClodoraはLagardereの所有でFabre厩舎からデビューするとマイラーとして活躍し、当時G2で1850mで開催されていたPrix De L'Operaを勝って引退するとDanehill産駒のマイラーClodovilの母となった。その半妹にしてRock Of Gibraltar産駒のClodovinaはLagardereの競走馬資産を引き継いだAga Khanの所有となりフランスのマイル戦で勝利を挙げている。この先がAga Khan Studによるオーナーブリードとなり、父AcclamationのClariynはアングレームの2000mで勝ち上がっているが、マイル戦の方が適しているという成績を残した。Calandaganの母となるCalayanaは父がSinndarでここにきてAga Khanらしい配合となっている。

Acclamationは現在の欧州で主にスプリンターを輩出する系統として発展している。Acclamation自身が極端なスプリンター特化タイプで産駒の平均勝ち距離が7Fを割り込むほどである。1999年産まれで長く種牡馬として供され、25歳の去年まで現役の種牡馬であった。2024年の11月に21シーズンに及ぶ種牡馬生活からの引退が発表され、翌月世を去った。Acclamationの代表産駒はDark AngelやEquianoなのだが、最近はRomantic Warriorが全く違うイメージの活躍をしていて、これは特殊例と見るべき。母系に入ったときの影響としてはSweepstakeの産駒を参照でき、BroomeやPoint Lonsdale、Diego VelazquezといったあたりGalileo直系にスピードを補う役割を果たすことができる。

Sinndarは2歳でG1 National Sを勝ち、3歳ではEpsomとCurraghのダービーを勝って秋には凱旋門賞も勝つというAga Khanが送り出したクラシックホースの中でも最上級に位置する名馬であった。キャリアは8戦7勝で、3歳初戦のBallysax Sで2着となったのが唯一の敗戦である。2歳でBernsteinを下し、3歳になるとEpsomではSakheeを、CurraghではKing's Bestを、そしてLongchampでは古馬になったMontjeuを下すというとてつもない実績を上げている。母系はMarcel Boussacの13-c族のうちTourzimaの分岐である。Aga Khanの手に渡ってからはSのイニシャルを与えられ、Top Ville、Lashkariと重厚なスタミナを組み込まれた。ここにマイルから中距離をこなしたDanzig直系のGrand Lodgeを入れて、Sinndarはハイレベルなクラシックランナーとして大成した。種牡馬入り後はShawanda、Youmzain、Sharetaとクラシックディスタンスを得意とする産駒を出している。ステイヤーやジャンプレースでの勝ち馬も出ていてスタミナを武器とする種牡馬であった。

Sinndarの影響でCalayanaはステイヤーと言える競走成績となったものの、それ以前を構成するのはマイラーが主となっていると言える。Gleneaglesからするとスタミナが過剰になることもなく、Giant's Causewayにも通じるスピード能力を邪魔しない。Champion Sで見せた10Fへの対応からもこれは示されている。